2020年03月01日

私の市民活動 地域の水に係ること

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シビルNPO連携プラットフォーム
個人正会員 駒田 智久


東久留米市に隣町から転居して20年近くになる。暫く経ってから仕事の一線を退き、時間の余裕が生じた。間もなく、土木学会では、CNCPも含んだ今に繋がる活動が起動し、多く係わったが、同じ頃、ある機縁で地域デビュー(のようなもの)を果たした。
分野は技術者としての現役時代は殆ど縁の無い「水環境」、というよりもそれを支える「水循環」に係るものであった。水循環という概念・言葉が社会的に認知・認識されたのは平成10年代の冒頭との話であるが、ほぼ10年遅れで自身も水循環という言葉を標題に用いて地域の水文状況に係るデータの収集・整理結果を纏めている。
その背景には東久留米市が湧水と清流に恵まれた街であることがある。当市には、ほぼ市内を湧出源とする黒目川と落合川が流れている。湧出直後であることから流れの透明度は高く、水質も良い(特に落合川は東京都の水質基準で南北多摩地区では唯一の最上級AAとされている)。副都心・池袋駅から僅か18km、そこで水に親しむ子供たちの姿は咋年8月の「アド街ック天国」(テレビ東京系)でも紹介された。(写真は市役所から遠くない落合川の毘沙門橋のすぐ下流での水遊び。) 市では平成23年に全国的にも珍しい「湧水・清流保全都市宣言」を発している。
一方、国は平成26年に到って水を国民共有の財産とする「水循環基本法」を定め、翌27年には水循環に関する施策の基本的な方針や具体項目を挙げた「水循環基本計画」を策定した。

このような動きを背景に、地域の良好な水環境が今後末永く保全され向上することを願って、平成28年に、座長に芝浦工大・守田優教授を迎えて「東久留米の水循環を勉強する会」を立ちあげた(自身は事務局長)。その後2年有余の活動成果を纏めた報告書を「東久留米・黒目川流域の水の今とこれから」として昨年夏・水の日に刊行した(上の写真はその表紙から)。内容を表に示す。前半の4章までは東久留米市を主とする流域の水に関係した状況であり、後半はその維持向上に係る取組みに関するものである。

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特筆すべきは、両川合流後の都県境での日10万トン近い流量、これは武蔵野礫層からの湧出であるが、この流量は水系としての黒目川流域の降雨〜地下浸透ではとても賄いきれず、その多くの部分を後背地である小平市など武蔵野台地のそれに依存していることの知見である。
問題はこれからである。これまで「お勉強」をしてきた。今後それを踏まえて実際に役立つどのような活動をすればいいか、現在調整中である。
大きなテーマは、後背地も含めた雨水の地下浸透の確保、具体には農地・緑地の保全であろう(特に「農地の保全」が、近年の都市農業振興施策があると言え危惧される)。農地という専ら農業者が保有する土地の保全に市民サイドで何ができるのか?また属している自治体を超えた広域的な取組みをどう推進していくのか?まるで風車に立ち向かうドンキホーテのようなものかもしれないが、仲間と共に、電池の切れかかった体と頭を使って努める他はない。(農地については農業者の方々が地域の水に係る貢献について必ずしも意識されていないのが歯がゆい。)
なお、健全な水循環に向けての実際は全体として行政の事項となる。そのため、上記の報告書を関係機関に進呈し、それを踏まえて説明会を開いた。結論から言うと、徒労感に満ちて帰ってくることが少なくなかった。国は兎も角、都県や市レベルでは水循環に係る横断的な取組みは全く無いようで、所掌事務に関することしか承知しない感があった。
 
水循環勉強会は有期の任意団体であり、その先に別途想定している、良好な水環境〜健全な水循環を目指す新たな活動を担う団体もNPOの認証を受けるかどうか?ある限られた地域で活動するとき、ベースで必要なのはその団体、それを構成している個人の信頼であり、多少公的な絡みが出てきても、形としてはその団体の規約や会員名簿が有れば事足りることになるからであるが、これらの活動は「シビルNPO」から見てどう位置付けされるのか?また、基本的に河川の平時流量の確保を目指すこのような活動はインフラメンテナンス国民会議・市民参画フォーラムからみてどうなのか?共に一定の位置付けが期待されうるのであろうが、余りこれらに関して意識していないのが実情である。
 
つくづく人生は偶然と縁だと感ずる。東久留米に転居しなければ決してこのような活動はしていなかった。もしあの正月に地元の氷川神社に参拝しなければ、また、その後で神社の傍を流れる落合川の水辺を散歩しなければ、同級の尾田栄章氏が我が街の集会に講師として来ることも知らず、その集会にも参加しなかっただろう。それで多少の縁ができて、その年に発足した市民環境会議にも参加しなかっただろう。参加しなれば、水循環に係るデータ整理もするわけがないのである。これからも偶然と縁を大事にしていきたい。
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グリーンインフラのすすめ

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シビルNPO連携プラットフォーム
副代表理事 花村 義久


皆さんすでにご承知ように、我々は今社会資本の老朽化や高齢化・人口減少、気候変動による自然災害激甚化など、様々な社会的な課題を抱えています。最近これを乗り切るのに、社会資本整備や土地利用において、自然環境が有する多様な機能を活用しようと云う考えが生まれています。この考えは自然との共生をベースにしたもので、グリーンインフラ(GI)として、従来の社会資本の枠を超えて自然資本を活用することによって、行き詰っている現在のインフラ問題を克服しようとするものです。
今までの緑地・緑化は、環境の保全や生活の安定、地域の活性化などの意味から取り組まれており、都市における公園、緑地・農地等のオープンスペースは多面的な機能を発揮するとともに、防災機能や景観形成、生活の憩いの場などを提供しています。国では、これをさらに充実させるべく、「集約型都市構造化」と「都市と緑・農の共生」という考えでもって、平成29年、都市緑地法、都市公園法、生産緑地法などの改正を行いました。
みどりによる社会基盤、グリーンインフラGIは、みどりすなわち生態系等自然環境の多機能を活用するという考えですが、上に述べた従来の緑地に対する考え方をよりダイナミックにとらえ、持続可能な社会、経済発展をもたらすインフラや土地利用計画を進めようとするものです。地球の温暖化砂漠化問題・エネルギ再生への取り組み、河川・ダム・都市環境に対する森の保全・樹木植生等都市緑化、インフラの老朽化対策や防災への備え、人口減少社会での新たな土地利用、投資・人材・オフィスなど活力ある都市空間の形成、そして景観・教育・健康・コミュニティ・安らぎの場等文化・生活空間の創出など、幅広い分野がその対象になります。
GIは、地方自治体での実現に期待されています。私が住む船橋市では、現在緑化問題を「船橋市緑の基本計画」という形で進めています。この計画書では、緑の機能として、健康維持・安らぎの場、防災、景観形成、生物多様性の保全、都市環境の保全を柱としています。これらは要素的にみるとかなりGIと重なっています。個人的なことになりますが、私も市の緑化推進委員会の委員であることから、また今までNPOとして校庭の芝生化や中国での砂漠の植樹など緑化問題に微力ながら関わったものとして、地域でのGIの推進が図られたらと考えるものです。
現在国土交通省では、国土形成計画にGIを取り込み、またグリーンインフラ懇談会の設置やポータルサイトの開設を行い、2019年にはグリーンインフラ推進戦略を発表しました。このテーマはいろいろな分野が関わりあうことから、それぞれの関係組織、関係者が連携してGIの推進が図られることを願うものです。

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考える研修 やってます

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シビルNPO連携プラットフォームサポーター 
未来構想PF事務局長 土井 博己


未来構想PF(一般社団法人未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム)では、9年前の設立時から継続してワークショップ(WS)研修を実施している。対象者はJR東日本及びグループ会社の建設部門若手中堅社員で、研修テーマにより運輸総合研究所や鉄道・運輸機構からの特別参加もある。
JR東日本では、安全や設計等様々な研修が行われているが、プロジェクトの企画調査計画に関する講座は無い。確かに企画調査計画の業務は総合力を必要とする分野であり、そのことを「冠」に講座を組むことは難しい。そこで、未来構想PFの設立に際しては「考える力とプロジェクト企画力の再構築」が一番のミッションとなった。将来構想に関する技術力の継承と向上については、自主研究、講演会、見学会などのメニューもあるが、まずWS研修を優先して実施することとした。

大丸2WS研修の目的と進め方
WS研修は、メンバー共通の構想・計画をまとめることが目的ではない。専門性、立場、関心の違うメンバーとの自由な意見交換を通して、考えることとプロジェクトを進める上での全体フローを理解することが目的である。
(カリキュラムの事例:上野駅の将来構想)
第1回 特別講義(山本会長)と課題図書を読んだ感想
第2回 首都圏の都市計画・交通計画の長期的な課題を考慮した上で、鉄道の将来ビジョンをどのように考えるべきか
第3回 駅の基本構想を考える上で、重要なことは何か(10項目程度を示す)
第4回 現在の上野駅を理解する
第5回 上野駅の将来構想をまとめる
第6回 上野駅の将来構想を踏まえた施設計画(長期計画と当面の計画)
第7回 上野駅の当面の施設計画の具体化
第8回 まとめ(将来構想から具体的な計画立案までの全体フローを整理)

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大丸2考えるメニュー
1. 毎回の課題、何を求められているのか
各回の課題は、ファシリテーターから事前に提示される。まず、何を求められているのか考える。

2.A4(裏表可)1枚に考えをまとめる
簡潔に考えをまとめることは大切で、その練習もあり用紙の制限を設けた。他のメンバーのまとめ方を参考にしていると、初回はともかく、最終回頃には皆さん上手になるから不思議だ。

3.発表する、発表を聞く
発表(プレゼン)の持ち時間は1人5分。わかりやすく、的確に発表しなければならない。それ以上に大切なのが「聞く」ことで(通常の会話でも話す3割聞く7割と言われている)、発表を聞きながら何を言いたいのか考え、不明な点があればそれが質問となる。

4.質問する、意見を言う
WS研修の最大の特徴は参加することである。質問や意見を出し合い、それぞれの提案をブラッシュアップしていく。その意味でもファシリテーターの役割は重要で、出来るだけ多くの「考え」が出るようにリードすることが期待される。

5.アドバイザーの話を聞く
一通りの議論が終わったらアドバイザー(参加している上司や先輩)から気付いたことが述べられ、最後に講評も含め山本会長からの話しがある。メンバーはこれらのコメントを熱心に聞いて次回以降の参考にしているようだ。

6.研修後の懇親会は毎回開催
研修は1シリーズ7〜8回で終了時間が20時前後。そのあと必ず行うのが2000円会費の懇親会で自由参加だ。その日のテーマはもちろん、仕事の話、最近の話題、むかし話、とにかくワイワイ賑やかだ。みんなの関心が高いのは山本会長の話で、貴重な体験や“その時々の考え”に聞き入る。楽しいひとときだが、各自の思考回路に知らず知らず染み込んでいる、そんな印象だ。

7.課題図書を読んで感想文を書く
各研修ごとに「課題図書」を設定し、読んだ感想をまとめ発表する。課題図書はPFからの提案や参加メンバーからの推薦で決定する。紙の本を年間1冊も読まない人が60%以上とのデータもある昨今だが、まとまった1冊を“読み切る”ことで、研修の目的である「考える」ことのツールとなっている。

■これまでに実施したWS研修の成果
以下に示す18シリーズを実施、参加者は延べ190人である。各テーマとも、当時JR東日本で具体的な検討が進んでいたわけではないが、いずれ将来構想が議論されると思われる案件を選択してきた。
・将来構想(池袋駅、大崎駅、上野駅、八王子駅、四ツ谷駅、空港アクセス、首都圏鉄道20年ビジョン、首都圏鉄道30年ビジョン、20年後の鉄道の将来像)・施工計画(浜松町駅、我孫子駅、橋本駅、金町駅、藤沢駅)
・地方創生(地域と生きる:仙台、東北地方で新規事業をやるとしたら何を:仙台、地方公共交通の将来像:高崎)
これらの成果は“190の提案”としてファイリングされている。これまでに、いくつかの駅改良計画の参考となっており、研修と実務の一体化という初期の目的は達成されている。また研修参加者190人は、ほとんどがプロジェクト企画リーダー、組織リーダーとして社内で活躍しており、技術力継承と人材育成の面でも成果を上げている。

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