2019年07月09日

第15回 「取建/取立」ということば

幕末から明治にかけて漢語由来の「土木」「建築」「建設」が使われるようになる一方、「建つ/建て」「立つ/立て」に語勢を強める接頭語「取り」を付けた和語の「取建」「取立」は使われなくなっていった。江戸から明治にかけての出来事を編年体でまとめた『武江年表続編』(斎藤月岑、1882年)の明治三年(1870年)に「正月、神田玉川両上水修復補益の為、小石川御門外神田川の端へ、土木司より水車御取建に成り、米穀舂立(つきたて)始まる。」とある。

古くは、『吾妻鏡』(1300年頃)の安貞二年(1228年)十月十八日「昨日午尅。筥根社壇燒亡之由。馳參申之。〔中略〕依風顛倒屋々被取立之條不可有其憚云々。」(昨日の昼頃に、箱根神社の神殿や仏閣が焼けたと走って来て報告しました。〔中略〕風によって倒壊した建物を修理するのは、何も懸念することは無いとの事です。)とあり、『徒然草』(吉田兼好、1330年頃)第二十五段に「金堂はその後たふれ伏したるままにて、取りたつるわざもなし。」とある。

イエズス会宣教師らが編纂した『日葡辞書』(1603年)では、「建立」「造営」「普請」「作事」と一緒に「Toritate, tçuru, eta. トリタテ,ツル,テタ(取り立て,つる,てた)建築する,すなわち,家を建てる.¶また,人を,その元の本来の地位に再びつけてやる.」とある。「土木」は採録されていない。
現在の「取立」は、日葡辞書の後者の「人を登用する」のほか、借金などを「強制的に徴収する」、作物などを「取って間がないこと」の意味になっている。
〈参考〉吾妻鏡入門(歴散加藤塾サイト)、邦訳日葡辞書(1980、岩波書店)
(土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
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働き方改革など制度づくりの目線は奈辺に

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シビルNPO連携プラットフォーム 個人正会員
日刊建設通信新聞社 代表取締役社長 和田 惠


左官職人だった父は生涯で13人の弟子をとった。九州の片田舎で、まだ徒弟制度が残っていた。同じ集落であれば自宅通いが認められていたが、基本は住み込みで、寝食を共にした。最後の弟子は同級生で通いだったが、家には中学時分までは常時、最低2人は住み込みの弟子がいた。職人に免状があるわけでもなく、親方で師匠の父の許しがあれば一人前の職人として独り立ちし、一家を構えることができた。戦後も10年以上が経ち、高度経済成長期に入っていたせいか、父は月々決まった給金を渡していたようだが、一般的には弟子にとってあってないようなものが定額の手当てだった。そんな中、中学卒で弟子入りした同級生は、20歳の成人式を前後に独立し、大阪に出て一家を構え、竹中工務店の出入り業者となり、ほどなく会社を旗揚げして数年前まで、孫請けとして羽振りをきかせていた。一方、12人目の弟子は4歳上の小生の実兄である。家督は長子の、この兄が継ぎ、左官や土工が主ながら会社法人に衣替えして40年以上、細々と工務店を営んでいる。

2人(兄と同級生)と同時期に働いていた兄弟子は3人だった。ほかにも職人はいたが、同門の兄弟≠ヘ5人というわけである。この兄弟子たちが、父が見ていないところで兄や同級生を殴るのを何度も目にしたことがある。その兄弟子たちには、中高生の夏休みや冬休みに現場を手伝いに行った時、バケツに入れたセメント(セメント粉と水だけで練った「ノロ」と呼んでいた)を木組みの足場伝いに2階に運ぶのが一呼吸遅れただけで「遅い!」と、有無を言わせず頭からかけられたり、手渡した直後に足蹴にされて2階の足場から突き落とされたことが何度かある。気性が荒く一本気で、親方の二男坊だろうがお構いなしだった。ただし、のべつそうかというと、仕事以外では正義感に燃え、気のいい優しい兄さんたちなのである。そんな気風やありようが好きなのが伝わっていたのか、普段は随分と可愛がってもらった。

時は移り、あの時代から半世紀近くになる。程度問題とはいえ当時は、世間的には「いじめ」や「パワハラ」の概念はなく、個人的にも意識さえなかった。しかし、現在に目を転じると、現場でストレスを溜め込むような環境が完全に払しょくされたわけではないだろう。職場に立場の優劣の関係は常にあるからである。それは個人間にとどまらず組織間にもある。だから、目線や立ち位置は低くなければならない、と思うのである。上からではなく、下からの積み上げに課題解決の本質的な道理があると確信するからである。そういえば、建設キャリアアップシステムや働き方改革などに素直になれないのはその所為か。
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歴史を振り返り歴史に学ぶ

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シビルNPO連携プラットフォーム
代表理事 山本 卓朗


平成から令和へ移行するときに、“平成時代30年を振り返る”特集などが多く組まれ、しばしば執筆依頼やインタビューに応ずる機会があった。こういう企画では、大方の人が30年を振り返るとともに、これからの30年を展望してみたいと考える。2014年に土木学会が100周年を迎えた時、記念事業の一環として「社会と土木の100年ビジョン」を策定するという壮大な企画を実施した。そのためにはまず、100年を振り返り、さまざまな観点からこれを分析し理解することから始めることになる。明治150年の折には、当プラットフォーム通信でも、1年間のシリーズとして明治150年への思いを何人かの方に執筆頂いた。長年携わってきた仕事と関連づけて書かれる方が多く、思いのほか意義深いシリーズとなった。

昨年から中村英夫先生が主宰する「戦後70年のインフラ整備」連続講演会企画がスタートし、その第6回で「首都圏国鉄5方面作戦」を取り上げることとなり、数か月にわたり歴史をひも解く作業に追われた。この作業をJRグループの若手の皆さんにやってもらい、資料をスライドの形で収集し、ワークショップ形式で議論しながら、取捨選択して講演パワーポイントに仕立て上げることにした。そして第2次世界大戦後の輸送混乱期から高度成長期にいたる5方面作戦の骨格を理解し、そのDNAが現在の輸送改善に継承されてきた姿を検証した。この機会にまとめられた資料やスライドは、今後も若手の皆さんが“歴史に学ぶ”貴重なツールになると思う。

さて新たなプロジェクトを構想するときに、背景としてのその地域の歴史や経緯を紐解くことは大変重要である。未来を構想するヒントが隠されているし、さりげなく残されている古い構造物の価値を再発見して、遺産として有効に活用しようというきっかけにもなる。私の鉄道生活は、高度成長期での首都圏通勤輸送対策に明け暮れていたが、都心のプロジェクトは一朝一夕になるものではなく、構想から実現まで数十年を要するものも少なくない。今、オリンピックを目標に急ピッチで進められているJR東日本の渋谷駅改良工事、山手線ホームと埼京線ホームを並べて2面4線にする難工事だが、その構想は1960年代から始まっていたもので、半世紀かかって実現にこぎつけた代物である。これをみても少なくとも30年くらいの経緯は調べる必要があると思う。

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写真 渋谷駅改良工事

国鉄で仕事をしている頃は、何となく国家意識があって、国全体の鉄道輸送をどうするか考える習慣が身についていた。始めから民間企業であるJRに勤めれば、当然のことながらプロジェクトを考える時も、企業の論理が優先するのはやむを得ないことである。しかし長い国鉄の歴史からみるとJRはたかだか30年の歴史しかないともいえるわけで、多くの国民がJRを“一民鉄”とは見ていないのも事実である。そこで、ここ10年ほど若手の調査計画技術者とワークショップ研修を積み重ねてきたが、その中で二つの点をアドバイスしている。
〇 一つは、鉄道を考える前に交通を、交通を考える前にまち(街、都市)を考えようと。
〇 二つは、例えばある駅改良ならば、その地域全体の歴史と現況そして駅の歴史と改良の経緯を整理しようと。
〇 最後は余談である。東京駅などは、まさに歴史とエピソードの宝庫であろう。
大正時代に建設された赤レンガの東京駅本屋は、終戦直前の空襲で焼け落ち、3階部分を除いた仮復旧の姿で半世紀を過ごすこととなった。復旧の際に
連合軍総司令部(GHQ: General Headquarter)鉄道輸送事務所(RTO:
Railway Transportation Office)の特別待合室が設けられたが、そこに建築家の中村順平ほかの方々からなる大きな壁画・レリーフが飾られた。この歴史的な経緯は文献でご覧いただくとして、進駐軍の撤退後の部屋は事務室などへ転用されてきたようである。1970年代の半ばになり、私が東京駅担当の工事課長時代に取り組んだ改良の際、取りあえずレリーフを在姿のまま保存しておこうと仮壁で覆って保護し、以降、赤レンガ復原工事が始まるまで忘れられた存在となった。そして幻の壁画発見!!という新聞報道にびっくりしたが、大げさに言えばRTOレリーフが“文化遺産”になった瞬間であった。現在は東京駅京葉線地下駅のコンコース階に展示され、通勤客の目を楽しませているのは嬉しいことである。

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写真 RTO待合室  旧国鉄資料

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写真 京葉線地下コンコース
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白馬駅前の無電柱化で北アルプスが世界に誇れる景観に!

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NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク
理事 兼 事務局長  井上 利一


「長野県白馬村は、JR白馬駅から真っ直ぐに延びる県道約350mとJR大糸線と並行する国道約480mを対象に無電柱化する方針を明らかにした。無電柱化は2019年度中に電線埋設の設計を終え、2024年頃までの工事完了を目指している。総事業費は14億円になる見込みだ」(『日経新聞電子版』6/20より)
白馬村は、1998年の長野オリンピック後に国内の観光客が減少。一方で、海外の観光客が増加している。JAPOW(ジャパウ)と呼ばれる日本独特の極上のパウダースノーと、山岳景観を求めて年間10万人以上のインバウンドが訪れている。しかも、この地を気に入って移住する外国人も増え、今では白馬村の人口9,000人中500人が移住者という。

白馬村とのご縁は2012年に遡る。当NPO発行の『電柱のないまちづくり』(学芸出版社)を読んだ「白馬駅前の無電柱化を考える会」の松沢斉氏より、相談に乗って欲しいという依頼を受けた。その後2012年6月、同会主催の無電柱化勉強会に講師として招かれた。当日は多くの村民や行政関係者が集った。その当時から、村民の無電柱化にかける思いはたいへん熱いものがあった。その2年後、今度は当NPO主催のまちづくりフォーラム(右の写真参照)で松沢氏に小池百合子東京都知事と共にパネリストとして登壇していただいた。この時も松沢氏の「無電柱化にかける思い」は全く衰えるどころか、益々燃える思いを聴衆に訴えた。

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2017年に白馬駅前整備検討委員会(全6回)、10月に倉本聰氏をゲストに招いてシンポジウムを行い、村民の景観意識向上を進めた。


こうした熱心な村民の活動を受けて、長野県知事や白馬村村長も無電柱化へ向けた動きを加速させることとなる。その甲斐もあり、長野県景観条例の流れから、白馬村景観条例ができ、2018年の景観むらづくり100年白馬ワークショップ(全3回)を経て、村民念願の白馬村無電柱化推進条例が6月に議会に提出された。無電柱化に伴う街並整備事業計画も整えられ、完成後のグランドデザイン(下記図)も公表されている。このような経緯を受けての今回の報道である。嬉しさも一入だ。
昨年12月、11月10日の無電柱化の日に合せて発行した当NPO編著の『見あげたい日本の空☆復活へのシナリオ 無電柱化の時代へ』発刊記念トークイベントに松沢氏をパネリストで招聘した。その席で、松沢氏は「白馬村は、世界の山岳リゾートと比較すると、山々や周りの自然は遜色ないにも関わらず、麓に降りての街並みをみると大敗です」と、自虐的に語ったが、その表情には、無電柱化実現への自信も滲ませた。それは、無電柱化推進条例の成立といったことだけでなく、長年の活動の成果が「白馬村グランドデザイン」(下記パース参照)という形でまさに結実を目前に控えていることにもあるのであろう。
白馬村は間違いなく、日本有数のスキーリゾートであり、その住民の熱い思いは、電柱をも引っこ抜くパワーがあると、実感した次第である。白馬駅周辺の無電柱化によって、本家ヨーロッパの景観に勝るとも劣らない日がまもなく訪れることを期待し、今後も応援していきたい。

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閑話休題

事務局長 内藤 堅一


CNCP通信では、「土木と市民社会をつなぐ」シリーズを2019年1月から6月まで6回発行してきました。シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP)では、2018年の見直しワーキングで、そのミッションとして「土木と市民社会をつなぐ」を掲げました。これに沿った具体の行動として、事業化推進部門では従来の「市民社会を築く建設大賞2018」の表彰の後、新規募集をお休みにして、「土木と市民社会をつなぐ事業研究会」を立ち上げ、何が活動として相応しいのか検討を進めています。また、土木学会連携部門では土木学会内に「土木と市民社会をつなぐフォーラム」を立ち上げる準備を進めています。
これらの活動とは別に、会員並びこの問題に関心を持っておられる皆さんにご意見を投稿して頂こうということでこのシリーズを始めました。掲載内容はCNCPのホームページ(URL:HTTP://npo-cncp.org/)から全て見ることができます。

第1回〜第6回までの掲載内容は以下のとおりです。
@ Vol.57(1/8発行) 山本卓朗代表理事 シリーズ開始にあたって
A Vol.58(2/12発行) 世古一穂理事   防潮堤問題にみる土木と市民社会
B Vol.59(3/12発行) 田中努常務理事  土木と市民社会の溝はどうしてできる?
C Vol.60(4/9発行) 三井元子理事  制度設計をも変える市民の科学
D Vol.61(5/14発行) 奥田早希子SP ファッションの後ろでがんばる土木を伝えたい
E Vol.62(6/11発行) 岩佐宏一常務理事防災減災につながる日常的な活動

今まではCNCPの理事やサポーターの方に執筆していただきました。今後は市民の皆さんはじめ各界のご意見を投稿して頂けるように考えています。
本シリーズの編集打合せでは、土木以外の分野の方に執筆いただく中で「土木に関する質問」があれば、投げかけて頂こうということになりました。質問によって、山本代表理事か内藤事務局長が回答することになっています。

Vol.64以降の執筆者を募集しています。現在お二人に投稿をお願いしています。投稿して頂ける方は、事務局長までご連絡ください。
執筆要領
・「土木と市民をつなぐ」活動事例、将来の活動などについて記載する。
・分量はA4 2枚程度、A4 1枚には写真、図表等と文字1,000字程度
・土木に関する質問を記載して頂ければ、Q&Aとして回答する予定。
・執筆の謝礼
会員、サポーターは無料、外部の方には規定により原稿料を支払います。
A4 1枚4,500円
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質問コーナー

土木に関するみなさまのご質問にCNCPがお答えします

「閑話休題」の項に書きましたように、土木以外の分野の方からの質問に山本代表理事か内藤事務局長が回答します。今回は2件の質問に山本代表理事が回答します。この回答に別の面から見たご意見があればお寄せ下さい。また専門家の図解があればなお助かります。意見や図解は紙面に順次掲載していきます。

質問 1 土木事業を、行う人はどういう構造になっていますか?よく元請け、下請けということばを耳にしますが、どういう違いがありますか?

お答え 土木や建築などの事業は、事業者が発注して建設会社が受注して現地で橋や建物を作るという形が一般的です。受注した建設会社がいわゆる元請け(もとうけ)ですが、実務は土工事、鉄筋型枠工事、コンクリート工事など専門とするいわゆる下請会社に請け負わせます。ただし地域に限定した小さな工事は、もっと簡略した形で実施されています。課題として、下請けが一次下請け・・・・3次下請けなど重層構造になっていて、最下端は一人親方というケースもありますから、担い手不足が顕著になっている昨今では、時代にそぐわない面も多く、様々な構造改革が模索されています。

質問2 今、一番気になっていることですが、辺野古の海の埋め立てで杭が何本も使われていますが、浮き上がつて駄目だとききます。辺野古の海を埋め立てることはまちがいなのではないですか?

お答え 辺野古の埋め立ては、ホットな政治課題でもありますから、ここでは軟弱な地層での埋め立てや構造物の建造について少しお話しましょう。

ネットで検索しますと、辺野古の工事は、何万本の杭とか90Mの深さとか様々な記事が見られるように、たいへん難しい工事であると思われます。一般的な話ですが、我が国の地層は地表に固い岩盤が露出しているようなところはほとんどなく、ある深さまで杭を打ったり、軟弱な地盤を改良したりしますので、基礎工事には苦労が付きまといます。辺野古で採用されるのはコンクリート杭とか鋼管杭ではなく、サンドドレーンという砂杭です。軟弱地盤上に盛土をすることは可能ですが、対策をしないと完成後に長期間にわたり軟弱地盤が圧密と言ってゆっくりと沈下をします。それで工事中に圧密を促進するために砂杭を打って軟弱地盤の圧密を促進して、供用後の沈下を抑えようという工法で軟弱地盤に盛土をするときの一般的な工法です。効果は期待できますが、辺野古のような大規模な砂杭工法の採用は珍しいといえます。
ちなみに復元工事で有名になった東京駅赤レンガの本屋は、大正時代の建造ですが、当時の記録では、60cm間隔で5M前後の松丸太杭が1万本以上打ち込まれたそうで、その一部が丸ビルのホールに展示されているというプログもありますから、ぜひご覧になってください。現代はもちろん最新工法を駆使して難工事に挑みますが、巨大災害が頻発する時代でもあります。土木や建築の工事や工法に多くの方が関心を持っていただくことはたいへん有難いことです。
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土木と市民社会をつなぐ活動

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CNCP 常務理事/土木学会連携部門長
土木学会/教育企画・人材育成委員会/シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


「土木と市民社会をつなぐ」活動は、CNCP全体の基本テーマですが、土木学会も同様の課題認識を持っているので、「土木学会連携部門」が先頭に立ち、他の部門と連携して進めています。
以下に、今、取り組んでいる2つの活動を紹介します。

■「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」の設立
「土木」の仕事は、道路・鉄道・上下水道・電気等の社会インフラの整備・維持・更新と防災・減災ですから、「土木」は「市民社会」に不可欠で、「土木」と関わらないで生きる市民はいません。しかし、「土木」は、同時に次のような問題も抱えています。
●問題1:「土木」は、同じように市民生活と密接な農業や漁業と違って、一部の自然環境や住環境を破壊しながら、全体最適を目指しています。したがって、犠牲を強いられる市民と利害関係のある市民に理解していただくことが必要です。

●問題2:近年の、人口の減少・税収の減少・インフラの老朽化・地震の活発化・豪雨の増強化等の問題山積の前では、「土木」が従来と同等の利便性や快適さ、安全や安心を維持するのは難しくなるので、市民に我慢してもらう必要があります。税負担と優先順位、不便さやリスクとどういうバランスで暮らしていくかを考えて貰う必要があります。

●問題3:「土木」の世界で働きたいと思う学生の減少があります。農業や漁業もなり手が居ませんが、インフラ施設や防災施設は輸入できません。ロボットや外国人の協力を得ても、国や地域の目指すべき将来像を構想し、具体化の計画をし、マネジメントするしっかりした技術者が必要です。
だから、「土木界」に居る産官学民と「市民社会」とが、互いの情報を共有し、共に考え、共に最適解を生み出していくことが望まれますが、CNCP通信59号に書いたような「溝」があります。
「土木と市民社会をつなぐ活動」は、土木学会では「土木広報アクションプラン『伝える』から『伝わる』へ【最終報告書】2013年7 月31 日(インターネットでダウンロード可能)」をまとめ、「土木広報センター」を設立して精力的な活動を展開しています。国・自治体・インフラ事業者・大学・企業・協会・NPO等の市民団体による様々な取り組みも、多数行われています。
それでも上記の問題1〜3が残り続けているので、志を同じくする仲間が集まって、連携・協働を一層し易くし、「市民社会」への発信力を増強させる「フォーラム」という「場」を作ります。
私たちと土木学会の小委員会が、1年間準備して、この7月に「土木と市民社会をつなぐフォーラム設立準備会」を発足させます。今後、活動状況を、CNCP通信とホームページで紹介していきますので、皆さんも、どうぞ、フォーラムにご参加ください。

■「CNCPボランティアガイド」として土木学会の「つなぐ活動」を支援
土木学会の土木広報センターでは、市民向けに下記の2つのイベントを行っています。ここではいろいろな展示物をいくつかの委員会が担当していますが、《特別企画展 1964東京オリンピック》というコーナーの説明をCNCPに要請されました。
CNCPでは、このような活動は、シニアのシビルNPOに向いていると思いますので、「土木と市民社会をつなぐ活動」の1つとして、「CNCPボランティアガイド」という支援活動に取り組もうと考えています。例えば、次のような「講師・ガイド」があると思います。
・イベント会場で用意されたパネル・模型・動画・簡単な実験などの説明等
・大学・学校の教室や講演会場での講演・WSの支援等
・社会資本施設・建設現場・災害現場・土木遺産などでの解説等
さらに、CNCP自身が取り組むイベントの他、CNCPの会員、および社会のシビルNPO・企業・土木学会等の団体・組織が「土木と市民社会をつなぐ活動」を行う際、シビル系(建設系)の技術者を必要とした場合に支援することも、次のステップとして考えています。
なお、NPOはボランティアではありませんが、イベントの性格と予算・収益の具合によって、報酬の多寡は様々と思います。
CNCPの会員とサポーターの皆さま、一緒に「ボランティアガイド」をして見ませんか? 一人でも多くの方のご参加をお願いします。お問い合わせは、CNCP事務局まで。


●オープンキャンパス土木学会2019
日時:2019/7/6(土)10:30〜16:00
場所:公益社団法人 土木学会 ●土木コレクション2019
日時:2019/11/14(木)〜17(日)8〜21時
場所:新宿駅西口広場イベントコーナー

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閑話休題

事務局長 内藤 堅一


CNCP通信では、「土木と市民社会をつなぐ」シリーズを2019年1月から6月まで6回発行してきました。シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP)では、2018年の見直しワーキングで、そのミッションとして「土木と市民社会をつなぐ」を掲げました。これに沿った具体の行動として、事業化推進部門では従来の「市民社会を築く建設大賞2018」の表彰の後、新規募集をお休みにして、「土木と市民社会をつなぐ事業研究会」を立ち上げ、何が活動として相応しいのか検討を進めています。また、土木学会連携部門では土木学会内に「土木と市民社会をつなぐフォーラム」を立ち上げる準備を進めています。
これらの活動とは別に、会員並びこの問題に関心を持っておられる皆さんにご意見を投稿して頂こうということでこのシリーズを始めました。掲載内容はCNCPのホームページ(URL:HTTP://npo-cncp.org/)から全て見ることができます。

第1回〜第6回までの掲載内容は以下のとおりです。
@ Vol.57(1/8発行) 山本卓朗代表理事 シリーズ開始にあたって
A Vol.58(2/12発行) 世古一穂理事   防潮堤問題にみる土木と市民社会
B Vol.59(3/12発行) 田中努常務理事  土木と市民社会の溝はどうしてできる?
C Vol.60(4/9発行) 三井元子理事  制度設計をも変える市民の科学
D Vol.61(5/14発行) 奥田早希子SP ファッションの後ろでがんばる土木を伝えたい
E Vol.62(6/11発行) 岩佐宏一常務理事防災減災につながる日常的な活動

今まではCNCPの理事やサポーターの方に執筆していただきました。今後は市民の皆さんはじめ各界のご意見を投稿して頂けるように考えています。
本シリーズの編集打合せでは、土木以外の分野の方に執筆いただく中で「土木に関する質問」があれば、投げかけて頂こうということになりました。質問によって、山本代表理事か内藤事務局長が回答することになっています。

Vol.64以降の執筆者を募集しています。現在お二人に投稿をお願いしています。投稿して頂ける方は、事務局長までご連絡ください。
執筆要領
・「土木と市民をつなぐ」活動事例、将来の活動などについて記載する。
・分量はA4 2枚程度、A4 1枚には写真、図表等と文字1,000字程度
・土木に関する質問を記載して頂ければ、Q&Aとして回答する予定。
・執筆の謝礼
会員、サポーターは無料、外部の方には規定により原稿料を支払います。
A4 1枚4,500円
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質問コーナー

土木に関するみなさまのご質問にCNCPがお答えします

「閑話休題」の項に書きましたように、土木以外の分野の方からの質問に山本代表理事か内藤事務局長が回答します。今回は2件の質問に山本代表理事が回答します。この回答に別の面から見たご意見があればお寄せ下さい。また専門家の図解があればなお助かります。意見や図解は紙面に順次掲載していきます。

質問 1 土木事業を、行う人はどういう構造になっていますか?よく元請け、下請けということばを耳にしますが、どういう違いがありますか?

お答え 土木や建築などの事業は、事業者が発注して建設会社が受注して現地で橋や建物を作るという形が一般的です。受注した建設会社がいわゆる元請け(もとうけ)ですが、実務は土工事、鉄筋型枠工事、コンクリート工事など専門とするいわゆる下請会社に請け負わせます。ただし地域に限定した小さな工事は、もっと簡略した形で実施されています。課題として、下請けが一次下請け・・・・3次下請けなど重層構造になっていて、最下端は一人親方というケースもありますから、担い手不足が顕著になっている昨今では、時代にそぐわない面も多く、様々な構造改革が模索されています。

質問2 今、一番気になっていることですが、辺野古の海の埋め立てで杭が何本も使われていますが、浮き上がつて駄目だとききます。辺野古の海を埋め立てることはまちがいなのではないですか?

お答え 辺野古の埋め立ては、ホットな政治課題でもありますから、ここでは軟弱な地層での埋め立てや構造物の建造について少しお話しましょう。

ネットで検索しますと、辺野古の工事は、何万本の杭とか90Mの深さとか様々な記事が見られるように、たいへん難しい工事であると思われます。一般的な話ですが、我が国の地層は地表に固い岩盤が露出しているようなところはほとんどなく、ある深さまで杭を打ったり、軟弱な地盤を改良したりしますので、基礎工事には苦労が付きまといます。辺野古で採用されるのはコンクリート杭とか鋼管杭ではなく、サンドドレーンという砂杭です。軟弱地盤上に盛土をすることは可能ですが、対策をしないと完成後に長期間にわたり軟弱地盤が圧密と言ってゆっくりと沈下をします。それで工事中に圧密を促進するために砂杭を打って軟弱地盤の圧密を促進して、供用後の沈下を抑えようという工法で軟弱地盤に盛土をするときの一般的な工法です。効果は期待できますが、辺野古のような大規模な砂杭工法の採用は珍しいといえます。
ちなみに復元工事で有名になった東京駅赤レンガの本屋は、大正時代の建造ですが、当時の記録では、60cm間隔で5M前後の松丸太杭が1万本以上打ち込まれたそうで、その一部が丸ビルのホールに展示されているというプログもありますから、ぜひご覧になってください。現代はもちろん最新工法を駆使して難工事に挑みますが、巨大災害が頻発する時代でもあります。土木や建築の工事や工法に多くの方が関心を持っていただくことはたいへん有難いことです。
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土木と市民社会をつなぐ活動

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CNCP 常務理事/土木学会連携部門長
土木学会/教育企画・人材育成委員会/シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


「土木と市民社会をつなぐ」活動は、CNCP全体の基本テーマですが、土木学会も同様の課題認識を持っているので、「土木学会連携部門」が先頭に立ち、他の部門と連携して進めています。
以下に、今、取り組んでいる2つの活動を紹介します。

■「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」の設立
「土木」の仕事は、道路・鉄道・上下水道・電気等の社会インフラの整備・維持・更新と防災・減災ですから、「土木」は「市民社会」に不可欠で、「土木」と関わらないで生きる市民はいません。しかし、「土木」は、同時に次のような問題も抱えています。
●問題1:「土木」は、同じように市民生活と密接な農業や漁業と違って、一部の自然環境や住環境を破壊しながら、全体最適を目指しています。したがって、犠牲を強いられる市民と利害関係のある市民に理解していただくことが必要です。

●問題2:近年の、人口の減少・税収の減少・インフラの老朽化・地震の活発化・豪雨の増強化等の問題山積の前では、「土木」が従来と同等の利便性や快適さ、安全や安心を維持するのは難しくなるので、市民に我慢してもらう必要があります。税負担と優先順位、不便さやリスクとどういうバランスで暮らしていくかを考えて貰う必要があります。

●問題3:「土木」の世界で働きたいと思う学生の減少があります。農業や漁業もなり手が居ませんが、インフラ施設や防災施設は輸入できません。ロボットや外国人の協力を得ても、国や地域の目指すべき将来像を構想し、具体化の計画をし、マネジメントするしっかりした技術者が必要です。
だから、「土木界」に居る産官学民と「市民社会」とが、互いの情報を共有し、共に考え、共に最適解を生み出していくことが望まれますが、CNCP通信59号に書いたような「溝」があります。
「土木と市民社会をつなぐ活動」は、土木学会では「土木広報アクションプラン『伝える』から『伝わる』へ【最終報告書】2013年7 月31 日(インターネットでダウンロード可能)」をまとめ、「土木広報センター」を設立して精力的な活動を展開しています。国・自治体・インフラ事業者・大学・企業・協会・NPO等の市民団体による様々な取り組みも、多数行われています。
それでも上記の問題1〜3が残り続けているので、志を同じくする仲間が集まって、連携・協働を一層し易くし、「市民社会」への発信力を増強させる「フォーラム」という「場」を作ります。
私たちと土木学会の小委員会が、1年間準備して、この7月に「土木と市民社会をつなぐフォーラム設立準備会」を発足させます。今後、活動状況を、CNCP通信とホームページで紹介していきますので、皆さんも、どうぞ、フォーラムにご参加ください。

■「CNCPボランティアガイド」として土木学会の「つなぐ活動」を支援
土木学会の土木広報センターでは、市民向けに下記の2つのイベントを行っています。ここではいろいろな展示物をいくつかの委員会が担当していますが、《特別企画展 1964東京オリンピック》というコーナーの説明をCNCPに要請されました。
CNCPでは、このような活動は、シニアのシビルNPOに向いていると思いますので、「土木と市民社会をつなぐ活動」の1つとして、「CNCPボランティアガイド」という支援活動に取り組もうと考えています。例えば、次のような「講師・ガイド」があると思います。
・イベント会場で用意されたパネル・模型・動画・簡単な実験などの説明等
・大学・学校の教室や講演会場での講演・WSの支援等
・社会資本施設・建設現場・災害現場・土木遺産などでの解説等
さらに、CNCP自身が取り組むイベントの他、CNCPの会員、および社会のシビルNPO・企業・土木学会等の団体・組織が「土木と市民社会をつなぐ活動」を行う際、シビル系(建設系)の技術者を必要とした場合に支援することも、次のステップとして考えています。
なお、NPOはボランティアではありませんが、イベントの性格と予算・収益の具合によって、報酬の多寡は様々と思います。
CNCPの会員とサポーターの皆さま、一緒に「ボランティアガイド」をして見ませんか? 一人でも多くの方のご参加をお願いします。お問い合わせは、CNCP事務局まで。


●オープンキャンパス土木学会2019
日時:2019/7/6(土)10:30〜16:00
場所:公益社団法人 土木学会 ●土木コレクション2019
日時:2019/11/14(木)〜17(日)8〜21時
場所:新宿駅西口広場イベントコーナー

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土木学会調査研究委員会活動を通じた市民とのつながり

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シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
(鉄建建設株式会社) 酒井 喜市郎


シビルNPO連携プラットフォーム代表理事である山本卓朗氏が、鉄建建設社長を務めてこられた頃からの関係で、現在当NPOにサポーターとして参加しています。また長らく土木学会地下空間研究委員会の幹事長として委員会活動を牽引してきましたが、委員会活動でも市民とのつながりを意識しながら活動を行ってきました。今回はその内容を紹介し、皆さんの活動の参考になればと考えています。
土木学会というと、関係者から見ても少々近づきがたい存在ですが、一般の市民から見れば別世界の集団と見られがちです。しかし土木工学が「Civil Engineering:市民工学」であることを考えれば、これは市民から見れば大きな損失です。我々土木技術者が研究し、答えを出してきたことをもっと実社会に役立てることが必要だという考えから、委員会では活動成果の一般市民への「普及」に力を入れてきました。活動の柱は大きく分類して3種類、それぞれ取り組み方は異なるものの、対象を一般市民として行う活動という意味では方向性は同じです。

(1) 夏休み親子見学会の実施
これは通常の見学会とは異なり、「みんなで触れよう、考えよう、想像しよう こんなにおもしろい地下空間」と題し、参加学習型の方式をとっており、修了者には「地下空間こども博士」を授与しています。あわせて土木技術者の裾野を広げることも目的としており、これまで12回開催し、今年も13回目の計画を進めています。

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(2) 無料市民セミナー実施
地下空間の防災、人の行動心理、維持管理を中心とした市民向けのセミナーを全国各地で開催し、委員会活動で得られた知見を広く一般社会に開示し、市民との意見交換を含めて展開しています。特に人が係わる地下空間では、工学的な見地だけでは問題解決が不可能なことも多く、利用する市民の意識や行動にまで及んだ議論を交わしています。これまでに21回の開催を数え、これからも継続して行く予定です。

(3) マスメディアを利用した普及活動
テレビや新聞、書籍による地下空間の普及活動に力を入れています。地下空間への関心の高まりにより、各マスメディアからの協力要請が多く届き、その都度対応しています。特にこども向け題材については、地下空間への関心向上と、正しい理解を促すため力を入れて実施しており、これまで18回の協力を実施し、これからも継続していく予定です。

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多自然川づくりご存じですか

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国土交通省 水管理・国土保全局 前 河川環境課長
(現 内閣府大臣官房審議官(併)経済産業省資源エネルギー庁
原子力災害対策本部廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐) 光成 政和


皆様は、「川のイメージは?」と聞かれたらどのような川の姿を思い浮かべますか。自然豊かな川、速い流れ遅い流れが組み合わされた曲線で構成された川ですか。コンクリートで囲まれた川、直線の川、あるいは川には関心がないのでイメージできないというお答えかもしれません。
近年の日本の川は、治水への社会的要請に対応するため、洪水を安全に流下させることを主眼に、コンクリートで囲んだまっすぐな断面での河川整備が多く進められました。このような環境への配慮が十分でない河川整備や、都市化の進展等により水質が著しく悪化した時期もあり、川から人々の関心が離れてしまいました。先ほど後者のイメージを持たれた方は、このことに原因があるのかもしれません。

このような時期を経て、平成2年から、河川が本来有している生物の良好な生息・生育環境に配慮し、あわせて美しい自然景観を保全あるいは創出する「多自然型川づくり」が始まり、現在では、「多自然川づくり」として一級河川から準用河川に至るまでの全国すべての川づくりおいて取組を進めています(特別なモデル事業であるかのような誤解を与えないように「型」は外れております)。
※多自然川づくりの定義:河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うことをいう。

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来年度で30年を迎える多自然川づくりが広く一般の方々に認識、理解されているかというとまだまだ十分ではありません。平成29年に市民団体等に行ったアンケート「Q.多自然川づくりの概念は市民へ浸透していると思われるか?」では、約3/4の方から「浸透していない」と回答いただいております。
これまでの多自然川づくりは、「河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会」(山岸哲委員長)によりレビューがなされ、今後の方向性が提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」として、まとめられました。この中では、多自然川づくりの周知に関して、「多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。」とのご意見をいただいています。

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これまで国土交通省では、関係者と連携し、河川管理者向けにマニュアルや、一般の方向けに写真集を作成し、多自然川づくりの普及に努めてきました。
国土交通省として今後も工夫をしながら周知を図ってまいりますが、市民サイドから、市民目線でわかりやすい周知が図られることも望ましいと考えています。CNCP通信Vol.62号で紹介されていた「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI(Sustainable Eel Farming Infrastructure)」の多自然川づくりを取り入れたゲームアプリの開発のアイデアは、これまで行政にはなかったアイデアであり、市民サイドからこのような多自然川づくりの周知に資する取組が出てきたことをきっかけとして、多自然川づくりがより多くの方から認識、理解されることを期待しています。

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土木学会調査研究委員会活動を通じた市民とのつながり

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シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
(鉄建建設株式会社) 酒井 喜市郎


シビルNPO連携プラットフォーム代表理事である山本卓朗氏が、鉄建建設社長を務めてこられた頃からの関係で、現在当NPOにサポーターとして参加しています。また長らく土木学会地下空間研究委員会の幹事長として委員会活動を牽引してきましたが、委員会活動でも市民とのつながりを意識しながら活動を行ってきました。今回はその内容を紹介し、皆さんの活動の参考になればと考えています。
土木学会というと、関係者から見ても少々近づきがたい存在ですが、一般の市民から見れば別世界の集団と見られがちです。しかし土木工学が「Civil Engineering:市民工学」であることを考えれば、これは市民から見れば大きな損失です。我々土木技術者が研究し、答えを出してきたことをもっと実社会に役立てることが必要だという考えから、委員会では活動成果の一般市民への「普及」に力を入れてきました。活動の柱は大きく分類して3種類、それぞれ取り組み方は異なるものの、対象を一般市民として行う活動という意味では方向性は同じです。

(1) 夏休み親子見学会の実施
これは通常の見学会とは異なり、「みんなで触れよう、考えよう、想像しよう こんなにおもしろい地下空間」と題し、参加学習型の方式をとっており、修了者には「地下空間こども博士」を授与しています。あわせて土木技術者の裾野を広げることも目的としており、これまで12回開催し、今年も13回目の計画を進めています。

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(2) 無料市民セミナー実施
地下空間の防災、人の行動心理、維持管理を中心とした市民向けのセミナーを全国各地で開催し、委員会活動で得られた知見を広く一般社会に開示し、市民との意見交換を含めて展開しています。特に人が係わる地下空間では、工学的な見地だけでは問題解決が不可能なことも多く、利用する市民の意識や行動にまで及んだ議論を交わしています。これまでに21回の開催を数え、これからも継続して行く予定です。

(3) マスメディアを利用した普及活動
テレビや新聞、書籍による地下空間の普及活動に力を入れています。地下空間への関心の高まりにより、各マスメディアからの協力要請が多く届き、その都度対応しています。特にこども向け題材については、地下空間への関心向上と、正しい理解を促すため力を入れて実施しており、これまで18回の協力を実施し、これからも継続していく予定です。

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白馬駅前の無電柱化で北アルプスが世界に誇れる景観に!

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NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク
理事 兼 事務局長  井上 利一


「長野県白馬村は、JR白馬駅から真っ直ぐに延びる県道約350mとJR大糸線と並行する国道約480mを対象に無電柱化する方針を明らかにした。無電柱化は2019年度中に電線埋設の設計を終え、2024年頃までの工事完了を目指している。総事業費は14億円になる見込みだ」(『日経新聞電子版』6/20より)
白馬村は、1998年の長野オリンピック後に国内の観光客が減少。一方で、海外の観光客が増加している。JAPOW(ジャパウ)と呼ばれる日本独特の極上のパウダースノーと、山岳景観を求めて年間10万人以上のインバウンドが訪れている。しかも、この地を気に入って移住する外国人も増え、今では白馬村の人口9,000人中500人が移住者という。

白馬村とのご縁は2012年に遡る。当NPO発行の『電柱のないまちづくり』(学芸出版社)を読んだ「白馬駅前の無電柱化を考える会」の松沢斉氏より、相談に乗って欲しいという依頼を受けた。その後2012年6月、同会主催の無電柱化勉強会に講師として招かれた。当日は多くの村民や行政関係者が集った。その当時から、村民の無電柱化にかける思いはたいへん熱いものがあった。その2年後、今度は当NPO主催のまちづくりフォーラム(右の写真参照)で松沢氏に小池百合子東京都知事と共にパネリストとして登壇していただいた。この時も松沢氏の「無電柱化にかける思い」は全く衰えるどころか、益々燃える思いを聴衆に訴えた。

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2017年に白馬駅前整備検討委員会(全6回)、10月に倉本聰氏をゲストに招いてシンポジウムを行い、村民の景観意識向上を進めた。


こうした熱心な村民の活動を受けて、長野県知事や白馬村村長も無電柱化へ向けた動きを加速させることとなる。その甲斐もあり、長野県景観条例の流れから、白馬村景観条例ができ、2018年の景観むらづくり100年白馬ワークショップ(全3回)を経て、村民念願の白馬村無電柱化推進条例が6月に議会に提出された。無電柱化に伴う街並整備事業計画も整えられ、完成後のグランドデザイン(下記図)も公表されている。このような経緯を受けての今回の報道である。嬉しさも一入だ。
昨年12月、11月10日の無電柱化の日に合せて発行した当NPO編著の『見あげたい日本の空☆復活へのシナリオ 無電柱化の時代へ』発刊記念トークイベントに松沢氏をパネリストで招聘した。その席で、松沢氏は「白馬村は、世界の山岳リゾートと比較すると、山々や周りの自然は遜色ないにも関わらず、麓に降りての街並みをみると大敗です」と、自虐的に語ったが、その表情には、無電柱化実現への自信も滲ませた。それは、無電柱化推進条例の成立といったことだけでなく、長年の活動の成果が「白馬村グランドデザイン」(下記パース参照)という形でまさに結実を目前に控えていることにもあるのであろう。
白馬村は間違いなく、日本有数のスキーリゾートであり、その住民の熱い思いは、電柱をも引っこ抜くパワーがあると、実感した次第である。白馬駅周辺の無電柱化によって、本家ヨーロッパの景観に勝るとも劣らない日がまもなく訪れることを期待し、今後も応援していきたい。

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posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | インフラメンテナンス

多自然川づくりご存じですか

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国土交通省 水管理・国土保全局 前 河川環境課長
(現 内閣府大臣官房審議官(併)経済産業省資源エネルギー庁
原子力災害対策本部廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐) 光成 政和


皆様は、「川のイメージは?」と聞かれたらどのような川の姿を思い浮かべますか。自然豊かな川、速い流れ遅い流れが組み合わされた曲線で構成された川ですか。コンクリートで囲まれた川、直線の川、あるいは川には関心がないのでイメージできないというお答えかもしれません。
近年の日本の川は、治水への社会的要請に対応するため、洪水を安全に流下させることを主眼に、コンクリートで囲んだまっすぐな断面での河川整備が多く進められました。このような環境への配慮が十分でない河川整備や、都市化の進展等により水質が著しく悪化した時期もあり、川から人々の関心が離れてしまいました。先ほど後者のイメージを持たれた方は、このことに原因があるのかもしれません。

このような時期を経て、平成2年から、河川が本来有している生物の良好な生息・生育環境に配慮し、あわせて美しい自然景観を保全あるいは創出する「多自然型川づくり」が始まり、現在では、「多自然川づくり」として一級河川から準用河川に至るまでの全国すべての川づくりおいて取組を進めています(特別なモデル事業であるかのような誤解を与えないように「型」は外れております)。
※多自然川づくりの定義:河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うことをいう。

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来年度で30年を迎える多自然川づくりが広く一般の方々に認識、理解されているかというとまだまだ十分ではありません。平成29年に市民団体等に行ったアンケート「Q.多自然川づくりの概念は市民へ浸透していると思われるか?」では、約3/4の方から「浸透していない」と回答いただいております。
これまでの多自然川づくりは、「河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会」(山岸哲委員長)によりレビューがなされ、今後の方向性が提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」として、まとめられました。この中では、多自然川づくりの周知に関して、「多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。」とのご意見をいただいています。

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これまで国土交通省では、関係者と連携し、河川管理者向けにマニュアルや、一般の方向けに写真集を作成し、多自然川づくりの普及に努めてきました。
国土交通省として今後も工夫をしながら周知を図ってまいりますが、市民サイドから、市民目線でわかりやすい周知が図られることも望ましいと考えています。CNCP通信Vol.62号で紹介されていた「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI(Sustainable Eel Farming Infrastructure)」の多自然川づくりを取り入れたゲームアプリの開発のアイデアは、これまで行政にはなかったアイデアであり、市民サイドからこのような多自然川づくりの周知に資する取組が出てきたことをきっかけとして、多自然川づくりがより多くの方から認識、理解されることを期待しています。

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