2019年04月01日

第4回 制度設計をも変える市民の科学

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事        
(特非)あらかわ学会 副理事長兼事務局長 三井 元子


1.「地域の意見を反映した河川整備推進」のはじまり
1997年(平成9年)に河川法改正があり、日本の河川行政は大きく変わった。河川を治める理由に「治水・利水」に加え、「環境」が入ったのである。同時に、「地域の意見を反映した河川整備を推進」との一文が加わり、市民参画が位置づけられた。
実は、これに先駆けて荒川下流河川事務所では、おおむね50年先を想定して荒川下流全体のゾーニングを考える「荒川将来像計画」全体構想書(案)と沿川2市7区の「荒川将来像計画地区計画書」(案)9冊を作っていた。そしてこの案を沿川2市7区の本庁舎のみならず、すべての出張所で開示して意見募集を行った。完成した将来像計画には、171件集まった意見と、これに対する回答または見解が載せられていた。まだ、パブリックコメントも始まっていない時代にである。沿川の市民団体は横に連携し、「市民版荒川将来像計画」を作成して公表したり、官民共催のシンポジウムを開いたりして協力した。さらに、「荒川市民会議」が2市7区それぞれに設置され、国交省荒川下流河川事務所・自治体土木部・公募した市民・利用団体等が一堂に会して、どんな荒川にしたいのかを話し合い、整備していった。沿川各市区の市民団体は、積極的に参加して、横の連絡を取り合い、計画が絵に描いた餅にならないよう努力した。(市民会議は2015年まで続き、現在は開催されていない)このような活動が評価され、地域の意見を反映した河川整備の推進という法改正につながったのである。

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さらに荒川では、多様な人々が集う荒川における合意形成手法として任意団体「あらかわ学会」の創設が考えだされ、1996年10月、これに賛同する人々によって設立総会が開催された(2003年にNPO法人化)。私は、定款作りから関わり現在まで副理事長兼事務局長を務めている。官も民も大人も子どもも同じ目線で荒川(上下流)について平等に議論が出来る場が出来たのである。年次大会では、荒川に関する調査・研究・体験活動・提言などが発表され、今年で22回目を数えた。

2.河川協力団体制度の成立
(1)設立の経緯
全国の河川では、様々な市民団体が活発な活動を行っていた。これに呼応するように、2013年(平成25年)6月、水防法及び河川法の一部が改正され『河川協力団体制度』が創設された。
設立の経緯を見てみると、2013年(H25年)4月の社会資本整備審議会の「安全を持続的に確保するための今後の河川管理のあり方について」という答申において、以下のような審議がなされたことがわかる。2000 年(H12 年12月)河川審議会答申「河川における市民団体等との連携方策のあり方について」で指摘されていた課題が、現在もほとんど解決されておらず「市民団体等について、その持続的な活動を促進するために必要な河川の管理上の位置づけがなされていない」為、具体的な取り組みとして「河川環境等、河川の管理における役割を期待されている地域の市民団体等について、地域の資源として河川を利活用するニーズの拡大も踏まえて担い手としての位置付けを明確にする制度整備を行うべきである」との答申が提出され、河川協力団体制度が創設された。

(2)河川協力団体制度

河川の維持、河川環境の保全などの河川の管理につながる活動を自発的に行っている民間団体等を『河川協力団体』として法律上位置付け、河川管理者と河川協力団体が充実したコミュニケーションを図り、互いの信頼関係を構築することで、河川管理のパートナーとしての活動を促進し、地域の実情に応じた河川管理の充実を図ることを目的として制度化されました。
河川協力団体の活動
1.河川管理者に協力して、河川工事または河川の維持をおこなう
2.河川の管理に関する情報又は資料の収集及び提供
3.河川の管理に関する調査研究
4.河川の管理に関する知識の普及及び啓発

※河川協力団体は、河川管理者が特に必要があると認めるときは、河川法99条により、
河川の管理に属する事項の委託を受けることが出来ます。
※国土交通省HPより http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/rcg/seika.html

運用に関しては、全国の地方整備局又は河川事務所の姿勢によってかなり異なり、まだまだ設立の趣旨が反映されているとは言えないことが多い。しかし、その川に長く関わり、様々な川及び人々の関わりの歴史を知っている市民団体こそ、その市民科学を活かして、河川管理のパートナーとして活躍していきたい。そこで、市民団体が連携して「河川協力団体全国協議会」を作って問題の解決に向かっているところである。

<参考資料> CNCP通信Vol 55「荒川下流における市民の活動」
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 災害、危機管理等

土木と市民社会をつなぐ活動に参加しませんか?

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シビルNPO連携プラットフォーム常務理事/土木学会連携部門長
土木学会/教育企画・人材育成委員会/シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


CNCPと土木学会は「土木と市民社会をつなぐフォーラム」の設立準備を進めています。土木学会には「土木広報センター」という部署があって、学会の外に向けて、様々な広報・広聴活動をしています。CNCPのメンバーには知らない方が多いと思いますが、下記を覗いてみてください。
土木広報センターHP:http://committees.jsce.or.jp/cprcenter/
土木学会Facebook:https://www.facebook.com/JSCE.jp/
さて、この土木広報センターが行っている下記の2つの「土木と市民社会をつなぐ活動」において、CNCP に協力要請がありました。CNCP に集うシビルNPO等の経験豊富なベテランエンジニアに期待が寄せられています。

■土木コレクション
「土木コレクション」というのは、土木の歴史資料・図面・写真など、普段目にすることができない様々なコレクションを、展示公開するものです。2008年に始まり、東京都との共催で、「土木の日(11/18)」前後の4〜5日間に、新宿駅西口広場イベントコーナーで開催し、この3年間は毎日8千〜9千人の参加を得ています。昨年の詳細は、下記より見てみてください。
https://www.facebook.com/pg/JSCE.jp/photos/?tab=album&album_id=1992431414177165

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昨年のテーマは2020東京オリンピック応援プログラムで、展示した「1964年東京オリンピック」のコレクションに関心が高かったそうです。そのため、今年も続きとして「東海道新幹線/東京モノレール/首都高速道路/東京の地下鉄 日比谷線・浅草線」を計画しており、そのパネルの説明をお願いされています。

■オープンキャンパス土木学会
「オープンキャンパス土木学会」というのは、2017年に始まったばかりですが、土木学会の長い歴史の中で初めての試みとして、学会関係者やその家族、土木分野への進学・就職希望者など、多数の方々を四谷の学会本部へお招きし、様々な体験型プログラムや映画観賞会等を通じ、『土木』への理解を深めていただく場を提供するものです。さらに、地域の方々や学会未入会の方々にも来場いただき、地域・社会に開かれた学会として有する知見や資源を社会へ還元・貢献していくことをめざしているそうです。硬いですが、つまり「土木と市民社会をつなごう」っていう活動です(笑)。
昨年は7/7(土)に開催し、「土木ふれあいフェスタ(体験型プログラム)」として、歩測体験/液状化実験/「ポケドボ」カードゲーム/実験で学ぶ土砂災害/橋梁模型実験/アーチ橋模型/トンネル実験をしたり、「どぼくシアタープログラム」として、8本の上映がありました。詳しくは、下記より見てみてください。
https://www.facebook.com/pg/JSCE.jp/photos/?tab=album&album_id=1840627236024251

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来年は東京オリンピックですので、今年の7/6(土)に開催予定の「オープンキャンパス土木学会2019」でも、「1964年東京オリンピック」のパネル展示を計画しているそうです。そのパネルの説明もお願いされています。

■皆さんのご協力をお願いします。
土木学会も、CNCPの活動のメインテーマである「土木と市民社会をつなぐ」活動を進めています。CNCPが他の中間支援組織と大きく異なる強みは、会員4万人の土木学会との強い連携です。CNCPと土木学会が連携・協働する具体の活動を増やしたいと考えています。
詳細情報は次号でお知らせしますが、ご協力いただけそうな方は、問い合わせを含め、事務局までご一報をお願いします。
以上
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「市民と土木をつなぐ」広報の取組み

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事 
(公社)土木学会 専務理事 塚田 幸広


CNCPの「市民と土木をつなぐ」を実践するためには、「土木の広報」が重要である。土木学会では、4年前に「土木広報センター」を設立し、土木学会各支部、国土交通省、関係業界等と連携し「土木の広報」につながる様々な企画を展開してきた。ここでは、最近の取り組みである「土木広報大賞」と「ドボクのラジオ」を紹介したい。
(1)土木広報大賞
土木広報大賞は、土木広報に取り組んでいる各団体、個人のモチベーションを高めるとともに、好事例を広く紹介・共有することをねらいとして昨年初めて実施した。直近2年間の実施した取組みを募集したところ、99件の応募があった。選考の結果、最優秀賞1件、優秀賞2件、準優秀賞5件、審査員賞8件の計16件が選ばれた。
最優秀賞には、土木学会関西支部のフォーラム・シビル・コスモス(FCC)による「土木カフェ」が選定された。「土木カフェ」は、土木のおもしろさや楽しさを伝えるために、土木の魅力をダム、マンホール、鉄塔などの土木構造物を対象として楽しむドボクマニアを講師に迎え、さらに一般の人が往来する商店街などで開催するなど、そのユニークさが評価された。この「土木カフェ」は、関西以外の他の支部でも開催されている。優秀賞には、「CON! CON! 富士山の体積をはかる『アイデア』大募集!」(一般社団法人静岡県建設コンサルタンツ協会)と「ワクワク土木土木(ドキドキ)デミーとマツの驚き土木体験イベント」(噂の土木応援チーム デミーとマツ)が選ばれた。本年も第2回土木広報大賞を実施する。
(2)ドボクのラジオ
土木広報は、テレビ・新聞等のマスコミとの連携、インターネット・Facebookの活用、さらには、現場見学イベントの開催など様々な手段を通じて展開してきたが、意外にも、ラジオは初めての試みである。
ラジオ番組「ドボクのラジオ」は、2019年5月1日より、中央エフエム(東京都中央区の地域コミュニティFMラジオ局)において開始する。この番組では、土木関係者や土木好きの方をゲストとして、中央区のインフラに関連する旬な話題や土木に対する熱き思いを語っていただくことを中心に構成し、リスナーの皆さんに少しでも土木に興味を持ってもらい、土木を身近に感じてもらうキッカケとなるような番組を目指したい。また、ラジオ番組を通じて、市民の生の声を期待したい。
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