2019年02月01日

『和らぎ』をテーマに「美し国づくり大賞」を募集

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シビルNPO連携プラットフォーム
個人正会員 監事(美し国づくり協会 会員)山岡 和彦


当協会は最近の気候変動による猛暑や自然災害の多発に鑑み、『和らぎ』をテーマに取り上げ今年度の第五回「美し国づくり大賞」を募集しております。
募集予定期間は2018年12月20日から2019年2月22日です。
「美し国づくり大賞」は、2014年度に協会設立10周年を記念して「美し国づくり景観大賞」を創設し、2回にわたって事業を実施した後、2016年度からは「景観づくり」だけでなく、より多様な活動や取組みによる「美し国づくり」を進める観点から、『美し国づくり大賞』表彰事業に拡大・発展し、2回の表彰事業を重ねて参りました。2016年度は「木」をテーマにし大賞1点特別賞2点、2017年度は「水」をテーマにし大賞1点特別賞1点選定し、表彰式・シンポジウムを開催しました。
今年度のテーマを「和らぎ」とした背景の一つは、6月に起きた北大阪地震、岡山県真備町はじめ西日本での甚大な災害を発生させた7月豪雨、冠水にタンカーの走錨が加わり関西空港の機能を麻痺させた台風21号など、各地に被害をもたらした自然災害の発生です。
もう一つは、7月には東日本で平年+2.8℃西日本では平年+1.6℃を記録し、熊谷市では41.1℃の日本最高気温を記録し、「災害級の暑さ」と表現された猛暑です。

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このような気候変動による全国各地の自然災害や猛暑を和らげる適応対策、防災対策、減災対策を通じて「美し国づくり」に貢献する活動をさがしております。
大賞受賞作品は幅広い皆様に知って頂くよう「美し国づくり協会」が発表の機会を設けると共に、メディアに発信し、また時期を見て各年度の受賞作品をまとめ発刊したいと考えております。
具体的な取組み・活動事例としては、ミストによるクールスポットの整備や街路樹の大樹冠下による緑陰の確保などの酷暑対策、石垣・生垣・板垣などによる防風対策、無電柱化による電柱倒壊防止対策、グレーインフラのグリーンインフラ化や雨水浸透施設などの豪雨対策、雪下ろし対策を施した街並み形成による豪雪対策、ブロック塀の生垣化による地震倒壊防止などが考えられます。
審査は、@活動・取組みの目的・目標A取組みの独自性・先進性・創意工夫B地域活性化への寄与C取組みによる景観の向上D取組み期間と広がりE行政と地域住民等との連携F法令等に基づく制度の適用等、以上7つの視点で選定させて頂きます。
「美し国づくり大賞」については、CNCP通信「平成31年新年号」巻末にも紹介されており重複しますが、多くの先進的な取組みが寄せられることを期待して再度ご案内致しました。応募詳細については、「美し国づくり協会」のHPをご覧いただければ幸いです。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等

都市交通体系のSDGs的評価(シドニーと京都の例)

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シビルNPO連携プラットフォーム個人正会員
(NPO法人SLIM Japan 顧問)有岡 正樹


CNCP通信Vol.44(2017.12)〜Vol.56(2018.12)の計13回に分け、「シドニー視察旅行記」と題して連載してきた(通信[アーカイブf.] でpdf版一括ダウンロード可能)が、日本でのインフラメンテに関する研究が主として道路や橋であったことから、視察対象のほとんどがそれに関する施設であった。ただシドニー地域では、都市交通として今一つ重要な鉄道なども最近大きな変革を遂げているので、その視点で番外編としてシドニー市内のライトレール事業の現況等について、その建設の進め方やそのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にかなった都市形成のオーストラリアと日本の考え方の差などを視点に、その後調べたことに触れておきたい。
1.シドニー市街地メイン道路の再編
(1)ジョージ・ストリート: George St.)の例
シドニー中心街(CBD:The Central Business District)は、右地図の上部左側の入り江ダーリンハーバーと、右側の王立植物園やThe Domain、Hyde Parkなど緑色部分とに挟まれた東西約1km、南北約3.5kmの碁盤の目をした地域であり、その中央部を縦貫するメイン道路がジョージストリートである。その通り沿いにはタウンホールやクイーンヴィクトリアビルディングなどの歴史的建物や、多くの高層ビル・ホテル、さらには商店などが立ち並ぶ、市内で最も混雑する片側2車線の交通の要所である。我々もそうだが、シドニーを訪れる国内外の人々にとっては、ごく日常的に訪れる通りである。

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シドニー市近郊を循環するライトレール・ルート

この道路には、20世紀終わりにその西側にある上述のダーリングハーバーというカジノホテルを含む一大観光施設と都心とを結ぶモノレールが建設され、オーストラリア建国200周年を記念して1988年に開通した。その頃建設会社社員としてシドニーに駐在していた筆者も、受注活動に加わ ったが足元にも及ばなかったのを憶えている。歩道脇にI型鉄骨で造作された支柱と軌道桁という何の変哲もない構造で、その上を右写真に示すような7両連結のモノレールが走っていたのを時折利用もした。事業費は我々の見積もった半額以下であったろうか。ただ、この路線は需要の見通しが大きく外れたこともあって,2013年には廃線、施設撤去となったので、わずか25年の命であった。

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撤去されたシドニー中心部のモノレール

一方そのジョージストリートの地下には、郊外から市内に 繋がる近郊路線が集結するインナー・ウェスト・ラインと称する鉄道が走っており、間違いがいなくシドニーの動脈であることが分かる。

(2)進展するシドニー中心街及び南東延伸ライトレール
本ライトレールはThe CBD and Southeast Light Railと称される路面電車で、上述のモノレール撤去に相前後して2012年にルート決定、2014年に着工している。ルートは、前頁地図に朱線で示すように、CDBの北端であるサーキュラーキーからジョージストリートを南下しRAWSON PLACE駅で左折、CENTRAL STATIONを経て南東に進み、途中More Park北で500mほどのトンネルを通過したのちNSW大学に至ることになる。全長12km、停留所数19の大事業である。
この路線の特筆すべき点はジョージストリートの大改造で、車道2車線に相当するライトレール軌道以外は拡幅された歩道のみとして、原則として車道を無くいするという計画のようである。2015年にシドニーを訪れた時には、その建設工事が始まっていた。何よりも驚いたことは、そのCBD部の工事において車道部をフェンスバリケード等で車線部の全幅員を固定占用して、電線他地下埋設施設を最新の技術体系に沿って更新しながら、軌道工事を行っていたことである。いわば銀座通りを全線封鎖して、といったことになる。ちなみに本事業もスペインの企業によるPPP事業で内なる国際化は堅調である。

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CBDの車道部を全幅占用しての路上工事

(3)パークストリート下のクロスシティトンネルによる通過交通対応
 これは上記ジョージストリートのライトレール事業より時期的に早く、PPP有料道路事業の一環として2005年8月に開通した2.4kmの片側2車線の自動車専用の道路トンネルで、シドニー市内の東西に通過する車両を対象としている。したがってこれまで地上のパークストリート利用していた交通量が、このトンネルに分散されることにより減少することから、その分ここでも地上の歩道が広げられている。ただ、結構高い通行料を設定しており交通量が想定の半分程度で採算が合わず、これまでに2回財政破綻、事業者変更を経ており、PPP事業としては失敗の例として知られている。

2.京都四条通の例
上述のようにシドニーのCDB道路網は碁盤の目をしており、京都に生まれ育った筆者には親しみの持てる街として、今でも渡豪時には多くの時間を過ごす。京都でいうとジョージストリートは烏丸通(地下鉄路線)、パークストリートが四条通(阪急路線)ということでどちらも文字通りメイン道路になる。
そしてこの内の四条通は京都一の商店街で、わずか1kmの間に百貨店3店舗他、専門店、オフィスビルなどが並ぶシドニーでいえばジョージストリートに当たる。その四条通は片側2車線の車道と繁華街にしては狭い歩道の道路であったが、この車道各1車線を歩道に変えるという歩道拡幅工事が、2012.11〜2013.10の約1年をかけて断行された。16カ所のバス停を「テラス型バス停」と称して4カ所に集約したりして、バスによる公共交通を主体にして一般車の通過交通量を減らすと同時に、歩道幅を倍旧以上に広げ観光産業躍進につなげようとの意図のようだ。ここ6年間で10倍にも及ぶ観光客を中心とした年間3千万人と訪日者の急増というインバウンド現象も重なって、大きな成果を上げているだろうことは想像に難くない。

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車道を付け変え拡幅された京都四条通の歩道

今年1月11日の日経新聞は、「本紙調査 持続可能な都市 京都市がトップ」との見出しで、この四条通りの歩道拡幅や、郊外に車を止めて公共交通を利用してもらうパークアンドライトに注力なども、その優れた評価の理由として上げていた。オーストラリアのSDGsのランキングは、石炭輸出等外への環境評価面で劣後しており高くないが、上記の例を含めこれからも新しい取り組みを期待したい。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | インフラメンテナンス