2019年02月01日

(特非)シビルサポートネットワーク:CSNシンクタンク事業

近年、地方創生など地域には独自の発想や行動力が求められる局面が増えています。地域の諸問題に取り組むサードセクターとしてNPOに寄せられる期待は大きなものがあります。その期待に応えるためにはボタンラリーな活動では限界があり、事業としての取り組むことで地域社会での役割を果たすことが出来るのではないかと考えます。すでに営利型企業としてのシンクタンク組織は数多く存在しておりますが非営利型のシンクタンク組織は少なく特に建設分野に特化した地域の諸問題に取り組む専門のシンクタンクは多くありません。NPO法人シビルサポートネットワーク(CSN)は建設分野出身の中立公正な専門技術者集団として中央大学土木同窓会を母体に2004年に設立されました。創設以来、多くの社会的な課題をシンクタンク事業として取り組んで来ました。今後とも広く会員の皆様の人脈を通じて業務実績を積み重ねて参りたいと願っております。
【政策提言】
●平成16年度環境省政策提言提出 ●千葉県中央地域畜産環境改善構想の策定(農水省)
●吉川新都心構想の提案 ●中川を活かしたまちづくり構想
【技術評価業務】
●日本政策投資銀行からの技術評価業務委託
●日本政策投資銀行からの特殊緑化市場調査業務委託
【研究会主催】
●企業価値向上のための防災投資促進研究会 ●BCPにおけるリスク研究会
●共創プラットフォーム事業化研究会
【BCP策定指導】
●中小企業向けBCPセミナーの開催 ●東埼玉テクノポリス協同組合BCP策定指導
●熊谷流通センターBCP作成指導 ●埼玉県南卸売団地組合BCP作成指導
●エイジェックグループとBCP支援業務委託
【バイオマス活用推進】
●太田市バイオマスタウン事業化計画策定業務●南魚沼市バイオマスタウン構想策定業務
●南房総市資源循環地域構想書策定業務 
●某企業とバイオマス活用推進アドバイザリー契約
【地元での活動】
●中間支援組織の設立協力 ●自治基本条例学習会開催協力 ●コミュニティ・アクションカレッジ講師派遣 ●自治体に出前研修講師派遣 ●まちづくり未来会議開催協力

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第10回 印刷物から電子辞書、オンライン辞書へ

昭和30年(1955年)、見出し語20万語を超える中型国語辞典として出版された『広辞苑』(岩波書店)は、印刷が間に合わないほどのベストセラーとなり、後発の中型辞典が出版されるまでの30数年間で、もっとも語彙が豊富で「規範となる」国語辞典の地位を確立した。初版では「ど-ぼく【土木】家屋・道路・堤防・橋梁・港湾・鉄道・上下水道・河川など、すべて木材・鉄材・土石などを使用する工事。―‐こうがく【土木工学】道路・河川・鉄道・橋梁・上下水道・灯台・飛行場・空港・都市計画などの施設に関する理論及び実際を研究する工学の一部門。」、第二版(昭和44年、1969年)以降は「ど-ぼく【土木】土木工事・土木工学などの略。」と同義の表現が続き、「土木」そのものを説明していない。
昭和62年(1987年)『広辞苑第三版CD-ROM版』以降、辞書の電子化が進む中、2000年頃から、インターネットの急速な普及によってオンラインで参照できる有償・無償の辞書が台頭した。平成21年(2009年)新用語解説サイト『コトバンク』(朝日新聞)が開設され、見出し語22.5万語の『デジタル大辞泉』(小学館)などの中型辞典も無償で利用できるようになった。その後、『大辞林』(三省堂)も追加され、2013年からヤフー辞書としてもサービス提供されている。また、ボランティアによる世界規模辞書プロジェクト『ウィクショナリー』(ウィキメディア財団)では、「土木(どぼく)木材やコンクリート、鉄材、土砂などで、道路や堤防、橋などを建設すること。」となっている。 (土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
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『和らぎ』をテーマに「美し国づくり大賞」を募集

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シビルNPO連携プラットフォーム
個人正会員 監事(美し国づくり協会 会員)山岡 和彦


当協会は最近の気候変動による猛暑や自然災害の多発に鑑み、『和らぎ』をテーマに取り上げ今年度の第五回「美し国づくり大賞」を募集しております。
募集予定期間は2018年12月20日から2019年2月22日です。
「美し国づくり大賞」は、2014年度に協会設立10周年を記念して「美し国づくり景観大賞」を創設し、2回にわたって事業を実施した後、2016年度からは「景観づくり」だけでなく、より多様な活動や取組みによる「美し国づくり」を進める観点から、『美し国づくり大賞』表彰事業に拡大・発展し、2回の表彰事業を重ねて参りました。2016年度は「木」をテーマにし大賞1点特別賞2点、2017年度は「水」をテーマにし大賞1点特別賞1点選定し、表彰式・シンポジウムを開催しました。
今年度のテーマを「和らぎ」とした背景の一つは、6月に起きた北大阪地震、岡山県真備町はじめ西日本での甚大な災害を発生させた7月豪雨、冠水にタンカーの走錨が加わり関西空港の機能を麻痺させた台風21号など、各地に被害をもたらした自然災害の発生です。
もう一つは、7月には東日本で平年+2.8℃西日本では平年+1.6℃を記録し、熊谷市では41.1℃の日本最高気温を記録し、「災害級の暑さ」と表現された猛暑です。

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このような気候変動による全国各地の自然災害や猛暑を和らげる適応対策、防災対策、減災対策を通じて「美し国づくり」に貢献する活動をさがしております。
大賞受賞作品は幅広い皆様に知って頂くよう「美し国づくり協会」が発表の機会を設けると共に、メディアに発信し、また時期を見て各年度の受賞作品をまとめ発刊したいと考えております。
具体的な取組み・活動事例としては、ミストによるクールスポットの整備や街路樹の大樹冠下による緑陰の確保などの酷暑対策、石垣・生垣・板垣などによる防風対策、無電柱化による電柱倒壊防止対策、グレーインフラのグリーンインフラ化や雨水浸透施設などの豪雨対策、雪下ろし対策を施した街並み形成による豪雪対策、ブロック塀の生垣化による地震倒壊防止などが考えられます。
審査は、@活動・取組みの目的・目標A取組みの独自性・先進性・創意工夫B地域活性化への寄与C取組みによる景観の向上D取組み期間と広がりE行政と地域住民等との連携F法令等に基づく制度の適用等、以上7つの視点で選定させて頂きます。
「美し国づくり大賞」については、CNCP通信「平成31年新年号」巻末にも紹介されており重複しますが、多くの先進的な取組みが寄せられることを期待して再度ご案内致しました。応募詳細については、「美し国づくり協会」のHPをご覧いただければ幸いです。
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(特非)シビルサポートネットワーク:CSNシンクタンク事業

近年、地方創生など地域には独自の発想や行動力が求められる局面が増えています。地域の諸問題に取り組むサードセクターとしてNPOに寄せられる期待は大きなものがあります。その期待に応えるためにはボタンラリーな活動では限界があり、事業としての取り組むことで地域社会での役割を果たすことが出来るのではないかと考えます。すでに営利型企業としてのシンクタンク組織は数多く存在しておりますが非営利型のシンクタンク組織は少なく特に建設分野に特化した地域の諸問題に取り組む専門のシンクタンクは多くありません。NPO法人シビルサポートネットワーク(CSN)は建設分野出身の中立公正な専門技術者集団として中央大学土木同窓会を母体に2004年に設立されました。創設以来、多くの社会的な課題をシンクタンク事業として取り組んで来ました。今後とも広く会員の皆様の人脈を通じて業務実績を積み重ねて参りたいと願っております。
【政策提言】
●平成16年度環境省政策提言提出 ●千葉県中央地域畜産環境改善構想の策定(農水省)
●吉川新都心構想の提案 ●中川を活かしたまちづくり構想
【技術評価業務】
●日本政策投資銀行からの技術評価業務委託
●日本政策投資銀行からの特殊緑化市場調査業務委託
【研究会主催】
●企業価値向上のための防災投資促進研究会 ●BCPにおけるリスク研究会
●共創プラットフォーム事業化研究会
【BCP策定指導】
●中小企業向けBCPセミナーの開催 ●東埼玉テクノポリス協同組合BCP策定指導
●熊谷流通センターBCP作成指導 ●埼玉県南卸売団地組合BCP作成指導
●エイジェックグループとBCP支援業務委託
【バイオマス活用推進】
●太田市バイオマスタウン事業化計画策定業務●南魚沼市バイオマスタウン構想策定業務
●南房総市資源循環地域構想書策定業務 
●某企業とバイオマス活用推進アドバイザリー契約
【地元での活動】
●中間支援組織の設立協力 ●自治基本条例学習会開催協力 ●コミュニティ・アクションカレッジ講師派遣 ●自治体に出前研修講師派遣 ●まちづくり未来会議開催協力

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事業化推進部門

事業化推進部門の活動方針とこれからの取り組み

シビルNPO連携プラットフォーム 常務理事 辻田 満


CNCP活動において「土木と市民をつなぐ」活動は様々あると思います。しかしながらCNCPとしての限られた資源(ヒト・モノ・カネ)をベースに活動するためには活動のベクトルを明確に定めて行くことが必要と考えます。
NPOは社会的課題を自発的に取り組む組織であり、その活動種別は大きく分けて@慈善型NPO A市民型NPO B事業型NPOと3つに整理されております。CNCPは発足当初から事業型NPOとしての活動形態を目指して創設されました。とくに事業化推進部門では前身の建設系NPO連絡協議会における試行事業から得た知見を踏まえて、CNCPをプラットフォームとして行うことが可能となる事業を立ち上げていくこととしました。また、対象とする事業はボランティアではなくソーシャルビジネス(SB)としての事業性、革新性のある事業の立ち上げに取り組んでいるところです。また、SBに加えて新たに企業の共通価値の創造(CSV注1)活動を支援する事業に取り組みます。CNCPとしてはこの方向性は今後とも変えることなくより明確に活動していくべきと考えます。
見直しワーキングにおいてCNCPの活動を市民社会と建設界の課題解決を図るため、「土木と市民社会をつなぐ」というミッションを明確に打ち出しました。これは、従来の建設界の「官公庁+建設企業」という二極構造に加えて、シビルNPOが「市民社会」をつなぐ「新たな第三極の役割」を果そうという取り組みです。つまり、この取り組みは、@市民利益+A建設界の評価+BシビルNPOの「核心的な収益」を確保したい・・・という「三方良し」の実現を目指すものです。
これは、従来のソーシャルビジネス(SB)および企業の共通価値の創造(CSV)の更なる進化した事業活動であり「ビジネスモデルの変革」を想定しています。CNCPは「土木と市民社会をつなぐプラットフォーム機能」を担い、サービス・プロバイダーの役割を発揮すべきと考えています。
事業化推進部門における「土木と市民社会をつなぐ」とは具体的にシンクタンクチームを統括して、事業化のための研究会を立ち上げるとともに、建設分野における社会的課題解決を図る事業(特にソーシャルビジネス(SB)および企業の共通価値の創造(CSV))の顕在化を図る活動を推進していくことと捉えております。シンクタンクとしての機能を十分発揮して社会的事業の発掘と提案を行い、建設企業などとの連携による事業化の研究に取り組みます。賛助会員企業との更なる連携強化を今後積極的に図って参ります。

注1:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。12月11日(火)第3回CNCPサロンで講師に野村総合研究所の西尾紀一氏をお招きして「共通価値の創造(CSV)とは―CSVを判りやすく解説するー」をご講演頂きました。第3回サロンの報告はCNCP通信Vol57に掲載されておりますので是非ともご一読下さい。また、2019年2月からCSVをメインテーマとして取り上げた「土木と市民社会つなぐ事業研究会」を立ち上げました。詳しくはホームページをご覧ください。
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都市交通体系のSDGs的評価(シドニーと京都の例)

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シビルNPO連携プラットフォーム個人正会員
(NPO法人SLIM Japan 顧問)有岡 正樹


CNCP通信Vol.44(2017.12)〜Vol.56(2018.12)の計13回に分け、「シドニー視察旅行記」と題して連載してきた(通信[アーカイブf.] でpdf版一括ダウンロード可能)が、日本でのインフラメンテに関する研究が主として道路や橋であったことから、視察対象のほとんどがそれに関する施設であった。ただシドニー地域では、都市交通として今一つ重要な鉄道なども最近大きな変革を遂げているので、その視点で番外編としてシドニー市内のライトレール事業の現況等について、その建設の進め方やそのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にかなった都市形成のオーストラリアと日本の考え方の差などを視点に、その後調べたことに触れておきたい。
1.シドニー市街地メイン道路の再編
(1)ジョージ・ストリート: George St.)の例
シドニー中心街(CBD:The Central Business District)は、右地図の上部左側の入り江ダーリンハーバーと、右側の王立植物園やThe Domain、Hyde Parkなど緑色部分とに挟まれた東西約1km、南北約3.5kmの碁盤の目をした地域であり、その中央部を縦貫するメイン道路がジョージストリートである。その通り沿いにはタウンホールやクイーンヴィクトリアビルディングなどの歴史的建物や、多くの高層ビル・ホテル、さらには商店などが立ち並ぶ、市内で最も混雑する片側2車線の交通の要所である。我々もそうだが、シドニーを訪れる国内外の人々にとっては、ごく日常的に訪れる通りである。

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シドニー市近郊を循環するライトレール・ルート

この道路には、20世紀終わりにその西側にある上述のダーリングハーバーというカジノホテルを含む一大観光施設と都心とを結ぶモノレールが建設され、オーストラリア建国200周年を記念して1988年に開通した。その頃建設会社社員としてシドニーに駐在していた筆者も、受注活動に加わ ったが足元にも及ばなかったのを憶えている。歩道脇にI型鉄骨で造作された支柱と軌道桁という何の変哲もない構造で、その上を右写真に示すような7両連結のモノレールが走っていたのを時折利用もした。事業費は我々の見積もった半額以下であったろうか。ただ、この路線は需要の見通しが大きく外れたこともあって,2013年には廃線、施設撤去となったので、わずか25年の命であった。

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撤去されたシドニー中心部のモノレール

一方そのジョージストリートの地下には、郊外から市内に 繋がる近郊路線が集結するインナー・ウェスト・ラインと称する鉄道が走っており、間違いがいなくシドニーの動脈であることが分かる。

(2)進展するシドニー中心街及び南東延伸ライトレール
本ライトレールはThe CBD and Southeast Light Railと称される路面電車で、上述のモノレール撤去に相前後して2012年にルート決定、2014年に着工している。ルートは、前頁地図に朱線で示すように、CDBの北端であるサーキュラーキーからジョージストリートを南下しRAWSON PLACE駅で左折、CENTRAL STATIONを経て南東に進み、途中More Park北で500mほどのトンネルを通過したのちNSW大学に至ることになる。全長12km、停留所数19の大事業である。
この路線の特筆すべき点はジョージストリートの大改造で、車道2車線に相当するライトレール軌道以外は拡幅された歩道のみとして、原則として車道を無くいするという計画のようである。2015年にシドニーを訪れた時には、その建設工事が始まっていた。何よりも驚いたことは、そのCBD部の工事において車道部をフェンスバリケード等で車線部の全幅員を固定占用して、電線他地下埋設施設を最新の技術体系に沿って更新しながら、軌道工事を行っていたことである。いわば銀座通りを全線封鎖して、といったことになる。ちなみに本事業もスペインの企業によるPPP事業で内なる国際化は堅調である。

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CBDの車道部を全幅占用しての路上工事

(3)パークストリート下のクロスシティトンネルによる通過交通対応
 これは上記ジョージストリートのライトレール事業より時期的に早く、PPP有料道路事業の一環として2005年8月に開通した2.4kmの片側2車線の自動車専用の道路トンネルで、シドニー市内の東西に通過する車両を対象としている。したがってこれまで地上のパークストリート利用していた交通量が、このトンネルに分散されることにより減少することから、その分ここでも地上の歩道が広げられている。ただ、結構高い通行料を設定しており交通量が想定の半分程度で採算が合わず、これまでに2回財政破綻、事業者変更を経ており、PPP事業としては失敗の例として知られている。

2.京都四条通の例
上述のようにシドニーのCDB道路網は碁盤の目をしており、京都に生まれ育った筆者には親しみの持てる街として、今でも渡豪時には多くの時間を過ごす。京都でいうとジョージストリートは烏丸通(地下鉄路線)、パークストリートが四条通(阪急路線)ということでどちらも文字通りメイン道路になる。
そしてこの内の四条通は京都一の商店街で、わずか1kmの間に百貨店3店舗他、専門店、オフィスビルなどが並ぶシドニーでいえばジョージストリートに当たる。その四条通は片側2車線の車道と繁華街にしては狭い歩道の道路であったが、この車道各1車線を歩道に変えるという歩道拡幅工事が、2012.11〜2013.10の約1年をかけて断行された。16カ所のバス停を「テラス型バス停」と称して4カ所に集約したりして、バスによる公共交通を主体にして一般車の通過交通量を減らすと同時に、歩道幅を倍旧以上に広げ観光産業躍進につなげようとの意図のようだ。ここ6年間で10倍にも及ぶ観光客を中心とした年間3千万人と訪日者の急増というインバウンド現象も重なって、大きな成果を上げているだろうことは想像に難くない。

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車道を付け変え拡幅された京都四条通の歩道

今年1月11日の日経新聞は、「本紙調査 持続可能な都市 京都市がトップ」との見出しで、この四条通りの歩道拡幅や、郊外に車を止めて公共交通を利用してもらうパークアンドライトに注力なども、その優れた評価の理由として上げていた。オーストラリアのSDGsのランキングは、石炭輸出等外への環境評価面で劣後しており高くないが、上記の例を含めこれからも新しい取り組みを期待したい。
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CAFEO-36(シンガポール大会)参加

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シビルNPO連携プラットフォーム
法人正会員(NPO法人 シビルサポートネットワーク 理事)
出ア 太郎


昨年11月シンガポールで開催されたCAFEO-36に参加しました。今回はシンガポールのリゾートアイランド セントーサ島で行われ、そのテーマは“Engineering Rail Connectivity”と“Fostering Excellence in Engineering Education”の二つでした。セントーサ島は6月に米国トランプ大統領と北朝鮮金委員長が会談したことで世界の注目を集めました。この記念すべき場所で行われた大会の一端を紹介いたします。

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シンガポールの南 セントーサ島

1.CAFEOとは
CAFEO(Conference of ASEAN Federation of Engineering Organizations)は、非政府系組織による東南アジア技術者の交流大会で、構成10カ国が毎年持ち回りで開催しています。日本はオブザーバーとして参加していますが、他に常連国のオーストラリア、韓国なども参加しています。参加者は、原則現地集合・現地解散で、自費での参加です。
私は日本技術士会の一員として21回大会から連続して参加しており、今大会で16回目になります。

2.CAFEO-36
CAFEO-36は11月12日(月)から14日(水)までの開催でした。セントーサ島は、本島から約600m南に位置しています。東西約4km、南北約1.5km、面積約4.71km2で、政府の観光政策で開発されてきた島です。この島のあちらこちらにレジャー施設やアトラクション施設、ホテルが配置されています。そのホテルのひとつで米朝首脳会談が行われたのです。 
初日はRegistration と19:00からのWelcome Dinnerが予定されているだけでした。ほぼ1時間遅れで始まったDinnerで日本からの参加者と初めて顔を合わせました。主催者による歓迎スピーチの後、ステージで各国のパフォーマンスが行われました。このパフォーマンスはこれまでは最終日のさよならパーティで行われていたものです。日本は若い技術者が空手を披露しAKB48の曲で歌い踊っていました。

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セントーサ島

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日本のパフォーマンス

二日目から本格的なCAFEO行事が行われました。Opening Ceremonyの後、二つのテーマとWomen Summitが並行して行われました。翌日最終日はメンバー国のCountry Reportを加えて夕方まで続き、参加者のPresentationが行われました。参加者は各Room自由に出入りして参加できます。
最終日18:00からClosing Banquetが開かれました。各国伝統衣装での参加が求められます。シンガポールの伝統舞踊が披露され、AFEOメンバー国功労者の表彰、次回開催国インドネシアへの引継ぎが順次行われました。最後に若い技術者がステージへ上り、歌い踊って別れを惜しんでいました。

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参加者によるPresentation

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Closing Banquetでの交流

3.最近の状況と次回の開催
CAFEOでは組織委AFEOやFEIAPのミーティングも同時に行われるようになってきています。 FEIAP(Federation of Engineering Organizations in Asia and the Pacific)は、アジア太平洋地域のエコノミーにある技術士会(日本においては日本技術士会)の集合体です。ASEAN諸国が中心となり、その周辺エコノミーである日本、韓国、台湾、中国、オーストラリアなどを含んでいます。最近はナイジェリアなどアフリカ方面のエコノミーも参加するようになっているとのことです。
ASEANでは2015年末、加盟する10カ国が域内の貿易自由化や市場統合などを通じて成長加速を目指す広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(AEC)」が発足しました。当時で域内人口は欧州連合(EU)を上回る計6億2000万人、域内総生産が2兆5000億ドル(約300兆円)に達する巨大な経済圏です。投資、人の流れを自由化し、関税を撤廃して域内の自由貿易圏実現を目指しています。
次回は、本年 9月11日から 14日までインドネシアのジャカルタで開催されます。最近は学術的というより交流が主という感がありますが、技術者であればCAFEO-37のホームページから参加費を添えて申し込めばだれでも参加できます。今回、日本技術士会の青年組織から 25人もの若い技術者がCAFEOの若い人たちのプログラムYEAFEOに参加しました。このような交流の機会を踏み台に今後の国際的な活躍を期待したいものです。

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休眠預金について考える

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シビルNPO連携プラットフォーム
理事・事務局長 内藤 堅一


シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP)の事務局長をしています。CNCP通信を編集している立場ですが、急遽今月の巻頭言を書くことになりました。
今回は休眠預金について少し書いてみたいと思います。きっかけは、当NPOが入会している日本NPOセンターのメールマガジンVol.012(2019年1月31日)の見出しで「休眠預金という暴風がやってきて、NPOらしさが問われている」の記事でした。この記事はメールで会員及びサポーターに回付しています。
CNCP通信ではVol.46(2018年2月13日発行)のトピックスで当時の有岡正樹常務理事が「動き出した(略称)休眠預金等活用法」と題して1.法制化の経緯 2.活用の意義と仕組み 3.今後の方向 として取り上げています。毎年700億円程度になる休眠預金を民間公益活動に活用しようとするもので、「預金保険機構」から「指定活用団体」、「資金分配団体」を通して「民間公益活動を行う団体」に助成・寄付・出資を行うというものです。
前述のメルマガによると、現在の状況は「指定活用団体」の公募があり、1月11日に一般財団法人「日本民間公益活動連携機構」(JANPIA)が採択され、「資金分配団体」が公募されているとあります。
内閣府が2018年3月に発表した「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針」では、「国民への還元」「公共性」などとともに「革新性」、「成果」をあげることなどが強調されており、「社会的インパクト評価」で成果を測ることが定められています。「革新性」や「成果」をどのように解釈して反映するのか「資金分配団体」ごとの企画力が問われるところであり、「資金分配団体」を選定する「指定活用団体」の価値観が反映されるとあります。
「社会課題解決」の主体は多様化しており、もはやNPOだけがその担い手ではありません。休眠預金等活動制度によってその傾向はさらに加速するでしょう。そのような状況で、なぜ、NPOとして活動を行っていくのか。「NPOらしさ」とは何かが改めて問われています。寄付や会費などの支援性財源にこだわることが、これまで以上に重要な意味を持ってくるのではないでしょうか。というのが論旨ですが、「休眠預金という暴風がやってきて、NPOらしさが問われている」の演題と直接結びつかず、私には難しい問題です。
CNCPでは、2018年に初めて2件の助成制度に応募しました。結果が出るのは今年の春ですが、大きな活動をするためにはそれなりの資金が必要です。 CNCPが実施してきたアワードでもソーシャルビジネスとしての「革新性」を求めていました。
企画サービス部門では、「新たな財務基盤の構築」の検討が始まります。各部門が「革新性」、「成果」を意識しながら研究活動、インフラメンテナンスの支援方策などを考えていく必要があると強く感じています。
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第2回 防潮堤問題にみる土木と市民社会

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(元金沢大学大学院 教授)世古 一穂


●気仙沼のまちづくりに関わり15年
私は宮城県気仙沼市の市民参加のまちづくりに2005年(平成5年)から15年にわたって関わってきている。現在、市の「みなと気仙沼大使」を拝命している。が、当初のきっかけは気仙沼青年会議所の菅原昭彦さんから市民参加のまちづくりの勉強会、実践のコーデイネーターとして依頼されてのことだった。地域では高齢化、少子化と人口減少が進んでいる。住民のニーズは多様化し、地域の問題も複雑化している。
一方で、行政は早急な行財政改革を迫られ、すべてのニーズに応えることはますます困難になっている。こういう情勢の中でまちづくりを進めていくには行政へのお願いや要求、アリバイ的あやつり的な市民参加から「市民と行政が対等な関係で力を発揮し合える市民参加」への変革が、必要だと私は20代、30代の若い青年会議所のメンバーに力説した。
●土木に関する不信感
当初、菅原さん達若い人々の中には土木事業と行政への不信感が渦巻いていた。
「毎年毎年、東京のコンサルに依頼している様々なまちづくりに関する計画はほとんど表紙だけ変えればどこのまちでも使えそうな計画で、しかも、気仙沼は実際には人口は減少しているにもかかわらず、人口も、まちの財政も右肩上がりに書かれており、到底信頼出来ないし、それに基づいて実施される土木事業も補助金めあての意味のないものが多い。県や国の補助金に頼ったやり方では到底、市民が望むまちづくりにはならない。市民自らがまちづくりの主体として、計画レベルから参加し、もしくは計画を作っていきたい」というのが菅原さんたちの強い思いだった。私は彼らの熱い思いに応えることにした。
そして彼らには市民主体のまちづくりを実践するためにはコンサルなみの力量が必要だと釘をさし、3年間はみっちりと市民参加のまちづくりにむけての研修、実践を積み重ねた。
*まちを知るワークショップ
※ガリバー地図つくり
・4畳半か6畳大に地図を引き伸ばし、地図を床に広げその上に立って、まちづくりを、かんがえるワークショップの手法のひとつ。
※リアス12時間写真イベント
・2時間ごとに100地点で定点的に写真を撮り、港にそれを張り出して気仙沼の1日の動きを写真で実感するイベント
*21世紀の子どもたちへの写真展
・子どもたちに町のさまざまな場所で自分が写真を撮りたい場所て2時間に1枚写真を、とってもらい、それを海岸で時間軸で並べて写真展を行い、24時間の町の変化を実感する参加型ワークショップの方策の一つ
*気仙沼いいとこ探しツアー
・定期的な地域づくりコーティネーター養成講座〜これには多様な、市民や、行政職員も参加するしくみとしたし、市民参加をテーマとした行政の職員研修も世古が講師として、菅原さんたちがファシリテーターとして実施した。
そして2年目、3年目には行政計画である気仙沼市公共サイン計画を、私か主宰していたまちづくり会社で受託し、菅原さんたちと協働で仕上げることができ、気仙沼の各地に市民の思いのこもったサインや案内板が設置された。
●市民、行政、土木事業者との協働の意義
サイン計画の実施にあたっては市民、行政、地元の土木事業者の協働が実現し、それまで土木事業者と直接交渉したり協働したことのなかった市民側にも、また、市民に何が分かるか!と考えており行政の方にしか、目を向けていなかった土木事業者にも変化がおきた。また、それまでは上から目線で、土木事業者に発注、管理するのは自分たちだと考えていた行政も市民の底力に目を見開かされたと思う。
それから2011年3月11日まで気仙沼では地道な市民参加のまちづくりが展開され、食のまちづくり、スローフード気仙沼など、に官民一体となって成果をあげた。
●東日本大震災
2011年、戦後最大となる甚大な被害を及ぼした東日本大震災。2万人以上の死者を出し、多くの人々が身内や友人、そして住居や仕事を失った。あの日からもうじき8年。
東日本の被災沿岸部には巨大な防潮堤の建設が進んでいる。最大高さTP14.7m(TPと は東京湾平均海水面の高さを示す)、岩手から福島まで総延長約400km、総事業費約1兆 円。被災沿岸部の自然海岸を除いたほぼ全て の浜辺に計画され、当時、景観や環境、防災などをめぐり、住民間や住民と行政の間で激しい対立を巻き起こした。合意形成の困難さからコミュニティは大きく割れ、地域そして 各行政機関も大きな負担を強いられることとなった。

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気仙沼の海岸線に連なる防潮堤

●防潮堤問題
防潮堤計画は震災当初に遡る。2011年4月、内閣府が実施している中央防災会議は専門調査会を設置し、津波のレベルを 2つに分けた。発生頻度は極めて低いが、甚大な被害をもたらす最大クラス(今回の東日 本大震災クラス)の津波をレベル2(L2津 波)、発生頻度が高く、津波高は低いが大き な被害をもたらす津波をレベル1(L1津波)。L2津波においてはハードとソフトを総動員して生命を守ることを優先し、L1津波においてはハード(防潮堤など)によって生命と 財産を守る方針が示された。
東日本の被災沿岸部に計画された防潮堤の 高さは、連なった複数の海岸をエリアで区切り、そのまとまり(ユニット海岸)ごとに、最大となるL1津波のシミュレーションをかけ、さらにユニット海岸の中で津波の高さが 最大となる浜の高さを元に、せり上がりと余裕高1mを合わせて、ユニット海岸ごとに防潮堤の高さが一律に設定された。リアス式の三陸沿岸は地形的に波が集まりやすく、防潮堤の計画高はTP10m前後にも及ぶ巨大なものとなっていた。

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気仙沼海岸から遠く離れた
内陸部に移転した家々

2011年9月、地元新聞に各浜の計画高が示され、その高さに驚愕した。「これまで海のそばで育ち、毎日海を見て生活してきた気仙沼の人々はこの計画に対し、強い憤りと言い知れぬ不安を覚えた」という。

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気仙沼防潮堤

●防潮堤を勉強する会
気仙沼市内の各地でも防潮堤 に関する説明会が行われていた。2012年8月、 防潮堤に関する議論が激化する中、気仙沼市 では菅原昭彦さんたち市民有志による「防潮堤を勉強する会」 が立ち上がる。防潮堤を勉強する会の目的は、 防潮堤に対し、まずは賛成反対を抜きにした 中立的な視点から、様々な面でこの計画を市民が勉強し理解することにある。防潮堤を管轄する各行政機関、様々な専門家、国県市の 各議員、気仙沼市内の地域ごとの住民など、 毎回講師を呼び、防潮堤についてありとあらゆる角度から勉強を行った。気仙沼市全域を 対象とし、2ヶ月半で13回もの勉強会を開催した。
防潮堤を勉強する会の活動は、問題の解決 に向け一定の成果をあげた。第一に当初の目的としていた市民のリテラシーの向上が達成され、この制度においてかなり詳しい市民が 多く生まれた。さらに、勉強する会の活動は、 全国的に大きくメディアに取り上げられ、それによって防潮堤問題に社会の目が入り、住民合意をないがしろにした進め方はできない 状況をつくりだした。これらの要因が、行政 との話し合いの場において、市民の立場を行政とある程度対等な位置まで押し仕上げたといえる、市民の力量の高さは2005年からの研修の成果がはっきりと現れた結果だ、その結果、県への要望書に込められた内容については、住民合意の尊重の他に、情報の透明性向上や計画の 複数案提示など、計画の実施にあたりいくつかの改善はみられた。しかし、基本的なルールとして一律の基準でL1防潮堤を建設する前提は、最後まで変更はされなかったのは残念だし、行政の今一歩の意識改革が必要だ。

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高い防潮堤で陸から海は見えなくなっているところも多くある

しかし、こうした勉強会を、目の当たりに見た土木事業者の中には行政を、お上にして行政のほうだけみているのではダメだ。市民の力や市民との協働の必要性に気づいた人もいたこと、市民の側も土木事業のノウハウ。知る必要を勉強会の中で理解したことは大きな成果だといえよう。
市民、行政、土木事業者、専門家が一同に集まり、中立のコーティネーターがいる場でフラットな意見交換と前向きの議論をすることの意義がこの防潮堤を勉強する会で確認出来たとおもう。
また機会があれば土木と市民社会をつなぐコーデイネーターと、その役割、養成のあり方について述べたいと思う。

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防潮堤コーディネータ
菅原昭彦氏
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『和らぎ』をテーマに「美し国づくり大賞」を募集

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シビルNPO連携プラットフォーム
個人正会員 監事(美し国づくり協会 会員)山岡 和彦


当協会は最近の気候変動による猛暑や自然災害の多発に鑑み、『和らぎ』をテーマに取り上げ今年度の第五回「美し国づくり大賞」を募集しております。
募集予定期間は2018年12月20日から2019年2月22日です。
「美し国づくり大賞」は、2014年度に協会設立10周年を記念して「美し国づくり景観大賞」を創設し、2回にわたって事業を実施した後、2016年度からは「景観づくり」だけでなく、より多様な活動や取組みによる「美し国づくり」を進める観点から、『美し国づくり大賞』表彰事業に拡大・発展し、2回の表彰事業を重ねて参りました。2016年度は「木」をテーマにし大賞1点特別賞2点、2017年度は「水」をテーマにし大賞1点特別賞1点選定し、表彰式・シンポジウムを開催しました。
今年度のテーマを「和らぎ」とした背景の一つは、6月に起きた北大阪地震、岡山県真備町はじめ西日本での甚大な災害を発生させた7月豪雨、冠水にタンカーの走錨が加わり関西空港の機能を麻痺させた台風21号など、各地に被害をもたらした自然災害の発生です。
もう一つは、7月には東日本で平年+2.8℃西日本では平年+1.6℃を記録し、熊谷市では41.1℃の日本最高気温を記録し、「災害級の暑さ」と表現された猛暑です。

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このような気候変動による全国各地の自然災害や猛暑を和らげる適応対策、防災対策、減災対策を通じて「美し国づくり」に貢献する活動をさがしております。
大賞受賞作品は幅広い皆様に知って頂くよう「美し国づくり協会」が発表の機会を設けると共に、メディアに発信し、また時期を見て各年度の受賞作品をまとめ発刊したいと考えております。
具体的な取組み・活動事例としては、ミストによるクールスポットの整備や街路樹の大樹冠下による緑陰の確保などの酷暑対策、石垣・生垣・板垣などによる防風対策、無電柱化による電柱倒壊防止対策、グレーインフラのグリーンインフラ化や雨水浸透施設などの豪雨対策、雪下ろし対策を施した街並み形成による豪雪対策、ブロック塀の生垣化による地震倒壊防止などが考えられます。
審査は、@活動・取組みの目的・目標A取組みの独自性・先進性・創意工夫B地域活性化への寄与C取組みによる景観の向上D取組み期間と広がりE行政と地域住民等との連携F法令等に基づく制度の適用等、以上7つの視点で選定させて頂きます。
「美し国づくり大賞」については、CNCP通信「平成31年新年号」巻末にも紹介されており重複しますが、多くの先進的な取組みが寄せられることを期待して再度ご案内致しました。応募詳細については、「美し国づくり協会」のHPをご覧いただければ幸いです。
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都市交通体系のSDGs的評価(シドニーと京都の例)

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シビルNPO連携プラットフォーム個人正会員
(NPO法人SLIM Japan 顧問)有岡 正樹


CNCP通信Vol.44(2017.12)〜Vol.56(2018.12)の計13回に分け、「シドニー視察旅行記」と題して連載してきた(通信[アーカイブf.] でpdf版一括ダウンロード可能)が、日本でのインフラメンテに関する研究が主として道路や橋であったことから、視察対象のほとんどがそれに関する施設であった。ただシドニー地域では、都市交通として今一つ重要な鉄道なども最近大きな変革を遂げているので、その視点で番外編としてシドニー市内のライトレール事業の現況等について、その建設の進め方やそのSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)にかなった都市形成のオーストラリアと日本の考え方の差などを視点に、その後調べたことに触れておきたい。
1.シドニー市街地メイン道路の再編
(1)ジョージ・ストリート: George St.)の例
シドニー中心街(CBD:The Central Business District)は、右地図の上部左側の入り江ダーリンハーバーと、右側の王立植物園やThe Domain、Hyde Parkなど緑色部分とに挟まれた東西約1km、南北約3.5kmの碁盤の目をした地域であり、その中央部を縦貫するメイン道路がジョージストリートである。その通り沿いにはタウンホールやクイーンヴィクトリアビルディングなどの歴史的建物や、多くの高層ビル・ホテル、さらには商店などが立ち並ぶ、市内で最も混雑する片側2車線の交通の要所である。我々もそうだが、シドニーを訪れる国内外の人々にとっては、ごく日常的に訪れる通りである。

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シドニー市近郊を循環するライトレール・ルート

この道路には、20世紀終わりにその西側にある上述のダーリングハーバーというカジノホテルを含む一大観光施設と都心とを結ぶモノレールが建設され、オーストラリア建国200周年を記念して1988年に開通した。その頃建設会社社員としてシドニーに駐在していた筆者も、受注活動に加わ ったが足元にも及ばなかったのを憶えている。歩道脇にI型鉄骨で造作された支柱と軌道桁という何の変哲もない構造で、その上を右写真に示すような7両連結のモノレールが走っていたのを時折利用もした。事業費は我々の見積もった半額以下であったろうか。ただ、この路線は需要の見通しが大きく外れたこともあって,2013年には廃線、施設撤去となったので、わずか25年の命であった。

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撤去されたシドニー中心部のモノレール

一方そのジョージストリートの地下には、郊外から市内に 繋がる近郊路線が集結するインナー・ウェスト・ラインと称する鉄道が走っており、間違いがいなくシドニーの動脈であることが分かる。

(2)進展するシドニー中心街及び南東延伸ライトレール
本ライトレールはThe CBD and Southeast Light Railと称される路面電車で、上述のモノレール撤去に相前後して2012年にルート決定、2014年に着工している。ルートは、前頁地図に朱線で示すように、CDBの北端であるサーキュラーキーからジョージストリートを南下しRAWSON PLACE駅で左折、CENTRAL STATIONを経て南東に進み、途中More Park北で500mほどのトンネルを通過したのちNSW大学に至ることになる。全長12km、停留所数19の大事業である。
この路線の特筆すべき点はジョージストリートの大改造で、車道2車線に相当するライトレール軌道以外は拡幅された歩道のみとして、原則として車道を無くいするという計画のようである。2015年にシドニーを訪れた時には、その建設工事が始まっていた。何よりも驚いたことは、そのCBD部の工事において車道部をフェンスバリケード等で車線部の全幅員を固定占用して、電線他地下埋設施設を最新の技術体系に沿って更新しながら、軌道工事を行っていたことである。いわば銀座通りを全線封鎖して、といったことになる。ちなみに本事業もスペインの企業によるPPP事業で内なる国際化は堅調である。

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CBDの車道部を全幅占用しての路上工事

(3)パークストリート下のクロスシティトンネルによる通過交通対応
 これは上記ジョージストリートのライトレール事業より時期的に早く、PPP有料道路事業の一環として2005年8月に開通した2.4kmの片側2車線の自動車専用の道路トンネルで、シドニー市内の東西に通過する車両を対象としている。したがってこれまで地上のパークストリート利用していた交通量が、このトンネルに分散されることにより減少することから、その分ここでも地上の歩道が広げられている。ただ、結構高い通行料を設定しており交通量が想定の半分程度で採算が合わず、これまでに2回財政破綻、事業者変更を経ており、PPP事業としては失敗の例として知られている。

2.京都四条通の例
上述のようにシドニーのCDB道路網は碁盤の目をしており、京都に生まれ育った筆者には親しみの持てる街として、今でも渡豪時には多くの時間を過ごす。京都でいうとジョージストリートは烏丸通(地下鉄路線)、パークストリートが四条通(阪急路線)ということでどちらも文字通りメイン道路になる。
そしてこの内の四条通は京都一の商店街で、わずか1kmの間に百貨店3店舗他、専門店、オフィスビルなどが並ぶシドニーでいえばジョージストリートに当たる。その四条通は片側2車線の車道と繁華街にしては狭い歩道の道路であったが、この車道各1車線を歩道に変えるという歩道拡幅工事が、2012.11〜2013.10の約1年をかけて断行された。16カ所のバス停を「テラス型バス停」と称して4カ所に集約したりして、バスによる公共交通を主体にして一般車の通過交通量を減らすと同時に、歩道幅を倍旧以上に広げ観光産業躍進につなげようとの意図のようだ。ここ6年間で10倍にも及ぶ観光客を中心とした年間3千万人と訪日者の急増というインバウンド現象も重なって、大きな成果を上げているだろうことは想像に難くない。

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車道を付け変え拡幅された京都四条通の歩道

今年1月11日の日経新聞は、「本紙調査 持続可能な都市 京都市がトップ」との見出しで、この四条通りの歩道拡幅や、郊外に車を止めて公共交通を利用してもらうパークアンドライトに注力なども、その優れた評価の理由として上げていた。オーストラリアのSDGsのランキングは、石炭輸出等外への環境評価面で劣後しており高くないが、上記の例を含めこれからも新しい取り組みを期待したい。
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