2019年02月01日

CAFEO-36(シンガポール大会)参加

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シビルNPO連携プラットフォーム
法人正会員(NPO法人 シビルサポートネットワーク 理事)
出ア 太郎


昨年11月シンガポールで開催されたCAFEO-36に参加しました。今回はシンガポールのリゾートアイランド セントーサ島で行われ、そのテーマは“Engineering Rail Connectivity”と“Fostering Excellence in Engineering Education”の二つでした。セントーサ島は6月に米国トランプ大統領と北朝鮮金委員長が会談したことで世界の注目を集めました。この記念すべき場所で行われた大会の一端を紹介いたします。

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シンガポールの南 セントーサ島

1.CAFEOとは
CAFEO(Conference of ASEAN Federation of Engineering Organizations)は、非政府系組織による東南アジア技術者の交流大会で、構成10カ国が毎年持ち回りで開催しています。日本はオブザーバーとして参加していますが、他に常連国のオーストラリア、韓国なども参加しています。参加者は、原則現地集合・現地解散で、自費での参加です。
私は日本技術士会の一員として21回大会から連続して参加しており、今大会で16回目になります。

2.CAFEO-36
CAFEO-36は11月12日(月)から14日(水)までの開催でした。セントーサ島は、本島から約600m南に位置しています。東西約4km、南北約1.5km、面積約4.71km2で、政府の観光政策で開発されてきた島です。この島のあちらこちらにレジャー施設やアトラクション施設、ホテルが配置されています。そのホテルのひとつで米朝首脳会談が行われたのです。 
初日はRegistration と19:00からのWelcome Dinnerが予定されているだけでした。ほぼ1時間遅れで始まったDinnerで日本からの参加者と初めて顔を合わせました。主催者による歓迎スピーチの後、ステージで各国のパフォーマンスが行われました。このパフォーマンスはこれまでは最終日のさよならパーティで行われていたものです。日本は若い技術者が空手を披露しAKB48の曲で歌い踊っていました。

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セントーサ島

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日本のパフォーマンス

二日目から本格的なCAFEO行事が行われました。Opening Ceremonyの後、二つのテーマとWomen Summitが並行して行われました。翌日最終日はメンバー国のCountry Reportを加えて夕方まで続き、参加者のPresentationが行われました。参加者は各Room自由に出入りして参加できます。
最終日18:00からClosing Banquetが開かれました。各国伝統衣装での参加が求められます。シンガポールの伝統舞踊が披露され、AFEOメンバー国功労者の表彰、次回開催国インドネシアへの引継ぎが順次行われました。最後に若い技術者がステージへ上り、歌い踊って別れを惜しんでいました。

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参加者によるPresentation

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Closing Banquetでの交流

3.最近の状況と次回の開催
CAFEOでは組織委AFEOやFEIAPのミーティングも同時に行われるようになってきています。 FEIAP(Federation of Engineering Organizations in Asia and the Pacific)は、アジア太平洋地域のエコノミーにある技術士会(日本においては日本技術士会)の集合体です。ASEAN諸国が中心となり、その周辺エコノミーである日本、韓国、台湾、中国、オーストラリアなどを含んでいます。最近はナイジェリアなどアフリカ方面のエコノミーも参加するようになっているとのことです。
ASEANでは2015年末、加盟する10カ国が域内の貿易自由化や市場統合などを通じて成長加速を目指す広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(AEC)」が発足しました。当時で域内人口は欧州連合(EU)を上回る計6億2000万人、域内総生産が2兆5000億ドル(約300兆円)に達する巨大な経済圏です。投資、人の流れを自由化し、関税を撤廃して域内の自由貿易圏実現を目指しています。
次回は、本年 9月11日から 14日までインドネシアのジャカルタで開催されます。最近は学術的というより交流が主という感がありますが、技術者であればCAFEO-37のホームページから参加費を添えて申し込めばだれでも参加できます。今回、日本技術士会の青年組織から 25人もの若い技術者がCAFEOの若い人たちのプログラムYEAFEOに参加しました。このような交流の機会を踏み台に今後の国際的な活躍を期待したいものです。

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休眠預金について考える

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シビルNPO連携プラットフォーム
理事・事務局長 内藤 堅一


シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP)の事務局長をしています。CNCP通信を編集している立場ですが、急遽今月の巻頭言を書くことになりました。
今回は休眠預金について少し書いてみたいと思います。きっかけは、当NPOが入会している日本NPOセンターのメールマガジンVol.012(2019年1月31日)の見出しで「休眠預金という暴風がやってきて、NPOらしさが問われている」の記事でした。この記事はメールで会員及びサポーターに回付しています。
CNCP通信ではVol.46(2018年2月13日発行)のトピックスで当時の有岡正樹常務理事が「動き出した(略称)休眠預金等活用法」と題して1.法制化の経緯 2.活用の意義と仕組み 3.今後の方向 として取り上げています。毎年700億円程度になる休眠預金を民間公益活動に活用しようとするもので、「預金保険機構」から「指定活用団体」、「資金分配団体」を通して「民間公益活動を行う団体」に助成・寄付・出資を行うというものです。
前述のメルマガによると、現在の状況は「指定活用団体」の公募があり、1月11日に一般財団法人「日本民間公益活動連携機構」(JANPIA)が採択され、「資金分配団体」が公募されているとあります。
内閣府が2018年3月に発表した「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針」では、「国民への還元」「公共性」などとともに「革新性」、「成果」をあげることなどが強調されており、「社会的インパクト評価」で成果を測ることが定められています。「革新性」や「成果」をどのように解釈して反映するのか「資金分配団体」ごとの企画力が問われるところであり、「資金分配団体」を選定する「指定活用団体」の価値観が反映されるとあります。
「社会課題解決」の主体は多様化しており、もはやNPOだけがその担い手ではありません。休眠預金等活動制度によってその傾向はさらに加速するでしょう。そのような状況で、なぜ、NPOとして活動を行っていくのか。「NPOらしさ」とは何かが改めて問われています。寄付や会費などの支援性財源にこだわることが、これまで以上に重要な意味を持ってくるのではないでしょうか。というのが論旨ですが、「休眠預金という暴風がやってきて、NPOらしさが問われている」の演題と直接結びつかず、私には難しい問題です。
CNCPでは、2018年に初めて2件の助成制度に応募しました。結果が出るのは今年の春ですが、大きな活動をするためにはそれなりの資金が必要です。 CNCPが実施してきたアワードでもソーシャルビジネスとしての「革新性」を求めていました。
企画サービス部門では、「新たな財務基盤の構築」の検討が始まります。各部門が「革新性」、「成果」を意識しながら研究活動、インフラメンテナンスの支援方策などを考えていく必要があると強く感じています。
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第2回 防潮堤問題にみる土木と市民社会

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(元金沢大学大学院 教授)世古 一穂


●気仙沼のまちづくりに関わり15年
私は宮城県気仙沼市の市民参加のまちづくりに2005年(平成5年)から15年にわたって関わってきている。現在、市の「みなと気仙沼大使」を拝命している。が、当初のきっかけは気仙沼青年会議所の菅原昭彦さんから市民参加のまちづくりの勉強会、実践のコーデイネーターとして依頼されてのことだった。地域では高齢化、少子化と人口減少が進んでいる。住民のニーズは多様化し、地域の問題も複雑化している。
一方で、行政は早急な行財政改革を迫られ、すべてのニーズに応えることはますます困難になっている。こういう情勢の中でまちづくりを進めていくには行政へのお願いや要求、アリバイ的あやつり的な市民参加から「市民と行政が対等な関係で力を発揮し合える市民参加」への変革が、必要だと私は20代、30代の若い青年会議所のメンバーに力説した。
●土木に関する不信感
当初、菅原さん達若い人々の中には土木事業と行政への不信感が渦巻いていた。
「毎年毎年、東京のコンサルに依頼している様々なまちづくりに関する計画はほとんど表紙だけ変えればどこのまちでも使えそうな計画で、しかも、気仙沼は実際には人口は減少しているにもかかわらず、人口も、まちの財政も右肩上がりに書かれており、到底信頼出来ないし、それに基づいて実施される土木事業も補助金めあての意味のないものが多い。県や国の補助金に頼ったやり方では到底、市民が望むまちづくりにはならない。市民自らがまちづくりの主体として、計画レベルから参加し、もしくは計画を作っていきたい」というのが菅原さんたちの強い思いだった。私は彼らの熱い思いに応えることにした。
そして彼らには市民主体のまちづくりを実践するためにはコンサルなみの力量が必要だと釘をさし、3年間はみっちりと市民参加のまちづくりにむけての研修、実践を積み重ねた。
*まちを知るワークショップ
※ガリバー地図つくり
・4畳半か6畳大に地図を引き伸ばし、地図を床に広げその上に立って、まちづくりを、かんがえるワークショップの手法のひとつ。
※リアス12時間写真イベント
・2時間ごとに100地点で定点的に写真を撮り、港にそれを張り出して気仙沼の1日の動きを写真で実感するイベント
*21世紀の子どもたちへの写真展
・子どもたちに町のさまざまな場所で自分が写真を撮りたい場所て2時間に1枚写真を、とってもらい、それを海岸で時間軸で並べて写真展を行い、24時間の町の変化を実感する参加型ワークショップの方策の一つ
*気仙沼いいとこ探しツアー
・定期的な地域づくりコーティネーター養成講座〜これには多様な、市民や、行政職員も参加するしくみとしたし、市民参加をテーマとした行政の職員研修も世古が講師として、菅原さんたちがファシリテーターとして実施した。
そして2年目、3年目には行政計画である気仙沼市公共サイン計画を、私か主宰していたまちづくり会社で受託し、菅原さんたちと協働で仕上げることができ、気仙沼の各地に市民の思いのこもったサインや案内板が設置された。
●市民、行政、土木事業者との協働の意義
サイン計画の実施にあたっては市民、行政、地元の土木事業者の協働が実現し、それまで土木事業者と直接交渉したり協働したことのなかった市民側にも、また、市民に何が分かるか!と考えており行政の方にしか、目を向けていなかった土木事業者にも変化がおきた。また、それまでは上から目線で、土木事業者に発注、管理するのは自分たちだと考えていた行政も市民の底力に目を見開かされたと思う。
それから2011年3月11日まで気仙沼では地道な市民参加のまちづくりが展開され、食のまちづくり、スローフード気仙沼など、に官民一体となって成果をあげた。
●東日本大震災
2011年、戦後最大となる甚大な被害を及ぼした東日本大震災。2万人以上の死者を出し、多くの人々が身内や友人、そして住居や仕事を失った。あの日からもうじき8年。
東日本の被災沿岸部には巨大な防潮堤の建設が進んでいる。最大高さTP14.7m(TPと は東京湾平均海水面の高さを示す)、岩手から福島まで総延長約400km、総事業費約1兆 円。被災沿岸部の自然海岸を除いたほぼ全て の浜辺に計画され、当時、景観や環境、防災などをめぐり、住民間や住民と行政の間で激しい対立を巻き起こした。合意形成の困難さからコミュニティは大きく割れ、地域そして 各行政機関も大きな負担を強いられることとなった。

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気仙沼の海岸線に連なる防潮堤

●防潮堤問題
防潮堤計画は震災当初に遡る。2011年4月、内閣府が実施している中央防災会議は専門調査会を設置し、津波のレベルを 2つに分けた。発生頻度は極めて低いが、甚大な被害をもたらす最大クラス(今回の東日 本大震災クラス)の津波をレベル2(L2津 波)、発生頻度が高く、津波高は低いが大き な被害をもたらす津波をレベル1(L1津波)。L2津波においてはハードとソフトを総動員して生命を守ることを優先し、L1津波においてはハード(防潮堤など)によって生命と 財産を守る方針が示された。
東日本の被災沿岸部に計画された防潮堤の 高さは、連なった複数の海岸をエリアで区切り、そのまとまり(ユニット海岸)ごとに、最大となるL1津波のシミュレーションをかけ、さらにユニット海岸の中で津波の高さが 最大となる浜の高さを元に、せり上がりと余裕高1mを合わせて、ユニット海岸ごとに防潮堤の高さが一律に設定された。リアス式の三陸沿岸は地形的に波が集まりやすく、防潮堤の計画高はTP10m前後にも及ぶ巨大なものとなっていた。

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気仙沼海岸から遠く離れた
内陸部に移転した家々

2011年9月、地元新聞に各浜の計画高が示され、その高さに驚愕した。「これまで海のそばで育ち、毎日海を見て生活してきた気仙沼の人々はこの計画に対し、強い憤りと言い知れぬ不安を覚えた」という。

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気仙沼防潮堤

●防潮堤を勉強する会
気仙沼市内の各地でも防潮堤 に関する説明会が行われていた。2012年8月、 防潮堤に関する議論が激化する中、気仙沼市 では菅原昭彦さんたち市民有志による「防潮堤を勉強する会」 が立ち上がる。防潮堤を勉強する会の目的は、 防潮堤に対し、まずは賛成反対を抜きにした 中立的な視点から、様々な面でこの計画を市民が勉強し理解することにある。防潮堤を管轄する各行政機関、様々な専門家、国県市の 各議員、気仙沼市内の地域ごとの住民など、 毎回講師を呼び、防潮堤についてありとあらゆる角度から勉強を行った。気仙沼市全域を 対象とし、2ヶ月半で13回もの勉強会を開催した。
防潮堤を勉強する会の活動は、問題の解決 に向け一定の成果をあげた。第一に当初の目的としていた市民のリテラシーの向上が達成され、この制度においてかなり詳しい市民が 多く生まれた。さらに、勉強する会の活動は、 全国的に大きくメディアに取り上げられ、それによって防潮堤問題に社会の目が入り、住民合意をないがしろにした進め方はできない 状況をつくりだした。これらの要因が、行政 との話し合いの場において、市民の立場を行政とある程度対等な位置まで押し仕上げたといえる、市民の力量の高さは2005年からの研修の成果がはっきりと現れた結果だ、その結果、県への要望書に込められた内容については、住民合意の尊重の他に、情報の透明性向上や計画の 複数案提示など、計画の実施にあたりいくつかの改善はみられた。しかし、基本的なルールとして一律の基準でL1防潮堤を建設する前提は、最後まで変更はされなかったのは残念だし、行政の今一歩の意識改革が必要だ。

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高い防潮堤で陸から海は見えなくなっているところも多くある

しかし、こうした勉強会を、目の当たりに見た土木事業者の中には行政を、お上にして行政のほうだけみているのではダメだ。市民の力や市民との協働の必要性に気づいた人もいたこと、市民の側も土木事業のノウハウ。知る必要を勉強会の中で理解したことは大きな成果だといえよう。
市民、行政、土木事業者、専門家が一同に集まり、中立のコーティネーターがいる場でフラットな意見交換と前向きの議論をすることの意義がこの防潮堤を勉強する会で確認出来たとおもう。
また機会があれば土木と市民社会をつなぐコーデイネーターと、その役割、養成のあり方について述べたいと思う。

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防潮堤コーディネータ
菅原昭彦氏
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 災害、危機管理等