2019年09月01日

エコで持続可能な「空石積み」の技術

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有限会社鐵五郎企画代表
週末農民/弁当マイスター
大矢 みか


生きた知恵としての
農家の土木技術


最近、「石積み」に関心があります。中山間地域の棚田・段畑(段畑)の石垣、沖縄のサンゴの石垣、八丈島の玉石垣など、景観の美しさだけでなく、生業や生活を守るために生まれた技術の奥深さを感じています。週末にわか農民を二十数年つづけていることもあって、とくに惹かれるのは農家の土木作業として行われてきた棚田・段畑の「空石積み」です。
私の知る関東平野の水郷地帯には石垣棚田はなく、田んぼ周りの養生として行われるのは、田植え前の「畦塗り」。畦塗りは、田んぼの周りに土の壁を作って水が外にもれるのを防ぐ作業で、いわば畦(畦畔)の舗装です。田の土を持ち上げて法面を固めるので、環境への負荷はほとんどありません。また、人力であれ機械力であれ、生産者自らの手で行え、修復・再生ができることも良い点です。

石積みを
自分で積むことはできる?

中山間地で目にする棚田・段畑も環境に負荷をかけない農家の土木技術ではないかと思い、以前調べたことがあります。そのときは棚田の持つ多様な機能や文化的価値、景観の美しさ、耕作放棄地の増加などについて書かれたものか研究論文で、棚田の造成や維持管理についてはわかりませんでした。素人が棚田・段畑を作れるのか、工事業者に頼むとしたらそれは農家の土木技術ではないのか……、疑問を残したまま時が経ちました。
今年に入り、石積みの風景とそれを支える技術の継承を目的として活動している「石積み学校」をインターネットで知り、疑問が解けてきました。

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石積みの棚田(福岡県八女市星野村)。西日本に多い法面を野面石で積んだ棚田。


この石積み学校を立ち上げた真田純子さんは、石積みの技術を知る人が減り修復が困難になっている現代に、徳島県の山あいの村で石積み技術を習得した研究者。その真田さんが昨年末に出版した『図解 誰でもできる石積み入門』(農文協)によると、農地の石積みは、敵の浸入を防ぐためすき間をつくらない城郭の石垣とは異なり、農地の空石積みはすき間を空けたまま積むそうです。また、その土地にある野面石を材料とし、修復の際は崩した石を再利用するため地域資源を循環させる持続可能な工法であること。しかも棚田・段畑がある地域では地域の人たちが石積みをしてきたので、職人でなくてもルールとコツをつかめば習得可能な技術であること、地域の人たちがグループできる小さな工事であることなどが語られています。

持続可能な土木技術の
普及を

もちろん本を読むだけで実際的な技術を習得できるわけではないので、石積み学校が開催しているワークショップに近々参加したいと思います。
石積み学校はもともと「石積みを習いたい人、技術を持つ人、直してほしい人をマッチングし、直してほしい人の田んぼや畑を修復しながら技術の継承を行う仕組み」として2013年に設立されたそうです。ワークショップの開催数、参加者の広がりに市民の関心の高さがうかがえます。他人任せ、公共任せの消費から生産・創造へと市民の思考がシフトしてきているのではないでしょうか。
持続可能な地球環境や社会システムについて、その価値が人々に共有されている今、生業や生活の中で営々と培われてきた土木技術は、今後も市民から注目されていくと思います。経済合理性を名目に護岸をコンクリートで固めるのを止め、環境への負荷の少ない持続可能な技術を研究・普及してくださることを望みます。

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土坡の棚田(千葉県鴨川市大山千枚田)。関東では野面石が少ないため、土で法面を固めた棚田が多い。
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アナロジー

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シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
合同会社スマートウォーター 高橋 千里


はじめまして。サポーターをさせていただいておりますスマートウォーターの高橋と申します。このたびは投稿の機会をいただきありがとうございます。
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数年前、近所に1件の飲食店ができた。珍しい香草料理店で、まだ若い店主が居抜きで開業したものだった。
このあたりはターミナル駅から枝線で1つ目の駅周辺だ。商店街もさびれが目立つし住民の高齢化も進んでいる。その店の立地も過去に幾つかのチャレンジャーが挑んでは短期退出を繰り返してきた。
やはりその店は苦戦をしていた。開店から1か月ほどが過ぎたころ、危機感をいだいた私は遅めのランチタイムに訪れてみた。近隣の飲食店の存在は生活環境そのものだ。
料理はなかなかの拘りメニューで、店主はさらに酒類の種類を増やすことで客単価を高めようとしていた。雑談を装いながら幾つかの提案を試みた。

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・ネット広告を強化すること
・近隣に喫茶店が少ないのでカフェ時間帯を作りカフェメニューを強化すること
・商店街のコーヒー店や和菓子屋さんらと連携すること
・香草料理の総菜を土産販売することetc.
店主には香草料理そのものに強い拘りがあるようだった。
数か月後、店のシャッターは閉まってしまった。
「アナロジー」という言葉がある。ビジネスモデルの議論では他の成功事例をその構造やメカニズムとして模倣することを言う。ビジネスモデルの議論をするのは状況を大きく変えるため。模倣には離れた事例の模索が良いと言われる。
例えばパン屋の場合を考えてみる。売上を伸ばすためには「新しいパンを開発」するこが正攻法であろう。でも「近隣の介護施設への食パンの卸販売」も有効な場合がある。顧客を徒歩圏内の住民から車で配達可能な法人に拡げるのだ。
「売れ筋商品を模倣して季節の新製品を開発する」よりは、「フードコートを模倣」して、近所の自家製ケーキの店とカフェを共同経営することが打開策になるかもしれない。そして朝食時間帯には商店街で販売する新鮮な豆腐と漬物と卵かけご飯を提供するのだ。
インフラ分野はパン屋のようにはいかない。地域事業を持続可能とするためにより柔軟な視点はどこまで役立つであろうか。

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市民協働調査・分析WG(WG-3)の活動紹介

(特非) 社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(SLIM Japan)
副理事長 鈴木 泉


協働推進部門では、産官学民一層の連携強化を推進するため、行政や地方自治体、建設業界、NPOなど市民団体との協働を地域社会における市民主体の社会づくりとして進めている。具体的には、自治体インフラメンテ研究会からなる3つのワーキンググループ「WG-1市民理解推進」「WG-2協働コーディネート」「WG-3市民協働調査・分析」の組織でそれぞれ活動している。

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活動としては、まず全国各地で実践されている市民参画の事例を、WG-3のメンバーによる内部調査と土木学会で行われた「市民協働に関するアンケート調査」に基づいて、独自の方法で事例収集をしている。対象としては、土木インフラ施設、活動分野としては、主としてソフト・ハード含めるメンテナンス、及び今後の新たなメンテナンス活動のヒントとなる市民協働事例である。
続いて収集した事例を分析し、@協働事業の段階、A協働に至る経緯、B協働の種類(協働の領域設定と役割分担)C費用の捻出の4つの主な項目として整理、一覧化していく。特にA協働に至る経緯と、B協働の種類(協働の領域設定と役割分担)について深堀することで、単なる実態把握だけではなく、その特徴や現状の問題点を踏まえた新たな取組みへの課題解決と可能性に繋げて行くことが出来る。さらに、その一覧化した成果物をいろいろな場面で活用出来ると想定している。分析作業の中で、更なる情報の深堀が必要な場合は、事例の関係自治体や市民団体に問い合わせ、また現地ヒアリング等の方法で試みる。
現時点では、限られた情報の中での収集した53事例ではあるが、より充実した整理・一覧化にするためにランク付けし、今後分析作業に入る予定である。

今後の活動計画としては:
STEP1. 既存収集事例(53事例)の各種分析と追加情報収集及び整理し、基本データとする。
1) 必要ならば、現地に出向きヒアリング等を行い、情報を充実させる。
2) WGグループ+CNCP関係者、インフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラム、地方フォーラムとの交流で情報を充実させる
STEP2 分析・整理した事例の中で、意欲的な自治体及び活動団体と意見交換し、新たな実験計画を提案する。モデル事業現地交流ワークショップを「WG-2協働コーディネート」と連携して実践する。
STEP3. セミナー、シンポジウムを開催して、編集した協働事例を広く紹介する。さらに、インフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラム、地方フォーラムと連携し、モデル事例の展開ワークショップを開催する。

自治体インフラメンテ研究会としては、3つのワーキンググループそれぞれの役割を同じ速度で一体化し、インフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラムの活動と連携し、いち早く最新情報をキャッチしながら、率先して企画、行動していくことが大事なことと思う。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | NPOファイナンス等