2019年11月01日

夏のリコチャレ2019を開催 建設産業界の技術を見て触れて体感! 「数学と理科が暮らしをつくる!!〜わたしの住むまちをデザインする仕事〜」開催!

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実行委員会:応用地質(株)、(株)建設技術研究所、日本工営(株)
パシフィックコンサルタンツ(株)、(株)安井建築設計事務所、(株)日刊建設通信新聞社
シビルNPO連携プラットフォームサポーター
(株)日刊建設通信新聞社 田嶋 千文


子どもたちに、建設産業界の技術のおもしろさと奥深さを知ってほしい――。そのような願いから、鞄刊建設通信新聞社は、内閣府・文科省・経団連が主導している「夏のリコチャレ」に2017年から参加し、主体となって子ども向けのイベントを開催しています。ことしのタイトルは、「数学と理科が暮らしをつくる!!〜わたしの住むまちをデザインする仕事〜」。その名のとおり、私たちが生活する中で建設産業界の技術がなくてはならないこと、そしてその技術は子どもたちが学んでいる「数学と理科」でなりたっていることを知ってもらう構成としました。今回は、フォロワー数20万の人気教育系YouTuber(理数系)のヨビノリたくみさんの特別講演「科学の眼鏡で世界を見れば」も開催、結果、日本だけでなく海外も含めて多くの大学生や高校生が来場しました。内閣府や国土交通省、東京都、企業、女性活躍団体など32者が一堂に会しテーマに沿ってブースを出展、331人が来場するビッグイベントとなりました。
8月2日に開かれた今回のイベントの来場者は、理工系に興味のある大学生や高校生、中学生が多かったため、企業等のブースの技術に興味津々。パスタとマシュマロでタワーを造ったり、電気の流れを作ってみたり、液状化現象や対策工法を実験したり、地下数bのボーリングサンプルを間近で観察するなど、「建設産業界の技術を見て・触れて・体感!」していました。また、幼稚園生や小学生からも大好評な実験が多かったため「夏休みの宿題にします」「また、来年も来たい」という意見を寄せられました。とにかく、各ブースには人がたくさん詰めかけ、出展者も建設産業界を知ってもらう良い機会とばかりに展示作品も力作ばかりでした。

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一方、ヨビノリたくみさんの特別講演では、「なぜ勉強するのか、それは人生を豊かにするため――」と切り出し、“科学の眼鏡”を掛ければ日常生活のあらゆるものが科学的に見えてくるという自身の体験について“ある1日”を振り返りながら紹介しました。独特の切り口にギャグを交えなるなど終始笑いと熱気に包まれていました。また、たくみさんと技術者とのトークセッションでは、技術と数学・理科のつながりをわかりやすく紹介し、理数系嫌いの人でも「おもしろい」と感じる内容でした。
他にも抽選会、リコチャレ◯×ウルトラクイズなども企画し、終始賑やかな雰囲気で進められました。
大人も子どもも楽しめる、アミューズメントパーク、「子供版・建設産業技術の見本市」のようなノリで1日が過ぎていきました。
*リコチャレ:理工系分野に興味がある女子中高生・女子学生が、将来の自分をしっかりイメージして進路選択(チャレンジ)することを応援するため、内閣府が中心となって行っている取り組み。

◇展示ブース
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◇ヨビノリたくみさん特別講演◇たくみさんと技術者のトークセッション ◇抽選会で豪華?景品を受け取る来場者
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◇リコチャレ◯×ウルトラクイズは大賑わい  ◇企業説明会・大学進学説明会も開催
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講演会報告「シビルエンジニアリングに求めるもの」

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NCP 常務理事 土木学会連携部門長
土木学会 教育企画・人材育成委員会 シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


先月10月1日、CNCPの「令和元年度通常総会」に続いて、講演会を開催しましたので、ご報告します。

【日時】令和元年10月1日(火)
15:30〜17:00
【場所】土木学会講堂
【題目】シビルエンジニアリングに求めるもの ―時代はどこへ向かっているのか―
【講師】青山彰久氏(ジャーナリスト/中央大学経済学部非常勤講師・総務省過疎問題懇談会委員・土木学会論説委員会アドバイザー/元読売新聞東京本社編集委員)
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■講演内容
青山さんから詳しいレジュメを頂きましたので、全文を載せます。講演の内容や話の展開がうかがえると思います。
1.はじめに
(1)混迷する大都市・東京の目指す姿――五輪・パラリンピック後に何が残るのか
(2)総合的な「知」としてのCivil Engineering のミッション
2.住み心地のいい都市を求めて
(1)渋谷の再開発は何を表現したいのか
(2)都市の再生とは高層ビルを建てることか
・都市再生特別措置法のもたらした都市空間
(3)人口増から人口減へという「歴史の峠」
・「工業化・人口増・都市化」から「ポスト工業化・人口減・逆都市化」へ
・「もっとお金を、もっと便利に」から「もっと美しく、もっと充実した生を」へ
・「コンクリートと鉄」から「水・土・緑」へ、「拡大型社会」から「定常型社会」へ、「従属」から「自治」へ
(4)都市とは何かを考える
・Lewis Mumford(1895-1990)のCulture of Cities(1938)では
アクセプト 都市は、人間が意識してつくった芸術作品、都市は、言語と並んで人類が作り上げた偉大な芸術作品
アクセプト 人間の精神は都市において形成される。都市の様式が人間の精神のありようを決める
アクセプト 都市とは、集団で生活するための物理的施設であると同時に、人々が好ましいと感じる環境の下で、人々が集団として掲げた目標と合意の象徴である
(5)歴史の地層を大切にする
・明治神宮の森と神宮外苑、関東大震災後の隅田川の架橋、築地卸売市場、多摩ニュータウン、新宿西口広場
(6)現代都市をめぐる2つの潮流を考える
・世界都市(Global City)……グローバル化した世界経済の司令塔を目指す(ニューヨーク、ロンドン)
・維持可能な都市(Sustainable City)……地球環境保全を足元から考える(フライブルク、ポートランド)

3.「グリーン・インフラ」への共感
(1)玉川上水の再発見
・江戸に水を供給した玉川上水(1653年完成)を皇居の外濠と内濠に連結させる計画へ
(2)宮城・気仙沼の津波防潮堤
・1500人の死者を出しながら「海と生きる」と掲げた気仙沼。最も歴史ある内湾地区の防潮堤を、4年にわたる住民参加の議論の末にT.P.4.1m(平時には閉まっている1mのフラップゲートをつけて)に抑えた
(3)グリーン・インフラという思想の登場
・1993年の米国ミシシッピ川の大氾濫で米政府が提起(人口的な構造物に頼りすぎず湿地帯を回復する)
・2004年のインド洋大津波で国連が提起(マングローブやサンゴ礁の生態系を津波から守る盾として再生する)
・2013年に欧州連合が「グリーン・インフラストラクチャー戦略」として都市整備への発展を提起(都市農地・緑地帯・遊水池など、自然・生態系の機能を使い、災害時には被害抑制に、平時には景観・アメニティの向上に)
(4)生物学・社会学・歴史学・政治学との横断的な協働
・歴史遺産・地形・自治を重視し、旧来型のインフラ(グレー・インフラ)技術を補完する新しい技術思想に期待

■講演の感想
青山さんは、早大の仏文科を出られたジャーナリストですが、地方自治、地域政策、都市問題・農山漁村問題にお詳しいだけでなく、人が暮らす都市や鉄道での旅が好きな土木に関心をお持ちの方で、「土木」に対する期待も大きいものでした。現在、土木学会の論説委員会のアドバイザーもされておりますが、「土木と市民をつなぐ」をメインテーマに掲げるCNCPとも、意見交換をさせて頂きたい方です。

「1.はじめに」でお話しされた2点が、「土木」への問題提起と期待です。
私たち(高齢者)が若かった1964年の東京オリンピックの頃は、高速道路・新幹線・高層ビル街など、先進国並の都市基盤ができるのをワクワク見ていましたが、2020年のオリンピックを前に、今の現役の若者達が期待することは異なるのでは?という問いかけです。最先端の施設のある都市を作るのではなく、人々にとって住み心地の良い都市をつくることではないかと。
「2.住み心地のいい都市を求めて」では、渋谷や丸の内の最近の再開発などに見られる問題点、「工業化・人口増・都市化」は1つの現象の3つの側面であること、人間の精神は都市において形成されることなど、「土木屋」は、普通考えないような視点に気づかされました。さらに「歴史の地層」という言葉で、先人たちが、何を考え何を想って都市を構造物をつくって来たか・・、建設時の人々の住まい方や都市のあり方を考えてみる大切さをお話しされました。
「3.グリーン・インフラへの共感」の「グリーンインフラ」とは、自然が持つ機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方で、海外では既に取組まれています。日本でも検討されつつあり、玉川上水の流れを復活させて日本橋川を浄化させようという案や、気仙沼の市民が「海と生きる」という選択をしたことなどが紹介されました。「土木」が、技術を駆使して困難な工事を実現させ、便利な施設や都市をつくるだけでなく、生物学・社会学・歴史学・政治学等との横断的な協働を考え、旧来型の「グレー・インフラ」技術を補完する新しい技術思想として期待されていました。
総合的な「知」としての「土木」=「Civil Engineering」は、心地よい都市の基盤を作る総合技術ですと・・
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第19回 国語辞典の「土木」の「土と木」

『大辞林第四版』(2019年9月)の「土木」の第一語義は「@土と木。また、飾り気のないことのたとえ。→形骸(けいがい)を土木にす(「形骸」の句項目)。」である。『大辞林第三版』(2006年10月)に中国の故事・成語の「土木形骸」の説明が追加された。参照先の「【形骸】」の句項目は「形骸を土木(どぼく)にす〔晋書嵆康伝〕身なりを全く飾らない。」となっている。
「土木形骸」は、竹林の七賢人の容姿を形容した『世説新語・容止』(5世紀頃)「劉伶身長六尺、貌甚醜悴、而悠悠忽忽、土木形骸」(「悠悠忽忽」は何もせずにのんびりすること)と『晉書・嵇康傳』(648年頃)「身長七尺八寸、美詞氣、有風儀、而土木形骸、不自藻飾」にあり、晋の劉伶と魏の嵇康のように「自然の土や木のように、飾らずありのままの姿でいること」の意味である。

このほか、白居易が官吏を退いて草堂にて詠んだ『白氏文集・重題』(817年)「豈止形骸同土木、兼將壽夭任乾坤。」は「我が身を土や木と同じくして、飾ることをしないだけでなく、我が寿命をも自然にまかせたい。」である。
日本では、正岡子規の『筆まかせ』(1884〜92年)に「陰学士は陽学士を評して『俗だ』とか『名利の為に形骸を土木にするのだ』とか『天下無頼の徒』とか『法螺ふき学問』だとかいひはやして」とあり、竹林の七賢人の逸話が背景にあるものと察せられる。
なお、「土と木。」については、字義のとおり、「土」と「木」のことと解釈するべきであるが、現代の具体的な用例が見当たらないのが残念である。
(土木学会土木広報センター次長 小松 淳)

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