2018年11月01日

総会後の粉川武蔵大学教授の講演の報告

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NPO法人シビルサポートネットワーク事務局長
高橋 肇


10月2日に開催された「市民社会を築く建設大賞2018受賞式典」後の講演で、粉川一郎武蔵大学社会学部教授に「シビルNPOへの提言 民間非営利セクターだからできること」というテーマで、記念講演をしていただいた。
いま、多くの建設系NPOにおいて、その理念と使命感に比べて社会の認知が低いことで活動の行き詰まりを感じている、といわれている。我われがさらに飛躍するためには何をするべきか?
その方向性を示すものとして本講演の概要を以下に紹介し、みなさまの活動のご参考にしていただければ幸甚である。本報告の内容は粉川教授にチェックして頂いたものである。
 
“シビルNPOの思いを社会に伝えたい”
もっと、ターゲティング戦略を明確にしたメディア対応を!
1.はじめに・・・日本人は、社会・地域貢献をしなくなった
NPO活動を考えるにあたり、背景としてわが国の現状をみると、日本人は歪んだ個人主義の国になっていると感じる。
「ひとのためにやる」「地域のためにやる」という「当たり前」がくずれてきているのではないか?
・SNSには「社会正義」には強い関心を持つ人が多くいる。
・誰かが悪さをしていれば、誰かが不当に儲けていると感じれば、徹底的に糾弾。
・例えば、PTAや自治会、町内会は、行政が私たちに仕事を押し付けている。
・例えば、東京オリンピックのボランティア募集は、不当なブラック労働だ。
・私たちはこんな社会を許さない。だからTwitterやfacebookで声を上げる!!
しかし、このようなSNS上の歪んだ社会正義の意識は行動を伴わない。声を上げる自己満足だけで、問題解決にはコミットしない。
つまり、自己満足のために社会問題を「ネタ」にしているだけで、社会のことを考えているというよりも、自分個人の満足感にしか関心がないとも言える。
地域活動やNPO活動をする上で、環境は悪化しているとも言える。
2.もう、営利目的の企業と政府だけでは、日本社会は成立しない
しかしながら、地域活動やNPO活動なしに日本社会を維持していくのは難しい。
国の共助社会づくりの意図を見てみよう。公助について財政上の制約があるので、「もう、行政では公共を支えきれない」として、「NPOや株式会社、地縁組織という区分ではなく、とにかく民間であればなんでもいい。そして、民間主導で地域経済の活性化を図ってほしい。」といっている。
 国ですら、このように考えているのである。
3.民間非営利組織の基本概念に立ち返る
では、民間の非営利活動はどのように位置付けられるか。NPOなどの市民活動の社会的な位置づけとして、レスター・サラモン「ボランタリーの失敗」の理論を思い出したい。
 NPOは「政府の失敗」や「市場の失敗」を補うための存在ではなく、政府や営利企業の「落穂ひろい」「すき間産業」という考え方は間違い。本来、社会における問題解決の最初のアクターが民間非営利の活動である。現代の日本の動きは、そこに立ち返ろうというもの。
 しかし、NPOは専門性が不十分なアマチュアだったり、サービスが偏って提供されたり、といった課題もある。それがボランタリーの失敗であり、政府や営利企業の存在意義となる。
4.ここで、土木系・建設系のNPOを考えてみよう ―その稀有な存在
お金を除けば「ボランタリーの失敗」がほとんどない民間非営利活動と親和性の高い分野である。
・少なくとも「人材」には恵まれ、ほぼ皆が「プロフェッショナル」であり、アマチュアリズム
とは程遠い。
・建設系のNPOのサービスを享受するのは、そこに住まうほぼすべての人々。社会インフラに関わ
 るテーマだからこそ、「偏り」がない。
・経営資源を出す人々の考え方に影響されるのは確かだが、たいていの場合、それは社会インフラ整
 備に関わるので、公共性が高い。
5.そもそも、土木系、建設系はソーシャルビジネス
さまざまな社会インフラを作り、そして維持していく土木系、建設系の仕事は非常に公共性の高いソーシャルビジネスの分野である。
・「営利」「非営利」の境目は、結果として、利益を生み構成員で分配するのか(企業)、それとも利
 益を生むのが難しい、あるいは産んだ利益を再投資するのか(NPO)、そこにしかない。
・実はもっと「営利」と「非営利」が手を結んでもよい分野ではないか?これは、他のNPO分野には
ない特徴である(福祉分野の移送サービスはタクシー会社と競合し問題になっている)。
上手にもうけて、それを地域に還元する。営利と非営利の相互補完性がもっとあってもいいのではな
いか、と考える。
6.けれども、人々は「土木」「公共事業」といった瞬間に思考停止する
そもそも、「土木」や「公共事業」といった言葉に悪いイメージが植え付けられたのは、メディアでの扱われ方に一つの理由があったことを思い返そう。
7.だからこそ、ターゲッティング戦略を明確にした、メディア対応がシビルNPOには必要
・昔は道路ができ、橋ができ、トンネルができ、鉄道ができることで、みんながそれこそお祭り騒ぎのように喜んでいた。
・その、大切な社会インフラが、どんどん劣化していく。新しいものを作っていくと同時に、大掛かりな修復もしていかないといけない。
・だけど、右肩上がりの経済成長の期待できない社会では、少なくとも税金をもとにしたインフラの維持は不可能だろう。
・だから、このままでは社会インフラが維持できない、誰かが知恵を出し、汗をかかないといけい、そのために頑張ろうとしている人々がいることを「うまく」社会に伝えていこう。
・何もしない「正義の味方」ではなく、「実際に行動しようとしている正義の味方」がいることをアピールしよう。
・オピニオンリーダー層を念頭に置いた情報発信を。

8.進めてほしいメディア戦略
メディア戦略を考え、“メディアを手玉にとって”ほしい。最初にアプローチするべきは新聞。
・新聞記者との関係性、いつでも連絡が取れて、常に記事になるような情報を提供すること。
・伝えてほしいではなく、伝えやすい情報を提供する。記者の仕事をしやすくする。ネタがないときにネタを提供する姿勢。
・アドボカシー(政策提言)も大切な「コンテンツ」である。もちろん、アドボカシーは本質的にNPOに必要なこと。でも、政策提言そのものが報道する価値のある「コンテンツ」になることを忘れずに。
・SNSの優先順位は現状では低い。他に注力を。注目すべきは「ネットニュース」、ひょっとすると「新聞」の次に影響力があるメディアかもしれない。例:ロケットニュース24。
・既存のネットニュースとのコラボレーションができないか、新たなネットニュースを立ち上げることはできないか。そういうアプローチも必要。
・ブログジャーナリズムにも目を配ろう。「意識高い」人が影響されやすいブログへのアプローチを考えたい。そうした「書き手」を我々の世界から養成することも必要である。
9.こうした取り組みのためにも組織基盤強化が必要
「組織基盤強化」とは、活動や事業を支える組織の基礎的な経営資源(人材、情報やノウハウ、資金力)を強化する取り組みである。安定した組織基盤は事業の継続や新しいチャレンジに欠かせない。
組織基盤強化を考えるうえで大事な要素の一つに「ファンドレイジング(資金調達)」の問題がある。
10.新たなお金づくりのアプローチも必要。
目利きのNPOでは、すでに取り組み始めている。
・例えば休眠預金の話題がある。すでに法律もできている。どこまでコミットしていますか。
・遺贈という大きな支援の在り方に、どれだけ注目していますか。人は、死ぬ前に自分の生きてきたことを何らかの「形」として残したい。それも、誰かの役に立つ形で。実は、遺贈と土木系、建設系のNPOは親和性が高いかもしれない。
・新たな取り組みとして、SIB(Social Impact Bond)という考え方がある。
11.むすび・・・建設系NPOを応援している者から
したたかに、しなやかに。
・今やっている活動を、そのまま理解してくれる人はいない、という前提に立つ。
・理解してもらうために自分たちのプレゼンスをどう上げるか、という視点を持つ。
・まずは、メディアの中での自分たちの立ち位置をどう変えていくかを考える。
・既存の枠組みでビジネスを考えない。社会インフラの整備をするために誰が資金を負担するか、労力を負担するか、新しい視点を常に持ち、チャレンジすること。
・公共性の高い活動をしていること。その自信と信念を忘れずに。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | シビルNPOの現況と課題

土木と市民社会をつなぐ活動

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シビルNPO連携プラットフォーム常務理事/土木学会連携部門長
土木学会/教育企画・人材育成委員会/シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


「土木学会連携部門」は、今年度、新しくできた部門です。これまでは土木学会の会員でもある「土木学会連携担当理事」が居て、土木学会の「シビルNPO推進小委員会」の委員長を兼任していました。私の前任者は、CNCP設立の中心人物のお一人である駒田智久さんです。
CNCPでは、設立3周年を機に「見直しWG」を起こしてこれまでの活動を振り返り、ミッションに応えるべく「土木と市民社会をつなぐ」を基本テーマに掲げてすべての活動を見直すと共に、土木学会との連携強化を目指して「土木学会連携部門」を設置しました。
この「土木と市民社会をつなぐ」という活動は、土木学会と連携して、シビルNPOをはじめ、インフラ整備、環境整備、まちづくり、防災・減災等に、様々な形で関わっている様々な組織・団体・個人と、それらに関心を持つ市民との、ネットワークを作り、互いに連携・協働して、志を同じくする仲間の輪を広げて行こうとするものです。
「土木と市民社会をつなぐ」活動は、CNCP全体の基本テーマですが、「土木学会連携部門」が先頭に立ち、他の部門と連携して進めて行くことになります。以下に、どんな問題認識か、どんなことをやろうとしているのかを、ご紹介します。

■「土木」が行うこと
「土木」は英語で「Civil Engineering」と言い、「Military Engineering」と対峙します。軍事のためではなく、民生・市民のための技術・工学のことです。(CNCP通信巻頭のシリーズ「土木ということば」もご覧ください。)
「土木」は、国や地域の「インフラ整備」と「防災・減災」を担っています。国民・市民の生命と財産の保全、社会・経済活動の維持・発展のための活動です。
「インフラ整備」とは「まちの基盤づくりと維持」。道路・鉄道・港湾・空港のような交通施設や上下水道・電気・通信のようなライフライン施設の計画・設計・建設・維持・更新です。また住宅地や工場用地等のための斜面の造成・水面の埋め立てなども対象範囲です。
もう一つの「防災・減災」は、大昔からの「治山治水」、関東大震災以後は「地震防災」を加えて、自然災害の防止・軽減のための計画・設計・建設・維持・更新です。近年では、ハード対策では防ぎきれない甚大な災害に対して、ソフト対策にも取り組んでいます。

■「土木」と「市民社会」の溝
「土木」は、本来、市民生活と密接なものでありながら、市民の多くは国や自治体にお任せして、必要な諸施設が存在し機能し続けることが当たり前のように思い、マスコミも3K・談合・箱ものづくり・・などの不具合に飛びつき、若者も「土木」を敬遠しています。
「土木」が行う「インフラ整備」と「防災・減災」は、技術・規模・費用等が市民の自助や共助のレベルと大きく乖離するし、「土木」が求める地域の最適解は必ずしも市民全員の最適解ではないので、産学官の土木技術者のみで進められることが多く、それが「溝」をつくる原因になっていると思います。戦後の復興と欧米に追い着け・追い越せと国を挙げて頑張った高度成長期には、「土木」が行う「インフラ整備」は市民の価値観と合致して歓迎されましたが、バブル期には環境配慮等の市民の価値観の多様化と情報公開が進んで溝が深まった気がします。
近年の、人口減少・税収減少・インフラの老朽化・地震の活発化・豪雨の増強化等の問題山積の前では、土木技術者が最適解を見つけ出すという従来型のスキームだけでなく、その地域の市民に自らの税金の使い方やリスクとどう向き合って暮らしていくかを考えて貰う必要があると思います。

■「土木」と「市民社会」をつなぐ活動
土木学会も、従来の活動が土木学会の周囲に限られていたことを反省していて、「創立100周年記念事業」や「社会と土木の100年ビジョン」「創立100周年宣言」等に、あらゆる境界をひらいて、様々な団体との連携を強化し、社会貢献・市民交流等を推進することを掲げています。そして、市民への広報や知って貰うためのイベントなども、土木学会の様々な組織・委員会で行われていますが、それぞれが良かれと、あるいはダブり・競合しないように棲み分けして、思い思いの活動がバラバラに取り組まれ、それぞれで広報されている状態です。
この「土木」と「市民社会」をつなぐ活動は、CNCPでも、国・自治体・大学・建設会社および関連協会等でも、同様に取り組まれていますが、大なり小なり似た状況にあり、「土木」と「市民社会」の「溝」はなかなか埋まっていかないのが実情です。

■「(仮称)土木と市民社会をつなぐフォーラム」の設立
そこで、「土木と市民社会をつなぐ」という考え方に賛同するあらゆる組織・団体・個人が集う場として、「フォーラム」を設立しようと準備を進めています。この「フォーラム」の目的は、次の2つです。
【目的1】活動情報の集約とフォーラムの外への広報
フォーラムに集う仲間の「土木と市民社会をつなぐ」様々な活動を集約して(詳細内容はそれぞれのHP等による)、DB化し、その全部をHPやネットニュース・Facebook・YouTubeを通じて発信します。我が国のすべての活動を網羅したいと思っています。
市民や学生・子供がこのフォーラムで検索すれば、地元や日本中の、見せてくれる工事現場や、土木の話をしてくれる人、様々な疑問への回答、イベント・グッズ、写真、ニュースに対する専門家の解説、土木遺産、土木の本等々「土木のすべてがまとめて見える」イメージです。
【目的2】フォーラムの内での活動情報の共有と連携・協働の呼びかけ
フォーラムに集う仲間は、互いの組織情報や活動内容を共有し、自組織のイベント等への参加の呼びかけ、連携・協働の呼びかけ、参考にしたい優れた活動の勉強、困ったことの相談など、情報交換や連携・協働をし易くします。フォーラムの仲間が利用できるポータルサイトを構築しようと考えています。
志を同じくする市民にも参加していただき、「土木」の視点での取り組みを、「市民」の視点での取り組みに変えていきたいと思います。

CNCPの会員とサポーターの皆さま、一緒に「つなぐ」仲間になりませんか? 一人でも多くの方のご参加をお願いします。
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(特非)道路の安全性向上協議会

1. 目的
NPO法人「道路の安全性向上協議会」は、@道路の交通安全の啓発活動 と A老朽化する道路構造物の長期保全に向けて、点検、維持補修、更新の人材育成のために、講演、研修、技術情報の提供等を行うことによって、道路全般の安全性を高め、国及び地域社会の持続的発展に貢献することを目的とします。
2.最近の活動状況(高速道路のトイレ清掃体験会)
日本道路公団が民営化され14年になります。その最大の成果の一つが、休憩施設のトイレが抜群に綺麗になったことです。これは、施設が改良されたことと併せて、何よりも現場で働く清掃スタッフの方々のモチベーションが大きくアップしたことによるものです。そこで、今年の8月21日(火)、昨年の中央自動車道でのエリア清掃体験会に引き続いて、厚生労働省認定のトイレ診断士による検査で抜群の成績を収め、休憩施設では日本一のトイレと名高い東名高速道路の海老名SAと足柄SAのトイレ清掃を、日本トイレ協会理事の白倉正子さんと共に、NPO会員とNEXCO中日本の東京支社、八王子支社の職員による総勢27名で実施しました。 朝8時に集合して、全員エリアキャストの出で立ちに着替えた後、SAに移動。エリアキャストの皆さんから清掃方法のレクチャーを受け、実際のトイレ清掃に挑戦しました。「小は1分、大3分、テキパキ清掃しないと日が暮れますよ。」と言われながら、清掃道具や方法に細部まで工夫が行き届いていることに感心し、きめ細やかなおもてなしの心に触れることのできた一日でした。まだ、暑さの残る時期でしたから、皆、汗だくになりながら、エリアキャストの皆さんの苦労が良く分かりました。体験後の反省会では、「何故、トイレにエアコンがないのか。入れるべきだ。」と話題になり、在席していたNEXCO中日本の宿題になりました。

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トイレ清掃

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ゴミ回収


NPO法人 道路の安全性向上協議会
理事長:藤野 陽三
事務局長:吉川 良一
mail : hen.tko01@c-nexco-hen.jp  URL: hen.tko01@c-nexco-hen.jp
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