2018年12月01日

オーストラリアはサラダボール国家

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事 世古 一穂


オーストラリア人の5人に一人は海外生まれ。世界130か国からの移住者だ。
白豪主義から多文化主義へと180度の転換を果たしたオーストラリアは、これまでにない
多民族共生の国作りを、進めてきた。
さまざまな民族がどうやって共に暮らすか、政治は?経済は?福祉は?教育は?
移民を、ほとんど受け入れない日本とはまるで違うオーストラリアに大きな関心を持って
旅に臨んだ。
「コスモポリタン都市」とはたんに、民族、エスニシティの多様性だけを、さすのではない。それだけなら米国もそうだろうが、オーストラリア人が誇りにしているのは、かれらが多民族国家づくりにおいて民族の共生を、めざした国づくりを大きな社会的混乱なしに着実に成果をあげていることである。
●異質の他者の排除から共生へ、
180度の、政策転換の成功の秘訣として挙げられるのが、「多文化主義」だという。この新政策のもとでは、すべてのオーストラリア人がそれぞれの言語、文化、宗教などを維持しながら、人種、民族、性の違いに関わりなく平等な市民として国の発展に貢献する権利を保障されているのだ。
同化主義に基づく米国とは大きな違いである。
とはいえ、白豪主義から多文化主義への政策転換か、そのまま国民の意識改革につながるわけではない。
新しいオーストラリア国家像を織り上げていこうとする試みはまだ実験段階といってもよいのかもしれない。

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アボリジニの男性の街頭での演奏

●それに対して日本はどうか?
日本の指導者たちの発言の裏にあるのは、日本民族と文化の優越性神話ではないだろうか?日本人のいう「国際化」とは日本を世界のようにするのではなく、経済とテクノロジーを武器にした世界の日本化ではないだろうか?
移民問題、難民問題にしても、その受け入れ枠はすこしずつ拡大されたものの、消極的な基本姿勢はいまだに変わっていない。
私たち日本人がオーストラリアから学ぶべきことは多々あるが、私は多文化主義の本質をこの国から深く学ぶことが、少子高齢化が課題となっている日本にとってもっとも大切なことだと思った。
私たちが訪れたジャカランダの満開の季節はオーストラリアが一番美しい季節だと聞いた。
ジャカランダは多文化共生の象徴とも言えるのでないだろうか?

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満開のジャカランダ
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JFMA公共インフラマネジメント連続シンポジウム報告(1)

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特非)社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(SLIM Japan)
                    副理事長 鈴木 泉


“第1回平成30年9月15日(土)、第2回10月13日(土)と、主催JFMA公共タスクフォース主催、SLIM Japan(講師、パネリスト)、インフラメンテナンス国民会議市民参画フォーラム協力による公共インフラマネジメント連続シンポジウムが開催された。このシンポジウムは、自治体に関係する皆様にとって公共施設等総合管理計画を実行に移す際に参考となる知識や情報を取得できる勉強会である。実際に現場を経験された講師による講演と、続いてパネルディスカッション、会場とのトークセッションを行う全員参加型での連続4回のシンポジウムで、今回は、前半2回の開催報告をする。
第1回は、「市民協働の公共インフラメンテナンスとは」をテーマとして、まず、蟲明眞一郎氏(元京都市役技術吏員、SLIM Japan理事)より「住民主体の街づくり」のタイトルで基調講演、続いて世古一穂氏(特定非営利活動法人NPO研修・情報センター代表理事)、小林達也氏(NPO法人長野NPOセンター)田子裕子氏(インフラメンテナンス国民会議、大日本印刷株式会社)の3人のパネリストを加え、コーディネーター鈴木泉(SLIM Japan副理事長)の進行でパネルディスカッションを行った。

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第1回パネリスト紹介

基調講演では、1、「まちづくり」は地域社会づくりと「街づくり」は都市基盤施設づくりと分けて使うことが大事。2、住民主体で考え、白紙から始めて住民の手で運営するなど、合意形成手法としてのいくつかの成功ポイントを強調された。パネルディスカッションでは、「インフラメンテナンスの分野に市民協働をどう進めれば良いか」にフォーカスした。世古氏からは、市民協働の本質として気仙沼の街づくりの成功事例が上げられた。「市民参加の街づくり」から、「震災復興の街づくり」に変わり、この先100年繋がっていく人(街づくりコーディネーター)を一緒に育てた。小林氏からは、長野市では、32の住民自治協議会のワークショップに予算を付けて市民の意見を聞いている。「住民に当事者意識を持つきっかけにはなったが、白紙から未来を語るという形ではなかった」の意見。田子氏からは、自社の持つ技術を社会インフラの老朽化に役立てたいとして国民会議に異業種参画し、インフラを知らない人たちに、知ってもらうイベント開催等の取組みをしているなど国民会議について紹介、続いて「現状の問題点、課題は何か」の議論となった。

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会場とのトークセッション

焦点としての「インフラメンテナンスをどう進めるか」の議論では。田子氏より、「市民をやらされ感なく愛着心やモチベーションを上げられるような活動をしていきたい」、小林氏からは、「長野市を担う若者に、交流会等を企画し町歩きワークショップを行った。愛着が湧いたなど好評だった」、世古氏からは、「ボランティアとしてみんなで掃除、点検作業だけで終わっていては、市民協働は進まない」との意見。会場からは、「どうやって市民を振り向かせたら良いか」「自治会の活動は盛んだが、もっと行政との接点が必要と気付いた」、「建設・点検に携ってきたが、今まで市民協働を考えたことがなかった」など多数の意見があった。今回のシンポジウムでは、市民協働の本質の考え方を、実体験に基づく知識と情報を共有しながら、「インフラメンテナンス分野にどう進めることができるか」、参加者全員で本音の意見交換が出来たことが大きな成果となった。
第2回目シンポジウムでは、地方を知る「地方の公共インフラの現状と課題」をテーマとして、山中鷹志氏(元日本道路公団、SLIM Japan理事)より多くの現場経験から現状を見るという視点で「徒歩で川を遡行し橋の現況を診る」のタイトルで基調講演、続いて前線の施設管理者から中谷孔右氏(静岡県田子の浦港湾事務所所長)、澤健男氏(元国交省)、市民の目線で山崎エリナ氏(世界を旅する写真家)の3人のパネリストを加えパネルディスカッションを行った。

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第2回基調講演

講演では、退職後、健康のための河川ウォーキングにスキルを活かして独自の視点から橋の現況調査を始めたこと、約10年間歩いた実績から地域インフラの現状を語った。5年毎の近接目視調査をすべしとの声を聴いてから、再び歩き同じ橋を前回と比較してみた。はたして全橋を5年毎に近接目視する必要はあるのかと実感した。続いてパネルディスカッションでは、中谷氏より、静岡県の土木関係の予算推移から管理者、管理体制の状況を話題提供、道路予算に占める維持補修は10年前の2倍。人口の少ない市町村は、管理施設数あたりの技術者数が少ない。若い技術者は、ほとんどデスクワークで現場を知らないなどの多くの課題が上げられた。澤氏からは、前線の維持管理の経験から、自然災害リスクの増大で本来の維持管理予算が少なく、予防保全に影響あること、一方では、メンテナンスには費用が掛かることを社会が認知するような努力が足りないことなど、技術者の意識に関する問題点も強調された。山崎氏は、写真家としてなぜインフラメンテナンス写真展を開催したか、「インフラを陰で支えてくれている人がいる。この仕事を多くの一般の市民の方に特に若者にこの感動を強く伝えたいと思った」と語った。「何が問題か、何に変えるか、望ましい状態にどう変えるか」と具体的議論となった。
会場の意見:「現状予算でどこまで出来るのか、本来目指す予算はいくらなのかオモテに出てこない。」「世論形成、情報開示が足りない」「市民にきちんと説明すれば理解する素地は整っていると感じる」「公共施設等総合管理計画は作ったが、市民に伝わっていないと反省した。」など、幅広い多くの意見が出た。第2回目のシンポジウムは、地方の土木インフラに関わる現状をいろいろな視点で前線の本音を知り議論、望ましい状態を共有出来たことに大きな意味があったと思う。
今後の後半の連続シンポジウムでは、より向上性のある解決策の議論に期待したい。尚、SLIM Japanは、このようなコンパクトなシンポジウム、出前セミナー勉強会での講師、パネリスト派遣含めた最適な企画を事業として活動していく予定です。

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パネルディスカッション
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空の上で思ったこと

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シビルNPO連携プラットフォーム理事
(一社)建設コンサルタンツ協会 顧問 酒井 利夫


先日札幌に出張する機会があった。羽田を離陸すると窓から見える景色は、臨海の工場地帯、ディズニーランド、都心部や幹線道路沿いの高層ビル群、そのまわりを隙間無く密集する住宅群と次々に流れて行き、さらに、市街地を縦横に連絡する道路網、河川や遊水地、集落や田畑がパッチワークの様に緑濃い山林ぎりぎりまで広がる。一見のどかで平和に見える風景が眼下を流れて行く。インフラも外見上は特段問題があるようには見えない。しかしそうだろうか?
今年は風水害、地震など例年になく災害が頻発し、特に雨の降り方も異常でその被害も激甚化している。「災害は日本中どこでも起こりうる」ということを、多くの国民が実感した。このように激甚化する災害に対して「今あるインフラは本当に大丈夫なのか」という懸念とともに、人間社会を支えるハードソフトの様々なインフラシステムが、いざという時にうまく機能しないのではないかと心配になってくる。
さらに、インフラそのものの「老朽化」が顕在化しつつある。日頃からしっかりと手当てしつつ、適切に更新して行くことが必要なはずであるが、一度作ったらそれで「以上終わり!」と思い込んでいた(?)この日本で、国や各管理者が遅ればせながらキチンと対応し始めていることを期待したいが、大丈夫だろうか。
この心配は公共的な施設だけでは無い。個人レベルの住宅やマンションでも、同じだ。住まいも適切な更新や世代交代がないと、いわゆる「空家問題」や「マンションのスラム化問題」もいよいよ「現実問題」となってきた。最近私自身、実家の現状を改めて認識し、この問題を他人事では無く、自らの問題として痛感しているところである。
生命体は、多少の破損は自ら修復できるが、それでも寿命はある。ましてや無機物はその劣化は不可逆的かつ加速度的に進行する。人間が適切に手を入れつつ寿命を伸ばしながらも、その更新をしっかりと考えないとどうなってしまうのであろうか。それも「いわゆるハード」だけでは無く、社会全体を支えるシステム全体も昔のままでいい訳ではあるまい。 我々の世代で日本が終わるならともかく、これからもこの日本で我々の子孫が引続き暮らして行くのであれば、社会のハード及びソフトのシステムも「常に更新・進化させていくことが当たり前」、そしてそのことは「今生きている世代の責務」ということを常識とすべきではないか。もはや思考停止していることはできない。

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機内から筆者が撮影したもの

そのような思いを巡らしていたら、気づけば北海道胆振付近上空だった。
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