2019年06月11日

ベトナムの近況

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シビルNPO連携プラットフォーム個人正会員 坂本 文夫


東南アジア最後のユートピアといわれるベトナムに、日本技術士会海外活動支援員会の一員として今年の2〜3月に出張する機会を得た。ベトナムでは、ホーチミン市、ダナン市、クワンガイ省、フエ市、ハノイ市を視察した。そこで感じたことは、ベトナムの朝は早く、道路はバイクと車で溢れ、路面が見えないくらいの交通量の多さに驚いた。各都市に共通していることは、道行く人のほとんどが若く、街の市場は活気にあふれ、経済が好調であることを実感した。
(1)ベトナムの概況
ベトナムは南北に1,650q、東西方向は北部で500q、中部の狭いところで約50q、国土の面積は34万ku、日本の総面積から九州を除いた面積に相当する。2017年上期のデータによると、ベトナムの人口は9,370万人、人口ピラミッドは釣鐘型の形状をしており、若い労働者が豊富に供給できる環境にある。
世界的な貿易自由化の進展により、労働賃金が安く豊富な労働力を求めて多くの企業が中国に進出した。その後、中国は目覚しい経済発展を遂げ、それに伴って労働賃金が高騰した。この状況に直面した企業は、生産コストの低減を図り国際競争力の優位性を確保するため、電力が安く低賃金で優秀な人材を求めてベトナムに進出する企業が増加している。

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(2)ベトナムの経済概要
ベトナムの2018年の成長率は7.08%、一人あたりの名目GDPは2,587 USDを記録した。貿易収支をみると、2003〜2011年は45〜180億USDの赤字が続いていたが、2012年に7億9000万USDの黒字を記録、2015年に赤字に転落したものの、その後は25億USDの黒字、2017年は72億USDの黒字を記録した。外貨準備高をみると、2006年から100億USDを常時超えるようになった。雇用状況を表す2018年の失業率は2%で推移しており、ファンダメンタルズは堅調である。

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(3)ベトナムの経済成長を支える人材育成の必要性
ベトナムは、TTPなどグローバル化の進展により国際競争力の強化に取り組んでいるが、裾野産業の育成が喫緊の課題となっている。裾野産業が抱える技術的課題の解決を図るため、技術水準の向上に力が注がれている。ベトナムの企業は、最初は国営企業が先行していたが、最近では民間企業がかなり力をつけている。これまでの企業は「技術は無償で支援を受けられるもの」と考えていたが、最近では「必要な技術はカネを支払っても獲得する。」という考え方に変わってきた。今後、国際的な企業間の競争が激しくなることが予想され、競争力強化に必要な専門技術者の人材育成が喫緊の課題となっている。このような状況の中、今回、ダナンの大学で講演を行って分かったことは、ダナン市人民委員会及び大学が日本との関係強化を強く望んでいるということである。その一環として、人民委員会及び大学では日本語教育を推進しており、さらに経済発展を支えるための人材育成について日本に協力を求めている。
以上の要望に応えるには、専門的な技術者の人的資源の支援が必要であり、そこには、ベトナムの経済発展に資するシニア世代の技術者の新たな活躍の場が広がっている。

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令和時代の地方圏を語る

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
NPO法人州都広島を実現する会 事務局長 野村 吉春


令和という新時代 今のところCNCPは東京圏の会員が大多数を占める中で、私は地方在住の会員として、なるべく「地方の声」を届けるよう努めたい。さて、「令和の時代に、この国かたちはドウなるのだろうか?」この問いに、どんな専門家が答えを示せるだろうか。私は、「この問いに答えることこそが、土木屋の使命だ」と思っている。そんな覚悟をもって、私のNPOは「広島及び中四国地域のかたち」を描きたい。
地方創生は失敗した? 本年は地方創生法が施行されて5年目、第1期の最終年度を迎える。同法の第一条(目的)には、「東京圏の人口集中を是正し・・・活力ある日本社会を維持していく」と謳われた。しかし、今や地方のマスコミは「地方創生は失敗した」と報じている。
人口フレームはどうなった? 昨年度、東京圏(1都3県)への人口増加に対して、地方圏では全て減少、総崩れという有様!全国の総人口は昨年1年で約19.9万人減少する一方で、東京圏には12.7万人も流入している。しかも「更に加速とは何事か?」。
これは異常な事態としか言いようがない。
私のNPOではこの現実をふまえ、「この国かたち」のあり方を、あらゆる機会を通じて、地元の各界に問題提起している。

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令和の時代への不安と期待  ・・・で、実は私は、以下のような東京圏への不安と、地方圏への明るい未来を期待している。
@今の東京圏の高齢化率は最も低い。しかし、団塊世代が後期高齢に達する2025年頃から、東京圏がこの国の「高齢問題の主戦場」になるという。
Aそして、東京圏での医療・介護需要が急増し、施設費のコスト高、支援要員の不足によって、高齢難民が街角に溢れるだろうと予測されている。
Bその一方で、地方圏の生活環境は良い。中山間地域だって貧乏暮らしではない。自然豊かで健康寿命も長く、介護施設には待たずに入れる。
地方圏へのリターンが始まる 東京圏への集中は令和の前半まで続くだろう。しかし遠からず、福祉環境の「余りある地方圏」と「不足する東京圏」という国土の二極化が明らかになる。その他にも健康寿命、子育て、労働環境、震災リスクなど課題が山積ではないか? そのうち、若者をはじめ「東京一極集中にかじりつく魅力」が低下するだろう。
結果として、豊かな地方圏へのヒト・モノ・カネの大移動が始まり、先進国の欧米のような、地方圏で十分に幸せな暮らしができる。そんな「極めて真っ当なこの国のかたち」へと移行するだろう。
私のNPOの役割 まあ、国土変革への課題は山ほどあるが・・・
私のNPOでは、「バランスのとれたこの国のかたち」を目指し、地方圏の都市基盤や交流手段を格段に向上したい。 よって、「広島と中四国地域との一体的幸福」を実現するために、地元の行政、議会、経済界、大学、マスコミに向けて熱い議論を始めたところである。

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楽しい防災講習――教員免許状更新講習として

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シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
(社)土木学会 シニア社会貢献グループ 幹事 渡口 潔


近頃は災害が起こるたびに、事前の備え、起こった後の対応(自助・共助・公助の大切さ)などが人々の関心を集めるようになってきました。このようなことから、土木学会その他の関係団体で防災への啓蒙がなされていますが、個々人の意識にまではなかなか届いていないのが現状です。
一方、小中高の教員には、2年間で30時間の教員免許状更新講習が義務付けられており、防災に関する講習をこの免許更新講習に組み入れれば、先生方を通じて、子供たちへの防災教育が進むことが期待されます。

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そこで土木学会では、更新講習を数多く開講している筑波大学の防災担当と共同で、防災講習「実習と実験による役に立つ防災教育」を2017年度から実施しています。
受講者は、主として関東の小中高の先生方40名です。一般に更新講習は、6時間(うち1時間弱は試験時間)もの長時間にわたるため、講師からの一方的な講義だけでは受講生に嫌われる傾向があり、また防災意識を高めてもらうためにも、実験、実習、見学などを織りまぜた楽しい講習としました。
会場は国の防災研修施設「そなエリア」をお借りし、建物模型の制作と振動実験、防災施設の貼り込みによる強い街づくり演習、防災演習カードによる追体験グループ討議、など、受講生を飽きさせないセッションがてんこ盛りです。これらのセッションには土木学会のシニアグループから10名ほどが助っ人として班ごとの討議・実験を手伝ってもらっています。
また「そなエリア」での「地震体験ツアー」と併設されている内閣府の災害対応指令室(映画「シン・ゴジラ」のロケに使用されました)の視察も行い、防災対策が立体的に理解できるように考慮しています。

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以下は、セッションの一覧です。合計で360分間=6時間の長丁場です。
1) 防災全体についての講義 35分
2) 防災アニメ「津波てんでんこ」 15分
3) 受講者自宅の防災診断チェック 15分
4) 建物の紙模型の制作と振動実験 45分
5) ガイド付き地震体験ツアー・災害対応指令室の見学 85分
6) 災害追体験カードゲーム 60分
7) 街の白地図に防災施設の貼り込み演習 65分
8) 認定試験(60点以上が免許講習に合格) 40分

この講習は幸い、好評であり、今年も8月2日(金)に実施が決まっています。

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文科省の学習指導要領が改正され、2020年度からは義務教育で防災教育が必須となりました。各大学(特に教育大学)においては、数多くの教員免許状更新講習が開講されています。ほかの大学でも、防災関係の講習が開かれ、教員と子供たちへの防災意識の向上が進むことを望みます。
皆さん、この楽しい防災講習を見学にいらっしゃいませんか?
連絡先 k.watariguchi@seibupros.jp  渡口((株)西武プロパティーズ)
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