2019年02月01日

(特非)シビルサポートネットワーク:CSNシンクタンク事業

近年、地方創生など地域には独自の発想や行動力が求められる局面が増えています。地域の諸問題に取り組むサードセクターとしてNPOに寄せられる期待は大きなものがあります。その期待に応えるためにはボタンラリーな活動では限界があり、事業としての取り組むことで地域社会での役割を果たすことが出来るのではないかと考えます。すでに営利型企業としてのシンクタンク組織は数多く存在しておりますが非営利型のシンクタンク組織は少なく特に建設分野に特化した地域の諸問題に取り組む専門のシンクタンクは多くありません。NPO法人シビルサポートネットワーク(CSN)は建設分野出身の中立公正な専門技術者集団として中央大学土木同窓会を母体に2004年に設立されました。創設以来、多くの社会的な課題をシンクタンク事業として取り組んで来ました。今後とも広く会員の皆様の人脈を通じて業務実績を積み重ねて参りたいと願っております。
【政策提言】
●平成16年度環境省政策提言提出 ●千葉県中央地域畜産環境改善構想の策定(農水省)
●吉川新都心構想の提案 ●中川を活かしたまちづくり構想
【技術評価業務】
●日本政策投資銀行からの技術評価業務委託
●日本政策投資銀行からの特殊緑化市場調査業務委託
【研究会主催】
●企業価値向上のための防災投資促進研究会 ●BCPにおけるリスク研究会
●共創プラットフォーム事業化研究会
【BCP策定指導】
●中小企業向けBCPセミナーの開催 ●東埼玉テクノポリス協同組合BCP策定指導
●熊谷流通センターBCP作成指導 ●埼玉県南卸売団地組合BCP作成指導
●エイジェックグループとBCP支援業務委託
【バイオマス活用推進】
●太田市バイオマスタウン事業化計画策定業務●南魚沼市バイオマスタウン構想策定業務
●南房総市資源循環地域構想書策定業務 
●某企業とバイオマス活用推進アドバイザリー契約
【地元での活動】
●中間支援組織の設立協力 ●自治基本条例学習会開催協力 ●コミュニティ・アクションカレッジ講師派遣 ●自治体に出前研修講師派遣 ●まちづくり未来会議開催協力

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事業化推進部門

事業化推進部門の活動方針とこれからの取り組み

シビルNPO連携プラットフォーム 常務理事 辻田 満


CNCP活動において「土木と市民をつなぐ」活動は様々あると思います。しかしながらCNCPとしての限られた資源(ヒト・モノ・カネ)をベースに活動するためには活動のベクトルを明確に定めて行くことが必要と考えます。
NPOは社会的課題を自発的に取り組む組織であり、その活動種別は大きく分けて@慈善型NPO A市民型NPO B事業型NPOと3つに整理されております。CNCPは発足当初から事業型NPOとしての活動形態を目指して創設されました。とくに事業化推進部門では前身の建設系NPO連絡協議会における試行事業から得た知見を踏まえて、CNCPをプラットフォームとして行うことが可能となる事業を立ち上げていくこととしました。また、対象とする事業はボランティアではなくソーシャルビジネス(SB)としての事業性、革新性のある事業の立ち上げに取り組んでいるところです。また、SBに加えて新たに企業の共通価値の創造(CSV注1)活動を支援する事業に取り組みます。CNCPとしてはこの方向性は今後とも変えることなくより明確に活動していくべきと考えます。
見直しワーキングにおいてCNCPの活動を市民社会と建設界の課題解決を図るため、「土木と市民社会をつなぐ」というミッションを明確に打ち出しました。これは、従来の建設界の「官公庁+建設企業」という二極構造に加えて、シビルNPOが「市民社会」をつなぐ「新たな第三極の役割」を果そうという取り組みです。つまり、この取り組みは、@市民利益+A建設界の評価+BシビルNPOの「核心的な収益」を確保したい・・・という「三方良し」の実現を目指すものです。
これは、従来のソーシャルビジネス(SB)および企業の共通価値の創造(CSV)の更なる進化した事業活動であり「ビジネスモデルの変革」を想定しています。CNCPは「土木と市民社会をつなぐプラットフォーム機能」を担い、サービス・プロバイダーの役割を発揮すべきと考えています。
事業化推進部門における「土木と市民社会をつなぐ」とは具体的にシンクタンクチームを統括して、事業化のための研究会を立ち上げるとともに、建設分野における社会的課題解決を図る事業(特にソーシャルビジネス(SB)および企業の共通価値の創造(CSV))の顕在化を図る活動を推進していくことと捉えております。シンクタンクとしての機能を十分発揮して社会的事業の発掘と提案を行い、建設企業などとの連携による事業化の研究に取り組みます。賛助会員企業との更なる連携強化を今後積極的に図って参ります。

注1:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。12月11日(火)第3回CNCPサロンで講師に野村総合研究所の西尾紀一氏をお招きして「共通価値の創造(CSV)とは―CSVを判りやすく解説するー」をご講演頂きました。第3回サロンの報告はCNCP通信Vol57に掲載されておりますので是非ともご一読下さい。また、2019年2月からCSVをメインテーマとして取り上げた「土木と市民社会つなぐ事業研究会」を立ち上げました。詳しくはホームページをご覧ください。
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都市交通体系のSDGs的評価(シドニーと京都の例)

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シビルNPO連携プラットフォーム個人正会員
(NPO法人SLIM Japan 顧問)有岡 正樹


CNCP通信Vol.44(2017.12)〜Vol.56(2018.12)の計13回に分け、「シドニー視察旅行記」と題して連載してきた(通信[アーカイブf.] でpdf版一括ダウンロード可能)が、日本でのインフラメンテに関する研究が主として道路や橋であったことから、視察対象のほとんどがそれに関する施設であった。ただシドニー地域では、都市交通として今一つ重要な鉄道なども最近大きな変革を遂げているので、その視点で番外編としてシドニー市内のライトレール事業の現況等について、その建設の進め方やそのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にかなった都市形成のオーストラリアと日本の考え方の差などを視点に、その後調べたことに触れておきたい。
1.シドニー市街地メイン道路の再編
(1)ジョージ・ストリート: George St.)の例
シドニー中心街(CBD:The Central Business District)は、右地図の上部左側の入り江ダーリンハーバーと、右側の王立植物園やThe Domain、Hyde Parkなど緑色部分とに挟まれた東西約1km、南北約3.5kmの碁盤の目をした地域であり、その中央部を縦貫するメイン道路がジョージストリートである。その通り沿いにはタウンホールやクイーンヴィクトリアビルディングなどの歴史的建物や、多くの高層ビル・ホテル、さらには商店などが立ち並ぶ、市内で最も混雑する片側2車線の交通の要所である。我々もそうだが、シドニーを訪れる国内外の人々にとっては、ごく日常的に訪れる通りである。

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シドニー市近郊を循環するライトレール・ルート

この道路には、20世紀終わりにその西側にある上述のダーリングハーバーというカジノホテルを含む一大観光施設と都心とを結ぶモノレールが建設され、オーストラリア建国200周年を記念して1988年に開通した。その頃建設会社社員としてシドニーに駐在していた筆者も、受注活動に加わ ったが足元にも及ばなかったのを憶えている。歩道脇にI型鉄骨で造作された支柱と軌道桁という何の変哲もない構造で、その上を右写真に示すような7両連結のモノレールが走っていたのを時折利用もした。事業費は我々の見積もった半額以下であったろうか。ただ、この路線は需要の見通しが大きく外れたこともあって,2013年には廃線、施設撤去となったので、わずか25年の命であった。

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撤去されたシドニー中心部のモノレール

一方そのジョージストリートの地下には、郊外から市内に 繋がる近郊路線が集結するインナー・ウェスト・ラインと称する鉄道が走っており、間違いがいなくシドニーの動脈であることが分かる。

(2)進展するシドニー中心街及び南東延伸ライトレール
本ライトレールはThe CBD and Southeast Light Railと称される路面電車で、上述のモノレール撤去に相前後して2012年にルート決定、2014年に着工している。ルートは、前頁地図に朱線で示すように、CDBの北端であるサーキュラーキーからジョージストリートを南下しRAWSON PLACE駅で左折、CENTRAL STATIONを経て南東に進み、途中More Park北で500mほどのトンネルを通過したのちNSW大学に至ることになる。全長12km、停留所数19の大事業である。
この路線の特筆すべき点はジョージストリートの大改造で、車道2車線に相当するライトレール軌道以外は拡幅された歩道のみとして、原則として車道を無くいするという計画のようである。2015年にシドニーを訪れた時には、その建設工事が始まっていた。何よりも驚いたことは、そのCBD部の工事において車道部をフェンスバリケード等で車線部の全幅員を固定占用して、電線他地下埋設施設を最新の技術体系に沿って更新しながら、軌道工事を行っていたことである。いわば銀座通りを全線封鎖して、といったことになる。ちなみに本事業もスペインの企業によるPPP事業で内なる国際化は堅調である。

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CBDの車道部を全幅占用しての路上工事

(3)パークストリート下のクロスシティトンネルによる通過交通対応
 これは上記ジョージストリートのライトレール事業より時期的に早く、PPP有料道路事業の一環として2005年8月に開通した2.4kmの片側2車線の自動車専用の道路トンネルで、シドニー市内の東西に通過する車両を対象としている。したがってこれまで地上のパークストリート利用していた交通量が、このトンネルに分散されることにより減少することから、その分ここでも地上の歩道が広げられている。ただ、結構高い通行料を設定しており交通量が想定の半分程度で採算が合わず、これまでに2回財政破綻、事業者変更を経ており、PPP事業としては失敗の例として知られている。

2.京都四条通の例
上述のようにシドニーのCDB道路網は碁盤の目をしており、京都に生まれ育った筆者には親しみの持てる街として、今でも渡豪時には多くの時間を過ごす。京都でいうとジョージストリートは烏丸通(地下鉄路線)、パークストリートが四条通(阪急路線)ということでどちらも文字通りメイン道路になる。
そしてこの内の四条通は京都一の商店街で、わずか1kmの間に百貨店3店舗他、専門店、オフィスビルなどが並ぶシドニーでいえばジョージストリートに当たる。その四条通は片側2車線の車道と繁華街にしては狭い歩道の道路であったが、この車道各1車線を歩道に変えるという歩道拡幅工事が、2012.11〜2013.10の約1年をかけて断行された。16カ所のバス停を「テラス型バス停」と称して4カ所に集約したりして、バスによる公共交通を主体にして一般車の通過交通量を減らすと同時に、歩道幅を倍旧以上に広げ観光産業躍進につなげようとの意図のようだ。ここ6年間で10倍にも及ぶ観光客を中心とした年間3千万人と訪日者の急増というインバウンド現象も重なって、大きな成果を上げているだろうことは想像に難くない。

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車道を付け変え拡幅された京都四条通の歩道

今年1月11日の日経新聞は、「本紙調査 持続可能な都市 京都市がトップ」との見出しで、この四条通りの歩道拡幅や、郊外に車を止めて公共交通を利用してもらうパークアンドライトに注力なども、その優れた評価の理由として上げていた。オーストラリアのSDGsのランキングは、石炭輸出等外への環境評価面で劣後しており高くないが、上記の例を含めこれからも新しい取り組みを期待したい。
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