2019年01月01日

第9回 近代辞書と「築土構木」

夏目漱石は、新時代の言文一致体の小説を書き、また優れた漢文、漢詩を書いたという。東北大学「漱石文庫」には蔵書だった近代辞書が残されている。
1896年版『言海』(明治29年、第10版)第五高等学校教師時代
1900年版『ウェブスター大辞典』(明治33年、London版)英国留学時代
1905年版『漢和大字典』(明治38年、第4版)『吾輩は猫である』発表年
国語辞典『言海』の編者大槻文彦は、明治以降大量に舶来したウェブスター辞書に学び、発音表記、品詞表示、語源説明、語釈、出典などを取り入れた。
『言海』(明治24年、1891年)ど-ぼく(名)土木 普請。作事。
三省堂編輯所の斎藤精輔もウェブスター辞書を手本にして画期的な漢和辞典『漢和大字典』を出版した。特徴は、大辞書を目指したこと、漢詩作成の「韻」の便宜のために熟語は末の字を親字としたこと、監修者と実質的な編集者を分けて作成したこと、官製、学術用途ではなく純粋な商品としたこと、等である。
『漢和大字典』(明治36年、1903年)〔土木〕(い)つちときと。○〔後漢〕「――形體、不自藻飾」(ろ)建築。○〔淮〕「築―構―」。
ここに現代にまでその影響をとどめる「土木」の二つの語釈がそれぞれ出典を伴って提示された。ただし、前者は後漢書ではなく『晋書』、土木形體ではなく「土木形骸」。後者は『淮南子』の「築土構木」が「建築」の意味で「土木」の語源のように示されるが、昭和以降現代の漢和辞典では採用されていない。 (土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
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第1回 シリーズ開始にあたって

(特非)シビルNPO連携プラットフォーム代表理事 山本 卓朗


CNCPを設立して3年を過ぎたところで活動の見直しを行い、今後の基本テーマとして「土木と市民社会をつなぐ」を掲げた。本来、密接な関係が無ければいけない両者の間にさまざまな“かい離”があるというのは、筆者が長年強く感じているところであり、土木界にとってそのかい離を埋めることが最も大事であると思う次第である。
本シリーズを始めるに当たり、今後の議論の種として何点か述べてみたい。
(以下、市民と一般社会を“市民”、市民社会“、企業や団体・組織を”企業“、土木界・建設界を“土木界”、“土木”などと略して述べている)。

1.企業と市民社会の対立はなぜ起こる?
行政組織や団体、企業はすべて一般市民である私たちがその一員となって成り立っている。にもかかわらず、組織の立場になった途端にその立場を優先し(優先せざるを得なくなって)、市民社会の動き(反対運動など)に対抗する(対抗せざるを得なく)なる。大企業も環境破壊などで長期の闘争に直面することもある。このような対立は常にあり得るから、平時から組織を挙げて対処方を勉強していないと急場の間に合わないことになる。次節で述べるように、欧米に始まる企業と社会とのかかわりを研究し改善する努力には、長い歴史があることがわかる。

2.企業が社会貢献や社会への責任を意識してきた歴史は?
企業が社会貢献とかステークホルダーとかを意識して活動するようになったのは、欧米では20世紀の半ばからであるが、我が国ではおよそ30年前(1990年代)位からといわれる。フィランソロピー、メセナなど慈善事業や寄付を中心とした動きに始まり、企業が大型化するにつれて、環境問題や不祥事などが社会に与える影響が顕在化し、企業の社会的責任が議論されるようになった。企業がどういう形でそれを具現化するか、さまざまな考え方や手法が開発されてきた。すなわち既に多くの企業が取り組んでいるCSR(企業の社会的責任)さらにSB(ソーシャルビジネス)などへと進化し、現在はCSV(共通価値の創造)がその主流になりつつある。(野村総研「CSV事業の先進事例分析を通じた支援の枠組みに関する調査研究事業」報告書 平成26.3参照)。

3.土木と市民社会の関係の特徴は?
商品を販売する会社は、顧客である市民と直接接しているので、よほどのことが無いかぎり対立が生じることはない。しかし土木の顧客は発注者であり、しばしば、発注者(主に行政機関)の立場を代弁して市民社会と対立することになる。“市民が直接の顧客ではない”ために、土木界がよほど努力しないと市民社会との間に横たわる壁を突破出来ない所以である。

4.土木界の社会貢献への取り組みの現状は?
前述の社会貢献や企業の社会的責任について、土木界でも同様な取り組みが行われ、CSRまではほとんどの企業がレポートを発行するなど定着している。
また現場サイトでの住民交流や地域の環境維持などで地道な活動が行われている。しかし本来的に土木界では、公共事業の請負がその大半であり、昔から曾野綾子さんの無名碑の気概を良しとする“本業を通じて社会貢献をしている”という意識が強く、直接の顧客ではない市民社会への働きかけを強める活動に及んでいない。このために公共事業の枠外へと広がっている社会的な課題解決への取り組み、さらにその取り組みからも企業収益を生み出していく、すなわち社会と価値を共有するというCSVの考え方については、他の業界に比して遅れが目立っていると思われる。

5.土木界が市民社会に理解を求めてきた努力の歴史は?
社会に貢献するという概念とは別に、土木界では、土木技術への理解促進、公共事業への理解促進について、極めて熱心に取り組んできた。産学官それぞれの組織が実行する広報活動、子供や家族を対象にした土木やその技術を理解してもらう取り組み、業界が連携して長年取り組んできた現場見学会さらに産学官が協力する形での土木学会の広報活動も大きな広がりを見せている。

6.土木と市民社会をつなぐ運動をめざしてーCNCPからの提言
情報化技術の急激な発展が世界そして社会を大きく変化させており、政府が取り組む未来投資会議やそれに呼応する大学から様々な構想が打ち出されている。そのキーワードの中に、企業の取り組むべき課題として、SDG’s(Sustainable Development Goals)やCSV(Creating Shared Value)が織り込まれている。
私たちが今まで個々に進めてきた様々な取り組みを情報として集約共有し、土木界全体を巻き込んだ運動へと発展させることで、市民社会への距離を近づけるとともに、その社会的課題の解決に土木界の持つ専門力を活用して具体的に取り組む活動を進めたいと思う。
現在私たちが取り組みつつあるのが
●CNCPにおける「土木と市民社会をつなぐ事業研究会」
●土木学会教育企画・人材育成委員会シビルNPO推進小委員会における
「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」
の発足である。その具体的な活動はこれからであるが長年の懸案であり、今後の息の長い運動として、大きく広がることを期待しつつ進める所存である。
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特定非営利活動法人 建設技術監査センター

はじめに
当NPOは平成17年に「技術士による公益貢献」を目指して創設し今年は15年目を迎えている。この間、国・県市町村・土木学会・日本技術士会・東京技術士会・地域開発研究所・千葉県建設業協会、等の支援を得て、順調に実績を積んで来ました。今年は若い会員による組織改革を断行し、CNCP、日刊建設新聞社,日本技術士会と協働して新たな飛躍を目指します。今後とも変わらぬ御支援・御指導を御願い申し上げます。
1.NPO設立の背景
平成16年3月、堂本暁子千葉県知事が『あすのちばを拓く10のちから〜千葉主権の確立〜』の政策提言を発表する。『自治の力(住民参加・NPO・男女共同参画)』、『千葉主権の確立、地方力・県民の力の循環を巻き起こし持続可能な千葉県を目指す』事を表明する。同年10月19日にNPO活動推進自治体フォーラム千葉大会が開催され、岩手・静岡・滋賀・千葉の各県知事に横浜市長を加えた5名の首長による共同アピールが宣言され、市民組織NPOへ熱い期待を寄せた。之を受けて千葉県技術士会はNPO法人サポート技術士センターを設立する。平成17年、工事監査を主たる活動事業として技術士、工学博士、一級建築士等20数名を中心に、大学教授、税理士、弁護士を顧問に迎えて現在のNPO法人建設技術監査センターを独立分離させた。
2.組織の主たる事業
工事監査(建設技術調査)により国土整備事業の企画・調査・設計段階における照査(適合性の検証及び有効性のレビュー)及びコスト縮減案(VE)を提案する事、工事段階における契約の適正化及び施工中の品質確保に貢献する事であり、社会資本整備事業の企画・設計・施工方法から運用計画に対し、調査し、機能・品質・コスト・工期・安全・環境に係る最適技術を提案し、市民の生命、安全を守り、社会に寄与する。
3.調査における基本理念
技術調査は事業内容を的確に把握するために調査対象工事に精通した技術者が担当する事が必要である。技術調査は様々な角度からの視点が欠かせないことから複数の技術者で調査することを原則とし、事前調査による技術調査を行い、質問書を提出する教育的工事監査を行う。
4.千葉県の巨大自然災害に備えBCPの認証取得を推進
千葉県は東に利根川、北に江戸川、西に東京湾、南に太平洋に囲まれ、日本有数の海と山の幸に恵まれています。一方、荒れる四海の波は1703年(元禄16年)の元禄地震で千葉県民6534人の命を奪い、利根川東遷により毎年繰返される河川決壊、印旛・手賀沼の浸水被害が県民に塗炭の苦しみを与えてきた。荒波に鍛えられた千葉県から多くの人材が輩出している事を特記したい。
千葉県は東京湾北部地震による被害を、死者5,600人、停電20万戸、断水147万 戸避難者数約145万人、帰宅困難者108万人、経済被害総額は9兆8千億円を公表している。防災科学技術研究所は平成30年6月、千葉県南東沖の前兆現象「スロースリップ」による 超巨大地震が目前に迫っていると【緊急警告】を発している。
NPOは、国が取組んでいるBCP(Business continuity planning:災害時の企業継続計画)の認証取得を千葉県建設業協会と共に取組んでいる。昨年秋の説明会には50数社が参加し、平成30年度は会長、副会長会社を含む5社が認証取得を目指している。今年は太平洋沿岸、東京湾沿岸部の建設会社にBCP認証取得を指導する方針である。

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緊急警告30年6月11日

5.NPO活動に新聞の報道力を活用
2010年から30年間で20〜39歳の女性人口の減少率が50%以上の消滅可能性自治体は全国の1800中896自治体が該当し、千葉県は27市町村である。今までに栄町、千代市、長南町、茂原市、いすみ市、木更津市、横芝光町等の首長と「少子高齢化対策・自治体再生」について懇談している。首長の新聞に対する真摯な姿勢から「新聞には自治体を動かす大きな力がある」事を知り、日刊建設新聞副社長・中島善明氏を特別顧問に御迎えし、千葉県の全ての首長と懇談する事を目指している。

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【千葉県建設業協会 BCP講習会

6.おわりに
次世代の若い会員がCNCPの一員として、日刊建設新聞、日本技術士会、大学技術士会と協働して地方活性化に貢献する事を願っている。
(以上)

特定非営利活動法人 建設技術監査センター
理事長 五艘 章 技術士(総合・建設) 土木学会フェロー

〒260-0032 千葉市中央区登戸 1-23-16 六羊ビル2F
        TEL:043-244-3645  FAX 043-310-3704

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東名高速道路「あおり運転」事故判決に思う

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(特非)シビルNPO連携プラットフォーム 法人正会員
特定非営利活動法人 道路の安全性向上協議会
専務理事 吉川 良一


1.判決内容
2017年6月5日に起きた東名高速道路「あおり運転」事故で、横浜地裁は12月14日、自動車運転死傷行為処罰法で定められた危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役18年の判決を出した。
この判決には、全く異議は無いものの、判決理由の中で、高速道路上の停止させる行為が、危険運転には当たらないとするところは、全く間違っており、決して納得できるものではない。
危険運転致死傷罪には、構成要件が6つあり、今回はその内の「走行中の車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」を適用した。判決では、妨害運転や停止等が実行行為には該当するが、高速道路上で停止することが、衝突により大事故が生じる、または回避することが困難な速度とは認められないとした。これは、高速道路と一般道路を混同した明らかな間違いである。また、判決では、もう一つの争点である被告人の運転行為と被害者の死傷との間には因果関係があるとし、危険運転致死傷罪が成立するとしたが、これは極めて妥当な判断である。

2.高速道路上での停止は、最も危険な運転
高速道路で停止することが、いかに危険な行為であるかは、図-1の「平成29年NEXCO中日本管内交通死亡事故件数」を見れば分かるように、死亡事故の3割強が対停止車両である。死亡事故の形態では、最大値を占めている。

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しかも、今回の事故は、交通量の極めて多い東名高速道路の片側3車線の追越車線に無理矢理、停止させられたことにより起きている。更に、夜間であったことを考えれば、後続車が追突を回避することは不可能に近いと思われる。
従って、高速道路上に時速0で停止させる行為が危険運転に当たらないとするのは、実態を全く理解していない誤った判断であると言わざるを得ない。

3.高速道路は止まると危険!
警察庁では、高速道路と普通の道路との違いを、高速道路における緊急時の3原則「@路上に立たない A車内に残らない B安全な場所に避難する」として、高速道路で車を止める危険性を示している。
当NPOでも、交通安全の啓発に関する講演会、研修会を年間10回程度行っている。その中では常に、事故や故障等で、高速道路上に停止せざるを得なくなった時の危険回避の心得を、次の資料を用いて説明している。

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特定非営利活動法人 建設技術監査センター

はじめに
当NPOは平成17年に「技術士による公益貢献」を目指して創設し今年は15年目を迎えている。この間、国・県市町村・土木学会・日本技術士会・東京技術士会・地域開発研究所・千葉県建設業協会、等の支援を得て、順調に実績を積んで来ました。今年は若い会員による組織改革を断行し、CNCP、日刊建設新聞社,日本技術士会と協働して新たな飛躍を目指します。今後とも変わらぬ御支援・御指導を御願い申し上げます。
1.NPO設立の背景
平成16年3月、堂本暁子千葉県知事が『あすのちばを拓く10のちから〜千葉主権の確立〜』の政策提言を発表する。『自治の力(住民参加・NPO・男女共同参画)』、『千葉主権の確立、地方力・県民の力の循環を巻き起こし持続可能な千葉県を目指す』事を表明する。同年10月19日にNPO活動推進自治体フォーラム千葉大会が開催され、岩手・静岡・滋賀・千葉の各県知事に横浜市長を加えた5名の首長による共同アピールが宣言され、市民組織NPOへ熱い期待を寄せた。之を受けて千葉県技術士会はNPO法人サポート技術士センターを設立する。平成17年、工事監査を主たる活動事業として技術士、工学博士、一級建築士等20数名を中心に、大学教授、税理士、弁護士を顧問に迎えて現在のNPO法人建設技術監査センターを独立分離させた。
2.組織の主たる事業
工事監査(建設技術調査)により国土整備事業の企画・調査・設計段階における照査(適合性の検証及び有効性のレビュー)及びコスト縮減案(VE)を提案する事、工事段階における契約の適正化及び施工中の品質確保に貢献する事であり、社会資本整備事業の企画・設計・施工方法から運用計画に対し、調査し、機能・品質・コスト・工期・安全・環境に係る最適技術を提案し、市民の生命、安全を守り、社会に寄与する。
3.調査における基本理念
技術調査は事業内容を的確に把握するために調査対象工事に精通した技術者が担当する事が必要である。技術調査は様々な角度からの視点が欠かせないことから複数の技術者で調査することを原則とし、事前調査による技術調査を行い、質問書を提出する教育的工事監査を行う。
4.千葉県の巨大自然災害に備えBCPの認証取得を推進
千葉県は東に利根川、北に江戸川、西に東京湾、南に太平洋に囲まれ、日本有数の海と山の幸に恵まれています。一方、荒れる四海の波は1703年(元禄16年)の元禄地震で千葉県民6534人の命を奪い、利根川東遷により毎年繰返される河川決壊、印旛・手賀沼の浸水被害が県民に塗炭の苦しみを与えてきた。荒波に鍛えられた千葉県から多くの人材が輩出している事を特記したい。
千葉県は東京湾北部地震による被害を、死者5,600人、停電20万戸、断水147万 戸避難者数約145万人、帰宅困難者108万人、経済被害総額は9兆8千億円を公表している。防災科学技術研究所は平成30年6月、千葉県南東沖の前兆現象「スロースリップ」による 超巨大地震が目前に迫っていると【緊急警告】を発している。
NPOは、国が取組んでいるBCP(Business continuity planning:災害時の企業継続計画)の認証取得を千葉県建設業協会と共に取組んでいる。昨年秋の説明会には50数社が参加し、平成30年度は会長、副会長会社を含む5社が認証取得を目指している。今年は太平洋沿岸、東京湾沿岸部の建設会社にBCP認証取得を指導する方針である。

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緊急警告30年6月11日

5.NPO活動に新聞の報道力を活用
2010年から30年間で20〜39歳の女性人口の減少率が50%以上の消滅可能性自治体は全国の1800中896自治体が該当し、千葉県は27市町村である。今までに栄町、千代市、長南町、茂原市、いすみ市、木更津市、横芝光町等の首長と「少子高齢化対策・自治体再生」について懇談している。首長の新聞に対する真摯な姿勢から「新聞には自治体を動かす大きな力がある」事を知り、日刊建設新聞副社長・中島善明氏を特別顧問に御迎えし、千葉県の全ての首長と懇談する事を目指している。

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【千葉県建設業協会 BCP講習会

6.おわりに
次世代の若い会員がCNCPの一員として、日刊建設新聞、日本技術士会、大学技術士会と協働して地方活性化に貢献する事を願っている。
(以上)

特定非営利活動法人 建設技術監査センター
理事長 五艘 章 技術士(総合・建設) 土木学会フェロー

〒260-0032 千葉市中央区登戸 1-23-16 六羊ビル2F
        TEL:043-244-3645  FAX 043-310-3704

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展示会出展『社会インフラテック2018』

主  催 インフラメンテナンス国民会議・日本経済新聞社
開催日時 2018年12月6日(木)〜8日(土)10:00〜17:00
開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明)


うなぎ完全養殖インフラ整備事業研究会では、うなぎの持続可能社会を目指し、今年の4月から「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI(Sustainable Eel Farming Infrastructure)」として一般向けに情報発信を始めています。その一環で、『社会インフラテック2018』の自治体・団体・アカデミックゾーンに出展しました。
本展示会は『エコプロ2018』と併設されており、3日間で16万人を超す多くの来場がありました。会場内は、SDGsをキーワードに環境に配慮された製品・サービスの発表が目立ちました。SDGsに関わる市場創出は1,320兆円と試算されており、17の目標と169のターゲットを指針とした技術開発がビジネスの課題になると主張されています。なかでも大きな部分を占めるのは、「エネルギー」と「素材」の分野。如何に再生可能なエネルギーと素材を使って社会を構築するか。その命題に多くの企業が真剣に向き合っている空気を感じました。

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▲「エコプロ2018」と併設された「社会インフラテック2018」には多くの来場者が訪れた

『社会インフラテック2018』においては、公共インフラの老朽化対策の最新技術・ノウハウから、IoT、AI、ドローンを活用したインテリジェント・インフラまで、幅広くインフラメンテナンスの最前線が紹介されました。CNCPも参画しているインフラメンテナンス国民会議のブースでは、国内のインフラメンテナンスに係る優れた取り組みや技術開発を表彰する「インフラメンテナンス大賞」の受賞例を紹介しており、インフラの持続可能性に対する来場者の関心を高めていました。
うなぎが絶滅危惧種に指定されてから早4年が経ちますが、日本人のうなぎへの危機感は未だ低いように思われます。うなぎの生態系と食文化を守るポイントは、@天然うなぎ・稚魚の保護、A完全養殖の実用化、B河川・沿岸などインフラの整備とし、“うなぎを守りながら食文化を絶やさない世の中にしたい”と、本展示会のブースでも訴えました。幾人かは足を止めていただき、「うなぎの今後はどうなるのでしょうか?」と質問されたり、「このような新しいコンセプトが大事だ」と言っていただいたりしました。

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▲自治体・団体・アカデミックゾーンに出展したCNCP「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI」のブース

国民の皆様にうなぎの現状を知っていただき、関心を持ってもらうことが第一歩です。これからもSEFI(http://sefi.jp)を中心に、うなぎの持続可能社会を目指して活動を続けて参りたいと思います。 (小重忠司)
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“和らぎ”テーマに「美し国づくり大賞」募集開始

“和らぎ”テーマに「美し国づくり大賞」募集開始

特定非営利活動法人美し国づくり協会(進士五十八理事長)は、「美し国づくり大賞」の募集を開始しました。
5回目となる今年度は、近年の気候変動による全国各地における猛暑や自然災害の激化を踏まえ、『和らぎ』をテーマに
@ 猛暑対策
A 風雪等の厳しい気象の克服・適応
B 防災・減災の取組・活動
などの優良事例を募集、審査・選定し、その活動に取組んでいる関係者を「美し国づくり大賞」として顕彰します。詳細は美し国づくり協会ホームページ(http://umashi-kuni.com/ta/entry_5.html)をご覧ください。

事務局通信
1. 1月の会議予定
1月7日(月) 13:00〜15:00:運営会議
1月22日(火) 13:00〜15:00:座談会
1月23日(水) 13:00〜15:00:市民参画WG
1月23日(水) 13:00〜15:00:市民参画リーダー会議
1月24日(木) 15:00〜17:00:企画サービス部門
1月28日(月) 15:00〜17:00:シンクタンクチーム
2. 1月1日現在の会員数
法人正会員16、個人正会員31、法人賛助会員33 合計80
サポーター119


特定非営利活動法人
シビルNPO連携プラットフォーム
〒101-0054東京都千代田区神田錦町三丁目13番地7
名古路ビル本館2階 コム・ブレイン内
事務局長 内藤 堅一:info@npo-cncp.org
ホームページURL:http://npo-cncp.org/
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特定非営利活動法人 建設技術監査センター

はじめに
当NPOは平成17年に「技術士による公益貢献」を目指して創設し今年は15年目を迎えている。この間、国・県市町村・土木学会・日本技術士会・東京技術士会・地域開発研究所・千葉県建設業協会、等の支援を得て、順調に実績を積んで来ました。今年は若い会員による組織改革を断行し、CNCP、日刊建設新聞社,日本技術士会と協働して新たな飛躍を目指します。今後とも変わらぬ御支援・御指導を御願い申し上げます。

1.NPO設立の背景
平成16年3月、堂本暁子千葉県知事が『あすのちばを拓く10のちから〜千葉主権の確立〜』の政策提言を発表する。『自治の力(住民参加・NPO・男女共同参画)』、『千葉主権の確立、地方力・県民の力の循環を巻き起こし持続可能な千葉県を目指す』事を表明する。同年10月19日にNPO活動推進自治体フォーラム千葉大会が開催され、岩手・静岡・滋賀・千葉の各県知事に横浜市長を加えた5名の首長による共同アピールが宣言され、市民組織NPOへ熱い期待を寄せた。之を受けて千葉県技術士会はNPO法人サポート技術士センターを設立する。平成17年、工事監査を主たる活動事業として技術士、工学博士、一級建築士等20数名を中心に、大学教授、税理士、弁護士を顧問に迎えて現在のNPO法人建設技術監査センターを独立分離させた。

2.組織の主たる事業
工事監査(建設技術調査)により国土整備事業の企画・調査・設計段階における照査(適合性の検証及び有効性のレビュー)及びコスト縮減案(VE)を提案する事、工事段階における契約の適正化及び施工中の品質確保に貢献する事であり、社会資本整備事業の企画・設計・施工方法から運用計画に対し、調査し、機能・品質・コスト・工期・安全・環境に係る最適技術を提案し、市民の生命、安全を守り、社会に寄与する。

3.調査における基本理念
技術調査は事業内容を的確に把握するために調査対象工事に精通した技術者が担当する事が必要である。技術調査は様々な角度からの視点が欠かせないことから複数の技術者で調査することを原則とし、事前調査による技術調査を行い、質問書を提出する教育的工事監査を行う。

4.千葉県の巨大自然災害に備えBCPの認証取得を推進
千葉県は東に利根川、北に江戸川、西に東京湾、南に太平洋に囲まれ、日本有数の海と山の幸に恵まれています。一方、荒れる四海の波は1703年(元禄16年)の元禄地震で千葉県民6534人の命を奪い、利根川東遷により毎年繰返される河川決壊、印旛・手賀沼の浸水被害が県民に塗炭の苦しみを与えてきた。荒波に鍛えられた千葉県から多くの人材が輩出している事を特記したい。
千葉県は東京湾北部地震による被害を、死者5,600人、停電20万戸、断水147万 戸避難者数約145万人、帰宅困難者108万人、経済被害総額は9兆8千億円を公表している。防災科学技術研究所は平成30年6月、千葉県南東沖の前兆現象「スロースリップ」による 超巨大地震が目前に迫っていると【緊急警告】を発している。

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緊急警告30年6月11日


NPOは、国が取組んでいるBCP(Business continuity planning:災害時の企業継続計画)の認証取得を千葉県建設業協会と共に取組んでいる。昨年秋の説明会には50数社が参加し、平成30年度は会長、副会長会社を含む5社が認証取得を目指している。今年は太平洋沿岸、東京湾沿岸部の建設会社にBCP認証取得を指導する方針である。

5.NPO活動に新聞の報道力を活用
2010年から30年間で20〜39歳の女性人口の減少率が50%以上の消滅可能性自治体は全国の1800中896自治体が該当し、千葉県は27市町村である。今までに栄町、千代市、長南町、茂原市、いすみ市、木更津市、横芝光町等の首長と「少子高齢化対策・自治体再生」について懇談している。首長の新聞に対する真摯な姿勢から「新聞には自治体を動かす大きな力がある」事を知り、日刊建設新聞副社長・中島善明氏を特別顧問に御迎えし、千葉県の全ての首長と懇談する事を目指している。

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【千葉県建設業協会 BCP講習会


6.おわりに
次世代の若い会員がCNCPの一員として、日刊建設新聞、日本技術士会、大学技術士会と協働して地方活性化に貢献する事を願っている。
(以上)

特定非営利活動法人 建設技術監査センター
理事長 五艘 章 技術士(総合・建設) 土木学会フェロー

〒260-0032 千葉市中央区登戸 1-23-16 六羊ビル2F
        TEL:043-244-3645  FAX 043-310-3704
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第1回 シリーズ開始にあたって

(特非)シビルNPO連携プラットフォーム代表理事 山本 卓朗


CNCPを設立して3年を過ぎたところで活動の見直しを行い、今後の基本テーマとして「土木と市民社会をつなぐ」を掲げた。本来、密接な関係が無ければいけない両者の間にさまざまな“かい離”があるというのは、筆者が長年強く感じているところであり、土木界にとってそのかい離を埋めることが最も大事であると思う次第である。
本シリーズを始めるに当たり、今後の議論の種として何点か述べてみたい。
(以下、市民と一般社会を“市民”、市民社会“、企業や団体・組織を”企業“、土木界・建設界を“土木界”、“土木”などと略して述べている)。

1.企業と市民社会の対立はなぜ起こる?
行政組織や団体、企業はすべて一般市民である私たちがその一員となって成り立っている。にもかかわらず、組織の立場になった途端にその立場を優先し(優先せざるを得なくなって)、市民社会の動き(反対運動など)に対抗する(対抗せざるを得なく)なる。大企業も環境破壊などで長期の闘争に直面することもある。このような対立は常にあり得るから、平時から組織を挙げて対処方を勉強していないと急場の間に合わないことになる。次節で述べるように、欧米に始まる企業と社会とのかかわりを研究し改善する努力には、長い歴史があることがわかる。

2.企業が社会貢献や社会への責任を意識してきた歴史は?
企業が社会貢献とかステークホルダーとかを意識して活動するようになったのは、欧米では20世紀の半ばからであるが、我が国ではおよそ30年前(1990年代)位からといわれる。フィランソロピー、メセナなど慈善事業や寄付を中心とした動きに始まり、企業が大型化するにつれて、環境問題や不祥事などが社会に与える影響が顕在化し、企業の社会的責任が議論されるようになった。企業がどういう形でそれを具現化するか、さまざまな考え方や手法が開発されてきた。すなわち既に多くの企業が取り組んでいるCSR(企業の社会的責任)さらにSB(ソーシャルビジネス)などへと進化し、現在はCSV(共通価値の創造)がその主流になりつつある。(野村総研「CSV事業の先進事例分析を通じた支援の枠組みに関する調査研究事業」報告書 平成26.3参照)。

3.土木と市民社会の関係の特徴は?
商品を販売する会社は、顧客である市民と直接接しているので、よほどのことが無いかぎり対立が生じることはない。しかし土木の顧客は発注者であり、しばしば、発注者(主に行政機関)の立場を代弁して市民社会と対立することになる。“市民が直接の顧客ではない”ために、土木界がよほど努力しないと市民社会との間に横たわる壁を突破出来ない所以である。

4.土木界の社会貢献への取り組みの現状は?
前述の社会貢献や企業の社会的責任について、土木界でも同様な取り組みが行われ、CSRまではほとんどの企業がレポートを発行するなど定着している。
また現場サイトでの住民交流や地域の環境維持などで地道な活動が行われている。しかし本来的に土木界では、公共事業の請負がその大半であり、昔から曾野綾子さんの無名碑の気概を良しとする“本業を通じて社会貢献をしている”という意識が強く、直接の顧客ではない市民社会への働きかけを強める活動に及んでいない。このために公共事業の枠外へと広がっている社会的な課題解決への取り組み、さらにその取り組みからも企業収益を生み出していく、すなわち社会と価値を共有するというCSVの考え方については、他の業界に比して遅れが目立っていると思われる。

5.土木界が市民社会に理解を求めてきた努力の歴史は?
社会に貢献するという概念とは別に、土木界では、土木技術への理解促進、公共事業への理解促進について、極めて熱心に取り組んできた。産学官それぞれの組織が実行する広報活動、子供や家族を対象にした土木やその技術を理解してもらう取り組み、業界が連携して長年取り組んできた現場見学会さらに産学官が協力する形での土木学会の広報活動も大きな広がりを見せている。

6.土木と市民社会をつなぐ運動をめざしてーCNCPからの提言
情報化技術の急激な発展が世界そして社会を大きく変化させており、政府が取り組む未来投資会議やそれに呼応する大学から様々な構想が打ち出されている。そのキーワードの中に、企業の取り組むべき課題として、SDG’s(Sustainable Development Goals)やCSV(Creating Shared Value)が織り込まれている。
私たちが今まで個々に進めてきた様々な取り組みを情報として集約共有し、土木界全体を巻き込んだ運動へと発展させることで、市民社会への距離を近づけるとともに、その社会的課題の解決に土木界の持つ専門力を活用して具体的に取り組む活動を進めたいと思う。
現在私たちが取り組みつつあるのが
●CNCPにおける「土木と市民社会をつなぐ事業研究会」
●土木学会教育企画・人材育成委員会シビルNPO推進小委員会における
「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」
の発足である。その具体的な活動はこれからであるが長年の懸案であり、今後の息の長い運動として、大きく広がることを期待しつつ進める所存である。
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共通価値の創造(CSV)とは

世の中の社会課題を本業で解決するCSV事業

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第3回となるCNCPサロンは、12月11日(火)17時20分から神田錦町の「ちよだプラットフォームスクェア」で、野村総研の西尾紀一氏を講師に迎えて、CSVについて解説していただいた。
CSV(共通価値の創造=Creating Shared Value)というコンセプトは、2011年にハーバード大のマイケル・E・ポーター教授により提唱された。企業活動において、社会課題の解決と企業の利益創出を両立させて、企業に新たなビジネスチャンスをもたらそうというものである。社会的価値と経済的価値は企業活動において離れていると思われていたが、重なる部分もあり、そこをCSV活動領域=共通価値が創造される領域ととらえる。

社会課題に対応することで社会的価値を創造し、同時に経済価値も創造できるアプローチである。これは、慈善活動ではなく、あくまでも収益モデルを持つ事業として取り組むことで創造される。CSR(企業の社会的責任)が社会に負の影響を及ばさないようにする予防=守りの取り組みに対して、CSVは事業を通じた社会課題解決活動=攻めの取り組みといえる。
CSV事業の国内事例として、伊藤園の茶産地育成事業(コンセプト:産地と伊藤園の共栄、背景:茶葉の需要増大なるも茶農家の減少、実施した活動:契約栽培と新産地事業)が紹介された。ここでの共通価値は、■社会的価値:農村部の地域振興(農業発展)、担い手不足の解消 ■企業にとっての価値:国産茶葉(原料)の安定供給、品質向上、とのことである。
つぎに講師より、国家レベルの課題「増大する国民医療費」の対応として、企業の健康経営(健康管理を経営課題としてとらえ、従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上をめざす経営手法)とCSVをからめてアプローチする概念図が提起された。
今回、なじみのない概念であったCSVの概略を教えていただいて、我われNPO活動に携わるものとして、社会貢献のあり方についてより多面的に知ることができた。私事であるが、筆者の属する団体は事業型NPOとして活動してきたが、CSVと競合ではなく協働できることもわかった。
一方で、事業として取り組む企業の信用と信頼をえるために、我われも実績をあげ組織を整えなければならないと思った。
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展示会出展『社会インフラテック2018』

主  催 インフラメンテナンス国民会議・日本経済新聞社
開催日時 2018年12月6日(木)〜8日(土)10:00〜17:00
開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明)


うなぎ完全養殖インフラ整備事業研究会では、うなぎの持続可能社会を目指し、今年の4月から「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI(Sustainable Eel Farming Infrastructure)」として一般向けに情報発信を始めています。その一環で、『社会インフラテック2018』の自治体・団体・アカデミックゾーンに出展しました。
本展示会は『エコプロ2018』と併設されており、3日間で16万人を超す多くの来場がありました。会場内は、SDGsをキーワードに環境に配慮された製品・サービスの発表が目立ちました。SDGsに関わる市場創出は1,320兆円と試算されており、17の目標と169のターゲットを指針とした技術開発がビジネスの課題になると主張されています。なかでも大きな部分を占めるのは、「エネルギー」と「素材」の分野。如何に再生可能なエネルギーと素材を使って社会を構築するか。その命題に多くの企業が真剣に向き合っている空気を感じました。
『社会インフラテック2018』においては、公共インフラの老朽化対策の最新技術・ノウハウから、IoT、AI、ドローンを活用したインテリジェント・インフラまで、幅広くインフラメンテナンスの最前線が紹介されました。CNCPも参画しているインフラメンテナンス国民会議のブースでは、国内のインフラメンテナンスに係る優れた取り組みや技術開発を表彰する「インフラメンテナンス大賞」の受賞例を紹介しており、インフラの持続可能性に対する来場者の関心を高めていました。
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▲「エコプロ2018」と併設された「社会インフラテック2018」には多くの来場者が訪れた


うなぎが絶滅危惧種に指定されてから早4年が経ちますが、日本人のうなぎへの危機感は未だ低いように思われます。うなぎの生態系と食文化を守るポイントは、@天然うなぎ・稚魚の保護、A完全養殖の実用化、B河川・沿岸などインフラの整備とし、“うなぎを守りながら食文化を絶やさない世の中にしたい”と、本展示会のブースでも訴えました。幾人かは足を止めていただき、「うなぎの今後はどうなるのでしょうか?」と質問されたり、「このような新しいコンセプトが大事だ」と言っていただいたりしました。
国民の皆様にうなぎの現状を知っていただき、関心を持ってもらうことが第一歩です。これからもSEFI(http://sefi.jp)を中心に、うなぎの持続可能社会を目指して活動を続けて参りたいと思います。
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▲自治体・団体・アカデミックゾーンに出展したCNCP「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI」のブース

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〜JFMA公共インフラマネジメント連続シンポジウム報告(2)〜

(特非)社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(SLIM Japan)
副理事長 鈴木 泉
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前回に続き、JFMA公共タスクフォース主催、SLIM Japan(講師、パネリスト)、インフラメンテナンス国民会議市民参画フォーラム協力による公共インフラマネジメント連続シンポジウム後半2回の開催を報告する。このシンポジウムは、公共施設等総合管理計画を実行に移す際に参考となる知識や情報を取得できる勉強会である。講師による講演と続いてパネルディスカッション、会場とのトークセッションと全員参加型の連続4回の内容である。
第3回平成30年11月17日(土)は、「橋の調査・点検・診断の近未来展望(AIの活用)」をテーマとし、宮本文穂氏(山口大学名誉教授、SLIM Japan理事)より「橋の健康診断と余寿命推定」のタイトルで基調講演、続いて山中鷹志氏(元日本道路公団、SLIM Japan理事)、澤健男氏(元国交省)、窪田論(関西大学准教授)、浅野和香奈氏(日本大学研究員)、と4人のパネリストを加え、コーディネーター鈴木泉(SLIM Japan副理事長)の進行でパネルディスカッションを行った。講演では、公共インフラは大量に造る時代から維持管理によって長寿命化させる時代に変わった。橋梁などの構造物の現状を健康診断(評価・判定)し、必要に応じて治療・リハビリ(補修・補強計画)する「構造物のお医者さん」のようなシステムの構築が必要とする。既存のコンクリート橋を対象として、健康診断システム及び余寿命推定に至る一連の流れが実例を用いて紹介された。橋の基本構成と役割、そして劣化を引き起こす要因を正しく知ること。インフラドクターを育成する必要性、また日常的な排水桝の清掃の必要性を教育するなど。さらに今後AIを適用する前に、いろいろな要素を理解することなどが強調された。
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第3回基調講演


パネルディスカッションでは、「健全な維持管理をするために、何をどのように変えれば良いか。少し視点を変えて見るなど。」を論点とした。山中氏は、合理的な点検、分かりやすい評価法、保全・補修技術、管理手法の確立を強調し、中小市町村の広域組合(消防、清掃工場の例)を紹介された。澤氏は、「コンクリート構造物のマネジメント」の話題とし、最劣化が生む負の連鎖、補修後のトラブルについて、特に塩害対策について意見した。窪田氏は、「維持管理の日常履歴データをIT技術で効率化を目指す方法」土木工学と情報システムの融合について近未来の可能性を語った。浅野氏からは、市民協働事例として、インフラメンテナンス国民大賞受賞「みんなで守る橋のセルフメンテナンス福島モデルの構築と実践」を紹介された。一般市民でも橋の点検ができるチェックシートを作成し、活用することで地域での予防保全活動となった。また技術者も活用し、日本各地での点検・清掃活動と広がっていること。さらにインフラに対しての関心・愛着に繋がるセルフメンテナンスについて強調された。

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パネルディスカッション(話題提供)


会場からの意見:「複数年の包括契約は、新しい点検技術を加速させるのでは」「近接目視に変わる技術革新も必要だが、全橋点検の見直しも必要では」「橋も人も寿命がわかれば、何をすべきか考える」「橋のセルフメンテナンスは、まさに予防保全モチベーション向上策」など、新たな視点での意見が多く出た。今回のシンポジウムでは、橋の維持管理など具体的な内容を取り上げて地方インフラの現実の状況を知り、見えなかった問題解決の方向性が共有できたことが大きな成果だと思う。
第4回平成30年12月15日のシンポジウムは、「民間セクターの活用」民間資金PPP/PFI事業の活用をテーマで開催された。基調講演では、海藤勝氏(英国仲介士、SLIM Japan理事)より4つの、1)官民パートナシップ事業スキームの基本、2)公共セクターのコミットメント、3)リスク分担とVFM(バリューフォーマネー)、4)インフラマネジメントとインフラメンテナンスについてPFI事業の重要なところを分かりやすく海外実績から説明された。続いて、話題提供として国内事情「日本のインフラ投資ビジネスは今」、菅健彦氏(インフラビジネスJAPAN編集長)、「民間提案に有料道路事業の運営について」中川均氏(株虫ハイランドウェイ代表取締役)の二人のパネリストを加えパネルディスカッションとなった。

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第4回パネリスト紹介


菅氏は、「日本の公共インフラの投資は予想どおり鈍い。民間のインフラ投資特にエネルギーは活発であり、海外進出も予想外に多い。集客力のあるコンテンツを持つ民間が主導でそれを自治体がどう誘致できるか、民が官を選ぶ時代」と。中川氏からは、「道路を買収し、地方自治体の抱える課題と同じ諸問題を一つずつ解決してきた。地域協働ワークショップからサービスレベルを設定し、維持管理コストを見える化し、スタッフ全員のコストとサービスの意識を高めた」など、マネジメントの実際を紹介された。現在の課題「何が問題か、解決にヒントは」の議論の中で、公共セクターのコミットメント(事業化の環境作り)財政支出・VFMの明確化があって民間セクターに競争意識が出ること。リスクを負えるコントラクターの資質・資格の有り方について強調された。「VFMの定義があいまいだ」「メンテナンスをきちんとすれば、アセットの価値は保たれる」の意見。続いて地方公共にどう活かせるかについては、まず、「PPP/PFI推進アクションプラン概要」を共有してから議論した。「まず政府がイニシアチブを取りコミットメントすることが重要」「国内の小さいパッケージにどうつなげるか」など。
また会場とのトークセッションでは、「ハコモノに比べ道路等のインフラはリターンがわかりにくい」「政府が具体的にどうコミットメントすれば良いか」「首長のやる気・覚悟がないと職員の意識は上がらない」など多くの意見が交わされた。第4回目は、まさに公共インフラの現状を知り、FM活動をいかにマネジメントに活かすためとして最終に相応しいシンポジウムになったと思う。
既に参加者アンケートからも、大きな評価を頂いているので、この4回の連続シンポジウムの成果を更なる活動として次に繋げて頂くことを期待したい。

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全員参加のトークセッション
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地方創生のキーワード “元気なジィジィ、バァバァ”

(特非)シビルNPO連携プラットフォーム 理事
宇奈月観光大使
株式会社 熊谷組 社友・顧問
大田 弘
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“60年前に“過疎”、40年前には“中山間地”、そして20年前には“限界集落”という言葉が生まれた。高度経済成長の副作用として東京などへの一極集中が過度に進行し、この数年、地方創生が叫ばれているが、一筋縄では行かないようである。
少子化の進行に伴う人口減少によって、存続が困難になると予測されている自治体。「日本創成会議」人口減少問題検討分科会が、2040年までに全国約1,800市町村のうち約半数(896市町村)が消滅する恐れがある、と発表した。(2014年5月:通称「増田レポート」)

私の郷里・富山県では朝日町(人口:約1万人/森林面積85%/高齢化率42%)が消滅都市の“指定”を受けた。
この町は、貨幣的価値(大きな企業はない)や文化的価値(コンサートホールはない)は県内他市町村に比べ劣勢であるが、環境的価値(白馬連峰〜里山〜里海)や人間関係的価値が自慢である。そして、この町の標語・キャッチフレーズが「消えてたまるか!朝日町」である。
増田レポートを機に奮起した町民は様々な活性化運動(地元産の商品化、公民館活動の復活など)を行っており、少しずつではあるが、移住者が年々増加している。かつ移住者はすべて若者である。
彼らに移住を決意させた理由は「元気な、(彼らに言わせると)カッコイイ、ジィジィ、バァバァが一杯いた」ことだ。世話好きの方々が多く、いろいろと相談に乗ってくれ、応援をしてくれるとのこと。そんなことをやってもしょうがない!あれやるな!これはダメ!との注文は一切付けないとのことだ。

かつて、田舎の人間関係の複雑さや“ねっとり感”は若者を都会へと駆り立てる一因となったが、その反省を踏まえて?の“さわやか感”や“躍動感”を感じさせる新たな人間関係的価値の創造が功を奏しているようである。
将来、農山村に暮らしたいと考えている60代、70代の熟年層は20%、20代、30代の若者では50%とのNHK他の調査結果がある。この若者の志向は東日本大震災以降、増加傾向にあるという。かつて地方から東京に出た世代は都会での永住を決め込んでいるが、その子供たちの農山村志向、つまり“孫ターン”が増えてくるとの指摘がある。
成熟社会を迎え、生き方の物差しが我々の世代とは異なり多様化してきている。いろんなことがきっかけでその土地に惚れた若者の中には、その地で自ら創業し雇用を生み出す変わり者も出てきている。

全国各地の農山村の実情に向き合い、地域の人々の声に耳を傾けてきた明治大学教授 小田切徳美氏は「都市農村共生社会の創造」を提起している。
同氏によれば、戦後の高度成長期以来続いた「キャッチアップ型の開発主義」からの脱却という非常に大きな流れの中で「田園回帰」の変化があり、分水嶺・分岐点に来ているという。また、地域の価値をネガティブに捉え、人の悪口や陰口などに終始している農山村・地方には、移住者は行かず、“地域の価値”に気付いたところに移住者が入ってくるという。

国家や地域、人は本質的には多様である。経済効率や経済成長を優先するあまりに、多様であるべき文化や価値観があくなき利潤を追求するグローバル市場になぎ倒され、様々な矛盾が顕在化してきているのではないか?地方創生や一億総活躍、女性活躍などの目的が経済再成長を促すためではなく、それぞれが、かけがえのない人生を送れる価値観(多様な座標軸)を持てる国へと豊かさの質を転換するための方策であってもらいたいと思う。

成熟社会は一見、多様化を実現しつつあるようにみえる。
しかし、それが目先の経済的な損得に重きをおいた無味乾燥な「個人化」の進展であれば、幸せとはほど遠い社会が到来する。
多様な価値観とは何でもありではない。それぞれの判断で人生を設計し、それぞれの責任で歩まなければならない。それは決して容易なことではない。これまで先人たちが力を合わせて築き上げてきた智慧から学ぶことの大切さを思い起こしつつ、社会全体での約束事(利他心/道義心)を土台とし、そのうえで個々人の価値観を際立たせることができる社会を目指すべきではないだろうか。
まさに“多様性”が地方創生の追い風になるような気がする。期待もこめて。

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涅槃団子作り(中央が筆者)

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囲炉裏体験学習(黒部市農村文化伝承館)
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改めて「土木は市民工学」

(特非)シビルNPO連携プラットフォーム
代表理事 山本 卓朗
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明けましておめでとうございます。
一昨年からCNCP活動の見直しを行ってきましたが、NPOとしては、より市民に近い立場で土木の活動をみていくべきだという議論になり「土木と市民社会をつなぐ」というテーマを基本に据えることにしました。そして、土木、どぼく、土木工学、シビルエンジニアリング・・・などについて意見を交わす機会も増えています。
平成30年5月のCNCP通信から巻頭シリーズで、土木学会広報センター次長の小松 淳氏の執筆になる「土木ということば」を連載しています。土木という言葉のルーツとして、中国春秋時代の淮南子にある“築土構木”がしばしば引用されてきましたが、辞典でほんの数行でしか書かれていない土木・どぼく項目でその本質を説明することはまったく不可能であり、あらためて土木の言葉のルーツ探しをやってきた詳細な成果がコンパクトに報告されています。今回シリーズはごく少ない字数でさわりのみの記載ですので、難解な漢字の羅列になっていますが、いずれ解説付きの論文が出されるものと期待しています。
さて違った観点から土木・土木工学を見てみますと、ローマ時代のインフラ整備はほとんどが軍事目的であり、「すべての道はローマに通ず」というのも軍用道路にほかなりません。時代が進み、上水道などのインフラは、市民生活のためにつくられるようになっていきます。すなわち軍事工学military engineeringに対する非軍事工学civil engineeringの誕生です。その後ヨーロッパの学問が進む中で、civil engineeringから冶金、金属、電気、機械、化学などが次々に分化していきました。そのなかで土木工学はcivil engineeringを継承してきました。こういう歴史から土木の先人は、工学のルーツである土木の総合性を誇りとして、工学の細分化がもたらす弊害を諌めています。土木学会の初代会長古市公威は、学会設立時の訓戒として「余ハ極端ナル専門分業ニ反対スルモノナリ」と述べたと言われています。このような歴史を考えたとき、土木工学すなわち市民工学である、と言い切っても良いのではないかと思います。
現実に私たちが取り組んでいる土木工学分野も、土木学会に数十の調査研究委員会があるように、限りなく細分化していきますが、“土木のもつ市民社会との本質的なつながり”をしっかりと認識して行動すべきだと改めて考えたいと思います。
本年も引き続き、皆さまのご支援よろしくお願いいたします。
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−初級ファシリテーター養成講座開講−

(特非)CNCPサポーター インフラメンテ研究会
(特非)社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会理事
足立 忠郎
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1.講座の主旨
インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムにおいては、「日常的に市民と行政がインフラメンテナンスに関わっている」ことを目標に活動している。下部組織のWG-2「協働コーディネートWG」では、@インフラメンテナンスに関わる協働を全国へ展開する実施計画の作成、Aファシリテーターの養成、B協働におけるプラットフォームの構築に関する活動を開始した。
上記活動の一環として、「初級ファシリテーター養成講座」を開催したので報告する。

2.第1回初級ファシリテーター養成講座の概要
・日時:2018年9月4日(火)12:30〜16:30
・会場:東京都市大学 渋谷サテライトクラス
・講師:世古一穂(NPO研修・情報センター代表理事、元金沢大学大学院教授、CNCP理事)
・参加者数:16名(民間:7名、官庁:1名、大学:5名、NPO:3名)
 主催:インフラメンテナンス国民会議
 共催:シビル NPO 連携プラットフォーム
後援:土木学会 教育企画・人材成委員会
協力:社会基盤ライフサクルマネジメント研究会
公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会
※土木学会認定 CPD(継続教育)プログラムである。

3.初級ファシリテーター養成講座の内容
最初に、アイスブレーキングを行った。アイスブレーキングとはワークショップの最初に行う、初対面の緊張感(アイス)を一気に壊して(ブレイク)いくゲームである。誕生日順に出席者が1列に並び、その順番でチーム分けを行った。メンバーが互いの誕生日を確認する過程で、自然と場が和んでいくことを感じた。
世古講師から、「参加のデザイン」「協働コーディネーター・ファシリテーター_」「市民参加の8つのはしご」などについて具体的な説明を受けた。市民参加の形態として、現状はお知らせや意見聴取などの「形としての市民参加」が多く、「市民の力が生かされる市民参加」までは至っていないという状況を理解した。
講義の内容の中から受講生の関心が高かった「市民セクターと行政セクターの諸相」について紹介する。
市民セクターと行政セクターの諸相の概念図
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A) 市民セクターが主体的に活動を行う領域
B) 市民セクターが主となり、行政セクターが支援する形で協働する領域

C) 行政セクターと市民セクターが対等の責任で協働する領域
D) 行政セクターが主となり、市民セクターが支援する形で協働する領域
E) 行政セクターが主体的に活動を行う領域
協働領域は図のように5つに分けられるが、NPOと行政の「協働」とは行政が一方的に”支援”するのではなく、互いに支援し合う仕組みであることを理解した。
グループワークの最初のテーマは「Wish Poem」。インフラメンテナンスの望ましいイメージについて、各メンバーが1行の詩を作成し、次にチームごとに各メンバーの詩を繋ぎ合せて一つの詩を完成させた。作業を通じてメンバー間で、課題の抽出、数回の合意形成、情報共有を行うことができた。
二番目のテーマでは、ワークショップやファシリテーターに関する疑問点をチームごとにまとめた。写真のように、3階層程度に構造化することがポイントである。構造化の作業を通じて他のメンバーの考えを理解し合意することができ、チームの考えをワークシートにわかりやすく表現することができた。

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講義の様子1


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講義の様子2


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グループワークの様子


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階層化されたワークシート


4.まとめ
受講者からは、「住民と行政の関係の話は、目からうろこでした。」「上のレベルの講座に興味がある。」などの声が聞かれた。
協働の考え方や、ファシリテーターの技能は1度講座を受講しただけで習得できるものではない。初級ファシリテーター養成講座の習得目標レベルは毎回同一であるが、内容が毎回異なるため複数回受講しても新鮮な感覚で受講できる。より深く学びたい方や、十分に内容を消化しきれなかった方へは複数回の受講をお勧めしている。また、より高いレベルの講座開催も計画している。

5.開催実績と今後の予定
第2回初級ファシリテーター養成講座:11月2日(金)開催済
第3回初級ファシリテーター養成講座:12月14日(金)開催済
第4回初級ファシリテーター養成講座:1月26日 開催予定
中級ファシリテーター養成講座の開催を計画中である。受講資格は初級を受講済みであること。
さらに上級コースでは協働コーディネーターを養成する。
協働コーディネーターとは、参加型協働社会を拓く新しい職能である。
協働コーディネーターの役割は次の3つがある。1つ目はファシリテーター、2つ目はコーディネーター、3つ目は協働性の評価をするアセッサーである。
関心のある方の積極的な参加をお願いいたします。
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桑名市における「アセットマネジメント」の取り組みについて

(特非)シビルNPO連携プラットフォームサポーター
桑名市長 伊藤 徳宇
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桑名市は、三重県の北部、名古屋市の中心部から約25qの圏内に位置する人口約14万人、面積は136.68㎢ の都市です。
伊勢湾へと流れる木曽川・長良川・揖斐川の三大河川の最下流部にあり、これらの河川に沿って広がる平野部や、養老山地から連なる多度山など、水と緑豊かな、恵まれた自然環境のもと発展をしてきました。
本市は、近鉄名古屋線とJR関西本線が並行して走り、桑名駅を基点として、岐阜県大垣市へつながる養老鉄道や、いなべ市へつながる三岐鉄道北勢線といった鉄道があり、地域の公共交通の拠点としての役割を担っているとともに、東名阪自動車道や伊勢湾岸自動車道、国道1号、23号、258号などの広域幹線道路が市内を通っており、インターチェンジが5か所あります。このように地理的優位性が高く、全国各地からもアクセスがしやすい交通・交流拠点となっております。

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【秋期に発生する落葉】


また、三大都市圏を中心とする人口急増に対応するため、昭和40年代後半から、市の西部丘陵大山田地区の大規模な土地区画整理事業等により、ニュータウン住宅地が整備されてきました。しかしながら、近年における本格的な少子高齢・人口減少社会の進行は、ニュータウンにおいて顕在化しつつあり、さらに計画的に整備されたインフラの老朽化が一斉に進行し、その維持管理が費用面・人材面ともに大きな課題となってきております。特に街路樹については、「自然環境との共存」、「みどり豊かなまち」を分譲コンセプトに約5,000本の樹木が配置されており、植樹から数十年が経過するなか、巨樹古木に生長しており、秋冬期における大量の落葉や「根上がり」による植栽枡・歩道の損壊などが生じており、維持管理費は年間で約62,000千円にも及んでおります。

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【街路樹の成長に伴う植栽枡の破損】


このような状況の中、本市においては平成28年度より、大山田ニュータウンをモデル地域とし、道路施設の長期的な維持管理、更新を行うためのマネジメントシステムを構築する研究事業として、公益社団法人土木学会技術推進機構が実施するアセットマネジメントモデル事業のご支援を頂き、街路樹維持管理の適正化に向け、「将来のまちづくりに対応するサービス需給の適正化」、「ステークホルダーの役割再編」、「社会実装に向けた方策及びその適用手順」を明確にすることを目標に住民協議会を開催しております。地域の発展経緯や当時のまちづくりコンセプト、人口構造と推移を整理し、「良好な住宅地としての課題」を浮き彫りにするとともに街路樹の緒元情報や維持管理(予算・方法・頻度等)の実績、地域住民からの苦情と対応状況に関する特性を分析しつつ、現状の維持管理に対する地域住民の評価(景観の維持・住民協働)を明らかにしてきました。その結果、公園、学校及び法面緑地と重複している区間における街路樹の間引き、下枝の剪定と植栽桝除草等は地域住民で上枝の剪定、車道側の低木管理は市で行う等、行政と地域住民との役割分担が進んでおります。

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今後は、地域住民が主体となって造園事業者やまちづくりの専門家等を「アドバイザー」に加えた「地域プラットホーム」を形成することにより、地域の主体的な取り組みによって街路樹維持管理の適正化が進むことが期待されるとともに、地域で生活する人たちや地域の各種団体が、それぞれの持つ知識や経験、情報やネットワークの共有化を図り、地域が本当に望む“まち”の実現を目指す、本市の地域コミュニティ施策【地域創造プロジェクト(案)】と一体的に進めることで、市民と行政のパートナーシップをより強固なものへと発展させ、持続可能な地域のまちづくりへとつなげていきたいと思います。
また、本市におきましては、社会的課題、地域課題の解決を目指し、民間事業者等と行政の対話により連携を深め、互いの知恵とノウハウを結集して新たな解決方法、新たな価値を創出する公民連携ワンストップ窓口「コラボ・ラボ桑名」を設置しております。
様々な分野において、ユニークな発想やアイデアによるご提案をお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
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都市再生推進法人『株式会社まちみとラボ』

(特非)シビルNPO連携プラットフォーム理事
(NPO法人茨城の暮らしと景観を考える会 代表理事)
三上 靖彦
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水戸のまちなか再生を目的として、平成28年11月1日に仲間たちの出資で設立されたまちづくり会社『まちみとラボ』。その設立経緯や狙いなどについてはCNCP通信Vol35で紹介させて頂いた。その後の2年間、地方創生推進交付金を活用し、様々な事業に取り組んできた。その概要と今後の展開についてお伝えする。

1.まちなかの新しい『可能性』を求めて
私たちはまず、水戸のまちなかを徹底的に調査した。スモールエリアごとの地域特性や、ヒト・モノ・コトの流れ、傾向等を調査し、新しい『可能性』を探した。さらに、空き店舗や空き地の活用可能性を見据えた実態調査を実施するとともに、活用事業スキームの研究・整理も行った。
その上で、空き地を活用したマルシェ『ガンゲット』をモデル的に開催、多様な世代や市内外居住者の購買ニーズや新たに生まれつつあるライフスタイルの調査・分析を行った。一方でまちなかでの起業支援に向け、ビジネスプランコンテストを実施、優れた事業プランに対し、その実現に向け、事業者と物件オーナーとのマッチング、リノベーションによる店舗づくりを支援した。
さらに、水戸での新たなライフスタイルや空間利用の在り方を提案する、タブロイド判のプロモーション冊子を創刊、webサイト『TRIX MAG』もスタートした。

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2.まちなかでの起業支援『まちで起業スクール』の開催へ
各種調査や事業を踏まえ、現在、これらを統合した事業の準備を進めている。それは、空き店舗等の物件情報提供や空き店舗ツアー、さらに出店意欲のある若者を対象とした講演会やコンテストの実施、そして優れた事業プランの実現に向けてのオリエンテーション、リノベーションによる店舗づくり、経営支援までを一貫してサポートしてゆく『まちで起業スクール』の開催だ。

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3.新たな拠点『M-WORK』づくり
この「まちで起業スクール」の拠点となるのが『M-WORK』。多様な形態・規模に対応した新規創業者の支援を図るためのインキュベーション空間を、水戸のまちなかに整備。水戸出身で新進気鋭の若手起業家・須田将啓氏(エニグモ代表)らとのコラボレーションで実現した。
敷地面積は440平方u。地下1階に黒板やプロジェクターなどを設置したイベントスペースを、1階には茨城初上陸となるカフェ「BYRON BAY COFFEE」が出店。2階と3階はコワーキングスペースとして運営し、会社登記やバーチャルオフィスとしての利用も可能。屋上にはテーブルやソファなど、多目的利用スペースを設け、施設を利用する人が交流できる場としても提供する。

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4.水戸市から『都市再生推進法人』に指定
設立からちょうど2年を経過した平成30年11月1日、まちみとラボは、水戸市から都市再生特別措置法に基づく『都市再生推進法人』に指定された。
都市再生推進法人とは、まちづくりに関する豊富な情報・ノウハウを有し、運営体制・人材等が整っている優良なまちづくり団体に公的な位置付けを与え、あわせて支援措置を講ずることにより、その積極的な活用を図る制度。都市再生推進法人には、市町村や民間デベロッパー等では十分に果たすことができない、まちづくりのコーディネーター及びまちづくり活動の推進主体としての役割を果たすことが期待されている。
「都市再生推進法人」の指定は、設立当初からの目標の一つであった。当時は指定要件に「株式会社は、市町村の3%以上の出資が必要」とあり、水戸市からの出資を仰ぐべきか悩んだが、活動の自主性を考え、100%民間出資でスタートした。その後この要件はなくなり、結果的に正解だった。

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5.厚みのある裏通り『裡ミトづくり』の取り組みへ
都市再生推進法人の指定を受け、活動の幅は一層広がり、公共施設の管理のみならず整備にも主体的に取り組むことが出来るようになった私たちの今後の取り組みとして、『裡ミトづくり』を考えている。「実現性は低いが夢がある」との講評を頂いた「CNCPアワード2017」ベスト・アイデア部門の奨励賞事業『新市民会館周辺公園化構想』の具体化である。来年度から地域の方々と共にその実現に取り組み、近い将来、ベスト・プラクティス部門にノミネートしたい。

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東名高速道路「あおり運転」事故判決に思う

(特非)シビルNPO連携プラットフォーム 法人正会員
特定非営利活動法人 道路の安全性向上協議会
専務理事 吉川 良一
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1.判決内容
2017年6月5日に起きた東名高速道路「あおり運転」事故で、横浜地裁は12月14日、自動車運転死傷行為処罰法で定められた危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役18年の判決を出した。
この判決には、全く異議は無いものの、判決理由の中で、高速道路上の停止させる行為が、危険運転には当たらないとするところは、全く間違っており、決して納得できるものではない。
危険運転致死傷罪には、構成要件が6つあり、今回はその内の「走行中の車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」を適用した。判決では、妨害運転や停止等が実行行為には該当するが、高速道路上で停止することが、衝突により大事故が生じる、または回避することが困難な速度とは認められないとした。これは、高速道路と一般道路を混同した明らかな間違いである。また、判決では、もう一つの争点である被告人の運転行為と被害者の死傷との間には因果関係があるとし、危険運転致死傷罪が成立するとしたが、これは極めて妥当な判断である。

2.高速道路上での停止は、最も危険な運転
高速道路で停止することが、いかに危険な行為であるかは、図-1の「平成29年NEXCO中日本管内交通死亡事故件数」を見れば分かるように、死亡事故の3割強が対停止車両である。死亡事故の形態では、最大値を占めている。

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しかも、今回の事故は、交通量の極めて多い東名高速道路の片側3車線の追越車線に無理矢理、停止させられたことにより起きている。更に、夜間であったことを考えれば、後続車が追突を回避することは不可能に近いと思われる。
従って、高速道路上に時速0で停止させる行為が危険運転に当たらないとするのは、実態を全く理解していない誤った判断であると言わざるを得ない。

3.高速道路は止まると危険!
警察庁では、高速道路と普通の道路との違いを、高速道路における緊急時の3原則「@路上に立たない A車内に残らない B安全な場所に避難する」として、高速道路で車を止める危険性を示している。
当NPOでも、交通安全の啓発に関する講演会、研修会を年間10回程度行っている。その中では常に、事故や故障等で、高速道路上に停止せざるを得なくなった時の危険回避の心得を、次の資料を用いて説明している。

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