2019年12月01日

高齢化社会の住みやすさを求める会(CCRC)の取組み

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特定非営利活動法人建設技術監査センター 代表理事
成岡建築設計・技術士事務所 所長 
成岡 茂


団塊の世代が75歳を迎える5年後には、首都圏で大量に高齢者難民が発生すると言われている。そこでCNCPの事業部門に「南房総CCRC研究会」を立ち上げた。今年はその研究会の3年目を迎えている。今年度は過去2年間の研究成果を如何に実践の取組みに結び付けるかが課題だ。
南房総に着目したのは首都圏で土地も安く豊かな自然に恵まれた地に元気な高齢者が「生涯活躍できるまち」で老齢期を、生きがいを持って過ごせる場として考えた。南房総CCRCはオリジナルの「生涯活躍のまち」構想の日本版CCRC「Council on Comfortable & Recreative Community」の意味から、当会では、Countryside & City Reconstruct Community」と翻訳し、地域と都市のコミュニティの再構築と位置付けた。
当初は、廃業したゴルフ場の再生としてここに関連施設を建築しゴルフなどを楽しみながら過ごすといったイメージを描いたが、千葉のゴルフ場は意外と健在でそのよう場所は見つからなかった。そこで、バブル期にリゾー住宅地として開発された御宿や勝浦のリゾート住宅地を訪れ現状を視察した。これらは超郊外別荘型住宅地と考えられ、二地域居住や定住地として居住している高齢者もおられる。東急リゾート勝浦(1990年東急不動産滑J発分譲地、720戸200ha、ゴルフ場が隣接)、ミレーニア勝浦(1992年三井不動産滑J発分譲地、939区画105ha)、御宿台グリーンタウン(1988年西武不動産滑J発分譲地、1,500区画167ha)、大原西部グリーンタウン(1981年西武不動産滑J発分譲地、937区画227ha、ゴルフ場隣接)がある。この他に視察したのは、季美の森(1994年東急不動産梶E潟Gルカクエイが開発分譲、1855区画約200ha、ゴルフ場併設)の住宅地だ。ここは東金市と大網白里市にまたがっている。都市型団地で千葉市や都内への高速バスも運行している。
一般に南房総というと地元では、館山市、南房総市、勝浦市のエリアを指すが、当会の認識としては広く房総半島全域を視野に入れている。
今回の台風15号、19号、21号で強風による長期停電、水害など房総半島は未曽有の災害に見舞われた。しかし、先日、会のメンバーによる南房総一泊二日の視察で分かったことは、この地域は海の幸山の幸に恵まれた温暖で豊かな地域だということだ。南房総市では2地域居住や観光などで何らかの形で地域と交流した人を「関係人口」ととらえ地域の活性化の呼び水として期待を寄せている。
今後、これらの取組みをベースに高齢化社会の住みやすさを求める会「Council on Comfortable & Recreative Community」は地域との連携のもと地域の活性化と高齢者が快適に暮らせる街を目指したい。    以上

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土木広報の展開 -土木広報大賞2019から

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シビルNPO連携プラットフォーム理事
(公益社団法人土木学会専務理事)  塚田 幸広


土木学会では、日本全国の各地域で展開されている様々な広報のうち、暮らしを支えている土木の役割・意義・魅力について広報を行っている活動または作品などで他団体の模範となるもの、他団体への展開が期待されるものなどを取り上げ、顕彰することを目的として「土木広報大賞」を創設し、展開している。
第2回となる今回は、日本全国から122件の応募が寄せられ、選考委員会(委員長:田中里沙 事業構想大学院大学 学長)による厳正な選考を経て、最優秀賞1件、優秀部門賞6件、準優秀部門賞10件の合計17件を選出した(下表参照)。最優秀賞は、東京都下水道局の“東京地下ラボ(若者向け東京下水道発信事業)”が受賞した。

今回の受賞の中から、「土木と市民社会をつなぐ」の色合いが濃い(あくまで個人的モノサシ)と考えられる2つの活動を以下に紹介する。
(1)春吉橋「賑わい空間」の試行イベント
国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所では、一般国道202号線「春吉橋架替事業」の国道本線の切替えに先立ち、地域等への事業に対する理解の促進を図ることとあわせ、迂回路橋を将来の賑わい創出空間として活用したイベントを実施した。実行委員会は福岡国道事務所、福岡市のほか、地元の自治会等(中洲町連合会、春吉・冷泉校区自 治協議会)を巻き込み構成している。約1ヶ月と短い準備期間であったものの、実行委員会と連携し広報活動を幅広く展開したことや、隣接する企業との連携、各媒体を駆使した広報活動を実施したことで、予想を上回る約14万人もの多くの市民の入場があった(写真-1参照)。また、アンケートの結果からは、イベント前まで架替事業を「知らなかった」約7割の市民に対して認知度を高めることができ、さらに、賑わいイベントへのリピート意向・満足度については、約8割が満足し、「また来たい」と回答している。身の丈で地域市民を巻き込んだ「賑わい空間の創出」の好事例といえる。

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(2)「大人の社会科見学 江戸東京・川のなぜなぜ舟めぐり〜シビルエンジニアから聞く川にまつわる話〜」および関連セミナー(写真-2参照)
褐嚼ン技術研究所の国土文化研究所では、東京都中央区のNPO法人などと連携し、東京都心の中小河川をめぐるクルーズ「お江戸日本橋舟めぐり」を2009年より継続的に実施し、年間200便前後運航している。このクルーズでは、専属のガイドが主に水辺を中心とする江戸・東京のまちの発展の歴史などを案内している。体験後のアンケートの結果からは、案内内容やコース全体等の満足度は、「非常に満足」、「満足」が大半を占め、ほとんどの方がまた機会があれば参加したいと回答している。また、自由回答からも、普段なかなか目にすることのない川からの視点で、その役割・機能が必ずしも十分に理解されていない堤防、護岸、水門、排水機場、橋梁などの土木構造物について、実際に目の前で見ながら専門家からの解説を聞くことで、改めて「都市にはどのようなインフラがあるか」、「そのインフラが災害対策、環境保全、利便性向上などにどのように貢献しているのか」、「インフラがその機能を確実に果たすためには市民の正しい理解がいかに大切か」を知ったとの回答を得ている。すなわち、市民に対して土木の役割を考えていただくきっかけに直接つながる好事例である。

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サブスク・ビジネス

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シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 企画サービス部門担当
SLIM Japan理事長、(株)アイ・エス・エスグループ代表取締役
中村 裕司


D.アトキンソンさんの近著『国運の分岐点』には、示唆に富んだいくつかの数字が並んでいる。少し羅列して紹介したい。数字の根拠に興味がある方は同著に立ち返ってお読みいただきたい。
1.日本の生産性は、1990年には世界第9位であったが、2019年には第28位にまで下がっている。
2.上場企業の時価総額ランキングでは、1989年には上位50社のうち32社が日本企業であった。しかも1位から5位はすべて日本企業であった。これに対して、2018年で50社以内に入っている日本企業は僅か1社。それも35位である。
3.米国の人口は1990年の2.4億人から2018年には3.3億人に増加している(約1.4倍)。同じ期間の日本の人口は1.26億人から1.25億人に減少している(99%)。
4.1998年〜2018年の20年間で、先進国平均の賃金は1.8倍に増加したが、日本の賃金は9%下落した。
5.企業が社員教育に掛ける金額は、米国が年間44兆円であるのに対し、日本は5,000億円でしかない。
6.年間労働時間を2,000時間とした場合、日本人一人が負担する1時間当たりの社会保障額は、
 ・2020年:824円
 ・2030年:1,137円
 ・2040年:1,642円

と増え続ける。参考までに、2019年10月1日発効の東京都の最低賃金は1,013円、全国の加重平均は901円である。
以上は、日本がなぜ生産性が低い国であるかを示す指標の一端である。このまま低賃金が続くと日本の生産性はますます低下するというのがアトキンソンさんの主張である。
私たち日本人は、けっこう効率よく仕事をさばき、付加価値の高い仕事を継続してきたつもりでいるが、どうやらそうではないらしい。人口が減り、自然にGDPが減るこの国で、生産性を向上するためには賃金上昇以外に手はなさそうである。
NPO団体であるCNCPが日本の生産性向上に寄与する余地はあるか、自問自答をしてみた。希望的観測も併せて、「ある」と答えたい。
なぜならCNCPは会員のためのサービス団体であり、会員をオンラインとオフラインでつなぐことにより、提供する情報をマネタイズしていける素地ができているからだ。シェアリングの未来形と言われている“サブスク”ビジネスの基盤は構築されていると考えてよい。サブスク・ビジネスの肝は、少ない時間で多くの収益を生み出すところにある。すなわち、生産性の向上である。CNCPがこれまでに造り上げてきた会員基盤を通じ、会員に有益な企画とサービスを提供できれば、生産性向上に一役買える。
そういう未来をCNCPは展開したい。
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