2020年10月01日

土木と市民社会をつなぐ事業研究会報告(その3)

第5回研究会において第6回研究会からはブレーンストーミングの結果を受けて「インフラメンテ」,「災害対応」,「地球環境・エネルギー問題・廃棄物対応」「中央と地方との格差対応」,「国や地域の将来ビジョン」を社会的課題として毎研究会で一つずつ取り上げてこれらの課題をCSV注釈)の視点で探って行くこととしました。CNCP通信(Vol74)では第6回研究会において取り上げました「インフラメンテ」について報告しましたが、CNCP通信(Vol78)では報告(その3)として第7回研究会において取り上げた「災害対応への貢献」の報告です。事前にメンバーから提出頂いたメモは下記の7件でした。なお、CSVの視点とは@CSV活動領域 A社会的価値提案モデル B収益モデル C取り組みの連携・協働の4つの切り口です。

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出されたメモの分析・評価を行った結果、下記の4つのプロットモデルに整理されました。
事業モデルⒶ ;地域防災の支援事業
事業モデルⒷ ;大規模震災へのDCM支援事業
事業モデルⒸ ;避難誘導へのCSV商品開発事業
事業モデルⒹ ;世界の大規模森林火災への防災事業
本来ならばここでⒶ〜Ⓓの4つのプロットモデルについてそれぞれ更に具体の事業としての組み立ての検討に入るべきところだとは思いますがここで一旦その作業は留めておいて次の課題の検討に入ります。そして前述した5つの全ての課題が一巡した段階で、更に各課題に対する事業化への取り組みを研究します。次回の第8回研究会のテーマは「新事業への貢献」とします。主として@地球環境AエネルギーB廃棄物処理を取り上げます。なお、第7回研究会からメンバーに佐藤工業が加わり
ゼネコンメンバーは熊谷組、鉄建建設、西松建設、前田建設工業、奥村組、佐藤工業の6社となりました。
注釈:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
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コロナ禍で思うこと

シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(一社)建設コンサルタンツ協会 副会長
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酒井 利夫


全世界がコロナの大きな影響を受けている。日本においてもこれまでの社会・経済に内在していた様々な問題が顕在化し、具体的な事象から日本が置かれていた現状を実感させられる状況が続いているが、一方で新しい動きも見え始めている。
例えば、マスクや消毒薬、医療用ガウン等の不足問題は、生産拠点が特定国に偏っていたことに起因し、その奥には極端な「利益第一主義」的なグローバル経済という背景が存在していたことに多くの国民が気付いた。そんな中で4月27日付の日経新聞の一面には『配当より雇用維持を。機関投資家が転換』とあり、「短期的な利益追求より社会的課題に向き合う方が長期的な成長につながると株主の考えが変わってきた」との指摘があった。

また、多くの国民が直接的に対応したことによる新たな変化も起きつつある。例えばテレワーク、オンライン会議については、これまで中々進まなかったが、外出自粛要請の中で、結果的に急速に普及することとなった。いくつかの課題も指摘されてはいるが、「どこにいても仕事ができる」、「通勤ラッシュに耐えながら都心に通勤する必要がない」、「遠距離を理由に参加できなかった会議に参加できるようになった」など効果を実感している国民も多い。社会構造を変える「きっかけ」となり、そしてそれを推進する「有効なツール」ともなり得る新しい流れとして期待したい。

しかしコロナとは関係なく毎年自然災害が多発している。昨年の台風19号も各地に大きな被害を残したことは記憶に新しいが、その中でもいくつかの治水プロジェクト等が完成していたため被害が最小限に押さえられた例があったことも事実である。例えば台風直撃直後であったものの、鶴見川流域の総合的な対策が功を奏してワールドカップ「日本vsスコットランド戦」が開催でき、しかも正々堂々と日本が勝利し決勝トーナメントに進出したことは特筆すべきことである。今年も各地で災害が発生している。特に7月の熊本県球磨川の被害は甚大であった。8月下旬、現地では、地元流域自治体と県・国との検証委員会が開催され、ダムが存在した場合の効果についても確認することとなったとの報道があった。データや事実に基づいて客観的かつ冷静に検証しその結果を今後に活かしていただきたい。

コロナをきっかけに既に社会が変わりつつある。今こそ「よりよい社会」へ「変えていくチャンス」と捉えたい。例えば、自然災害やパンデミック等、社会に甚大な影響を与える「外力」に対しても「余裕をもった、強く・しなやかで、安全・安心な社会」にすべきだと強く思う。また、「思いやりのある社会」、「短期ではなく長期的志向をもった持続可能な社会」なども新しい社会に向けての重要な考え方だと思う。国民的な議論がなされ、より多くの国民が共感できる「考え方」が形成され、共有されれば、よりよい方向に「社会を変えていく」ことも可能であると信じたい。社会を構成する一員として、そしてそれを支える「社会インフラ」に関わる者として、多くの方々と議論を重ねながら自分にできることから行動を起こしていきたいと思う次第である。
(令和2年9月28日提出)
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10年目の所感

シビルNPO連携プラットフォームサポーター
飛島建設株式会社 
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松尾 和昌


■はじめにお断り
中堅ゼネコンで広報業務をしております。一応土木技術者ではありますが、この寄稿文には技術的なことやCNCPの活動目標的なことは一切書いておりませんので、ご容赦下さい。
2010年4月から広報業務に従事しておりますと、数式とか研究論文とか全く縁のないものとなりました。その前は約20数年間土木設計業務でしたので、あまり時間的余裕もなく、家族には迷惑をかけたと実感しています。
広報2年目くらいの時から、「広報は暇な方が良い」「定時退社が良い」と確信いたしました。なぜならば忙しくなるのは、会社にとってネガティブな事柄が発生した時のみと言っても過言ではないからであります。会社にとってポジティブな事柄が発生した時は、ちゃんと8時間の勤務時間で終われるのです。
以下、私の広報生活10年目の印象に残ったことを綴ります。
■数学(算数?)
どうも広報の仕事をしていますと定性的なことが多く、数字を扱うときも足し算や掛け算で済んでしまい、もはや技術者ではないと感じてしまいます。そんな時は円の面積の求め方を考えることにしています。そう小学生の時習ったアレです。今でもこれは数学の素晴らしさを表しており、導いたお方は天才と思っています。円の中心から外側に物凄く微細にスライスし、それらを上下交互に並べて長方形にし、面積=πr2というもの。文句をつけようがなく、スッキリしますよね。この「スッキリ」感が大事で、私が広報業務の中で大切にしている中の一つです。技術のプレスリリースでもIRのプレスリリースでも。少々難解な事柄もわかりやすい文言にすることが、記者さんのみならず市民社会に受け入れていただく大前提だと思います。
■イノベーションマインド
先日ある方の講演で、こんなことを仰っておられました。「イノベーションと技術の進歩は同じと思っている方も多いと思いますが、実は全く異なるものです。イノベーション≠技術の進歩、イノベーション=路線転換、もしくは価値次元の転換である。」と。なるほどそうなんだと意識改革いたしました。例えば一昔前のウォークマン、あれは新しい技術でもなく、ただ単に小型化し再生させて聴くだけのものですが、イノベーションですから大ヒットしました。酒のワンカップ○○もそうですし、最近ではレッドブル。日本人が同じ形の瓶で栄養ドリンク剤を飲んでいる光景を見て、容器をカンにして売り出したら海外で若者に大ヒット。(今は日本でもありますが)
技術を進歩させることは当然必要ですが、多大な労力やお金が掛かります。ならば既成のモノや技術を応用ではなく、価値次元を転換させて、何かできたらと思っております。やはりキーは、20代30代の方がどのようなことを望んでいるかでしょうか。
■価値あること
ネット社会である今日、「価値がある」ということは、@役に立つ、A便利で使いやすい、B魅力的な、C探しやすく迷わない、Dアクセスしやすい、E信頼できる、とされています。これはネット社会に限定されることに限らず、すべての事柄に通ずると思っています。忘れてならないのは、そう判断するのは人であり、体験を通じ
判断するのです。もっと言うと、AIに判断させてはいけないのです。6つの項目を全部クリアできれば良いのですが、現実はそうもいかず、少なくとも半分以上クリアするべく広報業務を行っています。私どもゼネコンの世界は、なかなか一般の方々から縁遠い世界に見られがちですが、「信頼できて魅力的ですよ」と敢えて声に出さなくても済むような社会にしたいと思います。

■おわりに(電気のありがたやと市民社会との距離)
雑多なことを思いつくまま述べてきましたが、こんな中身のない文章でよいのかと危惧しております。ですが終わりに二言。一言目、私は千葉県市原市に住んでおりますが、昨年の台風15号でかなり長い期間停電生活を強いられました。この新型コロナの影響で、リモートだニューノーマルだと叫ばれておりますが、電気の力に頼らざるを得ません。すべての住宅に超小型蓄電設備か超小型発電機がほしいなあ。二言目、建設業界と市民社会との距離感ですが、ハグの距離感ではなく、ハンドシェイクの距離感が良いと思っております。時には意見対立もあるでしょうし、論戦(喧嘩)もあるでしょう。広報と報道機関(記者)の距離感と同じと思います。通常は握手の関係ですが、1,000に1回位殴り合える関係、即ち本音を言い合える距離感が良いのです。ハグだと相手を見て喧嘩できませんから。

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