2018年09月01日

電線のない街づくり支援ネットワーク

現在、日本には3,600万本もの電柱があります。その電柱・電線を取り除き、安全・安心で美しい景観の街づくりを実施したいと思っている、すべての機関(不動産・デベロッパー・行政等)を技術面・ノウハウ面で支援しているのが当NPO法人です。当NPOは、設立から11年目を迎える無電柱化の推進を専門に活動する国内唯一の団体です。現在、大阪・東京・沖縄・北海道・中部に事務所を設け、各地で行政支援やシンポジウム、会員向けの勉強会を開いています。
「無電柱化」は、まだ一般にはよく知られていないのが現状です。2016年12月に無電柱化の推進に関する法律が施行され、11月10日を「無電柱化の日」と定めています。今年3月には、国土交通省より無電柱化推進計画が発表されました。ロンドンやパリなど、欧米の諸都市では、無電柱化率100%で、電柱はありません。最近では、アジアの諸都市でも無電柱化を急速に進めています。
このような現状や、「景観・観光」「安全・快適」「防災・減災」で無電柱化の必要性をより多くの人に知っていただくため、様々な広報活動や支援活動を行っています。無電柱化推進シンポジウムを各地で開催したり(2017年に東京・大阪・沖縄・札幌。2018年に名古屋)、小学校や大学での要請を受けて、無電柱化出前授業・出前講義をしたり、行政や商店街の要請を受けて、無電柱化勉強会をしたり、無電柱化された街並みを歩く街並み見学ツアーを実施したりしています。また、テレビ局の報道番組や情報番組への出演依頼や新聞社の取材に応じて、マスコミを通じての啓発も行っています。
当法人では、インターンシップやボランティアの学生を積極的に受け入れ、業務の一翼を担ってもらっています。彼らには、当NPOが主催するイベントの広報活動や、会員企業・個人会員様向けの広報誌を編集したり、メールマガジンの発行を依頼しています。ホームページの更新もその一つです(現在、ホームページをリニューアル中 https://nponpc.net/
また、直近のイベントとして、10月3日(水)に金沢市アートホールにて、無電柱化まちづくりシンポジウムを開催します。北陸地方は、全国の無電柱化のモデルとされる金沢市をはじめ、新潟県見附市の全国で初めての小型ボックスの採用、一方、福井県では、新幹線開通を目的に無電柱化が求められる駅前、中心部の再生・リニューアルが進められつつあります。このような状況のもと、今後の更なる無電柱化の推進を期待しての開催です。
技術分野では、国土交通省道路局の道デザイン研究会無電柱化推進部会に井上事務局長が参画し、民間ワーキンググループの主査として、民間発の低コスト手法の開発に取り組んでいます。現在も広く低コスト手法を募集しており、来春には、それらを精査・取りまとめし、「低コスト手法の手引き」として公表される予定です。
無電柱化によって電線・電柱のない安全で美しいまちづくりの推進にご賛同いただける個人・企業・団体は、当NPOまで入会・お問い合わせ下さい。

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連絡先:NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク
大阪府吹田市内本町1丁目1番21号
 TEL:06-6381-4000(担当:塚田)
入会ご希望の方は、info@nponpc.net へメールでお問い合わせ下さい
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第5回謡曲、浄瑠璃の「土木」

日本最大(項目数50万、用例数100万)の国語辞典に“ど‐ぼく【土木】〔名〕(古くは「とぼく」とも)(1)土と木。比喩的に、飾らない粗野で素朴なものをもいう。→形骸(けいがい)を土木にす。*大観本謡曲・谷行〔1546頃〕「谷行に飛びかけって、上に蓋へる土木盤石、押し倒し取り払って*浄瑠璃・曾我扇八景〔1711頃〕上「内に土木の気をやしなひて、外青黄の色なく」……”(日本国語大辞典第二版、小学館、2000〜2002年)とある。
この用例が「土木」を「土と木」と説明する根拠とされる室町末期の謡曲『谷行(作者不詳)』と江戸前期の浄瑠璃『曾我扇八景(近松門左衛門)』である。
口伝とされる能楽を書写した揺本(謡曲の稽古用譜本)の初期は平仮名書きで、観世流宗家9世与三郎忠親の天正17年(1589年)の自筆謡本(観世アーカイブ)には「とうほくはんじやく」とあり、金春流鳥養道晣の同時期の謡本(吉川家旧蔵車屋本)には「とうぼくばんじやく」とある。漢字表記は元禄(1688年)の頃からで、「渡木盤石」「とうほく盤石」「土木ばんじやく」「土木盤石」「倒木盤石」など明治期に至るまで表記の揺れが多く存在する。
浄瑠璃『曾我扇八景』は主題の「鶴」を説明する枕(導入部)に中国明代の『相鶴經(周履靖)』の「所以體無青黃二色者、土木之氣内養、故不表於外也」を引用して、五行思想の木、土と五色の青、黄を対応させた単なる修辞である。
二つの用例とも「土と木」を第一と説明するには不十分と考えるがいかがか。
(土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
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土木と人工知能(AI)

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CNCP副代表理事 花村 義久


昨年2017年4月、将棋に特化した人工知能(AI)が現役の名人佐藤天彦九段を破り、囲碁界でもAIが同年5月世界最強の囲碁棋士カ・ケツ氏を破りました。これに我々はとても驚きましたが、実はAIはスマホや車など身近なとこですでに活躍しています。
AIといえば、今から3〜40年ほど前の1980年代に世界的なブームがありました。今考えるとそれは第2次ブームでした。土木学会では、1987年土木情報システム委員会(現土木情報学委員会)の中に人工知能(AI)小委員会が設置されました。
学会では1992年「人工知能並びに情報システム先端技術の海外調査・交流団」を組み(私は団長でした)、16日間カナダのウォータールーで開催された国際会議への参加・発表と合わせ、MIT、スタンフォード、イリノイ各大学やアメリカの学会ASCEなどを訪問し、AIに関する討論・情報交換を行いました。このブームではエキスパートシステムが主流で、我々もこの手法を中心に取り組んでいましたが、MITなどでの議論では先方の関心事はニューラルネットワークだったのが印象に残っています。
土木分野全体としても研究機関や各企業でかなり幅広く取り組まれたが、対象が限定されるとともに、その割には知識の習熟、組織化、表現、変換などの問題に十分対応できず実用化まで行けませんでした。
人工知能研究の歴史は古く、1950年代後半から1960年代にかけて起きたブームを第一次AIブームと言っているようです。コンピューターの持つ多くの可能性に期待が寄せられ、ニューラルネットワークに対する研究が本格的に開始されました。この第一次AIブームによって、人工知能は推論や探索、自然言語の処理が可能なまでに成長しました。しかし、当時のコンピューターの処理能力では単純な計算しか行うことができず、複雑な問題を解くことができませんでした。
今巻き起こっているのは第3次AIブーム、2010年に入ってコンピューターの進化とともに大量のデータを用いた「機械学習」が発展しています。ニューラルネットワークを層として重ねる「ディープラーニング(深層学習)」という手法が出現することで、新たな道が切り開かれました。我々が実用的に適用する時は、これをツールとしてプログラミングするようになっています。このAIは、大量のデータを基にルールや知識をみずから学習する技術を取り入れており、層的に重ね掘り下げることによってコンピューターがみずからデータ内の特徴を見出し、最後は人間に匹敵するような判断が出来ようになる仕掛けになっています。
この技術、土木ではどのように捉えられているのでしょうか。AIは土木の抱える問題を解決し新たな発展の可能性を与えてくれるのでしょうか。自然や大空間を背景とする計画・設計・施工、例えば施工計画、保全計画などで求められる人間の判断、施工・点検・診断などで求められる効率化・自動化、事故防止その他多様な要素が絡むのが建設の世界です。

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国交省では、これらに対し「AIを活用した建設生産システム の高度化に関する研究」として取り組もうとしています。これは、「第4期国土交通省技術基本計画」などでいう「i-Construction」 の推進などとの関連で行われているものです。ここでは、IoT(Internet of Things)等を使って施工現場から収集される ビッグデータをAIを用いて解析し、調達、 施工管理等の高度化を図ろうとしています。また、インフラメンテナンス国民会議でも、AI時代に対応するインフラのビッグデータのあり方について理解を深めるため、セミナーなどを開催しています。
建設業界では、AIはICTの一環として捉え、省人化や作業効率化による生産性向上などいろいろな場面で活用しようとしています。
大林組は、AI技術を駆使して山岳トンネル工事の切羽評価システムを開発中です。ディープラーニングを使い、掘削面の画像と評価結果の学習を通じて地質状況を素早く、高精度に評価し、施工の合理化に生かしていく考えです。
清水建設では、AIを活用して、トンネル掘削で活躍するシールドマシンのオペレーションを行なうソフトの開発を進めています。これにより、土砂が崩れるなどの災害からも逃れられると考えています。

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鹿島建設では、AIによる宇宙・地上利用を指向した自動制御協調型の遠隔施工システムの開発に取り組んでおり、制御系設計法、自己位置や地形形状の推定、認識手法や自動化建機同士の通信手法についての研究を通じて、宇宙探査の道などを切り開こうとしています。
上の建設分野でのAIの適用は、Iotによる大量データの蓄積(ビッグデータ)、ロボットやドローンの開発、各種センターと画像解析技術、そしてインターネットやクラウドコンピュータなど、背後の環境が整うことによって道が切り開かれたのです。
ただこの実用化への取組みがどの様に進でいくかは、まだ今後に待つということになりそうです。
ところで、人工知能技術は何処まで進むのでしょうか。人間を超えることなどあるのでしょうか。今具体的に活用されている、或いは活用しようとしているAIは、ある特定された分野での話で、分野を特定すればAIの方が人間に勝るということは驚くに値しないことだと言えます。人間の思考、行動は計り知れない幅と深さを持っており、今のAIでは実現できません。
これを乗り越えるための研究も始まり、現在の個別領域に特化したAIは「特化型AI」と言っていますが、領域にとらわれることなく多種多様な分野において問題を解決することのできるものは「汎用AI」と言って、新しい分野として取り組まれています。中には人間の脳をモデルに、全脳アーキテクチャーと称して、現在は特定の問題に応じて作られるモジュールに対し、必要に応じて複数のモジュールを自動的に組み合わせるシステムの研究などもあるそうです。
AIの進化が限りなく進んだ時にどうなるのか、人工知能研究を行うAI研究者たちは「人工知能が人間の知能を超える瞬間」のことをシンギュラリティ(技術的特異点)と呼んでいます。ある研究者はこれが早い時期に来ると物騒な予言を行い今話題になっていますが、さてどうなるのでしょうか。
もともと情報通信技術は人間活動の枠の中で活用されているもの、AIもその中のサブシステムと考えればいいのではないかと思うのですが、如何なものでしょうか。
新しい技術には光と影がつきものです。AI の場合その性格から暴走に対する不安が付きまといます。そのようなことから、昨年2017年、アメリカで開かれた人工知能国際会議で、人工知能開発に際して守るべき23原則を発表しました。研究課題、倫理と価値、長期課題などが規定され、第23項の公益では「広く共有される倫理的理想のため、および特定の組織ではなく全人類の利益のために超知能は開発されるべきである」としています。
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