2018年11月01日

(特非)道路の安全性向上協議会

1. 目的
NPO法人「道路の安全性向上協議会」は、@道路の交通安全の啓発活動 と A老朽化する道路構造物の長期保全に向けて、点検、維持補修、更新の人材育成のために、講演、研修、技術情報の提供等を行うことによって、道路全般の安全性を高め、国及び地域社会の持続的発展に貢献することを目的とします。
2.最近の活動状況(高速道路のトイレ清掃体験会)
日本道路公団が民営化され14年になります。その最大の成果の一つが、休憩施設のトイレが抜群に綺麗になったことです。これは、施設が改良されたことと併せて、何よりも現場で働く清掃スタッフの方々のモチベーションが大きくアップしたことによるものです。そこで、今年の8月21日(火)、昨年の中央自動車道でのエリア清掃体験会に引き続いて、厚生労働省認定のトイレ診断士による検査で抜群の成績を収め、休憩施設では日本一のトイレと名高い東名高速道路の海老名SAと足柄SAのトイレ清掃を、日本トイレ協会理事の白倉正子さんと共に、NPO会員とNEXCO中日本の東京支社、八王子支社の職員による総勢27名で実施しました。 朝8時に集合して、全員エリアキャストの出で立ちに着替えた後、SAに移動。エリアキャストの皆さんから清掃方法のレクチャーを受け、実際のトイレ清掃に挑戦しました。「小は1分、大3分、テキパキ清掃しないと日が暮れますよ。」と言われながら、清掃道具や方法に細部まで工夫が行き届いていることに感心し、きめ細やかなおもてなしの心に触れることのできた一日でした。まだ、暑さの残る時期でしたから、皆、汗だくになりながら、エリアキャストの皆さんの苦労が良く分かりました。体験後の反省会では、「何故、トイレにエアコンがないのか。入れるべきだ。」と話題になり、在席していたNEXCO中日本の宿題になりました。

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トイレ清掃

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ゴミ回収


NPO法人 道路の安全性向上協議会
理事長:藤野 陽三
事務局長:吉川 良一
mail : hen.tko01@c-nexco-hen.jp  URL: hen.tko01@c-nexco-hen.jp
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第7回 明治官制で「土木」が浮上

鎌倉、室町から江戸と武家政権が続き、「土木」に代わって幕府の奉行職名である「作事」、「造営」、「普請」が使われ、「普請」は城、道路、堤防などをつくる意味にも使われるようになった。江戸中期の漢語辞書『雑事類編(柴野栗山)』(1764年)では、普段使われることばを見出し語として、それに対応する漢語を示しており「フシンスル 營造。興造。興作。土木」となっている。
それまで漢詩、漢文をたしなむ公家や学者が限られた範囲で使っていた「土木」が、明治新政府で公けに使われるようになった。現在に至る「土木」の直接の起源である。慶應四年(1868年)五月『太政官布告第三百九十五号』「國家多事之折柄軍資ヲ始メ總テ莫大之御費用ニ付土木之功ハ勿論 朝廷御用費ヲ始メ諸事御省略被 仰出候事」で公文書に「土木」が使われ、明治二年(1869年)五月に民部官のもとに「道路橋梁堤防等営作ノ事ヲ専管スルヲ掌ル」「土木司」が置かれた。「土木」の官職名は中国、日本の歴史上初めてのことである。
新政府は官報『太政官日誌』で布告の全国への普及をはかり、併せて新語辞書を出版した。慶應四年(1868年)官版『新令字解』に 「土木 トボク フシンヲスルコト」とある。戯作版元による絵入りの明治三年(1870年)『童蒙必読漢語図解初編』には「土木司 どぼくし おさくじをいふ」とある。
ここに「土木」という漢語は改めて「作事」、「普請」という意味も獲得して、その後、慣用よみの「ドボク」という発音で世間に普及していった。
(土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
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土木偉人をたずねて、新しきを知る

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
土木学会土木広報センター センター長
早稲田大学名誉教授 依田 照彦


土木学会の大きなイベントとして、土木学会全国大会が毎年開催されている。平成30年度は、8月29日から31日までの3日間、北海道大学で開催された。その中で、土木学会の土木広報センターからの企画として、「ベスト・イノベーター・オブ・土木偉人」が全国大会初日の午後、開催された。この企画は、明治150年企画と連動した企画であり、明治期に革新的な功績を残した土木偉人を取り上げ、学生および若手技術者に土木偉人についてプレゼンテーションを行っていただき、来場者の投票により、ベストプレゼンターを選ぶという企画である。その背景には、最近土木学会から発行された「土木偉人かるた」の存在がある。「土木偉人かるた」は、社会革新の原動力となった土木偉人たちをテーマに、土木が人と自然に関わってきた歴史的役割や価値を知る・学ぶ・楽しむツールとして制作されたものである。プレゼンテーション対象の土木偉人は、かるたに収録されている48人に限定されておらず明治期の土木偉人を取り上げていた。発表者は土木偉人の魅力を、a)革新性,b)実行力,c)現在への継承という3つのポイントに注目して発表を行っていた。
当日は、本企画の中心人物である緒方英樹氏が総合司会を担当し、プレゼンテーションの進行を中野朱美氏が、そして「土木偉人かるた」の紹介を鈴木三馨氏が担当された。さらに、土木広報センターからは、小松 淳氏、佐藤雅泰氏、前田利光氏、小林秀行氏が全体の運営にかかわっておられた。
9名の発表者により、9名の土木偉人が話題提供された。9名は発表順に、濱口 梧陵、バルトン、田辺 朔郎、井上 勝、青山 士、田中 豊、高田 雪太郎、岡崎 文吉、廣井 勇の土木偉人である。9名の発表をすべて拝聴して、「温故知新」の言葉がすぐに頭に浮かんだ。明治期の土木偉人が残した技術や思想は、現在でもびっくりするくらい新しいのである。明治150年で日本が変われたのは、まさにこのような土木偉人の「先見の明」のお陰なのである。発表していた若い学生や技術者の様子を見ていると、今後の150年を担ってくれる頼もしい姿が感じ取れた。今後も土木偉人がどんどん出るのではないかとの確信を持った次第である。教育に長い間携わってきた身として至福の時であった。
発表者には全員プレゼン賞(認定証)と記念品が授与された。全員すばらしい発表であると確信したが、投票により2名の学生がベストプレゼンターに選ばれた。選ばれる者とそうでない者が出ることは企画の趣旨からすれば、当然のことなのであるが、土木分野の特徴を垣間見た気がした。
すべての土木関係者が土木偉人として150年後に名を残すことはないだろうが、われわれはみな、土木偉人を生み出すことはできるし、土木偉人を支えることもできる。わが国の有史以来の土木の営みを振り返ると、土木偉人を支えた名前の残らない土木偉人が大勢いたように思う。そのような人々こそ真の土木偉人かもしれない。土木のインフラを支えるには、表舞台に立つか、裏方で頑張るかの違いはあっても、土木偉人の存在が欠かせないように思う。
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総会後の粉川武蔵大学教授の講演の報告

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NPO法人シビルサポートネットワーク事務局長
高橋 肇


10月2日に開催された「市民社会を築く建設大賞2018受賞式典」後の講演で、粉川一郎武蔵大学社会学部教授に「シビルNPOへの提言 民間非営利セクターだからできること」というテーマで、記念講演をしていただいた。
いま、多くの建設系NPOにおいて、その理念と使命感に比べて社会の認知が低いことで活動の行き詰まりを感じている、といわれている。我われがさらに飛躍するためには何をするべきか?
その方向性を示すものとして本講演の概要を以下に紹介し、みなさまの活動のご参考にしていただければ幸甚である。本報告の内容は粉川教授にチェックして頂いたものである。
 
“シビルNPOの思いを社会に伝えたい”
もっと、ターゲティング戦略を明確にしたメディア対応を!
1.はじめに・・・日本人は、社会・地域貢献をしなくなった
NPO活動を考えるにあたり、背景としてわが国の現状をみると、日本人は歪んだ個人主義の国になっていると感じる。
「ひとのためにやる」「地域のためにやる」という「当たり前」がくずれてきているのではないか?
・SNSには「社会正義」には強い関心を持つ人が多くいる。
・誰かが悪さをしていれば、誰かが不当に儲けていると感じれば、徹底的に糾弾。
・例えば、PTAや自治会、町内会は、行政が私たちに仕事を押し付けている。
・例えば、東京オリンピックのボランティア募集は、不当なブラック労働だ。
・私たちはこんな社会を許さない。だからTwitterやfacebookで声を上げる!!
しかし、このようなSNS上の歪んだ社会正義の意識は行動を伴わない。声を上げる自己満足だけで、問題解決にはコミットしない。
つまり、自己満足のために社会問題を「ネタ」にしているだけで、社会のことを考えているというよりも、自分個人の満足感にしか関心がないとも言える。
地域活動やNPO活動をする上で、環境は悪化しているとも言える。
2.もう、営利目的の企業と政府だけでは、日本社会は成立しない
しかしながら、地域活動やNPO活動なしに日本社会を維持していくのは難しい。
国の共助社会づくりの意図を見てみよう。公助について財政上の制約があるので、「もう、行政では公共を支えきれない」として、「NPOや株式会社、地縁組織という区分ではなく、とにかく民間であればなんでもいい。そして、民間主導で地域経済の活性化を図ってほしい。」といっている。
 国ですら、このように考えているのである。
3.民間非営利組織の基本概念に立ち返る
では、民間の非営利活動はどのように位置付けられるか。NPOなどの市民活動の社会的な位置づけとして、レスター・サラモン「ボランタリーの失敗」の理論を思い出したい。
 NPOは「政府の失敗」や「市場の失敗」を補うための存在ではなく、政府や営利企業の「落穂ひろい」「すき間産業」という考え方は間違い。本来、社会における問題解決の最初のアクターが民間非営利の活動である。現代の日本の動きは、そこに立ち返ろうというもの。
 しかし、NPOは専門性が不十分なアマチュアだったり、サービスが偏って提供されたり、といった課題もある。それがボランタリーの失敗であり、政府や営利企業の存在意義となる。
4.ここで、土木系・建設系のNPOを考えてみよう ―その稀有な存在
お金を除けば「ボランタリーの失敗」がほとんどない民間非営利活動と親和性の高い分野である。
・少なくとも「人材」には恵まれ、ほぼ皆が「プロフェッショナル」であり、アマチュアリズム
とは程遠い。
・建設系のNPOのサービスを享受するのは、そこに住まうほぼすべての人々。社会インフラに関わ
 るテーマだからこそ、「偏り」がない。
・経営資源を出す人々の考え方に影響されるのは確かだが、たいていの場合、それは社会インフラ整
 備に関わるので、公共性が高い。
5.そもそも、土木系、建設系はソーシャルビジネス
さまざまな社会インフラを作り、そして維持していく土木系、建設系の仕事は非常に公共性の高いソーシャルビジネスの分野である。
・「営利」「非営利」の境目は、結果として、利益を生み構成員で分配するのか(企業)、それとも利
 益を生むのが難しい、あるいは産んだ利益を再投資するのか(NPO)、そこにしかない。
・実はもっと「営利」と「非営利」が手を結んでもよい分野ではないか?これは、他のNPO分野には
ない特徴である(福祉分野の移送サービスはタクシー会社と競合し問題になっている)。
上手にもうけて、それを地域に還元する。営利と非営利の相互補完性がもっとあってもいいのではな
いか、と考える。
6.けれども、人々は「土木」「公共事業」といった瞬間に思考停止する
そもそも、「土木」や「公共事業」といった言葉に悪いイメージが植え付けられたのは、メディアでの扱われ方に一つの理由があったことを思い返そう。
7.だからこそ、ターゲッティング戦略を明確にした、メディア対応がシビルNPOには必要
・昔は道路ができ、橋ができ、トンネルができ、鉄道ができることで、みんながそれこそお祭り騒ぎのように喜んでいた。
・その、大切な社会インフラが、どんどん劣化していく。新しいものを作っていくと同時に、大掛かりな修復もしていかないといけない。
・だけど、右肩上がりの経済成長の期待できない社会では、少なくとも税金をもとにしたインフラの維持は不可能だろう。
・だから、このままでは社会インフラが維持できない、誰かが知恵を出し、汗をかかないといけい、そのために頑張ろうとしている人々がいることを「うまく」社会に伝えていこう。
・何もしない「正義の味方」ではなく、「実際に行動しようとしている正義の味方」がいることをアピールしよう。
・オピニオンリーダー層を念頭に置いた情報発信を。

8.進めてほしいメディア戦略
メディア戦略を考え、“メディアを手玉にとって”ほしい。最初にアプローチするべきは新聞。
・新聞記者との関係性、いつでも連絡が取れて、常に記事になるような情報を提供すること。
・伝えてほしいではなく、伝えやすい情報を提供する。記者の仕事をしやすくする。ネタがないときにネタを提供する姿勢。
・アドボカシー(政策提言)も大切な「コンテンツ」である。もちろん、アドボカシーは本質的にNPOに必要なこと。でも、政策提言そのものが報道する価値のある「コンテンツ」になることを忘れずに。
・SNSの優先順位は現状では低い。他に注力を。注目すべきは「ネットニュース」、ひょっとすると「新聞」の次に影響力があるメディアかもしれない。例:ロケットニュース24。
・既存のネットニュースとのコラボレーションができないか、新たなネットニュースを立ち上げることはできないか。そういうアプローチも必要。
・ブログジャーナリズムにも目を配ろう。「意識高い」人が影響されやすいブログへのアプローチを考えたい。そうした「書き手」を我々の世界から養成することも必要である。
9.こうした取り組みのためにも組織基盤強化が必要
「組織基盤強化」とは、活動や事業を支える組織の基礎的な経営資源(人材、情報やノウハウ、資金力)を強化する取り組みである。安定した組織基盤は事業の継続や新しいチャレンジに欠かせない。
組織基盤強化を考えるうえで大事な要素の一つに「ファンドレイジング(資金調達)」の問題がある。
10.新たなお金づくりのアプローチも必要。
目利きのNPOでは、すでに取り組み始めている。
・例えば休眠預金の話題がある。すでに法律もできている。どこまでコミットしていますか。
・遺贈という大きな支援の在り方に、どれだけ注目していますか。人は、死ぬ前に自分の生きてきたことを何らかの「形」として残したい。それも、誰かの役に立つ形で。実は、遺贈と土木系、建設系のNPOは親和性が高いかもしれない。
・新たな取り組みとして、SIB(Social Impact Bond)という考え方がある。
11.むすび・・・建設系NPOを応援している者から
したたかに、しなやかに。
・今やっている活動を、そのまま理解してくれる人はいない、という前提に立つ。
・理解してもらうために自分たちのプレゼンスをどう上げるか、という視点を持つ。
・まずは、メディアの中での自分たちの立ち位置をどう変えていくかを考える。
・既存の枠組みでビジネスを考えない。社会インフラの整備をするために誰が資金を負担するか、労力を負担するか、新しい視点を常に持ち、チャレンジすること。
・公共性の高い活動をしていること。その自信と信念を忘れずに。
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土木と市民社会をつなぐ活動

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シビルNPO連携プラットフォーム常務理事/土木学会連携部門長
土木学会/教育企画・人材育成委員会/シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


「土木学会連携部門」は、今年度、新しくできた部門です。これまでは土木学会の会員でもある「土木学会連携担当理事」が居て、土木学会の「シビルNPO推進小委員会」の委員長を兼任していました。私の前任者は、CNCP設立の中心人物のお一人である駒田智久さんです。
CNCPでは、設立3周年を機に「見直しWG」を起こしてこれまでの活動を振り返り、ミッションに応えるべく「土木と市民社会をつなぐ」を基本テーマに掲げてすべての活動を見直すと共に、土木学会との連携強化を目指して「土木学会連携部門」を設置しました。
この「土木と市民社会をつなぐ」という活動は、土木学会と連携して、シビルNPOをはじめ、インフラ整備、環境整備、まちづくり、防災・減災等に、様々な形で関わっている様々な組織・団体・個人と、それらに関心を持つ市民との、ネットワークを作り、互いに連携・協働して、志を同じくする仲間の輪を広げて行こうとするものです。
「土木と市民社会をつなぐ」活動は、CNCP全体の基本テーマですが、「土木学会連携部門」が先頭に立ち、他の部門と連携して進めて行くことになります。以下に、どんな問題認識か、どんなことをやろうとしているのかを、ご紹介します。

■「土木」が行うこと
「土木」は英語で「Civil Engineering」と言い、「Military Engineering」と対峙します。軍事のためではなく、民生・市民のための技術・工学のことです。(CNCP通信巻頭のシリーズ「土木ということば」もご覧ください。)
「土木」は、国や地域の「インフラ整備」と「防災・減災」を担っています。国民・市民の生命と財産の保全、社会・経済活動の維持・発展のための活動です。
「インフラ整備」とは「まちの基盤づくりと維持」。道路・鉄道・港湾・空港のような交通施設や上下水道・電気・通信のようなライフライン施設の計画・設計・建設・維持・更新です。また住宅地や工場用地等のための斜面の造成・水面の埋め立てなども対象範囲です。
もう一つの「防災・減災」は、大昔からの「治山治水」、関東大震災以後は「地震防災」を加えて、自然災害の防止・軽減のための計画・設計・建設・維持・更新です。近年では、ハード対策では防ぎきれない甚大な災害に対して、ソフト対策にも取り組んでいます。

■「土木」と「市民社会」の溝
「土木」は、本来、市民生活と密接なものでありながら、市民の多くは国や自治体にお任せして、必要な諸施設が存在し機能し続けることが当たり前のように思い、マスコミも3K・談合・箱ものづくり・・などの不具合に飛びつき、若者も「土木」を敬遠しています。
「土木」が行う「インフラ整備」と「防災・減災」は、技術・規模・費用等が市民の自助や共助のレベルと大きく乖離するし、「土木」が求める地域の最適解は必ずしも市民全員の最適解ではないので、産学官の土木技術者のみで進められることが多く、それが「溝」をつくる原因になっていると思います。戦後の復興と欧米に追い着け・追い越せと国を挙げて頑張った高度成長期には、「土木」が行う「インフラ整備」は市民の価値観と合致して歓迎されましたが、バブル期には環境配慮等の市民の価値観の多様化と情報公開が進んで溝が深まった気がします。
近年の、人口減少・税収減少・インフラの老朽化・地震の活発化・豪雨の増強化等の問題山積の前では、土木技術者が最適解を見つけ出すという従来型のスキームだけでなく、その地域の市民に自らの税金の使い方やリスクとどう向き合って暮らしていくかを考えて貰う必要があると思います。

■「土木」と「市民社会」をつなぐ活動
土木学会も、従来の活動が土木学会の周囲に限られていたことを反省していて、「創立100周年記念事業」や「社会と土木の100年ビジョン」「創立100周年宣言」等に、あらゆる境界をひらいて、様々な団体との連携を強化し、社会貢献・市民交流等を推進することを掲げています。そして、市民への広報や知って貰うためのイベントなども、土木学会の様々な組織・委員会で行われていますが、それぞれが良かれと、あるいはダブり・競合しないように棲み分けして、思い思いの活動がバラバラに取り組まれ、それぞれで広報されている状態です。
この「土木」と「市民社会」をつなぐ活動は、CNCPでも、国・自治体・大学・建設会社および関連協会等でも、同様に取り組まれていますが、大なり小なり似た状況にあり、「土木」と「市民社会」の「溝」はなかなか埋まっていかないのが実情です。

■「(仮称)土木と市民社会をつなぐフォーラム」の設立
そこで、「土木と市民社会をつなぐ」という考え方に賛同するあらゆる組織・団体・個人が集う場として、「フォーラム」を設立しようと準備を進めています。この「フォーラム」の目的は、次の2つです。
【目的1】活動情報の集約とフォーラムの外への広報
フォーラムに集う仲間の「土木と市民社会をつなぐ」様々な活動を集約して(詳細内容はそれぞれのHP等による)、DB化し、その全部をHPやネットニュース・Facebook・YouTubeを通じて発信します。我が国のすべての活動を網羅したいと思っています。
市民や学生・子供がこのフォーラムで検索すれば、地元や日本中の、見せてくれる工事現場や、土木の話をしてくれる人、様々な疑問への回答、イベント・グッズ、写真、ニュースに対する専門家の解説、土木遺産、土木の本等々「土木のすべてがまとめて見える」イメージです。
【目的2】フォーラムの内での活動情報の共有と連携・協働の呼びかけ
フォーラムに集う仲間は、互いの組織情報や活動内容を共有し、自組織のイベント等への参加の呼びかけ、連携・協働の呼びかけ、参考にしたい優れた活動の勉強、困ったことの相談など、情報交換や連携・協働をし易くします。フォーラムの仲間が利用できるポータルサイトを構築しようと考えています。
志を同じくする市民にも参加していただき、「土木」の視点での取り組みを、「市民」の視点での取り組みに変えていきたいと思います。

CNCPの会員とサポーターの皆さま、一緒に「つなぐ」仲間になりませんか? 一人でも多くの方のご参加をお願いします。
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(特非)道路の安全性向上協議会

1. 目的
NPO法人「道路の安全性向上協議会」は、@道路の交通安全の啓発活動 と A老朽化する道路構造物の長期保全に向けて、点検、維持補修、更新の人材育成のために、講演、研修、技術情報の提供等を行うことによって、道路全般の安全性を高め、国及び地域社会の持続的発展に貢献することを目的とします。
2.最近の活動状況(高速道路のトイレ清掃体験会)
日本道路公団が民営化され14年になります。その最大の成果の一つが、休憩施設のトイレが抜群に綺麗になったことです。これは、施設が改良されたことと併せて、何よりも現場で働く清掃スタッフの方々のモチベーションが大きくアップしたことによるものです。そこで、今年の8月21日(火)、昨年の中央自動車道でのエリア清掃体験会に引き続いて、厚生労働省認定のトイレ診断士による検査で抜群の成績を収め、休憩施設では日本一のトイレと名高い東名高速道路の海老名SAと足柄SAのトイレ清掃を、日本トイレ協会理事の白倉正子さんと共に、NPO会員とNEXCO中日本の東京支社、八王子支社の職員による総勢27名で実施しました。 朝8時に集合して、全員エリアキャストの出で立ちに着替えた後、SAに移動。エリアキャストの皆さんから清掃方法のレクチャーを受け、実際のトイレ清掃に挑戦しました。「小は1分、大3分、テキパキ清掃しないと日が暮れますよ。」と言われながら、清掃道具や方法に細部まで工夫が行き届いていることに感心し、きめ細やかなおもてなしの心に触れることのできた一日でした。まだ、暑さの残る時期でしたから、皆、汗だくになりながら、エリアキャストの皆さんの苦労が良く分かりました。体験後の反省会では、「何故、トイレにエアコンがないのか。入れるべきだ。」と話題になり、在席していたNEXCO中日本の宿題になりました。

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トイレ清掃

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ゴミ回収


NPO法人 道路の安全性向上協議会
理事長:藤野 陽三
事務局長:吉川 良一
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「ジャカランダ」への小さな恋の物語

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シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
NPO法人SLIM JAPAN理事 塚原 健一


CNCP通信連載中のシドニー視察旅行記も、各人レポートは諸分野に及び、いよいよ最終回も近くなった本号では、本来の研修とは道を外れますが、私を含み旅団員全員が日本国内生活圏では普段経験出来ない様な日々をレポートしてみます。
豪州渡航を経験されたことのある読者の皆様は、どれ程の方がこの花のご見識をお持ちでしょうか。 2度目の渡航となる私ですが、この初体験を生涯忘れる事が出来ないでしょう。原産地はブラジルやアルゼンチンで花言葉は「名誉」や「栄光」と表現するとのこと、その名は「ジャカランダ」、別名日本では「紫雲木」や「桐擬き」とも呼ばれています。今回、旅団員からの強い要望も有り、研修旅団長SLIM JAPAN 有岡理事長が、当時(30年前?)自宅のあった豪州NSW州シドニー北部のキララへ案内して頂き、渡航前に聞いていた「ジャカランダ」の「花」に出会う事が出来ました。この素晴らしさをどの様な言葉で表現すればご理解頂けるかと苦悩しますが、花弁は一見したところ「梵鐘」が思い浮かび、よく視るとそれより細身で八頭身、まるで洒落た風鈴の様でした。(右写真) 

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花の色は「淡紫」から「濃紫」と多様であり、それは樹齢で異なるのか、木高で異なるのか、未解決のまま唯々見惚れて時間が経過します。その「ジャカランダ」並木道に沿って広がる名門ゴルフ場の名は、現地を車で案内してくれたKam Taraさんから聞いてはいましたが、放心状態に近い私には残念ながら記憶に残っていません。いわば神宮外苑の「銀杏並木」の如く、約200M〜250Mの道路両脇に咲き誇る木々は、外苑とは多少異なり等間隔ではないが、それぞれが自慢げに開花しておりました。まるで日本の春爛漫で、かつてはこの通りを「ジャカランダ通り」として騒がれた由緒ある一路であったそうです。その時代有岡理事長は樹木下で、花見で一杯二杯と騒いだかどうかは未確認でしたが・・・・。その頃に比べずいぶん数が少なくなったとのことですが、厳しい見方をすれば樹木管理や保守整備の欠落か、環境問題か、所々幹に痛々しく大小傷があり、枯れてしまったのもあるのでしょう。保湿や保水、そして冬季の通気性を考慮した幹巻など、日本の様に手入れするのかが気になるところでした。いくつか課題が残るがしかし、それでも元気に咲き誇る「ジャカランダ」は、下の写真の様に日本の桜同様、側道脇豪邸の庭先のそこかしこに、といったところでした。

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美しい花達を愛する人間の優しい気持ちは、おそらく世界共通と改めて確認する事が出来た。他方、ゴルフ場に目を移すとコース間のラフ樹木にも「ジャカランダ」は、ショットポイントになる様な位置に鎮座し、ゴルファーの目を楽します事になるのでしょう。フェアウエイ緑とのコントラストが、花色こそ異なるが日本の「さくら」を連想させてくれました。また、同行のS女史、とM女史、お二人も気持ちが高揚した一時であったのでしょう。一箇所では花欲足りず、私達は再び有岡理事長、Kamさんの案内で「キリビル」へ移動、そこはまるで田園調布を連想する閑静な住宅街、傍には小さな公園も有りとても空気が美味しく感じ、感動する私達へのご褒美として「ジャカランダ」から柔らかく淡い香まで頂いた様な気がしました。(下写真)

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(余談@:ここなら残す人生移住しても損は無いと、同行の宮下氏にテレパシー送信)  
(余談A:写真左の紳士はいつものハンチング帽、しかし背中が疲れの現れか)


隣を見ると「S女史・M女史ともに」素晴らしいを連呼で「ジャカランダ」達にうっとり。自身の目にコピーするだけでは事足りず、さかんにThe shower flash。豪州では各家庭の樹木でありながらも、街路樹とし広く各地で登用される様だ。そう、日本の「さくら」同様一年   1回の短い開花生涯と似ている(ジャカランダは桜の約2倍の開花寿命有り)。見守ってやりたいと思う「優しい人間の心」と共通するから。つい昔のメロディーを思い出しました、「♪ちいさい花にくちづけをしたら・・・」その優しいおじさんになりました、そう初恋です。
その曲の歌詞にもありますが、「♪私を摘んでお家に連れてって・・・」ではありませんが、S女史に「ジャカランダ」の種子を拾って頂きました。多分皆様からそれとなくご下命頂いたのか、それとも自身で思い込んだのか定かではないが、日本に持ち帰りこの思い出と共に、キララで拾った「命」を大切に、東京で育ててみようと思いましたが、残念ながら植物検疫により不可能。確かに気候的には難しく難易度は高いが、日本国内で種子を入手し先駆者の宮下事務局長のご経験をご教示いただき、自宅狭庭に「濃紫」の1ポイントを「小さな恋心」として咲かせてみたい。
市内移動中の車窓からも、そして、カトウーンバへの道中にも「ジャカランダ」は美しい姿を見せ堪能しました。これから豪州観光旅行に向かう皆様には是非、10月末〜11月中をお奨め致します。最後になりますが、AUSTRALIA KUMAGAI橋爪所長様 秦泉寺様本当に有難うございました。

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荒川下流における市民の活動

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シビルNPO連携プラットフォーム理事 事業化推進部門
シンクタンクチーム座長 三井 元子


平成30年、CNCPは、設立来これまでの活動を振り返り、ミッションに応えるべく「土木と市民社会をつなぐ」ことを基本テーマに活動を見直すと共に、土木学会との連携を「部門」として強化し、4部門の協働を強めるための「連絡調整会議」を設けたところである。
私の来歴からすると、逆に「市民社会と土木をつなぐ」活動を行ってきたので、今回はそのことを述べてみたい。

1977年頃、私の生家のある東京都足立区千住5丁目では、当時国道4号線(日光街道)の渋滞で有名となっていた「千住新橋」の拡幅と掛け替えに伴い、そのバイパス道路を旧日光街道に引くという案が持ち上がっていた。私の母は、数人の有志と共に「地域環境を守る会」を立ち上げ,その事務局長を引き受けていた。母は、深窓の令夫人とも言うべきおとなしい性格であったが、この工事にはどうしても納得がいかなかったのだろう。当時大学生であった私は、その助手として住民の署名を集めたり、区役所で開かれた会議において地域を代表して発言したりしていた。
署名の趣旨は、「歴史的価値のある旧日光街道を国道4号線のバイパス道路にすることは、歴史の軽視である。また国道の渋滞を避けて自動車が多数入ってくれば、狭い旧街道では事故が多発しかねない」というような内容であった。
当時問題となっていたのは、「町会長に説明し同意を得たから地元説明は終わっている」と考える行政の姿勢であった。調べてみると、法的には町会長は,町を代表して会議には出るが、町民への説明義務はなかった。町民からすれば、寝耳に水の工事というわけである。
4〜5年の闘いの後、「道路は作るが遊歩道として使用する」いう合意がなされ、通過自動車が入ってくる計画はなくなった。その後、足立区は旧日光街道の歴史的価値を初めて認め、芭蕉が奥の細道へと旅立った最初の街道であるとして商店街の呼称を「宿場町通り」と改め、案内看板を立て始めたのである。現在では、毎日曜日に歴史散歩の方達が、のんびり歩く姿が見られるようになった。もちろん、そんな運動が街道を守ったことは知るよしもない。

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現在の宿場町通り

結婚し、長女が小学校1年生になった1989年頃から、私は、足立区消費者グループ「せせらぎグループ」代表として河川の水質調査などに参加し、消費者展で発表したりしていた。
すると地域の環境団体からネットワークを作って、もっと環境問題を普及啓発したいと相談があり、「足立区環境ネットワークちえのわ」を立ち上げ代表となった。親子で学ぶ環境教室を主催し,毎年180名位の参加者を集めていたので、足立区行政からも注目された。
1993年、建設省(現国土交通省)が、河川環境保全モニター制度を創設し委員を募集していた為、私は足立区から推薦されて、荒川下流河川環境保全モニターとなった。荒川放水路に対しては、すぐそばで育ったと言うだけであまり思い入れはなかった。なぜなら,私が小学生のころの荒川は、高度経済成長期で川がどろどろに汚れていた時代で,あまり良い思い出がなかったからだ。
1996年(平成8年)、荒川下流河川事務所(以下、荒下事務所)では、おおむね50年先を想定した「荒川将来像計画」を作ることとなり、将来像計画全体構想書(案)と沿川2市7区の将来像計画(案)9冊を作り、各市の本庁舎のみならず、すべての出張所で開示し、意見募集を行った。まだ、パブリックコメントも始まっていない時代にである。私は、学生時代を思い出し、これで公共事業に一般の市民意見が反映できるようになるならば、世の中が大きく変わると思い夢中になった。私たちは、荒川で活躍していた市民団体と何回か勉強会を開き、「市民版将来像計画」を作って提出し、官民共催のシンポジウムを開いた。さらに、子どもたちにも将来像を発言してもらいたいと考え,3回の荒川歩きを行い、アンケートを集めた後、足立区役所において「荒川将来像計画足立こども会議」を開催した。足立区にとって、初めてのこども会議であった。
せっかくできあがった将来像計画が絵に描いた餅にならないようにと,荒下事務所に将来像計画の補完策を聞いたところ、事務所長は、各市区に「荒川市民会議」を設置することを決めてくれた。それぞれの市区で、公募された市民と沿線自治体と国土交通省が一同に会してリーディングプロジェクトの実施計画について話し合う市民会議が始まった。

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その後1997年(平成9年)、河川法改正があり、日本の河川行政は大きく変わった。河川を治める理由に「治水・利水」に加え、「環境」が入ったのと同時に、「地域の意見を反映した河川整備を推進」という一文が加わった。白書には(例えば荒川下流のように)という解説も入っていたのである!
そのころ「せせらぎグループ」では地元で全国一級河川ワーストワンの汚名を15年間も授かっていた綾瀬川で水質調査を行っていた。コンクリート3面張りの河川でどのようにしたら、生き物が帰
ってくるの来るのだろうと模索していた。越谷の礫間浄化施設を見学したり、多自然川づくりによる直接浄化が水質をよくすることを知り、綾瀬川沿川に適地がないかどうかを探した。そして、良好な湿地を形成していた民有宅地を見つけ、買い取りを国に提言した。その後、川とつなげたビオトープを作ってもらい、綾瀬川浄化に役立てることになるのだが、どうやって行政を動かしたのかについて、また別の機会にお話しすることにしよう。
ところで、パブリックコメントは、今では各省庁で常識のように行われているが、形骸化し、意見がなくても実績さえ残れば良いという使われ方をしている事が多い。市民がせっかく手に入れた権利を、望みを、私たちは失ってはいけないし、行政も真剣に意見を募集して協働・協創の社会を築いて行ってほしい。それがこどもたちの未来につながっていくのだから。
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市民社会を築く建設大賞2018 受賞式

(株)日刊建設通信新聞社編集局 谷戸 雄紀


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シビルNPO連携プラットフォームは、10月2日に東京都新宿区の土木学会講堂で、建設分野でのソーシャルビジネスや企業の共通価値の創造事業の普及を目的に社会的課題の解決を図る優れた事業を表彰する「市民社会を築く建設大賞2018」の受賞式典を開きました。優れたソーシャルビジネスや企業の共通価値の創造事業が対象の「ベスト・プラクティス賞」の最優秀賞は日本大学コンクリート工学研究室の「みんなで守る。『橋のセルフメンテナンスふくしまモデル』の構築と実践」、優秀賞は建設技術研究所の「お江戸日本橋舟めぐり」、那賀ウッドの「地域材の活用を通じたインフラ整備・地域活性化事業」、優れた事業企画が対象の「ベスト・アイデア部門」は飛島建設の「非常食循環システム付き宅配ロッカー」、優秀賞は土井麻記子氏(エックス都市研究所)の「住環境リスク評価と住環境リスク情報プラットフォームの構築」で、各代表が表彰され、プレゼンテーションを行いました。
冒頭、あいさつした山本卓朗CNCP代表理事は「建設業は本業そのもので社会に貢献している意識が強いが、時には地域に受け入れられない公共事業もあり、企業は社会貢献をどのようにすべきかより追求する必要がある」と述べました。続いて選定委員長の粉川一郎武蔵大学教授が各活動を講評しました。日本大学コンクリート工学研究室の取り組みは「市民とともにインフラ点検をすることは今の時代にあった素晴らしい事業」、建設技術研究所の活動は「社会インフラに対する気づきが得られる」、那賀ウッドの事業は「地域材の活用により環境問題解決と地域のビジネスをつくっている」、飛島建設の事業企画は「1つで複数の課題解決を体現している」、土井氏のアイデアは「市民に安心を与える重要な意義を持つ」とそれぞれ評価しました。
 その後、日本大学工学部の浅野和香奈研究員、建設技術研究所の宮加奈子国土文化研究所研究員、那賀ウッドの小谷満俊社長、飛島建設の科部元浩企画本部新事業統括部新事業開発チーム課長、土井氏に山本代表理事から表彰状と副賞が手渡されました。受賞者を代表して浅野氏は「受賞をきっかけに市民とインフラメンテナンスの距離を近づけ、共有財産としてみんなで守る仕組みづくりにこれからも取り組んでいきたい」と謝辞を述べました。
プレゼンテーションでは各代表者が受賞活動の概要を紹介しました。日本大学の浅野氏は市民と協働した橋のセルフメンテナンスへ向けてチェックシートを作成したところ、住民だけではなく高校・大学の教材やインハウスエンジニアの巡回点検などにも活用されていることを報告しました。建設技術研究所の宮氏は東京都内の中小河川を巡るクルージングで社会インフラが果たす役割などを伝えるという狙いを紹介し、これまで1万人以上が利用し、市民の理解や社会インフラの認知度向上につながっていることを明かしました。那賀ウッドの庄野洋平統括マネージャーは木材加工製品づくりを通じて地域への資金還元や地域内連携による新製品や事業開始などの取り組みが活発化したことを紹介し、今後も「木づかい」による地域活性化や循環型社会の構築を進めたいと話しました。

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続いて、飛島建設の科部氏は非常食を日常食として販売する機能を装備した宅配ロッカーにより防災備蓄品の普及と再配達の削減を実現し、企業のBCP対策にもつながることを紹介しました。土井氏は地方自治体の化学物質管理の住環境リスク評価と住環境リスク情報プラットフォームの導入で地域の環境情報を市民に提供することで、地域の環境条件に納得した住まいの選定ができることなどを解説しました。
式典終了後は、第2部として粉川教授に「シビルNPOへの提言 民間非営利セクターだからできること」と題して記念講演をしていただきました。その後、交流会が開かれ、出席者が交流を深めました。
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土木偉人をたずねて、新しきを知る

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
土木学会土木広報センター センター長
早稲田大学名誉教授 依田 照彦


土木学会の大きなイベントとして、土木学会全国大会が毎年開催されている。平成30年度は、8月29日から31日までの3日間、北海道大学で開催された。その中で、土木学会の土木広報センターからの企画として、「ベスト・イノベーター・オブ・土木偉人」が全国大会初日の午後、開催された。この企画は、明治150年企画と連動した企画であり、明治期に革新的な功績を残した土木偉人を取り上げ、学生および若手技術者に土木偉人についてプレゼンテーションを行っていただき、来場者の投票により、ベストプレゼンターを選ぶという企画である。その背景には、最近土木学会から発行された「土木偉人かるた」の存在がある。「土木偉人かるた」は、社会革新の原動力となった土木偉人たちをテーマに、土木が人と自然に関わってきた歴史的役割や価値を知る・学ぶ・楽しむツールとして制作されたものである。プレゼンテーション対象の土木偉人は、かるたに収録されている48人に限定されておらず明治期の土木偉人を取り上げていた。発表者は土木偉人の魅力を、a)革新性,b)実行力,c)現在への継承という3つのポイントに注目して発表を行っていた。
当日は、本企画の中心人物である緒方英樹氏が総合司会を担当し、プレゼンテーションの進行を中野朱美氏が、そして「土木偉人かるた」の紹介を鈴木三馨氏が担当された。さらに、土木広報センターからは、小松 淳氏、佐藤雅泰氏、前田利光氏、小林秀行氏が全体の運営にかかわっておられた。
9名の発表者により、9名の土木偉人が話題提供された。9名は発表順に、濱口 梧陵、バルトン、田辺 朔郎、井上 勝、青山 士、田中 豊、高田 雪太郎、岡崎 文吉、廣井 勇の土木偉人である。9名の発表をすべて拝聴して、「温故知新」の言葉がすぐに頭に浮かんだ。明治期の土木偉人が残した技術や思想は、現在でもびっくりするくらい新しいのである。明治150年で日本が変われたのは、まさにこのような土木偉人の「先見の明」のお陰なのである。発表していた若い学生や技術者の様子を見ていると、今後の150年を担ってくれる頼もしい姿が感じ取れた。今後も土木偉人がどんどん出るのではないかとの確信を持った次第である。教育に長い間携わってきた身として至福の時であった。
発表者には全員プレゼン賞(認定証)と記念品が授与された。全員すばらしい発表であると確信したが、投票により2名の学生がベストプレゼンターに選ばれた。選ばれる者とそうでない者が出ることは企画の趣旨からすれば、当然のことなのであるが、土木分野の特徴を垣間見た気がした。
すべての土木関係者が土木偉人として150年後に名を残すことはないだろうが、われわれはみな、土木偉人を生み出すことはできるし、土木偉人を支えることもできる。わが国の有史以来の土木の営みを振り返ると、土木偉人を支えた名前の残らない土木偉人が大勢いたように思う。そのような人々こそ真の土木偉人かもしれない。土木のインフラを支えるには、表舞台に立つか、裏方で頑張るかの違いはあっても、土木偉人の存在が欠かせないように思う。
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総会後の粉川武蔵大学教授の講演の報告

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NPO法人シビルサポートネットワーク事務局長
高橋 肇


10月2日に開催された「市民社会を築く建設大賞2018受賞式典」後の講演で、粉川一郎武蔵大学社会学部教授に「シビルNPOへの提言 民間非営利セクターだからできること」というテーマで、記念講演をしていただいた。
いま、多くの建設系NPOにおいて、その理念と使命感に比べて社会の認知が低いことで活動の行き詰まりを感じている、といわれている。我われがさらに飛躍するためには何をするべきか?
その方向性を示すものとして本講演の概要を以下に紹介し、みなさまの活動のご参考にしていただければ幸甚である。本報告の内容は粉川教授にチェックして頂いたものである。
 
“シビルNPOの思いを社会に伝えたい”
もっと、ターゲティング戦略を明確にしたメディア対応を!
1.はじめに・・・日本人は、社会・地域貢献をしなくなった
NPO活動を考えるにあたり、背景としてわが国の現状をみると、日本人は歪んだ個人主義の国になっていると感じる。
「ひとのためにやる」「地域のためにやる」という「当たり前」がくずれてきているのではないか?
・SNSには「社会正義」には強い関心を持つ人が多くいる。
・誰かが悪さをしていれば、誰かが不当に儲けていると感じれば、徹底的に糾弾。
・例えば、PTAや自治会、町内会は、行政が私たちに仕事を押し付けている。
・例えば、東京オリンピックのボランティア募集は、不当なブラック労働だ。
・私たちはこんな社会を許さない。だからTwitterやfacebookで声を上げる!!
しかし、このようなSNS上の歪んだ社会正義の意識は行動を伴わない。声を上げる自己満足だけで、問題解決にはコミットしない。
つまり、自己満足のために社会問題を「ネタ」にしているだけで、社会のことを考えているというよりも、自分個人の満足感にしか関心がないとも言える。
地域活動やNPO活動をする上で、環境は悪化しているとも言える。
2.もう、営利目的の企業と政府だけでは、日本社会は成立しない
しかしながら、地域活動やNPO活動なしに日本社会を維持していくのは難しい。
国の共助社会づくりの意図を見てみよう。公助について財政上の制約があるので、「もう、行政では公共を支えきれない」として、「NPOや株式会社、地縁組織という区分ではなく、とにかく民間であればなんでもいい。そして、民間主導で地域経済の活性化を図ってほしい。」といっている。
 国ですら、このように考えているのである。
3.民間非営利組織の基本概念に立ち返る
では、民間の非営利活動はどのように位置付けられるか。NPOなどの市民活動の社会的な位置づけとして、レスター・サラモン「ボランタリーの失敗」の理論を思い出したい。
 NPOは「政府の失敗」や「市場の失敗」を補うための存在ではなく、政府や営利企業の「落穂ひろい」「すき間産業」という考え方は間違い。本来、社会における問題解決の最初のアクターが民間非営利の活動である。現代の日本の動きは、そこに立ち返ろうというもの。
 しかし、NPOは専門性が不十分なアマチュアだったり、サービスが偏って提供されたり、といった課題もある。それがボランタリーの失敗であり、政府や営利企業の存在意義となる。
4.ここで、土木系・建設系のNPOを考えてみよう ―その稀有な存在
お金を除けば「ボランタリーの失敗」がほとんどない民間非営利活動と親和性の高い分野である。
・少なくとも「人材」には恵まれ、ほぼ皆が「プロフェッショナル」であり、アマチュアリズム
とは程遠い。
・建設系のNPOのサービスを享受するのは、そこに住まうほぼすべての人々。社会インフラに関わ
 るテーマだからこそ、「偏り」がない。
・経営資源を出す人々の考え方に影響されるのは確かだが、たいていの場合、それは社会インフラ整
 備に関わるので、公共性が高い。
5.そもそも、土木系、建設系はソーシャルビジネス
さまざまな社会インフラを作り、そして維持していく土木系、建設系の仕事は非常に公共性の高いソーシャルビジネスの分野である。
・「営利」「非営利」の境目は、結果として、利益を生み構成員で分配するのか(企業)、それとも利
 益を生むのが難しい、あるいは産んだ利益を再投資するのか(NPO)、そこにしかない。
・実はもっと「営利」と「非営利」が手を結んでもよい分野ではないか?これは、他のNPO分野には
ない特徴である(福祉分野の移送サービスはタクシー会社と競合し問題になっている)。
上手にもうけて、それを地域に還元する。営利と非営利の相互補完性がもっとあってもいいのではな
いか、と考える。
6.けれども、人々は「土木」「公共事業」といった瞬間に思考停止する
そもそも、「土木」や「公共事業」といった言葉に悪いイメージが植え付けられたのは、メディアでの扱われ方に一つの理由があったことを思い返そう。
7.だからこそ、ターゲッティング戦略を明確にした、メディア対応がシビルNPOには必要
・昔は道路ができ、橋ができ、トンネルができ、鉄道ができることで、みんながそれこそお祭り騒ぎのように喜んでいた。
・その、大切な社会インフラが、どんどん劣化していく。新しいものを作っていくと同時に、大掛かりな修復もしていかないといけない。
・だけど、右肩上がりの経済成長の期待できない社会では、少なくとも税金をもとにしたインフラの維持は不可能だろう。
・だから、このままでは社会インフラが維持できない、誰かが知恵を出し、汗をかかないといけい、そのために頑張ろうとしている人々がいることを「うまく」社会に伝えていこう。
・何もしない「正義の味方」ではなく、「実際に行動しようとしている正義の味方」がいることをアピールしよう。
・オピニオンリーダー層を念頭に置いた情報発信を。

8.進めてほしいメディア戦略
メディア戦略を考え、“メディアを手玉にとって”ほしい。最初にアプローチするべきは新聞。
・新聞記者との関係性、いつでも連絡が取れて、常に記事になるような情報を提供すること。
・伝えてほしいではなく、伝えやすい情報を提供する。記者の仕事をしやすくする。ネタがないときにネタを提供する姿勢。
・アドボカシー(政策提言)も大切な「コンテンツ」である。もちろん、アドボカシーは本質的にNPOに必要なこと。でも、政策提言そのものが報道する価値のある「コンテンツ」になることを忘れずに。
・SNSの優先順位は現状では低い。他に注力を。注目すべきは「ネットニュース」、ひょっとすると「新聞」の次に影響力があるメディアかもしれない。例:ロケットニュース24。
・既存のネットニュースとのコラボレーションができないか、新たなネットニュースを立ち上げることはできないか。そういうアプローチも必要。
・ブログジャーナリズムにも目を配ろう。「意識高い」人が影響されやすいブログへのアプローチを考えたい。そうした「書き手」を我々の世界から養成することも必要である。
9.こうした取り組みのためにも組織基盤強化が必要
「組織基盤強化」とは、活動や事業を支える組織の基礎的な経営資源(人材、情報やノウハウ、資金力)を強化する取り組みである。安定した組織基盤は事業の継続や新しいチャレンジに欠かせない。
組織基盤強化を考えるうえで大事な要素の一つに「ファンドレイジング(資金調達)」の問題がある。
10.新たなお金づくりのアプローチも必要。
目利きのNPOでは、すでに取り組み始めている。
・例えば休眠預金の話題がある。すでに法律もできている。どこまでコミットしていますか。
・遺贈という大きな支援の在り方に、どれだけ注目していますか。人は、死ぬ前に自分の生きてきたことを何らかの「形」として残したい。それも、誰かの役に立つ形で。実は、遺贈と土木系、建設系のNPOは親和性が高いかもしれない。
・新たな取り組みとして、SIB(Social Impact Bond)という考え方がある。
11.むすび・・・建設系NPOを応援している者から
したたかに、しなやかに。
・今やっている活動を、そのまま理解してくれる人はいない、という前提に立つ。
・理解してもらうために自分たちのプレゼンスをどう上げるか、という視点を持つ。
・まずは、メディアの中での自分たちの立ち位置をどう変えていくかを考える。
・既存の枠組みでビジネスを考えない。社会インフラの整備をするために誰が資金を負担するか、労力を負担するか、新しい視点を常に持ち、チャレンジすること。
・公共性の高い活動をしていること。その自信と信念を忘れずに。
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協働推進部門の今後の活動

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シビルNPO連携プラットホーム常務理事 協働推進部門担当
日本ファシリティーマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副会長
インフラメンテナンス国民会議 実行委員
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


『自分が頑張っても何も変わらないから、やるだけ無駄』、『くたびれもうけ』なんて言葉が似あっている部門かもしれませんね。
結局、与えられた公共、そう道路や河川、空港、港湾等々使う側は自分の使い道も考えなしに、ポットできてきたものを使っている。何もないところに勝手にできて、でもあったらいいから重宝する。でもそのインフラが無くなったら、勝手な言い分で、無くなったら困るからしっかり管理してくれ。なんて声が当たり前のように湧きだっている。所詮、人は自分の有益性を独り占めにしようとする性質があるので、自分ひとりで生きていける!ような人は我関せず、『誰かがやるよ』へ向かうのでしょう。
では、今後社会が連携してインフラ施設の老朽化に対して解決するためにはどうすべきなのか。
綱引きでお馴染みのリンゲルマン効果で導くと、一人ひとりに役割を与える。すなわち大多数に課題を投げかけるのでなく、地域であればモデル地区を決め、組織であればこの組織、と決め実行する必要があると考えます。あとは同調性の高い高い国民ですのでいわずもがな、克服へ向かうことを期待します。

多くの社会的主体が協力し合える活動を後押しする、協働推進部門の活動内容は下記の通りです。
@市民参画の重要性の理解と、教育現場への展開
A協働の支援組織の活動サポートとして、コーディネーターの養成や派遣
B多種多様な事例を調査分析することで見えてくる、効果的な仕組みの採用
これら3つの活動は『日常的に市民と行政が協働でインフラに関わっている』を目標とした当部門の行動計画となり、その先の姿は
★市民がインフラの簡単な点検や清掃活動に参加しながら、インフラメンテナンスの大切さと価値を理解している。
★市民と行政が協働で公共インフラの維持管理・更新、および集約・再編については計画段階を含め参画して、相互理解し合意している。
★市民と行政がインフラの新しい価値創造に取り組んでいる

これらの活動を通し、インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムという組織と関わり合いながら土木と市民社会、市民社会と行政、さらに行政間を『つなぐ』役割を担い、地域活性化に関わる活動を行います。みなさまも、この『つなぐ』活動にご一緒しませんか。

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協働推進部門の今後の活動

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シビルNPO連携プラットホーム常務理事 協働推進部門担当
日本ファシリティーマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副会長
インフラメンテナンス国民会議 実行委員
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


『自分が頑張っても何も変わらないから、やるだけ無駄』、『くたびれもうけ』なんて言葉が似あっている部門かもしれませんね。
結局、与えられた公共、そう道路や河川、空港、港湾等々使う側は自分の使い道も考えなしに、ポットできてきたものを使っている。何もないところに勝手にできて、でもあったらいいから重宝する。でもそのインフラが無くなったら、勝手な言い分で、無くなったら困るからしっかり管理してくれ。なんて声が当たり前のように湧きだっている。所詮、人は自分の有益性を独り占めにしようとする性質があるので、自分ひとりで生きていける!ような人は我関せず、『誰かがやるよ』へ向かうのでしょう。
では、今後社会が連携してインフラ施設の老朽化に対して解決するためにはどうすべきなのか。
綱引きでお馴染みのリンゲルマン効果で導くと、一人ひとりに役割を与える。すなわち大多数に課題を投げかけるのでなく、地域であればモデル地区を決め、組織であればこの組織、と決め実行する必要があると考えます。あとは同調性の高い高い国民ですのでいわずもがな、克服へ向かうことを期待します。

多くの社会的主体が協力し合える活動を後押しする、協働推進部門の活動内容は下記の通りです。
@市民参画の重要性の理解と、教育現場への展開
A協働の支援組織の活動サポートとして、コーディネーターの養成や派遣
B多種多様な事例を調査分析することで見えてくる、効果的な仕組みの採用
これら3つの活動は『日常的に市民と行政が協働でインフラに関わっている』を目標とした当部門の行動計画となり、その先の姿は
★市民がインフラの簡単な点検や清掃活動に参加しながら、インフラメンテナンスの大切さと価値を理解している。
★市民と行政が協働で公共インフラの維持管理・更新、および集約・再編については計画段階を含め参画して、相互理解し合意している。
★市民と行政がインフラの新しい価値創造に取り組んでいる

これらの活動を通し、インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムという組織と関わり合いながら土木と市民社会、市民社会と行政、さらに行政間を『つなぐ』役割を担い、地域活性化に関わる活動を行います。みなさまも、この『つなぐ』活動にご一緒しませんか。
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荒川下流における市民の活動

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シビルNPO連携プラットフォーム理事 事業化推進部門
シンクタンクチーム座長 三井 元子


平成30年、CNCPは、設立来これまでの活動を振り返り、ミッションに応えるべく「土木と市民社会をつなぐ」ことを基本テーマに活動を見直すと共に、土木学会との連携を「部門」として強化し、4部門の協働を強めるための「連絡調整会議」を設けたところである。
私の来歴からすると、逆に「市民社会と土木をつなぐ」活動を行ってきたので、今回はそのことを述べてみたい。

1977年頃、私の生家のある東京都足立区千住5丁目では、当時国道4号線(日光街道)の渋滞で有名となっていた「千住新橋」の拡幅と掛け替えに伴い、そのバイパス道路を旧日光街道に引くという案が持ち上がっていた。私の母は、数人の有志と共に「地域環境を守る会」を立ち上げ,その事務局長を引き受けていた。母は、深窓の令夫人とも言うべきおとなしい性格であったが、この工事にはどうしても納得がいかなかったのだろう。当時大学生であった私は、その助手として住民の署名を集めたり、区役所で開かれた会議において地域を代表して発言したりしていた。
署名の趣旨は、「歴史的価値のある旧日光街道を国道4号線のバイパス道路にすることは、歴史の軽視である。また国道の渋滞を避けて自動車が多数入ってくれば、狭い旧街道では事故が多発しかねない」というような内容であった。

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現在の宿場町通り

当時問題となっていたのは、「町会長に説明し同意を得たから地元説明は終わっている」と考える行政の姿勢であった。調べてみると、法的には町会長は,町を代表して会議には出るが、町民への説明義務はなかった。町民からすれば、寝耳に水の工事というわけである。
4〜5年の闘いの後、「道路は作るが遊歩道として使用する」いう合意がなされ、通過自動車が入ってくる計画はなくなった。その後、足立区は旧日光街道の歴史的価値を初めて認め、芭蕉が奥の細道へと旅立った最初の街道であるとして商店街の呼称を「宿場町通り」と改め、案内看板を立て始めたのである。現在では、毎日曜日に歴史散歩の方達が、のんびり歩く姿が見られるようになった。もちろん、そんな運動が街道を守ったことは知るよしもない。

結婚し、長女が小学校1年生になった1989年頃から、私は、足立区消費者グループ「せせらぎグループ」代表として河川の水質調査などに参加し、消費者展で発表したりしていた。
すると地域の環境団体からネットワークを作って、もっと環境問題を普及啓発したいと相談があり、「足立区環境ネットワークちえのわ」を立ち上げ代表となった。親子で学ぶ環境教室を主催し,毎年180名位の参加者を集めていたので、足立区行政からも注目された。
1993年、建設省(現国土交通省)が、河川環境保全モニター制度を創設し委員を募集していた為、私は足立区から推薦されて、荒川下流河川環境保全モニターとなった。荒川放水路に対しては、すぐそばで育ったと言うだけであまり思い入れはなかった。なぜなら,私が小学生のころの荒川は、高度経済成長期で川がどろどろに汚れていた時代で,あまり良い思い出がなかったからだ。
1996年(平成8年)、荒川下流河川事務所(以下、荒下事務所)では、おおむね50年先を想定した「荒川将来像計画」を作ることとなり、将来像計画全体構想書(案)と沿川2市7区の将来像計画(案)9冊を作り、各市の本庁舎のみならず、すべての出張所で開示し、意見募集を行った。まだ、パブリックコメントも始まっていない時代にである。私は、学生時代を思い出し、これで公共事業に一般の市民意見が反映できるようになるならば、世の中が大きく変わると思い夢中になった。私たちは、荒川で活躍していた市民団体と何回か勉強会を開き、「市民版将来像計画」を作って提出し、官民共催のシンポジウムを開いた。さらに、子どもたちにも将来像を発言してもらいたいと考え,3回の荒川歩きを行い、アンケートを集めた後、足立区役所において「荒川将来像計画足立こども会議」を開催した。足立区にとって、初めてのこども会議であった。

せっかくできあがった将来像計画が絵に描いた餅にならないようにと,荒下事務所に将来像計画の補完策を聞いたところ、事務所長は、各市区に「荒川市民会議」を設置することを決めてくれた。それぞれの市区で、公募された市民と沿線自治体と国土交通省が一同に会してリーディングプロジェクトの実施計画について話し合う市民会議が始まった。

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その後1997年(平成9年)、河川法改正があり、日本の河川行政は大きく変わった。河川を治める理由に「治水・利水」に加え、「環境」が入ったのと同時に、「地域の意見を反映した河川整備を推進」という一文が加わった。白書には(例えば荒川下流のように)という解説も入っていたのである!
そのころ「せせらぎグループ」では地元で全国一級河川ワーストワンの汚名を15年間も授かっていた綾瀬川で水質調査を行っていた。コンクリート3面張りの河川でどのようにしたら、生き物が帰
ってくるの来るのだろうと模索していた。越谷の礫間浄化施設を見学したり、多自然川づくりによる直接浄化が水質をよくすることを知り、綾瀬川沿川に適地がないかどうかを探した。そして、良好な湿地を形成していた民有宅地を見つけ、買い取りを国に提言した。その後、川とつなげたビオトープを作ってもらい、綾瀬川浄化に役立てることになるのだが、どうやって行政を動かしたのかについて、また別の機会にお話しすることにしよう。
ところで、パブリックコメントは、今では各省庁で常識のように行われているが、形骸化し、意見がなくても実績さえ残れば良いという使われ方をしている事が多い。市民がせっかく手に入れた権利を、望みを、私たちは失ってはいけないし、行政も真剣に意見を募集して協働・協創の社会を築いて行ってほしい。それがこどもたちの未来につながっていくのだから。
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