2019年09月01日

世代を超えて土木を楽しむ

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
土木学会土木広報センター センター長
早稲田大学 名誉教
依田 照彦


今年も土木学会で7月6日(土)10:30〜16:00に「オープンキャンパス土木学会」が開催された。今回で3回目となるオープンキャンパスである。
土木学会では、学会関係者やその家族、地域の方々、土木分野への進学・就職希望者など、子供から大人まで多くの方々に土木学会に足を運んでいただき、土木学会および会員が有する知識や技術、資料等をじっくりと見ていただき、専門家の説明とともに、土木の一端に触れていただくことなど、具体的な体験を通して土木への理解を深めていただく場を常に模索している。その代表的なイベントの一つが夏に開催される「オープンキャンパス土木学会」である。
今年で3 回目の開催となる「オープンキャンパス土木学会2019」では、体験型プログラムの「土木ふれあいフェスタ」をはじめ、特別企画展「1964 東京オリンピック」、映像でつなぐ土木の記録である「どぼくシアター」など、豊富なメニューが取り揃えられていた。土木のおもしろさに触れ、そこから何かを掴んでいただき、さらに土木のことを知りたくなるような雰囲気を醸し出したいとの思いがそこにはあった。

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特に、記念資料を展示したコーナーは、オープンキャンパスの花である。言葉では表現できないものの、素晴らしい作品ばかりであった。このような作品の解説者に経験豊富な土木学会会員や土木技術者が適任であることは誰しも考えることである。実は、今年の「オープンキャンパス土木学会」では、展示物の説明者として、シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP)の土木学会連携部門の部門長であるメトロ設計葛Z術顧問の田中努様と、潟Gイト日本技術開発防災保全事業部長の森 敦様に全面的なご協力をいただいた。CNCPのメンバーの解説であれば、鬼に金棒であることは、疑う余地がない。CNCPの基本テーマ「土木と市民社会をつなぐこと」が「オープンキャンパス土木学会」で具現化されていた。

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「知りたくなる土木」を標語に掲げている土木広報センターとしては、専門的なことを分かり易く子供から大人まで一般の人に説明していただけることは大変ありがたい。特に、展示された作品の輝きが適切な説明で倍増することが嬉しい。やはり、「土木のことは土木に聞け」で、「話せばわかる」ではなく、「話せばかわる」のである。実際に、オープンキャンパスの現場で、子供から大人まで土木を楽しんでいる様子を目の当たりにすると土木は世代を超えて繋いでいくものであることをひしひしと感じる。来年が待ち遠しい。
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地域おこしのためのイベントとレガシー

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事 
NPO全国街道交流会議 代表理事
パシフィックコンサルタンツ株式会社 特別顧問 藤本 貴也


ある地域で、ウォーターフロントの再整備に取り組んでいる人達が中心になり、外国からも専門家を招聘して国際的な講演会を開催することとなった。先日、第一回目の実行委員会が開催され、私も縁あってその委員会を傍聴させていただいた。最初の会合でもあり委員長から各委員全員に意見を求められた。そのなかである建築家の委員から「会議以降にどのようなレガシーを残すかを検討することが重要である」との指摘があった。私もまったく同感だったが、各委員の皆さんから特段の反応は無く、むしろ会議開催費用の捻出(寄付金)に対する関心の方が高いような印象をもった。
私が代表理事を務めるNPO全国街道交流会議では、平成13年発足以来1〜2年に1回全国各地で「全国大会」を開催し、全国の関係者(約500〜800人)が集まっている。そこでは「街道」を切り口に開催地の自然・歴史・文化・産業、風土等を掘り下げてオンリーワンを再発見し、その地域の活性化にどうつなげていくかについて意見交換するとともに、各地からの参加者の地域おこしにフィードバックする場にもなっている。これまで、萩、富士、上山、松山、高山、高岡、鳥取、浜松、山口、小浜、福島で開催し、今年2月には静岡で第12回目の全国大会を開催した。毎回の大会で心掛けているのは主に以下の3点である。

@ 予算を含む大会の円滑な運営
A 複数市町村できれば県やブロックをまたぐ広域での取り組みの仕掛け
B 大会をスタート台にした具体的な地域おこしの活動(=大会のレガシー)

@は最低限の必要条件、Aは言うは易く行うは難いが、かつての街道往来等を踏まえた「広域連携」こそが私達NPOが重視している取り組み、Bはまさしくこれが「全国大会」開催の動機であり、目的である。

従来「街道」に着目した取り組みがあまり行われてこなかった東北地方において、国・県・市等と協力して「第3回上山大会」(平成16年)を開催し、その大会を総括する「大会宣言」で東北6県の町おこし関係者と「東北街道交流連携会議」の結成を呼びかけた。これに応えて翌年「とうほく街道会議」が発足、その後「羽州街道交流会議」を初め街道単位や県単位の街道団体が順次発足し、現在も活発に活動している。この他の各回の「全国大会」においても、そのレガシーとして、新たな地域間の連携体制の構築や地域と協力した社会実験、さらには観光庁の観光施策や文化庁の日本遺産を活用した継続的な地域おこしのための取り組み等を行っている。
とはいうものの、地域にインパクトを与えるような大会や講演会を開催する際には、それ自体にかなりの予算や大きなエネルギーが求められ、いつの間にか大会の円滑な運営そのものが目的になり、本来の目的(レガシーを残す)が疎かになりがちである。そこで、第4回の四国(松山)大会以降は、全国大会の前に数回事前勉強会を行い、「全国大会」のテーマや目的を関係者間で共有するとともに、「全国大会」をスタート台にしてどのような地域づくりに取り組んでいくのかについて議論し、大会を総括する「大会宣言」に反映させるようにした。また我々NPOとしても、地域の大会後の取り組みについて、可能な限り継続して共に取り組んでいくこととしている。
地域おこしを担うのは地元の市民・行政であり、また息の長い着実な取り組みが不可欠である。その一つのきっかけがイベントであり、それをいかにレガシーとしてイベント以降につなげていくかについては、共通のマニュアルは存在せず、その地域の状況に即した取り組みが必要である。各団体での様々な試行錯誤や工夫についての情報交換ができれば、地域おこしに苦労して取り組んでいる方々の貴重な参考になるのではないかと思う。
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市民協働調査・分析WG(WG-3)の活動紹介

(特非) 社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(SLIM Japan)
副理事長 鈴木 泉


協働推進部門では、産官学民一層の連携強化を推進するため、行政や地方自治体、建設業界、NPOなど市民団体との協働を地域社会における市民主体の社会づくりとして進めている。具体的には、自治体インフラメンテ研究会からなる3つのワーキンググループ「WG-1市民理解推進」「WG-2協働コーディネート」「WG-3市民協働調査・分析」の組織でそれぞれ活動している。

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活動としては、まず全国各地で実践されている市民参画の事例を、WG-3のメンバーによる内部調査と土木学会で行われた「市民協働に関するアンケート調査」に基づいて、独自の方法で事例収集をしている。対象としては、土木インフラ施設、活動分野としては、主としてソフト・ハード含めるメンテナンス、及び今後の新たなメンテナンス活動のヒントとなる市民協働事例である。
続いて収集した事例を分析し、@協働事業の段階、A協働に至る経緯、B協働の種類(協働の領域設定と役割分担)C費用の捻出の4つの主な項目として整理、一覧化していく。特にA協働に至る経緯と、B協働の種類(協働の領域設定と役割分担)について深堀することで、単なる実態把握だけではなく、その特徴や現状の問題点を踏まえた新たな取組みへの課題解決と可能性に繋げて行くことが出来る。さらに、その一覧化した成果物をいろいろな場面で活用出来ると想定している。分析作業の中で、更なる情報の深堀が必要な場合は、事例の関係自治体や市民団体に問い合わせ、また現地ヒアリング等の方法で試みる。
現時点では、限られた情報の中での収集した53事例ではあるが、より充実した整理・一覧化にするためにランク付けし、今後分析作業に入る予定である。

今後の活動計画としては:
STEP1. 既存収集事例(53事例)の各種分析と追加情報収集及び整理し、基本データとする。
1) 必要ならば、現地に出向きヒアリング等を行い、情報を充実させる。
2) WGグループ+CNCP関係者、インフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラム、地方フォーラムとの交流で情報を充実させる
STEP2 分析・整理した事例の中で、意欲的な自治体及び活動団体と意見交換し、新たな実験計画を提案する。モデル事業現地交流ワークショップを「WG-2協働コーディネート」と連携して実践する。
STEP3. セミナー、シンポジウムを開催して、編集した協働事例を広く紹介する。さらに、インフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラム、地方フォーラムと連携し、モデル事例の展開ワークショップを開催する。

自治体インフラメンテ研究会としては、3つのワーキンググループそれぞれの役割を同じ速度で一体化し、インフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラムの活動と連携し、いち早く最新情報をキャッチしながら、率先して企画、行動していくことが大事なことと思う。
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