2019年10月01日

スポーツボランティアについて考える

img868.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
CSN理事 和久 昭正


先日(7/20)、日本大学法学部10号館で行われた「日本社会関係学会」に参加した。そこで扱われたテーマが表題の「スポーツ・ボランテイアについて考える」であった。
話題提供された講師は、大阪大学 山内直人教授、東北大学岡田彩准教授及び笹川スポーツ財団澁谷茂樹氏等である。一方、参加者もざっと見わたしたところ経済・経営学部の関係者が多かった。彼らは「社会関係学」という耳慣れない学問の専門家集団であった。
この「スポーツ・ボランティアについて考える」という話題は、もちろん東京オリンピック・パラピックに向けたボランテイアのありかたを見据えてのテーマ設定である。背景には、東京マラソンが市民ボランテイアの活躍によって運営され、成功している事例がある。この東京マラソンは、市民がトップランナーと一緒に走ることができる市民マラソンでもある。そこで議論されたテーマは、つぎの2点であった。
1)東京オリパラとボランテイアの役割(岡田彩 東北大学准教授,山内直人 大阪大学教授)
2)スポーツボランティアの現状と展望(笹川スポーツ財団 澁谷茂樹氏)

img869.jpg

1)は、短期間のボランティアである。このボランティアは定期的なボランティア活動ではなく、単発的な大きなイベントにおけるボランテイア活動である。アンケート結果では、このボランテイアの経験者は「またやりたい」と答えた人が80%を超えているとのことであった。
2)は、地域のスポーツイベントの運営と世話、日常的な団体・クラブの運営、スポーツの指導等である。私は、学生・社会人を通じてサッカー選手として活動した経験があったので、息子が小学生になった時点から地域のスポーツ少年団のサッカーチームを指導していた。そのため、2)について大いに関心をもって聴講した。
講演内容は、地域のスポーツボランテイアは「地域貢献の一環である」という趣旨のもとに議論が展開されていた。しかし、この点が私の考え方と異なっていた。そこでフロアーからの意見として次のような私の考えを述べた。
私は少年団の指導者をしていたが、“地域活動のボランテイア活動”という意識は少なく、“自分の持っているサッカーの技術を子供たちに伝えたい”という気持ちが強かった。すなわちノウハウの伝承である。極論すればその気持ち一点で、少年団の指導に当たっていた。ボールの蹴り方、トラップ、ドリブル、フェイント、タックル等の基本技術、そして攻撃の仕方や守り方等を子供たちに教えたい、そして良い選手を育てたいという気持ちが強かった。     雨の日や合宿では、左図に示す自作のテキスト「サッカーの戦術とルール」を使って講義を行った。
どんな競技でもスポーツの指導者は「子供たちを強くしたい」という気持ちは同じであると思う。これが結果的には地域活性化のためのボランテイア活動につながる。それでよいのではないかと思う。講師の澁谷氏も、意外な意見が出たとしてメモっておられた。なおこの学会は、現在、正式設立を目指して着々と準備を進めているとのことであった。 [以上] 
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | その他(随筆的な投稿)

「インフラ70」は、未来に向けたメッセージ

img864.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム理事
一般社団法人建設コンサルタンツ協会副会長 酒井利夫


一般社団法人建設コンサルタンツ協会では、昨年9月から月一回のペースで「インフラ70」と称した講演会を開催しています。今日は、そのご紹介をしたいと思います。

1,講演会の趣旨
戦後、様々なインフラが整備されその後の日本の発展を支え、多大な効果を生み出し、今もその役割を果たしていますが、それらのプロジェクトの多くは今やインフラに携わる技術者はもとより一般国民からも忘れ去られています。
インフラの老朽化対策、都市再生、国土強靱化等今後の日本の様々な課題に立ち向かおうとする現在の技術者にとって過去における技術者たちの先見性、困難への対処、心構えやそのプロジェクトの意義等について知ることは極めて有意義であると考えます。
そこで、(一社)建設コンサルタンツ協会(以下「協会」という)は、関係者の多大なご協力のもと、各プロジェクトに直接間接に関わった関係者から直接講演いただく機会を定期的に設け、その記録を残し、随時広く公開する事業を「インフラ70講演会」と称して開始しました。
この事業により、協会会員技術者だけではなく、他の多くの技術者、学生はもとより広く国民各層にもインフラそのものへの理解をより深めて戴くためにも有益であると考えているところです。

2,これまでの状況
具体的なプロジェクトは 「協会」に設けた「戦後インフラ整備事業研究会(中村英夫委員長)」で、インフラ関係各分野から100プロジェクト程度を目途に幅広く選定し、併せて個別プロジェクト毎にその講演について取り仕切る主査(監督)を指名・依頼し、講演内容(シナリオ、演出)、講演者(俳優)の選定、そのとりまとめ等をその主査(監督)にお願いしています。
講演会は概ね2時間程度とし、その成果を「プロジェクト記録」としてとりまとめ、原則WEB上で公開するとともに当協会機関誌「Consultant」の別冊として出版する他、この趣旨に賛同頂いた雑誌や新聞等でも既に公表掲載いただいています。
昨年9月に第1回として「黒四ダム」を取り上げ、以降本年9月の「佐久間ダム」まで既に13回を数えたところですが、各回とも、関係者の皆様の多大なるご協力により満員御礼の盛会の状況です。

img865.jpg

3,舞台は「過去」だが、心は「未来」
 この事業開始前には、一部の関係者から、「過去の事を取り上げても、今となっては古い技術の紹介になるだけではないか」「わずか2時間では語り尽くせないのではないか」「関係者が多くまとまらないのではないか」等のご心配もいただきました。
しかし開催してみるとそれは杞憂でした。 毎回毎回、それぞれの主査や講演者等関係者のご努力のもと、各プロジェクトへのスポットライトの当て方が適切で、短い時間の中で、時代背景や、解決に至る過程、心意気等のご紹介があり、いずれの回も感動あり、共感あり、そして未来に向かってのメッセージありです。また講演会終了後の交流会での意見交換も好評をいただいています。また、参加者の多くは建設関係者ではありますが、中には、一般の会社の方で何回も聴講されている方もいらっしゃいます。
これまで取り上げたテーマの中には、プロジェクトそのものが密接に関連する地域での再講演を望まれたものもあり、今年の7月には、「黒四ダム」、9月27日には「京阪鉄道延伸」についての再講演を大阪で開催しました。今後、テーマによっては、関係者のご協力がいただければ東京以外でも開催できればと思っております。
また、この「インフラ70」をもっと広く多くの皆様にも知って頂けるよう多方面に発信していきたいと思います。引き続き多くの皆様のご協力とご支援をいただきながら続けて参ります。
このCNCP通信をご覧の皆様、是非 講演会にご参加ください。きっとそれぞれのお立場で心に響くものがあるものと確信しています。
よろしくお願いいたします。

参考:建コン協ホームページ
https://www.jcca.or.jp/infra70/

img866.jpg
img867.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 人文等

第18回 国語辞典の「土木」の現在

「土木とは」とGoogle検索すると「どぼく【土木】木材・鉄材・石材などを使ってする、家屋・道路・鉄道・河川・港湾などの工事。」(『岩波国語辞典第七版』)と最初に表示される。100年以上前の国語辞典『辭林』(1907年4月、三省堂)の「ど-ぼく〔土木〕家屋の土臺・堤防・道路・鐵道・橋梁等すべて木材・鐵材・土石などを使用する工事の稱。」以来、ほとんど変わりがない。
この『辭林』の直系の後継である『大辞林』(三省堂)の第四版が2019年9月5日に発売された。この『大辞林第四版』では「ど ぼく【土木】〔古く「とぼく」とも〕@ 土と木。また、飾り気のないことのたとえ。 →形骸(けいがい)を土木にす(「形骸」の句項目)。A 道路・橋梁(きょうりょう)・鉄道・港湾・堤防・河川・上下水道など、あらゆる産業・経済・社会等人間生活の基盤となるインフラを造り、維持・整備してゆく活動。〔古代・中世においては「造作」などとともに建築工事の意で用いられたが、以降江戸時代まで「作事」「普請」が使われ、明治になってから再び「土木」が「建設」「建築」とともに使われるようになった〕」となって、13年前の『大辞林第三版』(2006年10月)「〔古く「とぼく」とも〕@ 土と木。A 土石・木材・鉄材などを使用して、道路・橋梁(きょうりょう)・鉄道・港湾・堤防・河川・上下水道などを造る建設工事の総称。〔従来は家屋などの建築を含んだ〕→ 建築」から、画期的ともいえる大きな改訂(下線と二重取り消し線で異同を表現した)が施された。
これなら「大辞林第四版によると土木とは……」と使ってもいいのでは。
(土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 人文等

「土木と市民社会をつなぐ事業研究会発足」

<設立の背景>
CNCPは、設立3年を機にこれまでの活動を見直し、今後の活動の基本テーマとして「土木と市民社会をつなぐ」が設定されました。事業化推進部門でもこれを受けて、活動の見直しを行い、過去3回実施してきた、アワード事業と社会的課題解決を図るソーシャルビジネス(SB)や企業のCSV注1事業を中心に、「土木と市民社会をつなぐ」ためにどういう事業化を推進するべきかという視点で活動を見直す「土木と市民社会をつなぐ事業研究会」を立ち上げるに至りました。
注1:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
<活動目的>
研究会の活動は社会的課題の解決を図る事業手法、特にソーシャルビジネス(SB)および企業の共通価値の創造(CSV)を学習すると共に建設分野における社会的課題の解決を図る事業を広く調査研究し、望ましい活動・事業とは何かを明らかにすることを目的とします。さらに、上記の望ましい活動や事業を実施している企業や団体を広く社会に紹介し、アワードとして賞することで、建設界に対する社会の理解を進めることも目的とします。また、この研究活動は土木学会とCNCPで進めている「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」に参画して進めるものとします。

<主な活動内容>
@ SBおよびCSVの学習
A 社会的課題解決事業の調査
B 建設分野で望まれるSBやCSV等社会的課題解決の活動や事業の整理
C SBおよびCSVのセミナー開催
D 建設大賞の実施
<組 織>
・本研究会は事業化推進部門直轄組織として辻田担当理事が所管します。
・本研究会は「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」と協働します。
<研究会メンバー>
研究会メンバーは下記の通りです。
・CNCP運営会議から:
山本代表、辻田理事、田中理事
・アワード(建設大賞)選定委員から:
田村選定委員
・ゼネコンから:
安藤ハザマ、熊谷組、鉄建建設、
西松建設、前田建設工業、奥村組
・アドバイザーとして:
武蔵大学 粉川先生、CNCP野村理事
<研究会の進め方>
・定例会は2〜3ヶ月に1回程度のペースで行っています。
・また、土木学会シビルNPO推進小委員会の「土木と市民社会をつなぐフォーラム準備会」の活動に参加して参ります。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 地域社会等

スポーツボランティアについて考える

img868.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
CSN理事 和久 昭正


先日(7/20)、日本大学法学部10号館で行われた「日本社会関係学会」に参加した。そこで扱われたテーマが表題の「スポーツ・ボランテイアについて考える」であった。
話題提供された講師は、大阪大学 山内直人教授、東北大学岡田彩准教授及び笹川スポーツ財団澁谷茂樹氏等である。一方、参加者もざっと見わたしたところ経済・経営学部の関係者が多かった。彼らは「社会関係学」という耳慣れない学問の専門家集団であった。
この「スポーツ・ボランティアについて考える」という話題は、もちろん東京オリンピック・パラピックに向けたボランテイアのありかたを見据えてのテーマ設定である。背景には、東京マラソンが市民ボランテイアの活躍によって運営され、成功している事例がある。この東京マラソンは、市民がトップランナーと一緒に走ることができる市民マラソンでもある。そこで議論されたテーマは、つぎの2点であった。
1)東京オリパラとボランテイアの役割(岡田彩 東北大学准教授,山内直人 大阪大学教授)
2)スポーツボランティアの現状と展望(笹川スポーツ財団 澁谷茂樹氏)

img869.jpg

1)は、短期間のボランティアである。このボランティアは定期的なボランティア活動ではなく、単発的な大きなイベントにおけるボランテイア活動である。アンケート結果では、このボランテイアの経験者は「またやりたい」と答えた人が80%を超えているとのことであった。
2)は、地域のスポーツイベントの運営と世話、日常的な団体・クラブの運営、スポーツの指導等である。私は、学生・社会人を通じてサッカー選手として活動した経験があったので、息子が小学生になった時点から地域のスポーツ少年団のサッカーチームを指導していた。そのため、2)について大いに関心をもって聴講した。
講演内容は、地域のスポーツボランテイアは「地域貢献の一環である」という趣旨のもとに議論が展開されていた。しかし、この点が私の考え方と異なっていた。そこでフロアーからの意見として次のような私の考えを述べた。
私は少年団の指導者をしていたが、“地域活動のボランテイア活動”という意識は少なく、“自分の持っているサッカーの技術を子供たちに伝えたい”という気持ちが強かった。すなわちノウハウの伝承である。極論すればその気持ち一点で、少年団の指導に当たっていた。ボールの蹴り方、トラップ、ドリブル、フェイント、タックル等の基本技術、そして攻撃の仕方や守り方等を子供たちに教えたい、そして良い選手を育てたいという気持ちが強かった。     雨の日や合宿では、左図に示す自作のテキスト「サッカーの戦術とルール」を使って講義を行った。
どんな競技でもスポーツの指導者は「子供たちを強くしたい」という気持ちは同じであると思う。これが結果的には地域活性化のためのボランテイア活動につながる。それでよいのではないかと思う。講師の澁谷氏も、意外な意見が出たとしてメモっておられた。なおこの学会は、現在、正式設立を目指して着々と準備を進めているとのことであった。 [以上] 
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 地域社会等

床版のことがよく分かる本を出しました

img861.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム法人正会員
NPO法人道路の安全性向上協議会専務理事(事務局長)吉川 良一


道路橋で、今、一番注目されているのは、鋼橋の床版である。
これまで、橋梁は、「長い」「高い」「新しい」が、技術の最先端であり、床版は単なる2方向のコンクリート板であって、教科書の計算式でも容易に設計できる。橋梁にとっては、死荷重であることから、その重量を減らす、即ち、床版厚を薄くすることが自然であった。しかし、道路橋の損傷の最も激しいのが、床版であり、平成26年1月に発表された我が国の高速道路の大規模更新計画3兆円(表―1)のうち、その6割が床版の取替等に充てられている。土工、トンネル、橋梁の橋脚、橋桁等に比べて、その額が抜きん出ている。
考えて見れば、冬に塩が撒かれるのは床版の上であり、重車両の荷重を直接受けるのも床版である。だが、これほど損傷し易い床版全般を対象にした書物は土木学会の床版マニュアル等を除いて殆んど見当たらない。そこで、当NPOの理事で、土木学会鋼構造委員会にて道路橋床版の小委員会委員長を2期8年に亘って務めてきた大田孝二が、これまでの知見を集約した書物を昨年の11月に出版した。(図―1)大きな反響があり、増刷が必要となったので、現在は全国の高速道路の床版取替の現場を見て廻っている。現場では、ループ継手内への鉄筋挿入方法、ループ継手に替わるエンドバンド工法、現場打設部を数センチとする橋軸方向へのプレストレス導入の床版など、実に種々の工夫がなされている。これらを取り纏めて、第2版を出す予定である。

img862.jpg
表―1 高速道路の大規模更新計画

img863.jpg
図―1 Bridge Slabs
(購入申込は、http://www.ersc-npo.jp より)
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等

『インフラ点検のすゝめ』

img852.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 協働推進部門担当
日本ファシリティマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副部会長
インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムリーダー
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


公共インフラ施設の定期点検法制化により、橋梁やトンネル等については2018年度で初回の5年サイクルが完了し、現在は2巡目の点検を迎えている状況である。法制化された2014年では、かつてより実施してこなかった市町村が点検費用や技術的な対応に困惑していたことを思い出す。その後点検については順調に進み1サイクルを終えた最近では、点検結果を考慮した維持修繕費の課題が湧き上がっている。
そのような中、一部の自治体では直営で点検や日常的な修繕を実施することを始めている。ある自治体では橋梁補修DIYとして直営補修を実施しており、インハウス能力が飛躍的に向上した実例もある。

img853.jpg

上表は、今年8月に国土交通省道路局より公表された「道路メンテナンス年報」で、管理者別の修繕実施状況(橋梁)の市町村に着目したグラフである。表上段(判定区分V、W)は損傷が発生したら直す事後保全での実施状況で修繕着手済は18%(直轄は53%)、表下段(判定区分U)は損傷が軽度な状態から修繕する予防保全の実施状況であり、修繕着手済は2%(直轄は26%)であることを示している。このことから多くの橋梁を抱える市町村は目の前の修繕はどうにか対応しているが、予防的な措置への対応はほぼできていないと読み取れ、早期なフォローが必要と考える。
それらの課題をおこがましいが何かサポートできないかと考え、所属する日本ファシリティマネジメント協会インフラマネジメント研究部会で若手行政職員向けに現場目線の点検教本を制作することとした。修繕の前段である点検に着目したのは、直営での修繕が可能かどうか現状の劣化を見て判断するサポートとするためである。日常的な施設管理マネジメント、施設点検のポイント、現場での安全対策を重点に制作した。

img854.jpg

「インフラ点検のすゝめ」 現場の目線 -実践編- は研究部会員それぞれが現場で体験した経験をもとに執筆したものである。この書籍を出版することが目的ではなく、書籍を通じて自治体の課題が少しでも解消されることである。まずは手に取って読んでいただき、必要な場合は研究部会員による「出前講座」も開催するので、広く活用いただきたい。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等

床版のことがよく分かる本を出しました

img861.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム法人正会員
NPO法人道路の安全性向上協議会専務理事(事務局長)吉川 良一


道路橋で、今、一番注目されているのは、鋼橋の床版である。
これまで、橋梁は、「長い」「高い」「新しい」が、技術の最先端であり、床版は単なる2方向のコンクリート板であって、教科書の計算式でも容易に設計できる。橋梁にとっては、死荷重であることから、その重量を減らす、即ち、床版厚を薄くすることが自然であった。しかし、道路橋の損傷の最も激しいのが、床版であり、平成26年1月に発表された我が国の高速道路の大規模更新計画3兆円(表―1)のうち、その6割が床版の取替等に充てられている。土工、トンネル、橋梁の橋脚、橋桁等に比べて、その額が抜きん出ている。
考えて見れば、冬に塩が撒かれるのは床版の上であり、重車両の荷重を直接受けるのも床版である。だが、これほど損傷し易い床版全般を対象にした書物は土木学会の床版マニュアル等を除いて殆んど見当たらない。そこで、当NPOの理事で、土木学会鋼構造委員会にて道路橋床版の小委員会委員長を2期8年に亘って務めてきた大田孝二が、これまでの知見を集約した書物を昨年の11月に出版した。(図―1)大きな反響があり、増刷が必要となったので、現在は全国の高速道路の床版取替の現場を見て廻っている。現場では、ループ継手内への鉄筋挿入方法、ループ継手に替わるエンドバンド工法、現場打設部を数センチとする橋軸方向へのプレストレス導入の床版など、実に種々の工夫がなされている。これらを取り纏めて、第2版を出す予定である。

img862.jpg
表―1 高速道路の大規模更新計画

img863.jpg
図―1 Bridge Slabs
(購入申込は、http://www.ersc-npo.jp より)
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | インフラメンテナンス

産官学で取り組む『岡山道路パトロール隊』

img855.jpg
岡山県立岡山工業高等学校土木科
岡山道路パトロール隊リーダー 狩屋 雅之


1.はじめに
人口減少・高齢化などの社会問題を踏まえ、管理者だけがインフラサービスの維持を行っていく現在の仕組みを見直し、インフラ利用者である様々な立場の人たちも主体的にこれに向き合い、インフラメンテナンスの問題に参加していくことが必要であると考えた。
今回紹介する『岡山道路パトロール隊(以下、本取組)』の活動は、授業の中で生徒が現実の道路をパトロールする事により、道路管理者や維持・保守業者の仕事を知った上で、卒業後の進路決定として道路管理者や建設業界への入職を選択する動機を醸成する事にある。
更に今後ますます重要度を増す社会インフラ維持の担い手不足を補うだけでなく、ICTに精通した土木技術者として、広く建設業界全体の生産性向上に貢献し、市民参加型の社会インフラ維持活動のリーダーとして地域を牽引する人材を養成することも目的としている。

2.平成29年度の実施内容
岡山県立岡山工業高校では、国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所岡山維持出張所(以下、岡山維持)が管理する国道53号・国道180号をフィールドとして提供して貰い、この区間の維持工事を担当する世紀東急工業株式会社(以下、世紀東急)の協力を得、3年生の「課題研究」の授業(週3時間)の中で、徒歩パトロールを行う事で現実の社会インフラ維持のあり方を学び始めた。

img856.jpg

道路パトロール対象区間は、国道53号 延長約4000m、国道180号延長約2000m 計約6000mを4ルートに分け実施。歩道が整備され安全性も担保されている区間を岡山維持に選定して貰い、これを4ツの緑線のパトロールルートに分割・設定した。人員は土木科3年生40名の内、課題研究で「道路パトロールチーム」を選択した6名である。これを3名ずつ2班に編成した。

3.道路パトロール隊の取組みと課題解決
(1)実践1巡目での到達点
初回となる平成29年6月23日の道路パトロールでは、国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所(以下、岡山国道)の“未来の土木技術者発掘プロジェクト(道路管理版)”によるプレス発表も行われた。また世紀東急より、報告内容が客観的で平準化が図れるよう異常内容の選択肢が記載された「道路パトロール日誌」を準備。その他、帽子と安全チョッキを着用、ホワイトボード、デジカメ、敷地調査図、筆記用具を携帯しスタートした。
1巡目のパトロールでは、各ルート約40地点で異常内容を記録し、その後学校で報告様式である敷地調査図に写真を貼付け、コメントの記入に取り掛かった。1巡目でわかったことは、パトロール実施後、「道路パトロール日誌」作成に伴う報告書作成が想像以上に煩雑で多くの時間を要した事。結果、道路パトロールそのものよりも、報告書作成に多くの時間を割く必要があり、報告書作成のためにパロトールを早々に切り上げるようなことでは課題研究としての実践活動の目的も失いかねず、また生徒のモチベーション低下にもつながりかねないため、効率的なパトロールのあり方について模索することとなった。

img857.jpg

(2)実践2巡目での成果
道路管理者である岡山維持と受注者である世紀東急は、 平成29年4月より維持管理の現場にICTを導入しクラウドコンピューティングにより業務の効率化を図っていた。図3の赤枠の機能、スマホを走行する車両に設置し、走行の際に得られる振動で路面の凹凸・段差を計測、補修箇所選定に活用。また青枠の機能、スマホで撮影するだけで画像とコメントを地図上にプロットした報告書が約3分で完成にも触れられており、その成果が平成29年10月開催「第32回日本道路会議」で発表され、それを聴講したことを切っ掛けに本取組で活用するようお願いした。
効果はてき面であった。1巡目のパトロールでは前述の通り多くの備品を携帯したが、2巡目ではスマホ1台を携帯。スマホの活用により一人一役でパトロールを実施できるようになった。「道路パトロール日誌」の作成は大幅に時間短縮でき、ほぼ全ての情報を現地で選択・入力するのみで報告書が出来上がっていった。高校生にとって日頃使い慣れているスマホは、「道路パトロール日誌」作成の時間短縮のみならず、道路パトロールにおいても有効に時間を使うことができた。このスマホの活用は、生徒にとって単なる作業の効率化だけを目指したものでなく、岡山維持、世紀東急、岡山工業の3者がクラウドサービスを通じて情報を共有できている点、共通の仕組みが目的を同じくし連帯感を生んでいる点に驚きがあった。
更にICTを活用することにより、将来の担い手となり得る専門教育を受ける土木科生徒に、インフラメンテナンス産業の魅力を発信し業界のイメージアップに繋げた点にも着目できるものがあった。

img858.jpg

4.平成30年度からは岡山全域に拡張
平成29年度の実績を踏まえ、岡山県高等学校工業教育協会土木系部会では、国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所と相談の上、3出張所の管理するフィールドを提供して貰い、岡山県内土木科設置3工高(岡山工業・笠岡工業・津山工業)が、各出張所(岡山・玉島・津山)、各維持業者(世紀東急工業・日本道路・NIPPO)と隊を組み、『岡山道路パトロール隊』として平成30年6月29日に合同発足式を開催した。

img859.jpg

5.新たに『インフラ調査士補』の創設
社会インフラの点検には、高い技術力や技術者倫理、品質を管理するマネジメント力などが要求される。これらは本取組にも該当し「土木の勉強をしたことがある生徒たち」が実践する道路パトロールを更にブラッシュアップした「インフラの点検技術を持つ生徒たち」が社会インフラの維持活動を実践するということが肝要となる。
それには生徒の点検技術レベルの見える化として新たな点検資格の創造が必須と思料した。こうした意図に基づき、国土交通省認定資格「インフラ調査士」の補完資格となる『インフラ調査士補』を(一社)日本非破壊検査工業会の協力により創設するに至った。知識習得を示すエビデンスとして『インフラ調査士補』を取得することで、生徒のインフラ点検の技術スキルを示すことが可能となり、その点検結果に一定の精度や信頼度が担保される。

6.まとめ
『岡山道路パトロール隊』の効果は、交通弱者といわれる歩行者や自転車の利用者に対し迅速な道路管理が行えていることだ。岡山国道事務所維持管理計画では、定期巡回(徒歩巡回)は原則として年に1回実施することとされている。
本取組みによって原則1回の定期巡回+道路パトロール隊による徒歩巡回2回の、通常の3倍の巡回を実施。活動する高校生が社会貢献に目覚めた事は特筆することだ。平成30年3月にインフラメンテナンス国民会議地方フォーラムの一つとして設立した『ちゅうごく』では、本年度、本取組との共催で市民参加型パトロール活動を予定しており、国民会議の理念の普及が期待される。
また岡山から中国5県へ、そして全国約160の土木系高校への横展開を土木学会等の協力も得ながら図っていければと考えている。最後に、本取組の最大の成果はと問われれば、インフラメンテナンスという題材をとおして、これに取組む高校生が「土木技術者としての倫理観」を育むことができた事だと言えるであろう。

img860.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | インフラメンテナンス

『インフラ点検のすゝめ』

img852.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 協働推進部門担当
日本ファシリティマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副部会長
インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムリーダー
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


公共インフラ施設の定期点検法制化により、橋梁やトンネル等については2018年度で初回の5年サイクルが完了し、現在は2巡目の点検を迎えている状況である。法制化された2014年では、かつてより実施してこなかった市町村が点検費用や技術的な対応に困惑していたことを思い出す。その後点検については順調に進み1サイクルを終えた最近では、点検結果を考慮した維持修繕費の課題が湧き上がっている。
そのような中、一部の自治体では直営で点検や日常的な修繕を実施することを始めている。ある自治体では橋梁補修DIYとして直営補修を実施しており、インハウス能力が飛躍的に向上した実例もある。

img853.jpg

上表は、今年8月に国土交通省道路局より公表された「道路メンテナンス年報」で、管理者別の修繕実施状況(橋梁)の市町村に着目したグラフである。表上段(判定区分V、W)は損傷が発生したら直す事後保全での実施状況で修繕着手済は18%(直轄は53%)、表下段(判定区分U)は損傷が軽度な状態から修繕する予防保全の実施状況であり、修繕着手済は2%(直轄は26%)であることを示している。このことから多くの橋梁を抱える市町村は目の前の修繕はどうにか対応しているが、予防的な措置への対応はほぼできていないと読み取れ、早期なフォローが必要と考える。
それらの課題をおこがましいが何かサポートできないかと考え、所属する日本ファシリティマネジメント協会インフラマネジメント研究部会で若手行政職員向けに現場目線の点検教本を制作することとした。修繕の前段である点検に着目したのは、直営での修繕が可能かどうか現状の劣化を見て判断するサポートとするためである。日常的な施設管理マネジメント、施設点検のポイント、現場での安全対策を重点に制作した。

img854.jpg

「インフラ点検のすゝめ」 現場の目線 -実践編- は研究部会員それぞれが現場で体験した経験をもとに執筆したものである。この書籍を出版することが目的ではなく、書籍を通じて自治体の課題が少しでも解消されることである。まずは手に取って読んでいただき、必要な場合は研究部会員による「出前講座」も開催するので、広く活用いただきたい。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | インフラメンテナンス

産官学で取り組む『岡山道路パトロール隊』

img855.jpg
岡山県立岡山工業高等学校土木科
岡山道路パトロール隊リーダー 狩屋 雅之


1.はじめに
人口減少・高齢化などの社会問題を踏まえ、管理者だけがインフラサービスの維持を行っていく現在の仕組みを見直し、インフラ利用者である様々な立場の人たちも主体的にこれに向き合い、インフラメンテナンスの問題に参加していくことが必要であると考えた。
今回紹介する『岡山道路パトロール隊(以下、本取組)』の活動は、授業の中で生徒が現実の道路をパトロールする事により、道路管理者や維持・保守業者の仕事を知った上で、卒業後の進路決定として道路管理者や建設業界への入職を選択する動機を醸成する事にある。
更に今後ますます重要度を増す社会インフラ維持の担い手不足を補うだけでなく、ICTに精通した土木技術者として、広く建設業界全体の生産性向上に貢献し、市民参加型の社会インフラ維持活動のリーダーとして地域を牽引する人材を養成することも目的としている。

2.平成29年度の実施内容
岡山県立岡山工業高校では、国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所岡山維持出張所(以下、岡山維持)が管理する国道53号・国道180号をフィールドとして提供して貰い、この区間の維持工事を担当する世紀東急工業株式会社(以下、世紀東急)の協力を得、3年生の「課題研究」の授業(週3時間)の中で、徒歩パトロールを行う事で現実の社会インフラ維持のあり方を学び始めた。

img856.jpg

道路パトロール対象区間は、国道53号 延長約4000m、国道180号延長約2000m 計約6000mを4ルートに分け実施。歩道が整備され安全性も担保されている区間を岡山維持に選定して貰い、これを4ツの緑線のパトロールルートに分割・設定した。人員は土木科3年生40名の内、課題研究で「道路パトロールチーム」を選択した6名である。これを3名ずつ2班に編成した。

3.道路パトロール隊の取組みと課題解決
(1)実践1巡目での到達点
初回となる平成29年6月23日の道路パトロールでは、国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所(以下、岡山国道)の“未来の土木技術者発掘プロジェクト(道路管理版)”によるプレス発表も行われた。また世紀東急より、報告内容が客観的で平準化が図れるよう異常内容の選択肢が記載された「道路パトロール日誌」を準備。その他、帽子と安全チョッキを着用、ホワイトボード、デジカメ、敷地調査図、筆記用具を携帯しスタートした。
1巡目のパトロールでは、各ルート約40地点で異常内容を記録し、その後学校で報告様式である敷地調査図に写真を貼付け、コメントの記入に取り掛かった。1巡目でわかったことは、パトロール実施後、「道路パトロール日誌」作成に伴う報告書作成が想像以上に煩雑で多くの時間を要した事。結果、道路パトロールそのものよりも、報告書作成に多くの時間を割く必要があり、報告書作成のためにパロトールを早々に切り上げるようなことでは課題研究としての実践活動の目的も失いかねず、また生徒のモチベーション低下にもつながりかねないため、効率的なパトロールのあり方について模索することとなった。

img857.jpg

(2)実践2巡目での成果
道路管理者である岡山維持と受注者である世紀東急は、 平成29年4月より維持管理の現場にICTを導入しクラウドコンピューティングにより業務の効率化を図っていた。図3の赤枠の機能、スマホを走行する車両に設置し、走行の際に得られる振動で路面の凹凸・段差を計測、補修箇所選定に活用。また青枠の機能、スマホで撮影するだけで画像とコメントを地図上にプロットした報告書が約3分で完成にも触れられており、その成果が平成29年10月開催「第32回日本道路会議」で発表され、それを聴講したことを切っ掛けに本取組で活用するようお願いした。
効果はてき面であった。1巡目のパトロールでは前述の通り多くの備品を携帯したが、2巡目ではスマホ1台を携帯。スマホの活用により一人一役でパトロールを実施できるようになった。「道路パトロール日誌」の作成は大幅に時間短縮でき、ほぼ全ての情報を現地で選択・入力するのみで報告書が出来上がっていった。高校生にとって日頃使い慣れているスマホは、「道路パトロール日誌」作成の時間短縮のみならず、道路パトロールにおいても有効に時間を使うことができた。このスマホの活用は、生徒にとって単なる作業の効率化だけを目指したものでなく、岡山維持、世紀東急、岡山工業の3者がクラウドサービスを通じて情報を共有できている点、共通の仕組みが目的を同じくし連帯感を生んでいる点に驚きがあった。
更にICTを活用することにより、将来の担い手となり得る専門教育を受ける土木科生徒に、インフラメンテナンス産業の魅力を発信し業界のイメージアップに繋げた点にも着目できるものがあった。

img858.jpg

4.平成30年度からは岡山全域に拡張
平成29年度の実績を踏まえ、岡山県高等学校工業教育協会土木系部会では、国土交通省中国地方整備局岡山国道事務所と相談の上、3出張所の管理するフィールドを提供して貰い、岡山県内土木科設置3工高(岡山工業・笠岡工業・津山工業)が、各出張所(岡山・玉島・津山)、各維持業者(世紀東急工業・日本道路・NIPPO)と隊を組み、『岡山道路パトロール隊』として平成30年6月29日に合同発足式を開催した。

img859.jpg

5.新たに『インフラ調査士補』の創設
社会インフラの点検には、高い技術力や技術者倫理、品質を管理するマネジメント力などが要求される。これらは本取組にも該当し「土木の勉強をしたことがある生徒たち」が実践する道路パトロールを更にブラッシュアップした「インフラの点検技術を持つ生徒たち」が社会インフラの維持活動を実践するということが肝要となる。
それには生徒の点検技術レベルの見える化として新たな点検資格の創造が必須と思料した。こうした意図に基づき、国土交通省認定資格「インフラ調査士」の補完資格となる『インフラ調査士補』を(一社)日本非破壊検査工業会の協力により創設するに至った。知識習得を示すエビデンスとして『インフラ調査士補』を取得することで、生徒のインフラ点検の技術スキルを示すことが可能となり、その点検結果に一定の精度や信頼度が担保される。

6.まとめ
『岡山道路パトロール隊』の効果は、交通弱者といわれる歩行者や自転車の利用者に対し迅速な道路管理が行えていることだ。岡山国道事務所維持管理計画では、定期巡回(徒歩巡回)は原則として年に1回実施することとされている。
本取組みによって原則1回の定期巡回+道路パトロール隊による徒歩巡回2回の、通常の3倍の巡回を実施。活動する高校生が社会貢献に目覚めた事は特筆することだ。平成30年3月にインフラメンテナンス国民会議地方フォーラムの一つとして設立した『ちゅうごく』では、本年度、本取組との共催で市民参加型パトロール活動を予定しており、国民会議の理念の普及が期待される。
また岡山から中国5県へ、そして全国約160の土木系高校への横展開を土木学会等の協力も得ながら図っていければと考えている。最後に、本取組の最大の成果はと問われれば、インフラメンテナンスという題材をとおして、これに取組む高校生が「土木技術者としての倫理観」を育むことができた事だと言えるであろう。

img860.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等

「インフラ70」は、未来に向けたメッセージ

img864.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム理事
一般社団法人建設コンサルタンツ協会副会長 酒井利夫


一般社団法人建設コンサルタンツ協会では、昨年9月から月一回のペースで「インフラ70」と称した講演会を開催しています。今日は、そのご紹介をしたいと思います。

1,講演会の趣旨
戦後、様々なインフラが整備されその後の日本の発展を支え、多大な効果を生み出し、今もその役割を果たしていますが、それらのプロジェクトの多くは今やインフラに携わる技術者はもとより一般国民からも忘れ去られています。
インフラの老朽化対策、都市再生、国土強靱化等今後の日本の様々な課題に立ち向かおうとする現在の技術者にとって過去における技術者たちの先見性、困難への対処、心構えやそのプロジェクトの意義等について知ることは極めて有意義であると考えます。
そこで、(一社)建設コンサルタンツ協会(以下「協会」という)は、関係者の多大なご協力のもと、各プロジェクトに直接間接に関わった関係者から直接講演いただく機会を定期的に設け、その記録を残し、随時広く公開する事業を「インフラ70講演会」と称して開始しました。
この事業により、協会会員技術者だけではなく、他の多くの技術者、学生はもとより広く国民各層にもインフラそのものへの理解をより深めて戴くためにも有益であると考えているところです。

2,これまでの状況
具体的なプロジェクトは 「協会」に設けた「戦後インフラ整備事業研究会(中村英夫委員長)」で、インフラ関係各分野から100プロジェクト程度を目途に幅広く選定し、併せて個別プロジェクト毎にその講演について取り仕切る主査(監督)を指名・依頼し、講演内容(シナリオ、演出)、講演者(俳優)の選定、そのとりまとめ等をその主査(監督)にお願いしています。
講演会は概ね2時間程度とし、その成果を「プロジェクト記録」としてとりまとめ、原則WEB上で公開するとともに当協会機関誌「Consultant」の別冊として出版する他、この趣旨に賛同頂いた雑誌や新聞等でも既に公表掲載いただいています。
昨年9月に第1回として「黒四ダム」を取り上げ、以降本年9月の「佐久間ダム」まで既に13回を数えたところですが、各回とも、関係者の皆様の多大なるご協力により満員御礼の盛会の状況です。

img865.jpg

3,舞台は「過去」だが、心は「未来」
 この事業開始前には、一部の関係者から、「過去の事を取り上げても、今となっては古い技術の紹介になるだけではないか」「わずか2時間では語り尽くせないのではないか」「関係者が多くまとまらないのではないか」等のご心配もいただきました。
しかし開催してみるとそれは杞憂でした。 毎回毎回、それぞれの主査や講演者等関係者のご努力のもと、各プロジェクトへのスポットライトの当て方が適切で、短い時間の中で、時代背景や、解決に至る過程、心意気等のご紹介があり、いずれの回も感動あり、共感あり、そして未来に向かってのメッセージありです。また講演会終了後の交流会での意見交換も好評をいただいています。また、参加者の多くは建設関係者ではありますが、中には、一般の会社の方で何回も聴講されている方もいらっしゃいます。
これまで取り上げたテーマの中には、プロジェクトそのものが密接に関連する地域での再講演を望まれたものもあり、今年の7月には、「黒四ダム」、9月27日には「京阪鉄道延伸」についての再講演を大阪で開催しました。今後、テーマによっては、関係者のご協力がいただければ東京以外でも開催できればと思っております。
また、この「インフラ70」をもっと広く多くの皆様にも知って頂けるよう多方面に発信していきたいと思います。引き続き多くの皆様のご協力とご支援をいただきながら続けて参ります。
このCNCP通信をご覧の皆様、是非 講演会にご参加ください。きっとそれぞれのお立場で心に響くものがあるものと確信しています。
よろしくお願いいたします。

参考:建コン協ホームページ
https://www.jcca.or.jp/infra70/

img866.jpg
img867.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等