2018年11月01日

土木偉人をたずねて、新しきを知る

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
土木学会土木広報センター センター長
早稲田大学名誉教授 依田 照彦


土木学会の大きなイベントとして、土木学会全国大会が毎年開催されている。平成30年度は、8月29日から31日までの3日間、北海道大学で開催された。その中で、土木学会の土木広報センターからの企画として、「ベスト・イノベーター・オブ・土木偉人」が全国大会初日の午後、開催された。この企画は、明治150年企画と連動した企画であり、明治期に革新的な功績を残した土木偉人を取り上げ、学生および若手技術者に土木偉人についてプレゼンテーションを行っていただき、来場者の投票により、ベストプレゼンターを選ぶという企画である。その背景には、最近土木学会から発行された「土木偉人かるた」の存在がある。「土木偉人かるた」は、社会革新の原動力となった土木偉人たちをテーマに、土木が人と自然に関わってきた歴史的役割や価値を知る・学ぶ・楽しむツールとして制作されたものである。プレゼンテーション対象の土木偉人は、かるたに収録されている48人に限定されておらず明治期の土木偉人を取り上げていた。発表者は土木偉人の魅力を、a)革新性,b)実行力,c)現在への継承という3つのポイントに注目して発表を行っていた。
当日は、本企画の中心人物である緒方英樹氏が総合司会を担当し、プレゼンテーションの進行を中野朱美氏が、そして「土木偉人かるた」の紹介を鈴木三馨氏が担当された。さらに、土木広報センターからは、小松 淳氏、佐藤雅泰氏、前田利光氏、小林秀行氏が全体の運営にかかわっておられた。
9名の発表者により、9名の土木偉人が話題提供された。9名は発表順に、濱口 梧陵、バルトン、田辺 朔郎、井上 勝、青山 士、田中 豊、高田 雪太郎、岡崎 文吉、廣井 勇の土木偉人である。9名の発表をすべて拝聴して、「温故知新」の言葉がすぐに頭に浮かんだ。明治期の土木偉人が残した技術や思想は、現在でもびっくりするくらい新しいのである。明治150年で日本が変われたのは、まさにこのような土木偉人の「先見の明」のお陰なのである。発表していた若い学生や技術者の様子を見ていると、今後の150年を担ってくれる頼もしい姿が感じ取れた。今後も土木偉人がどんどん出るのではないかとの確信を持った次第である。教育に長い間携わってきた身として至福の時であった。
発表者には全員プレゼン賞(認定証)と記念品が授与された。全員すばらしい発表であると確信したが、投票により2名の学生がベストプレゼンターに選ばれた。選ばれる者とそうでない者が出ることは企画の趣旨からすれば、当然のことなのであるが、土木分野の特徴を垣間見た気がした。
すべての土木関係者が土木偉人として150年後に名を残すことはないだろうが、われわれはみな、土木偉人を生み出すことはできるし、土木偉人を支えることもできる。わが国の有史以来の土木の営みを振り返ると、土木偉人を支えた名前の残らない土木偉人が大勢いたように思う。そのような人々こそ真の土木偉人かもしれない。土木のインフラを支えるには、表舞台に立つか、裏方で頑張るかの違いはあっても、土木偉人の存在が欠かせないように思う。
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総会後の粉川武蔵大学教授の講演の報告

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NPO法人シビルサポートネットワーク事務局長
高橋 肇


10月2日に開催された「市民社会を築く建設大賞2018受賞式典」後の講演で、粉川一郎武蔵大学社会学部教授に「シビルNPOへの提言 民間非営利セクターだからできること」というテーマで、記念講演をしていただいた。
いま、多くの建設系NPOにおいて、その理念と使命感に比べて社会の認知が低いことで活動の行き詰まりを感じている、といわれている。我われがさらに飛躍するためには何をするべきか?
その方向性を示すものとして本講演の概要を以下に紹介し、みなさまの活動のご参考にしていただければ幸甚である。本報告の内容は粉川教授にチェックして頂いたものである。
 
“シビルNPOの思いを社会に伝えたい”
もっと、ターゲティング戦略を明確にしたメディア対応を!
1.はじめに・・・日本人は、社会・地域貢献をしなくなった
NPO活動を考えるにあたり、背景としてわが国の現状をみると、日本人は歪んだ個人主義の国になっていると感じる。
「ひとのためにやる」「地域のためにやる」という「当たり前」がくずれてきているのではないか?
・SNSには「社会正義」には強い関心を持つ人が多くいる。
・誰かが悪さをしていれば、誰かが不当に儲けていると感じれば、徹底的に糾弾。
・例えば、PTAや自治会、町内会は、行政が私たちに仕事を押し付けている。
・例えば、東京オリンピックのボランティア募集は、不当なブラック労働だ。
・私たちはこんな社会を許さない。だからTwitterやfacebookで声を上げる!!
しかし、このようなSNS上の歪んだ社会正義の意識は行動を伴わない。声を上げる自己満足だけで、問題解決にはコミットしない。
つまり、自己満足のために社会問題を「ネタ」にしているだけで、社会のことを考えているというよりも、自分個人の満足感にしか関心がないとも言える。
地域活動やNPO活動をする上で、環境は悪化しているとも言える。
2.もう、営利目的の企業と政府だけでは、日本社会は成立しない
しかしながら、地域活動やNPO活動なしに日本社会を維持していくのは難しい。
国の共助社会づくりの意図を見てみよう。公助について財政上の制約があるので、「もう、行政では公共を支えきれない」として、「NPOや株式会社、地縁組織という区分ではなく、とにかく民間であればなんでもいい。そして、民間主導で地域経済の活性化を図ってほしい。」といっている。
 国ですら、このように考えているのである。
3.民間非営利組織の基本概念に立ち返る
では、民間の非営利活動はどのように位置付けられるか。NPOなどの市民活動の社会的な位置づけとして、レスター・サラモン「ボランタリーの失敗」の理論を思い出したい。
 NPOは「政府の失敗」や「市場の失敗」を補うための存在ではなく、政府や営利企業の「落穂ひろい」「すき間産業」という考え方は間違い。本来、社会における問題解決の最初のアクターが民間非営利の活動である。現代の日本の動きは、そこに立ち返ろうというもの。
 しかし、NPOは専門性が不十分なアマチュアだったり、サービスが偏って提供されたり、といった課題もある。それがボランタリーの失敗であり、政府や営利企業の存在意義となる。
4.ここで、土木系・建設系のNPOを考えてみよう ―その稀有な存在
お金を除けば「ボランタリーの失敗」がほとんどない民間非営利活動と親和性の高い分野である。
・少なくとも「人材」には恵まれ、ほぼ皆が「プロフェッショナル」であり、アマチュアリズム
とは程遠い。
・建設系のNPOのサービスを享受するのは、そこに住まうほぼすべての人々。社会インフラに関わ
 るテーマだからこそ、「偏り」がない。
・経営資源を出す人々の考え方に影響されるのは確かだが、たいていの場合、それは社会インフラ整
 備に関わるので、公共性が高い。
5.そもそも、土木系、建設系はソーシャルビジネス
さまざまな社会インフラを作り、そして維持していく土木系、建設系の仕事は非常に公共性の高いソーシャルビジネスの分野である。
・「営利」「非営利」の境目は、結果として、利益を生み構成員で分配するのか(企業)、それとも利
 益を生むのが難しい、あるいは産んだ利益を再投資するのか(NPO)、そこにしかない。
・実はもっと「営利」と「非営利」が手を結んでもよい分野ではないか?これは、他のNPO分野には
ない特徴である(福祉分野の移送サービスはタクシー会社と競合し問題になっている)。
上手にもうけて、それを地域に還元する。営利と非営利の相互補完性がもっとあってもいいのではな
いか、と考える。
6.けれども、人々は「土木」「公共事業」といった瞬間に思考停止する
そもそも、「土木」や「公共事業」といった言葉に悪いイメージが植え付けられたのは、メディアでの扱われ方に一つの理由があったことを思い返そう。
7.だからこそ、ターゲッティング戦略を明確にした、メディア対応がシビルNPOには必要
・昔は道路ができ、橋ができ、トンネルができ、鉄道ができることで、みんながそれこそお祭り騒ぎのように喜んでいた。
・その、大切な社会インフラが、どんどん劣化していく。新しいものを作っていくと同時に、大掛かりな修復もしていかないといけない。
・だけど、右肩上がりの経済成長の期待できない社会では、少なくとも税金をもとにしたインフラの維持は不可能だろう。
・だから、このままでは社会インフラが維持できない、誰かが知恵を出し、汗をかかないといけい、そのために頑張ろうとしている人々がいることを「うまく」社会に伝えていこう。
・何もしない「正義の味方」ではなく、「実際に行動しようとしている正義の味方」がいることをアピールしよう。
・オピニオンリーダー層を念頭に置いた情報発信を。

8.進めてほしいメディア戦略
メディア戦略を考え、“メディアを手玉にとって”ほしい。最初にアプローチするべきは新聞。
・新聞記者との関係性、いつでも連絡が取れて、常に記事になるような情報を提供すること。
・伝えてほしいではなく、伝えやすい情報を提供する。記者の仕事をしやすくする。ネタがないときにネタを提供する姿勢。
・アドボカシー(政策提言)も大切な「コンテンツ」である。もちろん、アドボカシーは本質的にNPOに必要なこと。でも、政策提言そのものが報道する価値のある「コンテンツ」になることを忘れずに。
・SNSの優先順位は現状では低い。他に注力を。注目すべきは「ネットニュース」、ひょっとすると「新聞」の次に影響力があるメディアかもしれない。例:ロケットニュース24。
・既存のネットニュースとのコラボレーションができないか、新たなネットニュースを立ち上げることはできないか。そういうアプローチも必要。
・ブログジャーナリズムにも目を配ろう。「意識高い」人が影響されやすいブログへのアプローチを考えたい。そうした「書き手」を我々の世界から養成することも必要である。
9.こうした取り組みのためにも組織基盤強化が必要
「組織基盤強化」とは、活動や事業を支える組織の基礎的な経営資源(人材、情報やノウハウ、資金力)を強化する取り組みである。安定した組織基盤は事業の継続や新しいチャレンジに欠かせない。
組織基盤強化を考えるうえで大事な要素の一つに「ファンドレイジング(資金調達)」の問題がある。
10.新たなお金づくりのアプローチも必要。
目利きのNPOでは、すでに取り組み始めている。
・例えば休眠預金の話題がある。すでに法律もできている。どこまでコミットしていますか。
・遺贈という大きな支援の在り方に、どれだけ注目していますか。人は、死ぬ前に自分の生きてきたことを何らかの「形」として残したい。それも、誰かの役に立つ形で。実は、遺贈と土木系、建設系のNPOは親和性が高いかもしれない。
・新たな取り組みとして、SIB(Social Impact Bond)という考え方がある。
11.むすび・・・建設系NPOを応援している者から
したたかに、しなやかに。
・今やっている活動を、そのまま理解してくれる人はいない、という前提に立つ。
・理解してもらうために自分たちのプレゼンスをどう上げるか、という視点を持つ。
・まずは、メディアの中での自分たちの立ち位置をどう変えていくかを考える。
・既存の枠組みでビジネスを考えない。社会インフラの整備をするために誰が資金を負担するか、労力を負担するか、新しい視点を常に持ち、チャレンジすること。
・公共性の高い活動をしていること。その自信と信念を忘れずに。
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協働推進部門の今後の活動

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シビルNPO連携プラットホーム常務理事 協働推進部門担当
日本ファシリティーマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副会長
インフラメンテナンス国民会議 実行委員
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


『自分が頑張っても何も変わらないから、やるだけ無駄』、『くたびれもうけ』なんて言葉が似あっている部門かもしれませんね。
結局、与えられた公共、そう道路や河川、空港、港湾等々使う側は自分の使い道も考えなしに、ポットできてきたものを使っている。何もないところに勝手にできて、でもあったらいいから重宝する。でもそのインフラが無くなったら、勝手な言い分で、無くなったら困るからしっかり管理してくれ。なんて声が当たり前のように湧きだっている。所詮、人は自分の有益性を独り占めにしようとする性質があるので、自分ひとりで生きていける!ような人は我関せず、『誰かがやるよ』へ向かうのでしょう。
では、今後社会が連携してインフラ施設の老朽化に対して解決するためにはどうすべきなのか。
綱引きでお馴染みのリンゲルマン効果で導くと、一人ひとりに役割を与える。すなわち大多数に課題を投げかけるのでなく、地域であればモデル地区を決め、組織であればこの組織、と決め実行する必要があると考えます。あとは同調性の高い高い国民ですのでいわずもがな、克服へ向かうことを期待します。

多くの社会的主体が協力し合える活動を後押しする、協働推進部門の活動内容は下記の通りです。
@市民参画の重要性の理解と、教育現場への展開
A協働の支援組織の活動サポートとして、コーディネーターの養成や派遣
B多種多様な事例を調査分析することで見えてくる、効果的な仕組みの採用
これら3つの活動は『日常的に市民と行政が協働でインフラに関わっている』を目標とした当部門の行動計画となり、その先の姿は
★市民がインフラの簡単な点検や清掃活動に参加しながら、インフラメンテナンスの大切さと価値を理解している。
★市民と行政が協働で公共インフラの維持管理・更新、および集約・再編については計画段階を含め参画して、相互理解し合意している。
★市民と行政がインフラの新しい価値創造に取り組んでいる

これらの活動を通し、インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムという組織と関わり合いながら土木と市民社会、市民社会と行政、さらに行政間を『つなぐ』役割を担い、地域活性化に関わる活動を行います。みなさまも、この『つなぐ』活動にご一緒しませんか。

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