2020年04月01日

危機において指揮者に対する信頼が不十分であるとき

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シビルNPO連携プラットフォーム 副代表理事
(東京都市大学副学長) 皆川 勝


専門に関する事柄は素人には理解が難しく、専門家であっても専門外のことを理解することは難しいので、専門家が誠実、公正であることが求められます。また、説明する者を説明される者が信頼をしていなければ、説明責任を果たすことはできません。そこで、専門家の能力や知見に基づく判断は適切であるという市民の持つ信頼と、それに基づいて安心して社会生活を送ることができているという市民の感覚がそれを委ねる基本となります。信頼とは道徳的秩序に対する期待であり、それは専門家の能力に対する期待と、専門家の意図に対する期待からなると言われています。能力に対する期待とは専門家としての知見の有用性に関係しています。一方の意図に対する期待とは、公平性、公正性、客観性、一貫性、正直性、透明性、誠実性、思いやりといったものです。」
この文章は、著者が“科学技術者あるいは科学技術に関して執筆した文章(公正研究推進協会によるe-ラーニング教材より.出典:山岸俊男:信頼の構造 こころと社会の進化ゲーム、東京大学出版会、1998年5月)について、”科学者・技術者“を”専門家“などと置き換えてみたものです。また、“専門家”を“政治家”としても、新型コロナウイルス禍が世界を覆っている状況で、自粛要請などが発出されるときの発出した者の意図は何かを考える時の参考になるように思います。

桜を見る会に関わる情報の遺棄や、森友問題に関わっての自殺者の出現など、政治がかかわったとの疑念が持たれている様々な事柄に対して説明が十分なされなかったり、調査が不十分なまま放置されたりしている状況は目に余るものがあります。そういった状況で、新型ウイルスが蔓延し、多くの犠牲者が出ている中で、権力を行使できる個人の意思により学校の一斉休校が要請されました。ところが、どのような科学的な根拠か不明なまま一斉休校要請は4月には解除となるそうです。また、オリンピックの開催が1年程度延期との方針が出た途端、感染爆発や重大局面との危機を訴える言葉がしきりと発せられるようになっているように思ってしまうのは私だけではないだろうと思います。
これらの動きの底にある意図が取りざたされるのは、ごく自然なことであると思います。政治における金や選挙にまつわる疑惑などに対する説明責任をしっかり果たしているとは言えないとの批判がある中で、政治家の意図に対して期待を持つことができるでしょうか。結局は、医療に関する専門性も、政治を動かす権力も持たない我々市民は、自衛をせざるを得ないということになるのでしょうか。大学では、遠隔授業の活用が不可欠な状況となってきました。新型コロナウイルス禍を教訓とできたと言えるように、社会の変革を実現する機会とする、強い意志と実現する力が問われています。
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渓流釣りと川の在り方

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シビルNPO連携プラットフォームサポーター
出会いの島「豆島」プロジェクトチーム
事務局長 出本 眞次


渓流釣りを始めて、もう50年以上になる。僕の渓流釣りは、渓流釣りと言ってもそんなに山奥まで押し入って深山の奥の源流域まで行くような釣りではない。今はインターネットで詳しい地図が見られるようになり便利になったが、昔は1万分の1の地図などを購入して釣りの計画を立てていた。放流されている河川での釣行も釣りに行くこともあったが、もっぱら釣れるか釣れないか分からない川を、地図を頼りに釣行することを実施して、例えば地理を読み5本の川を試し釣りで順番に、下流から、上流へと釣り歩く。下流域はハヤの生息が多くて、中々、アマゴは釣れない。それでも昔は地元の人しか知らない小さな川でもアマゴが生息していた。それにあたると数は釣れなくてもうれしくて、自然の地形と川を推理しての釣行を続けた。
何年かすると、何本かの川を探り当て、1年に1度か数回順番に釣り歩き出来るだけ同じ川でも同じ場所は年に1度だけの釣行を試みることが出来るようになった。
今は尼崎市に住み、広島の実家に帰省した時に数年か10数年ぶりに当時釣れた川を見に行くと無残に3面張りのコンクリート造りの川に改修悪されて、いたるところ川の段差は、コンクリートの壁で遮断されている。昔は,川の流れが自然な落差で、下が淵になり大アマゴが潜んでいたその場所は無くなり堰の下は平面で水もほとんどない状況の場所になってしまっている。僕が釣行していた川の多くは大きな川でないので、なおさら単なる放水路になり、雨が降ればすべてのものは一気に流されて、魚類やカニ類も住めなくなっている。当然蛍や水生生物もほとんど住めなくなっている。
今は、関西に来て、パソコンで、地図を出してみて、やはり地形や、山を,川を分析して、釣行している。幸い数本の、岩魚と山女魚,アマゴが生息している川を見つけた。1本の川は年1度か2度までの釣行を心掛けている。川の釣は海と違って、自然のものは資源再生力が低いからである。
関西で開拓した川も3面張りの川もあるが、僕が釣行している川は、少しはましで、川底は自然のままで残されている、しかし次から次に土石流を防ぐためか、堰が造られている。其の為堰と、堰の間までが魚たちの交流水域で、一度堰を下ると二度と上流域には行けなくなる。堰の底部には少し小さい穴が設けられているものもあるが、多くは堰の上部まで土で埋まり単なる川の連続性を遮断する妨害物になっている。ただでさえ川の魚類は再生力が低いのだが、一本の川でもすごく多くの堰が造営されて魚たちの交流を妨げている。
近年、気候変動で、集中豪雨が多発している。防災上で、堰の建造は必要とは考えるが、多目的のダムでないダムや堰は、基本は穴あきダムや堰に変更して行き、魚道を確保して、日常には堰に水は貯めず大雨の時だけ土石流や大雨をやり過ごすように様にする。堰の穴は、その川の流量計算で大きさを決めて建造する。そうすれば多くの堰が、集中豪雨の時に役立ってくる。今のような堰では、何年か経つと土砂が堆積して貯水力はほぼ無くなり単なる川をせき止めて崖になってしまう。

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上記写真両側は、砂防提の上部に土砂が堆積して単なる崖になっている写真2枚
自然のままの流れ(真ん中写真)


これからは流水型のダムや堰に変更して通常時は川の流れは普通に流れて魚も自由に上流、下流と移動できる環境を造ることが必要と思われる。又、多目的ダムも大雨の時には今の利水優先の運営でなく、ダム管理責任者が、その時の天候状況を判断して、洪水を防ぐための事前放流を実施できるように権限を持たすような法改革も必要と思われる。今ではダム責任者は災害を少しでも減らそうとしても利水権で行動が縛られていて、ダムの責任者にはなりたくないと思う人が多々いるという。ダムの管理責任者も、船の船長と同等の権限と責任を持てるようにして、大海原での嵐に対する船長のようにダム責任者にも運営の裁量を最大限与えるべき時に来ていると思われる。
まだまだダムは、人の生活に一部役立っているがいままでのダムや堰は、自然界の魚や、水生生物の事を考えていない構造に多くはなっている。
だが少しずつ災害時の工事などで「美しい山河を守る災害復旧基本方針」等が制定されて、「災害復旧は多自然川づくりの考え方に基づく復旧とし、災害に対する備えだけでなく、従前から有している河川環境の保全を図る」と少しずつ改善は進んできていて、河川の改修は、片岸を出来るだけやり対岸は残すとか、河畔林や、山付き部や淵は出来るだけ残す等自然環境を配慮した工事が行われ出したことは1歩前進である。
土木の専門家のみなさん、魚や水生生物の身になって川を考えましょう。
僕たち釣り人もむちゃくちゃ釣るだけでなく、アマゴや岩魚が持続して生息できるように、考えて魚釣りをする。そして、今まで人が自然を破壊してきたものをまた元の自然環境にもどす努力が必要と思う。
追記
僕が活動している尼崎市でのウナギの生態の考察は、「SEFIのホームページの新着情報 一覧を見る 2017年11月25日原稿 「ウナギの生態環境と豆島」」で述べていますので、ぜひご覧ください。
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昨年の台風15号による電柱倒壊を受けての調査

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シビルNPO連携プラットフォーム法人正会員
NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク
 理事兼事務局長 井上 利一


昨年末から、全世界へと広がっている新型ウィルスに負けじと、無電柱化の推進を全国津々浦々に啓発していますが、遅々として、進んでいません。こういったなかで、新しい動きが出始めています。
例えば、電力会社の監督官庁である経済産業省が昨年の台風15号での電柱倒壊を受けて、事故調査チームを発足、その報告書が出ています。
これによると、鉄塔2基、電柱約2,000本が倒壊し、約94万戸が停電し、全面復旧まで2週間を要したとあります。
架空線と電柱は災害時の復旧が早いというのが、無電柱化反対派の論拠でしたが、それがそうではなかったことが判明。世論は、「それなら、無電柱化じゃないの!?なんで、日本は電柱なの??」という声が多く聞かれました。
さらに、「台風15 号の最大風速は、神津島村(東京都)で43.4m/s を観測するなど伊豆諸島と関東地方南部の6地点で最大風速30 m/s 以上の猛烈な風を観測し、関東地方を中心に19 地点で最大風速の観測史上1位の記録を更新しました。更に最大瞬間風速は神津島村で、58.1 m/s を観測するなど伊豆諸島と関東地方南部の3地点で最大瞬間風速50 m/s 以上を観測し、関東地方を中心に19 地点で最大瞬間風速の観測史上1位の記録を更新した。」と報告しています。
こうした、大型で強い台風は今後頻発するだろうという専門家の予想もあります。私たちは改めて、ライフラインの強靭化を進める必要があるのです。
また、2月25日に電気事業法の一部改正が閣議決定されました。今後、通常国会への提出を経て施行となると思います。その中に、「送配電網の強靭化」がうたわれており、「@レジリエンス強化の観点から、プッシュ型のネットワーク整備計画(広域系統整備計画)の策定業務を電力広域機関の業務に追加するとともに、送配電事業者に既存設備の計画的な更新を実現するための義務を課します。A送配電網の強靱化等の実現のため、経済産業大臣が事業者の投資計画等を踏まえて収入上限を定期的に承認し、その枠内でコスト効率化を促す託送料金制度を創設します。」となっています。@は経費削減が進められたことにより、既存設備の更新が疎かになっていた状況を改善するというもので、この中に、無電柱化も含まれています。残念ながら、概要資料には、「無電柱化」という言葉は出てきませんが、同時に公開されている補足説明資料には、「既存設備の計画的な更新」というタイトルで、「送配電設備の老朽化の程度を把握しつつ必要な投資をタイムリーに行わせるため、送配電事業者に対し、無電柱化の推進を含め、送配電設備の計画的な更新を求める制度を整備」と書かれています。

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要するに、これまでコストを抑えるために設備更新を先延ばししてきました、ということです。これではいけないので、無電柱化を含めて、更新していくということになります。ここでいう無電柱化は、単独地中化のことだと思いますが、実際のところは、今後の詳細が発表されるまで不明です。
ここで賢明な諸兄は、電柱は電力会社だけでなく、「NTT柱もあるのでは?NTTを監督する総務省は何をするのだろう?」と思ったはずです。残念ながら、総務省から、無電柱化への取り組みは聞こえてきません。実際、NTT柱は電力柱よりも背が低いということや本数が少ない(と言われているが実際の正確な本数は発表していない。)こともあり、被災状況は電力柱より少ないのだろうが、架空電線の本数でいえば、通信線の方が圧倒的に多いのが現状です。実際に北海道の郊外道路では、電力柱に共架していた通信線が増え過ぎて、強度がもたなくなって、新たに、電力柱と電力柱の間にNTT柱を建てて補強するといった事態が起きています。そのことで景観も悪くなっています。今回の台風災害を受けて、国民の目は、露出しているライフラインとしての電柱・電線に注がれるのは間違いないと思います。総務省の早期の対策を期待します。

無電柱化が進まない大きな要因の一つに高コストがあります。さらにその要因のなかに整備期間が長い。というのがあります。これらにはいくつか要因があります。
@夜間工事が多い。(進捗<施工性>が悪い)
A交通管理者の安全に対する要求が高すぎる。(安全はもちろん最優先だが、猫一匹入れないような過剰な安全対策が果たして必要か?)
B既存の埋設物が多く、また、不明管も頻出して工事が進捗しない。(日本は道路が狭い上に地中埋設物が多く、何がどこに入っているかかも、整備延長は2.1qの両側4.2qもあるのです!それを、見事に1年で抜柱まで完了させたのです。住民の協力もさることながら、24時間体制での施工は相当な困難を伴ったと思います。これを北海道でNo.1の施工会社が見事にやり切りました!
これには、北海道初の角形FEP管(ポリエチレン管)を使用するなど、あらゆる可能性を追求しての施工完了だったようです。無電柱化は期間が長い、大変だとよく言われます。しかし、可能思考でやれば、設計から抜柱まで1年でできるんですね!久しぶりに勇氣と元氣をいただける好事例でした!
無電柱化はやればできる!ぜひ、全国の自治体の無電柱化担当者は諦めないでいただきたいと思います!

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