2020年02月01日

第1回 シリーズ開始にあたって

img835.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム 常務理事 土木学会連携部門長
土木学会 教育企画・人材育成委員会 シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


CNCP通信Vol.57〜69の12回に亘って掲載された「土木と市民社会をつなぐ」シリーズに続き、新たに「身近な土木遺産」シリーズを始めます。

1.「土木遺産」と言うと・・
「土木遺産」と言うと、厳密には、土木学会が推奨した「歴史的土木建造物」を指します。土木学会は、平成12年度に「選奨土木遺産の認定制度」を創設し、昨年度までの19年間に、計394件(年平均20件)を選奨しています。
土木学会は、この顕彰の結果として、@社会へのアピール(土木遺産の文化的価値の評価、社会への理解等)、A土木技術者へのアピール(先輩技術者の仕事への敬意、将来の文化財創出への認識と責任の自覚等の喚起)、Bまちづくりへの活用(土木遺産は、地域の自然や歴史・文化を中心とした地域資産の核となるものであるとの認識の喚起)、C失われるおそれのある土木遺産の救済(貴重な土木遺産の保護)などが促されることを期待しています。
ただし、公的機関や学協会による文化財などの指定を既に受けていないことを原則とするとされているので、著名なものは「土木遺産」にならないとも言えそうです。

2.土木と市民社会のつながり
CNCPと土木学会は、「土木と市民社会をつなぐ活動」の質と量を拡充するために、いろいろな検討をしています。
端的には、土木の話を土木関係者とだけしていても、市民とはつながらないので、市民と話す「場」が必要です。土木学会の「土木広報センター」では、インフラ整備・土木史等の話や映像を、土木コレクション・土木カフェなどのイベントやFacebook・ラジオなどで発信しています。
CNCPと土木学会のシビルNPO推進小委員会では、土木と市民社会をつなぐ活動をしている様々な人たちと「友だちの輪」を作ろうとしています。市民が土木に興味を持った時に容易に知りたい情報が得られる「場」、土木からの勝手なPRでなく、市民のQuestionに正しいAnswerを提供する「場」をつくるとか、土木を知らない市民だけでまちづくりや防災の話をする集まりに土木技術者が参画するとか、自然公園のネイチャーセンターにいる「インタープリター」みたいな「土木インタープリター」を養成する・・など。
一方、Facebookを見ていると、土木の好きな市民が沢山います。ダム・橋・トンネル・マンホールなど、同好の集いができていて、自分で撮ってきた写真を披露し合っています。またインフラツーリズム。関東エリアだけでも、首都圏外郭放水路・環七地下調整池・東京湾アクアライン裏側探検等々が人気。悪名高き八ッ場ダムでさえ(笑)。
このシリーズでは、土木が好きな人たちや、土木と意識せずに興味を持って関わっている人たちと、つながりたいと思います。

3.「身近な土木遺産」を紹介
学術的な土木遺産の価値については、土木学会等に譲って、市民の身近にある土木施設、隠れた土木をピックアップ出来たら、面白いと考えています。「子供の時遊んでいた所が・・、毎日通学や通勤で見ていたあれが・・、そうなの!?」みたいな。
さらに、土木は、大昔から、地域の生活に密着しているので、施設だけではないと思います。東日本大震災の後、あちこちで「ここまで津波が来た」という「碑」が再認識されましたし、地域の不文律になっている防災関連のルールや言い伝えなども、取り上げられたら良いと思います。土木のソフト面・マネジメント面も、「身近な土木遺産」では?と思います。
地域で、この趣旨に近い活動をしている団体(市民・学校・自治体等なんでも)や郷土史を研究している団体などとつながって、紹介記事を書いて貰えたら・・とも考えています。

4.例えば、こんな土木遺産が
1)野火止用水@A
私の住まいの近くに「平林寺」があり、その南北両側に「野火止用水」が流れています。多くの場所で写真のような緑道になっていて、気持ちの良い散策路になっています。水と木々は、安らぎの必須アイテムですね。

img911.jpg

「野火止用水」は、1655(承応4)年、川越藩主松平伊豆守信綱により、武蔵野開発の一環として開削された用水路で、玉川上水から、野火止台地を経て、荒川支流の新河岸川までの全長24kmに及びます。玉川上水と野火止用水の分水割合は「七分は江戸へ通じ、三分は信綱へ賜はり、領内へそゝげり(新編武蔵風土記)」と言われ、開拓民や移転してきた平林寺、陣屋等の貴重な飲料水・生活水として使われていました。
2)川越街道B
休日に車で出かけると、大抵「川越街道(国道254)」を通ります。家から川越に向かうと、新座市中野一丁目から入間郡三芳町藤久保まで、大きなけやき並木を挟む昔の街道を思わせる素敵な区間があります。並木の両端には立派な石碑(写真)があります。
「川越街道」は、太田道灌が川越城と江戸城を築いたころ、二つの城を結ぶ重要な役割を果たした道で、江戸時代には中山道板橋宿平尾の追分で分かれる脇往還として栄えたと言われます。日本橋から川越城下まで、栗(九里)より(四里)うまい十三里と唱われ、「川越いも」の宣伝にも一役かったそうです。

img912.jpg

■参考文献
@野火止用水〜多摩川の水を野火止台地、さらに荒川右岸まで〜(パンフレット)、国土交通省荒川上流河川事務所
A野火止用水・平林寺の文化的景観保存計画、平成24年3月、埼玉県新座市
Bhttps://www.jinriki.info/kaidolist/ about jinriki/、旧街道ウォーキング「人力」
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 人文等

第22 回 翻訳された方丈記の「土木」

方丈記(鴨長明)』(1212年成立)に「いまうつり住人は土木の煩あることを嘆く」がある。現代語訳は「新たに移住してきた人は、建築のやっかいさを嘆いている。」〔簗瀬一雄訳注:方丈記、角川学芸出版、2010年〕である。
日本の古典文学の傑作として、夏目漱石をはじめとして、多くの日本文学研究者が『方丈記』を翻訳している。初期の『A Description of My Hut(夏目漱石)』(1893年)、英国の日本語書記官による『A History of JAPANESE LITERATURE(W. G. Aston他)』(1899年)は残念ながら全訳ではなく、福原遷都の「土木の煩」の部分は欠けている。
南方熊楠はF. V. Dickinsと連名で「Journal of the Royal Asiatic Society of Great Britain and Ireland(王立アジア協会誌)」に発表した『A Japanese Thoreau of the Twelfth Century(12世紀の日本のソロー)』
(1905年)という論文で“the newcomers had to live amid the unpleasant bustle of construction.”と英訳して、「土木の煩」を「建設の煩わしさ」としている。
Donald Keene(2012年に帰化してキーン ドナルドに)は「Anthology of Japanese literature(日本文学選集)」の『An Account of My Hut』(1955年)で、“those who now moved there complained over the difficulties of putting up houses.”と英訳して、「家を建てることの難しさ」としている。
このほか、『方丈記』には、英語(多数)、ドイツ語、ラテン語、アラビア語への翻訳があり、“the difficulties of building”などの表現が多い。
(土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 人文等

シビルマッチ

img921.jpg
img922.jpg

シビルマッチの登録はお済でしょうか?法人正会員、個人正会員、賛助会員・サポーターの全ての会員にご登録をお願いしております。ご登録は下記シビルマッチのURLにアクセスし、メールアドレスとパスワードを送信してください。その後、事務局から仮登録の返信が来ますので改めてログインして頂き登録の手続きをお願いします。ログイン後の手続きは以下の通りです。レジメ登録およびクライアント情報登録までして頂かないと登録は完了いたしませんのでご注意ください。

ログイン後
●受注希望の方は、得意分野やスキルを明記した、レジュメ(履歴書)を登録して下さい。
●発注をご希望の方は、クライアントに切り替えて「組織情報」を登録して下さい。
※レジュメを登録されるまで、メンバーとして検索されませんのでご注意下さい。
※組織情報を登録されるまで、クライアントとして検索されませんのでご注意下さい。

CIVIL MATCH シビルマッチ
http://www.civil-match.org/
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | シビルNPOの現況と課題

土木と市民社会をつなぐ事業研究会報告(その1)

CNCP通信Vol66で本研究会の発足のご報告致しましたが、本研究会も早いもので発足から1年が経過しようとしております。発足当初の第1回〜第3回研究会では主としてソーシャルビジネス(SB)や企業のCSV事業やCNCPが過去実施してきたアワード事業の学習をして参りました。

そして、第4回研究会では「土木の視点での取り組むべき社会的課題」をテーマにワールドカフェ方式によるブレーンストーミングを行いました。当日は90分程度の限られた時間にも関わらず下記の一覧に示す86枚ものポストイットに様々な切り口で社会的課題が出されました。

img915.jpg

本研究会は運動論としてゼネコンが取り組むべき社会的課題解決をCSVの視点で探るものであり、第5回において今後の研究会はブレーンストーミングの結果を受けて「インフラメンテ」,「災害対応」,「地球環境・エネルギー問題・廃棄物対応」「中央と地方との格差対応」,「国や地域の将来ビジョン」を社会的課題として一つずつ取り上げてこれらの課題をCSVの視点で探って行く方向が明確に示されました。そして、第6回研究会は「インフラメンテ」の課題解決をCSVの視点で探る検討を行いました。討議の「主な論点」は単なる従来の建設界の延長線(常識解)だけでは終わらせないよう、「研究会としての新機軸」を打ち出せるよう留意しております。今後の本研究会の活動にご注目下さい。
注釈:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | シビルNPOの現況と課題

そもそも土木とは何なのか

img917.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム 理事         
NPO法人州都広島を実現する会 事務局長 野村 吉春


■はじめに CNCP通信の「土木ということば」という連載に敬意を表明します。今回は、その上で「いまさら何を言うのかね?」と、疑問に思われる方もおられるでしょう。ここでは、土木と市民社会をつなぐための第一歩として、「そもそも土木とは何なのか」を、改めて我々建設界に問いかけます。

■土木と市民社会との乖離 私は只今、CNCPの「土木と市民社会をつなぐ事業研究会」と、土木学会の「同・フォーラム(準備会)」という2つの会議に参加し、其々でワールドカフェ(ブレーンストミングの一方法)を行い、「土木と市民社会をつなぐ」うえでの問題点や不満を、参加者から吐き出して頂いた。
私は、その結果に驚きを隠せない。これを風景画で表現すれば、「建設界の前にある山の背後には、厚い雲がたなびき、遥か彼方に市民社会の峰々が聳えている・・」そんな印象を抱いた。要するに、建設界の有識者から見て「土木と市民社会が如何に乖離しているか!」を、改めて再確認した。

■認識の乖離は何処に? 前掲の2つの会議で出された、百数十に登る問題点の指摘を読んでいるうちに、「そもそも土木とは何なのか」という一丁目一番地の出発点への問いかけに至った次第である。
解りやすい例を挙げると、土木とは「建設工事の土木作業員のことでしょう?」「ああ公共事業で無駄な税金使っている?」「インフラの話は聞きたくない!」「政治家と賄賂で繋がる利権業界?」「だって、優美な橋を造るのは建築家でしょう?」・・・100%は否定しないが、理解がかなり偏向していると感じた。
要するに「土木」とは、「泥や埃にまみれる工事現場のイメージ」であって、その施工法とか技術管理も、ましてや設計やデザイン、更には計画、構想などは「これらは土木ではない」と思われているようだ。
そこで、モグラ叩きのごとく「違いを訂正する?」・・・そんな対処療法では効果が上がらないだろう。

img918.jpg

■私の経験から 私の「NPO」では、構成員の8〜9割が非土木なので、一部に前掲の傾向はあるものの、如何なるプロジェクトにも、「話の中心は建設工事ではない」「土木技術ばかりを強調しない」「住民や利用者の目線に立つ」「生活・経済・文化などの面から捉える」「地域政策や地政学の観点から考える」・・・というスタンスを貫くことで、多くの一般市民との「普通の会話」が出来るようになった。
つまり、現在の国内外の社会情勢を踏まえつつ、事業の意義や目的を問い、よって「広島や中四国地域の課題解決」を、共に考えようと呼び掛けてきた。これはある種の「インタープリテーション能力」が必要かもしれない。
■建設界の理解度 近年は「土木とは何か」という問いに、建設界自身が答え難くなっているようだ。
「土木」は総合性を有すると意識しつつも、「国と地方」「行政と議会」「建設界の所属セクター」「設計施工の分離」「請負・委託」「入札・契約制度」などで、個々の業務が「専門・細分化」されて「焼畑農業」の状況にある。その結果、「土木と市民社会をつなぐ」さまざまな場面で、土木の全体像が捉え難くなっている。
しかし、多くの一般市民にとっては、建設セクターや業界事情はどうでもよい話なので、我々には「事業やプロジェクトの全体像」を、市民目線で押さえたうえでのコミュニケーションが必要になろう。

■技術の系譜 ここで話がやや飛躍するようだが、土木の英文字の語源は、軍事Military Engineeringに対する、非軍事(=市民工学)Civil Engineeringという、語源の系譜はご存じだろう。
比較のためそこで軍事の仕組みを右上図に示す。
「1.戦略Strategy」「2.作戦Operation」「3.戦術Tactics」という構成のもと、各々の役割、組織、人事等において混乱を来すことのない体制が執られている。
この仕組みは、企業経営の参考にされることが多く、小さな「戦術」ばかりが議論され、大きな目的、物語、シナリオなどの「戦略」が弱いという指摘が聞かれる。
重要なのは1→2→3の順位である。さて「土木Civil Engineering」の場合はどうだろうか?

img919.jpg

■土木のかたちはどうなっている?
私は、上段から「思い」、中央の「使う」、下段に「造る」という右下の三角形のモデルを想定した。
●まず下段の「造る」とは・・・社会基盤の下部構造として「インフラ=InfraStructure」と呼ばれる。
土木=「社会基盤を造る」、そこには道路、鉄道、河川、上下水・・・と多くの技術分野がある。目に触れる工事現場のシーンだけでなく、各種の調査、設計、施工、維持管理、更新といった「フローの経済」を指します。そこで、私が問題視するのは、「インフラだけが土木か?」という点です。

img920.jpg

●次に中段の「使う」とは・・・社会基盤の上部構造として「スープラ=SupraStructure」と呼ばれる。
国や地域、市民社会、利用者において、生活、経済、文化、観光などで「社会基盤を使う」という利活用のシーンを指します。
しかし、建設企業は造った後の「ストックの経済」には関心なし。そこに大きな問題があり、同時に巨大な商機を逃しています。

●最上段の「思い」とは・・・・国や地域戦略として「ストラテジー=StrategyStructure」と呼んでみた。
これは地域政策、地政学、企画構想など、行政内部や議会で審議されるシーンである。だが、そこが未熟で、市民には解り難く、非常に問題が多い。そのため、私のNPOは、しばしば議会支援や市民との意見交換等を行っている。
最上段の部分は、「どのような社会を目指して?」「そこから何を得るために?」「土木は何のために?」という、地域への強い「思い」がなくては、「土木と市民社会をつなぐ」ことは難しいだろう。
なので、土木の三角形の頂点は、「この国かたち」であり、「地域のかたち」を示します。

■最後にひとこと 今年元旦の新聞全面広告の「トヨタはどこへ向かうのか」というタイトルに、私は強いショックを受けました。世界に冠たる大企業にしてこれは凄い広告です。
まさに「土木はどこに向かうのか」と置き換えて、更に考察したいと思います。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | シビルNPOの現況と課題

生涯現役・シニア活動の展望

img916.jpg
(特非)シビルNPO連携プラットフォーム常務理事
(特非)シビルサポートネットワーク代表理事 辻田 満


マスコミなどではシニア世代の活躍が広く取り上げられて、世はまさに“生涯現役時代”とも言われるほどです。確かに、生涯現役でいたいと願っている方は多いようです。生涯現役を貫く方法は、起業からボランティアまでさまざまです。シニア世代の活躍は、すでに珍しいことではなくなりつつあります。シニアで活躍されている方は、口をそろえて「60歳代から本当に自分のライフワークが出来る」とも言っています。すなわち、「会社を退職してからが、本当の意味で自分の人生が始まる」のです。堺屋太一氏の著書「団塊世代の黄金の十年が始まる」では、好きなことを見つけて十年打ち込め!と書かれています。十年かけて取り組めば、その間にできた人脈や情報ルートによってその分野では長老的な存在になれます。職縁社会に縛られた40年間には達成できなかった権威ある生き方が出来るのです。
皆さんは「ソシモ(SOCIMO)」なる言葉をご存知でしょうか?この言葉は人が社会の為に何かしようとする動機「ソーシャルモチベーション」の略語です。人がこの「ソシモ」を持つと、自分でも信じられないほど強くなれるのです。社会と個人がダイレクトにつながるとき、人はこれまでにない大きな力を発揮します。その人の中に湧く社会を動かす力はどこから来るのでしょうか?自分のことだけでなく、社会を良くしたいと思い始めるとそのことに関して敏感になり始めます。そして同じ想いをもった人たちが集まり速い速度でつながり始めます。そのつながりが広がれば広がるほど大きな力を持つ組織に成長して行きます。今、CNCPの活動のベクトルは「土木と市民社会をつなぐ活動」なる「ソシモ(SOCIMO)」の芯柱が据えられました。

リタイアした多くの人は、定年後の人生の生き方として自分の存在意義を認めてくれるところを見つけます。自分の存在意義がある場所こそやりがいのある場所であり居心地の良い場所なのです。
リタイア後の貴重な時間はサラリーマン時代と違って仕事や企業利益に命をかける必要もありません。また守るべき家庭も子供たちも巣立ち夫婦が仲良く平穏に暮らして行けさえすれば良いのです。すなわち何をしても人にとやかく言われる筋合いのものではない自由な時間なのです。では、何をやりたいのかと問われても今まで仕事一筋で突っ走ってきたげの現役時代を振り返っても過去の延長線上には答えはありません。そう今こそじっくりと自分を見つめ何をすべきかを探すワクワクした冒険の旅の始まりなのです。
頭の中で考えているだけでは答えは見つかりません。まずは行動を起こしながら自分のやりたい夢を見つけていくのです。私はNPO活動に従事して既に15年になります。そのキャリアからアドバイスをするとそれは「楽しくやれることを探すこと」に尽きます。NPO活動はやらされ感や人に誘われたからでは長続きは決してしません。「自発性」、「積極性」、「創造性」の3つが少なくとも必要です。そして企業活動では得られないNPO活動の大きな宝物があります。それはストレスからの解放です。CNCPをプラットフォームとした様々な活動が、徐々にではありますが着実に動き出しています。シニア世代の方々の生涯現役の場として、皆様の活躍の場として、CNCPへの自発的な参加を大いに期待しています。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | シビルNPOの現況と課題

情報プラットフォーム構築に関する取り組み

img913.jpg
情報プラットフォーム構築に関する取り組み

シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
株式会社エックス都市研究所  土井 麻記子


昨年、CNCPアワードに応募して賞をいただいたことが切掛けでサポーター登録をさせていただき、今回の執筆機会をいただきました。アワードへの申請事業名は、「住環境リスク評価」と「住環境リスク情報プラットフォーム」の構築、です。事業目的は、地方自治体の化学物質管理における「住環境リスク評価」と「住環境リスク情報プラットフォーム」の導入により、地域固有の環境情報を市民向けに提供するもの。この申請事業のアイデアには前身があります。千葉市沿岸から内陸側10km圏内にある我が家で、洗濯物や部屋が黒い砂で汚れることに対し、その原因を探る研究を自主的に行ってきたことを議会にインプットすることができました。これを切掛けに、自治体での環境調査事業、検討会設置、企業との対話、改善といったプロセスを経て市民対話のコミュニケーションの場を形成されました。アワードへの申請事業の趣旨は、「未知・未規制の物質」を中心として地域固有の情報をタブー視せずに情報収集、調査検討を行い、市民生活への参考情報を提供する仕組みを構築すること。地域の関係者が信頼をベースに地域課題に取り組むという意思があるなら、未規制物質に対する環境政策として、これが答えになりうるのでは、との考えでの提示です。アワード受賞後、千葉市の議員殿にご報告しました。その後の進展はいまのところありませんが、本アイデアの千葉市民からの、オファーを期待している、といったところです。
さて、アワードの申請提案で「プラットフォーム」を扱いましたが、プラットフォーム構築に意義は、情報研究と情報活用基盤を整備することにより、計画策定や政策評価におけるエビデンスベースの議論が促進される点にあると思っています。現在、資源循環の分野でもプラットフォームの検討に係っておりますのでご紹介いたします。それは、計画策定や政策評価のための情報活用基盤として活用できるようにするための「資源循環一体データのプラットフォーム」です。
この件等の背景には、日本版資源循環の確立が急務となっている点が挙げられます。EUにおけるサーキュラーエコノミーの掲揚や、中国の大量消費社会をささえる相対的な品質管理に適応したダイナミックな循環思想をベースにした資源循環に対応して、製品企画の基準化の波が押し寄せつつあることが挙げられます。日本でも、緻密で絶対品質を追求するモノづくりが根付く日本に合った、資源循環の姿を構築する意義があるのではと思われます。
資源循環型社会の構築においては、これまで、廃棄物処理におけるこれまでの静脈インフラ構築の設計思想は、大量生産・大量消費・大量廃棄による負の側面を抱えることを“やむなし”とするものでした。しかし、今後は静脈インフラ構築後の思想では、構築したインフラを最適なレベルで活用・維持するために、静脈側の段階はもとより製造・流通・使用といった動脈側の段階に対しても、必要な情報を求めていくこととなります。
ここでのポイントは、「情報が必要」とは言え、製品情報をすべて開示してもらう必要はなく、処理・処分側のインフラで処理するために必要としている情報が得られれば良いという点です。つまり、必要項目は、下流が必要だと思う事項を遡上させてデータを貰ってくる、ということです。

資源循環実態データのプラットフォームのイメージを図にしまします。この図は、サプライチェーンの流れとそこで発生する各段階でのやり取り、それらのDBを集約し、設定した課題に応じてデータを活用する基盤としてプラトフォームを設置することを表しています。各段階でやりとりされる施設間の円滑性を左右する必要項目(キーアイテム)を把握し、集めることによって、何がキーで施設間連携が円滑になっているかを把握し、今後強化すべき推進技術の抽出、計画策定、政策評価に役立てられるようになるというものです。
リサイクル素材の“質”を高めるマネジメントを構築し、製品から製品を作り、有用金属は徹底的に回収し、最終残渣を完全に土木資材化することで、日本式の徹底的資源循環が作られると思いますが、そのために必要と考えられる要素を3つ挙げます。一つ目は『情報の研究』、二つ目は『情報の翻訳』、三つ目は『情報共有ツールの整備』です。3要素が揃うことで、情報源がシステムで活用され、情報源からDBへの進化が加速されると考えます。
本検討は、廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会の低炭素化ワーキンググループの活動として展開しており、各種施設間連係実証等の事例から集めた有用項目を抽象化して、整理する作業を進める予定です。まだまだイメージにすぎませんので形は変わっていくと思いますが、地に足を付けた形で、プラットフォームの概念を明確にできればと思っています。これを通して動・静脈連携による情報活用の円滑化に役立てるよう、頑張りたいと思います。

img914.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 地域社会等

土木と市民社会をつなぐ事業研究会報告(その1)

CNCP通信Vol66で本研究会の発足のご報告致しましたが、本研究会も早いもので発足から1年が経過しようとしております。発足当初の第1回〜第3回研究会では主としてソーシャルビジネス(SB)や企業のCSV事業やCNCPが過去実施してきたアワード事業の学習をして参りました。

そして、第4回研究会では「土木の視点での取り組むべき社会的課題」をテーマにワールドカフェ方式によるブレーンストーミングを行いました。当日は90分程度の限られた時間にも関わらず下記の一覧に示す86枚ものポストイットに様々な切り口で社会的課題が出されました。

img915.jpg

本研究会は運動論としてゼネコンが取り組むべき社会的課題解決をCSVの視点で探るものであり、第5回において今後の研究会はブレーンストーミングの結果を受けて「インフラメンテ」,「災害対応」,「地球環境・エネルギー問題・廃棄物対応」「中央と地方との格差対応」,「国や地域の将来ビジョン」を社会的課題として一つずつ取り上げてこれらの課題をCSVの視点で探って行く方向が明確に示されました。そして、第6回研究会は「インフラメンテ」の課題解決をCSVの視点で探る検討を行いました。討議の「主な論点」は単なる従来の建設界の延長線(常識解)だけでは終わらせないよう、「研究会としての新機軸」を打ち出せるよう留意しております。今後の本研究会の活動にご注目下さい。
注釈:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 地域社会等

情報プラットフォーム構築に関する取り組み

img913.jpg
情報プラットフォーム構築に関する取り組み

シビルNPO連携プラットフォーム サポーター
株式会社エックス都市研究所  土井 麻記子


昨年、CNCPアワードに応募して賞をいただいたことが切掛けでサポーター登録をさせていただき、今回の執筆機会をいただきました。アワードへの申請事業名は、「住環境リスク評価」と「住環境リスク情報プラットフォーム」の構築、です。事業目的は、地方自治体の化学物質管理における「住環境リスク評価」と「住環境リスク情報プラットフォーム」の導入により、地域固有の環境情報を市民向けに提供するもの。この申請事業のアイデアには前身があります。千葉市沿岸から内陸側10km圏内にある我が家で、洗濯物や部屋が黒い砂で汚れることに対し、その原因を探る研究を自主的に行ってきたことを議会にインプットすることができました。これを切掛けに、自治体での環境調査事業、検討会設置、企業との対話、改善といったプロセスを経て市民対話のコミュニケーションの場を形成されました。アワードへの申請事業の趣旨は、「未知・未規制の物質」を中心として地域固有の情報をタブー視せずに情報収集、調査検討を行い、市民生活への参考情報を提供する仕組みを構築すること。地域の関係者が信頼をベースに地域課題に取り組むという意思があるなら、未規制物質に対する環境政策として、これが答えになりうるのでは、との考えでの提示です。アワード受賞後、千葉市の議員殿にご報告しました。その後の進展はいまのところありませんが、本アイデアの千葉市民からの、オファーを期待している、といったところです。
さて、アワードの申請提案で「プラットフォーム」を扱いましたが、プラットフォーム構築に意義は、情報研究と情報活用基盤を整備することにより、計画策定や政策評価におけるエビデンスベースの議論が促進される点にあると思っています。現在、資源循環の分野でもプラットフォームの検討に係っておりますのでご紹介いたします。それは、計画策定や政策評価のための情報活用基盤として活用できるようにするための「資源循環一体データのプラットフォーム」です。
この件等の背景には、日本版資源循環の確立が急務となっている点が挙げられます。EUにおけるサーキュラーエコノミーの掲揚や、中国の大量消費社会をささえる相対的な品質管理に適応したダイナミックな循環思想をベースにした資源循環に対応して、製品企画の基準化の波が押し寄せつつあることが挙げられます。日本でも、緻密で絶対品質を追求するモノづくりが根付く日本に合った、資源循環の姿を構築する意義があるのではと思われます。
資源循環型社会の構築においては、これまで、廃棄物処理におけるこれまでの静脈インフラ構築の設計思想は、大量生産・大量消費・大量廃棄による負の側面を抱えることを“やむなし”とするものでした。しかし、今後は静脈インフラ構築後の思想では、構築したインフラを最適なレベルで活用・維持するために、静脈側の段階はもとより製造・流通・使用といった動脈側の段階に対しても、必要な情報を求めていくこととなります。
ここでのポイントは、「情報が必要」とは言え、製品情報をすべて開示してもらう必要はなく、処理・処分側のインフラで処理するために必要としている情報が得られれば良いという点です。つまり、必要項目は、下流が必要だと思う事項を遡上させてデータを貰ってくる、ということです。

資源循環実態データのプラットフォームのイメージを図にしまします。この図は、サプライチェーンの流れとそこで発生する各段階でのやり取り、それらのDBを集約し、設定した課題に応じてデータを活用する基盤としてプラトフォームを設置することを表しています。各段階でやりとりされる施設間の円滑性を左右する必要項目(キーアイテム)を把握し、集めることによって、何がキーで施設間連携が円滑になっているかを把握し、今後強化すべき推進技術の抽出、計画策定、政策評価に役立てられるようになるというものです。
リサイクル素材の“質”を高めるマネジメントを構築し、製品から製品を作り、有用金属は徹底的に回収し、最終残渣を完全に土木資材化することで、日本式の徹底的資源循環が作られると思いますが、そのために必要と考えられる要素を3つ挙げます。一つ目は『情報の研究』、二つ目は『情報の翻訳』、三つ目は『情報共有ツールの整備』です。3要素が揃うことで、情報源がシステムで活用され、情報源からDBへの進化が加速されると考えます。
本検討は、廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会の低炭素化ワーキンググループの活動として展開しており、各種施設間連係実証等の事例から集めた有用項目を抽象化して、整理する作業を進める予定です。まだまだイメージにすぎませんので形は変わっていくと思いますが、地に足を付けた形で、プラットフォームの概念を明確にできればと思っています。これを通して動・静脈連携による情報活用の円滑化に役立てるよう、頑張りたいと思います。

img914.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 災害、危機管理等

第1回 シリーズ開始にあたって

img835.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム 常務理事 土木学会連携部門長
土木学会 教育企画・人材育成委員会 シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


CNCP通信Vol.57〜69の12回に亘って掲載された「土木と市民社会をつなぐ」シリーズに続き、新たに「身近な土木遺産」シリーズを始めます。

1.「土木遺産」と言うと・・
「土木遺産」と言うと、厳密には、土木学会が推奨した「歴史的土木建造物」を指します。土木学会は、平成12年度に「選奨土木遺産の認定制度」を創設し、昨年度までの19年間に、計394件(年平均20件)を選奨しています。
土木学会は、この顕彰の結果として、@社会へのアピール(土木遺産の文化的価値の評価、社会への理解等)、A土木技術者へのアピール(先輩技術者の仕事への敬意、将来の文化財創出への認識と責任の自覚等の喚起)、Bまちづくりへの活用(土木遺産は、地域の自然や歴史・文化を中心とした地域資産の核となるものであるとの認識の喚起)、C失われるおそれのある土木遺産の救済(貴重な土木遺産の保護)などが促されることを期待しています。
ただし、公的機関や学協会による文化財などの指定を既に受けていないことを原則とするとされているので、著名なものは「土木遺産」にならないとも言えそうです。

2.土木と市民社会のつながり
CNCPと土木学会は、「土木と市民社会をつなぐ活動」の質と量を拡充するために、いろいろな検討をしています。
端的には、土木の話を土木関係者とだけしていても、市民とはつながらないので、市民と話す「場」が必要です。土木学会の「土木広報センター」では、インフラ整備・土木史等の話や映像を、土木コレクション・土木カフェなどのイベントやFacebook・ラジオなどで発信しています。
CNCPと土木学会のシビルNPO推進小委員会では、土木と市民社会をつなぐ活動をしている様々な人たちと「友だちの輪」を作ろうとしています。市民が土木に興味を持った時に容易に知りたい情報が得られる「場」、土木からの勝手なPRでなく、市民のQuestionに正しいAnswerを提供する「場」をつくるとか、土木を知らない市民だけでまちづくりや防災の話をする集まりに土木技術者が参画するとか、自然公園のネイチャーセンターにいる「インタープリター」みたいな「土木インタープリター」を養成する・・など。
一方、Facebookを見ていると、土木の好きな市民が沢山います。ダム・橋・トンネル・マンホールなど、同好の集いができていて、自分で撮ってきた写真を披露し合っています。またインフラツーリズム。関東エリアだけでも、首都圏外郭放水路・環七地下調整池・東京湾アクアライン裏側探検等々が人気。悪名高き八ッ場ダムでさえ(笑)。
このシリーズでは、土木が好きな人たちや、土木と意識せずに興味を持って関わっている人たちと、つながりたいと思います。

3.「身近な土木遺産」を紹介
学術的な土木遺産の価値については、土木学会等に譲って、市民の身近にある土木施設、隠れた土木をピックアップ出来たら、面白いと考えています。「子供の時遊んでいた所が・・、毎日通学や通勤で見ていたあれが・・、そうなの!?」みたいな。
さらに、土木は、大昔から、地域の生活に密着しているので、施設だけではないと思います。東日本大震災の後、あちこちで「ここまで津波が来た」という「碑」が再認識されましたし、地域の不文律になっている防災関連のルールや言い伝えなども、取り上げられたら良いと思います。土木のソフト面・マネジメント面も、「身近な土木遺産」では?と思います。
地域で、この趣旨に近い活動をしている団体(市民・学校・自治体等なんでも)や郷土史を研究している団体などとつながって、紹介記事を書いて貰えたら・・とも考えています。

4.例えば、こんな土木遺産が
1)野火止用水@A
私の住まいの近くに「平林寺」があり、その南北両側に「野火止用水」が流れています。多くの場所で写真のような緑道になっていて、気持ちの良い散策路になっています。水と木々は、安らぎの必須アイテムですね。

img911.jpg

「野火止用水」は、1655(承応4)年、川越藩主松平伊豆守信綱により、武蔵野開発の一環として開削された用水路で、玉川上水から、野火止台地を経て、荒川支流の新河岸川までの全長24kmに及びます。玉川上水と野火止用水の分水割合は「七分は江戸へ通じ、三分は信綱へ賜はり、領内へそゝげり(新編武蔵風土記)」と言われ、開拓民や移転してきた平林寺、陣屋等の貴重な飲料水・生活水として使われていました。
2)川越街道B
休日に車で出かけると、大抵「川越街道(国道254)」を通ります。家から川越に向かうと、新座市中野一丁目から入間郡三芳町藤久保まで、大きなけやき並木を挟む昔の街道を思わせる素敵な区間があります。並木の両端には立派な石碑(写真)があります。
「川越街道」は、太田道灌が川越城と江戸城を築いたころ、二つの城を結ぶ重要な役割を果たした道で、江戸時代には中山道板橋宿平尾の追分で分かれる脇往還として栄えたと言われます。日本橋から川越城下まで、栗(九里)より(四里)うまい十三里と唱われ、「川越いも」の宣伝にも一役かったそうです。

img912.jpg

■参考文献
@野火止用水〜多摩川の水を野火止台地、さらに荒川右岸まで〜(パンフレット)、国土交通省荒川上流河川事務所
A野火止用水・平林寺の文化的景観保存計画、平成24年3月、埼玉県新座市
Bhttps://www.jinriki.info/kaidolist/ about jinriki/、旧街道ウォーキング「人力」
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等