2020年10月01日

人生100年社会

前シビルNPO連携プラットフォーム常務理事
(株)アイ・エス・エスグループ本社相談役
NPO法人SLIM Japan理事長
(財)人生100年社会デザイン財団理事
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中村 裕司


■新財団のご紹介とCNCP
2020年10月1日、(財)『人生100年社会デザイン財団』が発足しました。
この財団は、東京大学名誉教授・神野直彦先生(財政学)と東京大学大学院教育学研究科教授・牧野篤先生(生涯教育)のお二人を代表者に頂き、人生100年時代の個人の生き方と社会制度のあり方を構想しようとする財団です。
きっかけは、2年ほど前にCNCP通信に寄稿させて頂いた『Gerontology』でした。日本語では当時『老年学』と訳されていたその研究領域に興味を抱くと同時に、Gerontologyを老年学という医療領域だけでなく、「高齢社会工学」という、ニュアンスがcivil engineeringに近い領域まで広げたいと考えておりました。
そこで行き着いたのが、当時東京大学にできていた「高齢社会総合研究機構」でした。その副機構長であった牧野先生と知己を得、その縁からCNCPサロンに牧野先生をお迎えし講演をして頂きました。
爾来1年余、多くの方々のお知恵とお力を得ながら、牧野先生のご発案により財団設立の機運が盛り上がり、約半年間準備作業を進めた末、10月の発足に漕ぎつけた次第です。

■財団を取り巻く背景
2018年6月内閣府に「人生100年時代構想会議」が設立されて以降、「人生100年時代」を謳う情報が氾濫しています。『Life Shift』の著者リンダ・グラットン教授と小泉進次郎氏の対談の影響もあり、その後「100歳人生」「100年時代」等をタイトルにした本がずらーっと並ぶようになりました。
が、その本の内容は“健康で長生きするための養生訓”であったり、“100年生きるためにいくらお金が必要か”、あるいは“高齢者はどのように残りの時間を充実して生きるべきか”などといったノウハウ本がほとんどです。いわば、長い老後をいかに賢く生き抜くかのための「老後人生の対策」を述べたものが目立ちます。
他方、上の構想会議に呼応するように、「人生100年時代」を取り上げた研究や調査も少なからず見受けられるようになりました。だが、新財団で取り上げる「人生100年社会」は「人生100年時代」とは似て非なる議論となるでしょう。それは「社会」という単語が「時代」という単語と異なるように、です。
■人生100年社会とは?
財団の研究では、「人間の共同生活」の総称を社会ととらえ、人間の集団としての営みや組織的な営みを社会と考えます。つまり人間が一つの共同空間に集まっている状態、またその集まっている人と人とのあいだの結びつきをして社会と称します。
したがって、「人生100年社会」とは100年以上生きることが前提となった人間の集まっている共同空間・組織と、そこに生きる人間の結びつきを議論の対象として取り扱います。「人生100年時代」に対し、「人生100年社会」のほうは有形無形に関わらず“空間・組織”と“むすびつき”を対象にする点が特徴です。
■「ありうる人生100年社会」の構図
未来には、「ありたい未来」「あるべき未来」「ありうる未来」があります。人生100年社会では「ありうる100年社会」の構図を描きます。

逆に、今すぐ思い付く「あってはならない未来」や「今後ありえない未来」については、いろんな書物になかで次のように言われています。カッコ内は著書名です。
@65歳で伐採する社会(シン・ニホン)
AAI-ready化ができていない社会(同)
B3段階一方通行ステージ社会(ライフ・シフト)
Cエイジ=ステージという図式の社会(同)
Dつながらない社会(持続可能な「人生100歳社会」に向けて)
E高齢者対応の諸制度onlyな社会(ライフ・シフト)
Fホワイトカラー志向社会(働き方5.0)
G意識だけ高い系社会(同)

■今後の活動
財団は、アカデミー事業、Re-Viveコミュニティ事業、アクレディテーション事業の三つを軸に、これから活動を進めて参ります。財団にはおよそ20名ほどの著名な先生方、官界の方、産業界の方に名を連ねて頂いております。今後も活動状況についてCNCPの皆様と情報を共有させて頂ければ幸いです。

追記:私は、先の総会において理事を退任させて頂きました。2年間有難うございました。新任は横塚雅実氏です。これからも応援をしていく所存です。

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最近の小事・・・無くしたもの・・・

シビルNPO連携プラットフォーム 正会員
宮崎県 有限会社 仁礼
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星野 隆幸


2020年は新型コロナで始まった、いまだに出口は見出せないでいる中、毎日新型コロナの名前が氾濫している。では、新型コロナとはいったい何者なのだろうか。コロナウィルス自体は、さほど珍しくないと言うか、毎年冬になると患者が増える風邪の原因ウィルスの一つなのである。ウィルスの表面に特徴的な突起物があり、その見た目、もちろん電子顕微鏡でしか見ることが出来ないのであるが、王冠(crown)に似ていることからギリシャ語の王冠を意味するcorona(コロナ)と付けられた。2019年中国で発見され今回の騒動の主である、コロナウィルスは、コロナウィルスの一種であるが、今までと違う性質の新しいウィルスなので「新型コロナウィルス(COVID-19)」と呼ばれるようになったのである。世界中で、沢山の方が感染され、沢山の死者を出していまだに衰えない厄介者なのである。日本政府も、「新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言」を発令し、感染拡大防止、各自治体も追随するように感染拡大防止に努力している。仕事も遊びも自粛の中、経験のない1年を皆が過ごしているのである。
さて、新型コロナは、風邪の新型なので、風邪の感染防止の第一は、安静にして寝ていることで、つまり隔離して他人と接触しないことだと単純な私は考えていた、法的な事、政府の事、経済の事等、難しい事は横に置いておく事にして、他人に感染させないようにするには他人に会わない事が一番いい方法であるのは間違いない、そしてそれを決断したのは、自分自身であり、家族であった、つまり、誰かに言われなくても行っていたのである。では、現在は、どのようになっているのだろうか、法律で決まったことだからだとか、何か理由付けが無いと動くことも出来ず、決断する事も出来なくなったのだろうか、他人に感染させないとは、他人を思いやる事、特定の他人で無く、自分以外全ての他人の事であった、自分自身以前に他人を考え自分自身で決断行動する事であった。今回のコロナ騒動で感じたのは、日本人の記憶の中に確かに持っていた何か大切なことをいつの間にか無くしてしまったのでは無いかと言う事である。

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東京日本橋に水天宮がある、安産と水難除けで有名なお宮さんである。知り合いの安産祈願に犬の置物を購入した、何の変哲も無い、手のひらに収まる大きさで、竹の籠を頭に乗せている。何故、安産祈願の置物になるのか、
@ 犬は、多産でお産も比較的軽いらしく安産の象徴
A 籠の形状は穴が多くあいている、穴で風通しがよく風が抜ける、風が抜けるから風邪が抜けるとなり、赤ちゃんが風邪を引かずに健康にすごすようにと言う祈願
B 籠の素材の竹、この竹が実は非常に大事で、竹以外では成り立たないのである、犬の頭上に竹製の籠を乗せている、漢字で考えてほしい、犬の上に竹、竹冠に犬つまり、笑と言う漢字になるのである。赤ちゃんが笑顔で暮らせる家庭はいつも幸せな家庭につながると言う想い。
どうであろう、日本人は、こんな小さな土人形と竹籠でこれだけ沢山の願いを肉親を含む他人に想いやることができたのである。

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、今年も熊本球磨地方豪雨災害等と、自然災害が立て続けに日本を襲っている、特に2011年の東日本大震災発生時の日本人の行動は世界の人々から、これほど民度の高い国はないと賞賛を受け、21世紀の奇跡とまで言われたのであるが、最近の報道にみる日本人の行いはそれに見合っているのだろうか。お年寄りを狙った電話での詐欺事件、車を使ったあおり運転、ぶどう等の農作物や家畜を狙った窃盗、駐車している車へのいたずら、報道の良し悪しはこれも横に置くとして、なんと民度の低い事件であろうか、子供の頃、両親から教えられたのは、たった一つ、「他人に迷惑をかけるな」であった事を思い出すに、なんて深い教えであったのかをあらためて感じている。

最後に少しだけ近況を報告します。今年度から本格的に、地元にある宮崎大学と共同研究をする事になり、田舎の弱小企業としては大変名誉な事と感激すると共に責任を感じている所です。内容は、近年普及したUAV(ドローン)を利用した研究で、弊社は、熱感知赤外線カメラを搭載したドローンで協力することになっています。
地元日南市に熱感知赤外線カメラ搭載ドローンを所有する企業は無く、まだまだ、ノウハウも未熟でありますが日々精進中です。

赤外線写真のサンプル
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第9回 見沼たんぼと代用水と通船堀

シビルNPO連携プラットフォームサポーター/アジア航測
土木学会 教育企画・人材育成委員会 シビルNPO推進小委員会委員
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大友 正晴


「見沼代用水・見沼通船堀」と言っても地元以外の方は、ご存じないと思います。筆者は、浦和市(現さいたま市)で生まれ育ちました。小学3〜4年生の頃に社会科の授業で見沼代用水・通船堀を習い遠足で訪れています。当時の見沼代用水・通船堀は、ただ田んぼの中にポツンと水路があるだけで、とくに遠足で行ったという記憶以外ありませんでした。そんな見沼代用水が、2019年9月4日に国際かんがい排水委員会(ICID)国際執行理事会において、「世界かんがい施設遺産」に登録されました。見沼代用水・見沼通船堀は、整備当時の土木技術を駆使した施設でもあります。

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■世界かんがい施設遺産とは
かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際排水委員会(ICID)が認定・登録する制度で、2014年度に創設されました。
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1.見沼たんぼ・代用水・通船堀
見沼田んぼは、右の「経路略図」のように、さいたま市東部の芝川沿いに広がる水田地帯で、江戸時代に約1,200Haの新田として開発されました。見沼代用水はその水源として整備された延長約60kmの水路です。現在でも見沼代用水は、見沼田んぼをはじめとした流域の水の供給源として機能しています。
見沼代用水は、利根川から取水(見沼代用水元圦・増圦)して既存河川の利用と新たに掘削した用水路で構成されています。途中の河川との分合流・横断には堰を設けたり(十六間堰、八間堰)、伏越し(サイフォンと言って地下横断するしくみ)(柴山伏越)、河川を跨ぐ(瓦葺掛渡井)など土木技術を駆使して整備されました。瓦葺からは田んぼの東側と西側の縁沿いに分かれて整備され通船堀に至るものです。

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見沼代用水経路略図
「見沼代用水と見沼通船堀」パンフレット
(さいたま市教育委員会編集発行)より

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現在の利根川取水後の分水
(左から埼玉用水路、武蔵水路、見沼代用水)

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現在の十六間堰(左)と八間堰(右)
(見沼代用水は右の八間堰に流れます)

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現在の柴山伏越
(上)元荒川を地下横断
(黄色の点線)している
(右)伏越し下流側

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瓦葺掛渡井跡(左)と現在(右)は綾瀬川を伏越手前の水門(東縁・西縁に分岐)

見沼通船堀は、見沼田んぼの南に位置して田んぼの東西縁の水路と田んぼのほぼ中央を流れる芝川とを結ぶ運河です。見沼通船堀によって荷物の輸送、特に年貢米輸送などの物流を担いました。

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2.見沼代用水・見沼通船堀の歴史
見沼たんぼは、江戸時代初期には農業用水のため池「見沼溜井」として整備されていました。その後八代将軍吉宗による享保の改革の一環として幕府の財政改革を図るため、見沼溜井の新田開発が井沢弥惣兵衛為永に命じられました。井沢弥惣兵衛為永は見沼溜井の代わりとなる水源確保のため利根川から水を引く見沼代用水を築造したのです。

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(右)井沢弥惣兵衛の像(見沼自然公園にて)
(下)井沢弥惣兵衛の墓(柴山伏越脇の常福寺)

見沼代用水の整備と同時に、見沼通船堀は、江戸への米の輸送など舟運のため、見沼代用水と芝川を結ぶ運河として整備されました。しかし見沼代用水と芝川との水位差があるため「閘門式」と呼ばれる方法がとられました。なお、見沼通船堀は、見沼溜井の際の八丁堤が設けられた北側に整備されました。八丁堤には「赤山道」が通っており、陸上と水上の交通の要所となっていました。見沼代用水・見沼通船堀を使った通船は、昭和初期まで続いていました。

3.見沼通船堀の構造
見沼通船堀は、先にも述べましたが、見沼田んぼの東縁と西縁に流れる見沼代用水と田んぼの中央を流れる芝川を結ぶ約1kmの「閘門式」運河であります。見沼代用水と芝川とは約3mの高低差があります。この高低差を調整するために東西に木製の関を設けて水位調整することで通船を可能としました。

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見沼通船堀(閘門式運河)の模式図
(さいたま市HPより)


筆者が小学生の頃には、木製の関などがあったのか定かではないくらい目立たないもので、当然のこと、「閘門式」の仕組みなどは全くわかりませんでした。ただ授業で、パナマ運河よりも古い世界最古の運河だと教わりました。今では、世界的にも見沼通船堀よりも古いこの閘門式運河があることが分かっています。現在見沼通船堀は、木製の関などが復元され往時をしのぶことができます。毎年8月には「閘門開閉実演」を行っており、見沼通船堀の仕組みを知る機会もあります(今年は中止されました)。

4.見沼田んぼをあるく
かつての見沼たんぼは、様変わりしつつあります。近年では、公園施設(市民の森、大宮第二公園、合併記念公園、大原サッカー場、七里総合公園、見沼自然公園などなど)、公共施設(さいたまクリーンセンターなど)、学校、病院などと用途も多岐にわたってきています。
しかし、まだまだ自然も豊かで、いまだに水田・畑など耕作地として使われている所もあります。また、野鳥の宝庫として60種類以上の鳥類を見ることができます。先日新聞に見沼田んぼに狐が50年ぶりに帰ってきたとの記事が載っていました。狐がいるという事は、その他の小動物なども戻ってきた証拠だと言ってました。
見沼代用水沿いには桜が植えられており筆者も桜の下を何度も通っております。地元では平成25年度より「サクラサク見沼田んぼプロジェクト」として桜の植樹を進め、総延長約20kmを超えた日本一の桜回廊が形成されました。筆者も開花時期には桜のトンネルの下を車で通ることがありますが、とても壮観で美しい世界を味わうことができます。

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(左)中山神社    (右)氷川女体神社

また、見沼田んぼ周辺には氷川女体神社をはじめ神社仏閣も多くあり、博物館、農産物販売所、飲食店など、散歩するにはもってこいの環境にあります。
皆さんも一度散歩をしてみませんか。

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■唱歌「案山子」発祥の地記念碑
「山田の中の一本足の案山子〜♪」という歌詞はどなたもご存じの童謡ですが、この作詞者が地元出身の武笠 三です。記念碑は、見沼氷川公園内にあります。
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■参考資料
@見沼〜水と人の交流史〜、令和元年10月、さいたま市立博物館
A見沼 その歴史と文化、平成12年8月、浦和市立郷土博物館
B見沼代用水と見沼通船堀、2010年8月、さいたま市教育委員会
C見沼通船堀、2008年9月、さいたま市教育委員会文化財保護課
D見沼通船堀 再整備事業の概要、2019年5月、さいたま市教育委員会文化財保護課
Ehttps://www.city.saitama.jp/004/005/006/
008/ index.html「見沼通船堀」
F見沼田んぼ見どころガイド―2020―、令和2年3月、さいたま市都市局計画部見沼田圃政策推進室
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紙上ワークショップ With コロナのシビルNPO

Withコロナの社会や暮らしの変化をどうとらえ、シビルNPOにはどのような役割を果たすべきか?
これからの私たちの活動の方向性を見定めるうえで、大きな変化であることは間違いありません。
Vol.75(2020/7)でみなさまからのご意見を募ったところ、多数の回答をいただきました。
これからの議論が展開されることを期待し、みなさまからの回答をそのまま掲載いたします。
※紙面の都合上、回答者の敬称を省略いたしました。あしからずご了承ください

CNCP_Vol.78_13_17.pdf
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土木と市民社会をつなぐ事業研究会報告(その3)

第5回研究会において第6回研究会からはブレーンストーミングの結果を受けて「インフラメンテ」,「災害対応」,「地球環境・エネルギー問題・廃棄物対応」「中央と地方との格差対応」,「国や地域の将来ビジョン」を社会的課題として毎研究会で一つずつ取り上げてこれらの課題をCSV注釈)の視点で探って行くこととしました。CNCP通信(Vol74)では第6回研究会において取り上げました「インフラメンテ」について報告しましたが、CNCP通信(Vol78)では報告(その3)として第7回研究会において取り上げた「災害対応への貢献」の報告です。事前にメンバーから提出頂いたメモは下記の7件でした。なお、CSVの視点とは@CSV活動領域 A社会的価値提案モデル B収益モデル C取り組みの連携・協働の4つの切り口です。

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出されたメモの分析・評価を行った結果、下記の4つのプロットモデルに整理されました。
事業モデルⒶ ;地域防災の支援事業
事業モデルⒷ ;大規模震災へのDCM支援事業
事業モデルⒸ ;避難誘導へのCSV商品開発事業
事業モデルⒹ ;世界の大規模森林火災への防災事業
本来ならばここでⒶ〜Ⓓの4つのプロットモデルについてそれぞれ更に具体の事業としての組み立ての検討に入るべきところだとは思いますがここで一旦その作業は留めておいて次の課題の検討に入ります。そして前述した5つの全ての課題が一巡した段階で、更に各課題に対する事業化への取り組みを研究します。次回の第8回研究会のテーマは「新事業への貢献」とします。主として@地球環境AエネルギーB廃棄物処理を取り上げます。なお、第7回研究会からメンバーに佐藤工業が加わり
ゼネコンメンバーは熊谷組、鉄建建設、西松建設、前田建設工業、奥村組、佐藤工業の6社となりました。
注釈:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
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人生100年社会

前シビルNPO連携プラットフォーム常務理事
(株)アイ・エス・エスグループ本社相談役
NPO法人SLIM Japan理事長
(財)人生100年社会デザイン財団理事
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中村 裕司


■新財団のご紹介とCNCP
2020年10月1日、(財)『人生100年社会デザイン財団』が発足しました。
この財団は、東京大学名誉教授・神野直彦先生(財政学)と東京大学大学院教育学研究科教授・牧野篤先生(生涯教育)のお二人を代表者に頂き、人生100年時代の個人の生き方と社会制度のあり方を構想しようとする財団です。
きっかけは、2年ほど前にCNCP通信に寄稿させて頂いた『Gerontology』でした。日本語では当時『老年学』と訳されていたその研究領域に興味を抱くと同時に、Gerontologyを老年学という医療領域だけでなく、「高齢社会工学」という、ニュアンスがcivil engineeringに近い領域まで広げたいと考えておりました。
そこで行き着いたのが、当時東京大学にできていた「高齢社会総合研究機構」でした。その副機構長であった牧野先生と知己を得、その縁からCNCPサロンに牧野先生をお迎えし講演をして頂きました。
爾来1年余、多くの方々のお知恵とお力を得ながら、牧野先生のご発案により財団設立の機運が盛り上がり、約半年間準備作業を進めた末、10月の発足に漕ぎつけた次第です。

■財団を取り巻く背景
2018年6月内閣府に「人生100年時代構想会議」が設立されて以降、「人生100年時代」を謳う情報が氾濫しています。『Life Shift』の著者リンダ・グラットン教授と小泉進次郎氏の対談の影響もあり、その後「100歳人生」「100年時代」等をタイトルにした本がずらーっと並ぶようになりました。
が、その本の内容は“健康で長生きするための養生訓”であったり、“100年生きるためにいくらお金が必要か”、あるいは“高齢者はどのように残りの時間を充実して生きるべきか”などといったノウハウ本がほとんどです。いわば、長い老後をいかに賢く生き抜くかのための「老後人生の対策」を述べたものが目立ちます。
他方、上の構想会議に呼応するように、「人生100年時代」を取り上げた研究や調査も少なからず見受けられるようになりました。だが、新財団で取り上げる「人生100年社会」は「人生100年時代」とは似て非なる議論となるでしょう。それは「社会」という単語が「時代」という単語と異なるように、です。
■人生100年社会とは?
財団の研究では、「人間の共同生活」の総称を社会ととらえ、人間の集団としての営みや組織的な営みを社会と考えます。つまり人間が一つの共同空間に集まっている状態、またその集まっている人と人とのあいだの結びつきをして社会と称します。
したがって、「人生100年社会」とは100年以上生きることが前提となった人間の集まっている共同空間・組織と、そこに生きる人間の結びつきを議論の対象として取り扱います。「人生100年時代」に対し、「人生100年社会」のほうは有形無形に関わらず“空間・組織”と“むすびつき”を対象にする点が特徴です。
■「ありうる人生100年社会」の構図
未来には、「ありたい未来」「あるべき未来」「ありうる未来」があります。人生100年社会では「ありうる100年社会」の構図を描きます。

逆に、今すぐ思い付く「あってはならない未来」や「今後ありえない未来」については、いろんな書物になかで次のように言われています。カッコ内は著書名です。
@65歳で伐採する社会(シン・ニホン)
AAI-ready化ができていない社会(同)
B3段階一方通行ステージ社会(ライフ・シフト)
Cエイジ=ステージという図式の社会(同)
Dつながらない社会(持続可能な「人生100歳社会」に向けて)
E高齢者対応の諸制度onlyな社会(ライフ・シフト)
Fホワイトカラー志向社会(働き方5.0)
G意識だけ高い系社会(同)

■今後の活動
財団は、アカデミー事業、Re-Viveコミュニティ事業、アクレディテーション事業の三つを軸に、これから活動を進めて参ります。財団にはおよそ20名ほどの著名な先生方、官界の方、産業界の方に名を連ねて頂いております。今後も活動状況についてCNCPの皆様と情報を共有させて頂ければ幸いです。

追記:私は、先の総会において理事を退任させて頂きました。2年間有難うございました。新任は横塚雅実氏です。これからも応援をしていく所存です。

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コロナ禍で思うこと

シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(一社)建設コンサルタンツ協会 副会長
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酒井 利夫


全世界がコロナの大きな影響を受けている。日本においてもこれまでの社会・経済に内在していた様々な問題が顕在化し、具体的な事象から日本が置かれていた現状を実感させられる状況が続いているが、一方で新しい動きも見え始めている。
例えば、マスクや消毒薬、医療用ガウン等の不足問題は、生産拠点が特定国に偏っていたことに起因し、その奥には極端な「利益第一主義」的なグローバル経済という背景が存在していたことに多くの国民が気付いた。そんな中で4月27日付の日経新聞の一面には『配当より雇用維持を。機関投資家が転換』とあり、「短期的な利益追求より社会的課題に向き合う方が長期的な成長につながると株主の考えが変わってきた」との指摘があった。

また、多くの国民が直接的に対応したことによる新たな変化も起きつつある。例えばテレワーク、オンライン会議については、これまで中々進まなかったが、外出自粛要請の中で、結果的に急速に普及することとなった。いくつかの課題も指摘されてはいるが、「どこにいても仕事ができる」、「通勤ラッシュに耐えながら都心に通勤する必要がない」、「遠距離を理由に参加できなかった会議に参加できるようになった」など効果を実感している国民も多い。社会構造を変える「きっかけ」となり、そしてそれを推進する「有効なツール」ともなり得る新しい流れとして期待したい。

しかしコロナとは関係なく毎年自然災害が多発している。昨年の台風19号も各地に大きな被害を残したことは記憶に新しいが、その中でもいくつかの治水プロジェクト等が完成していたため被害が最小限に押さえられた例があったことも事実である。例えば台風直撃直後であったものの、鶴見川流域の総合的な対策が功を奏してワールドカップ「日本vsスコットランド戦」が開催でき、しかも正々堂々と日本が勝利し決勝トーナメントに進出したことは特筆すべきことである。今年も各地で災害が発生している。特に7月の熊本県球磨川の被害は甚大であった。8月下旬、現地では、地元流域自治体と県・国との検証委員会が開催され、ダムが存在した場合の効果についても確認することとなったとの報道があった。データや事実に基づいて客観的かつ冷静に検証しその結果を今後に活かしていただきたい。

コロナをきっかけに既に社会が変わりつつある。今こそ「よりよい社会」へ「変えていくチャンス」と捉えたい。例えば、自然災害やパンデミック等、社会に甚大な影響を与える「外力」に対しても「余裕をもった、強く・しなやかで、安全・安心な社会」にすべきだと強く思う。また、「思いやりのある社会」、「短期ではなく長期的志向をもった持続可能な社会」なども新しい社会に向けての重要な考え方だと思う。国民的な議論がなされ、より多くの国民が共感できる「考え方」が形成され、共有されれば、よりよい方向に「社会を変えていく」ことも可能であると信じたい。社会を構成する一員として、そしてそれを支える「社会インフラ」に関わる者として、多くの方々と議論を重ねながら自分にできることから行動を起こしていきたいと思う次第である。
(令和2年9月28日提出)
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紙上ワークショップ With コロナのシビルNPO

Withコロナの社会や暮らしの変化をどうとらえ、シビルNPOにはどのような役割を果たすべきか?
これからの私たちの活動の方向性を見定めるうえで、大きな変化であることは間違いありません。
Vol.75(2020/7)でみなさまからのご意見を募ったところ、多数の回答をいただきました。
これからの議論が展開されることを期待し、みなさまからの回答をそのまま掲載いたします。
※紙面の都合上、回答者の敬称を省略いたしました。あしからずご了承ください

CNCP_Vol.78_13_17.pdf
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最近の小事・・・無くしたもの・・・

シビルNPO連携プラットフォーム 正会員
宮崎県 有限会社 仁礼
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星野 隆幸


2020年は新型コロナで始まった、いまだに出口は見出せないでいる中、毎日新型コロナの名前が氾濫している。では、新型コロナとはいったい何者なのだろうか。コロナウィルス自体は、さほど珍しくないと言うか、毎年冬になると患者が増える風邪の原因ウィルスの一つなのである。ウィルスの表面に特徴的な突起物があり、その見た目、もちろん電子顕微鏡でしか見ることが出来ないのであるが、王冠(crown)に似ていることからギリシャ語の王冠を意味するcorona(コロナ)と付けられた。2019年中国で発見され今回の騒動の主である、コロナウィルスは、コロナウィルスの一種であるが、今までと違う性質の新しいウィルスなので「新型コロナウィルス(COVID-19)」と呼ばれるようになったのである。世界中で、沢山の方が感染され、沢山の死者を出していまだに衰えない厄介者なのである。日本政府も、「新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言」を発令し、感染拡大防止、各自治体も追随するように感染拡大防止に努力している。仕事も遊びも自粛の中、経験のない1年を皆が過ごしているのである。
さて、新型コロナは、風邪の新型なので、風邪の感染防止の第一は、安静にして寝ていることで、つまり隔離して他人と接触しないことだと単純な私は考えていた、法的な事、政府の事、経済の事等、難しい事は横に置いておく事にして、他人に感染させないようにするには他人に会わない事が一番いい方法であるのは間違いない、そしてそれを決断したのは、自分自身であり、家族であった、つまり、誰かに言われなくても行っていたのである。では、現在は、どのようになっているのだろうか、法律で決まったことだからだとか、何か理由付けが無いと動くことも出来ず、決断する事も出来なくなったのだろうか、他人に感染させないとは、他人を思いやる事、特定の他人で無く、自分以外全ての他人の事であった、自分自身以前に他人を考え自分自身で決断行動する事であった。今回のコロナ騒動で感じたのは、日本人の記憶の中に確かに持っていた何か大切なことをいつの間にか無くしてしまったのでは無いかと言う事である。

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東京日本橋に水天宮がある、安産と水難除けで有名なお宮さんである。知り合いの安産祈願に犬の置物を購入した、何の変哲も無い、手のひらに収まる大きさで、竹の籠を頭に乗せている。何故、安産祈願の置物になるのか、
@ 犬は、多産でお産も比較的軽いらしく安産の象徴
A 籠の形状は穴が多くあいている、穴で風通しがよく風が抜ける、風が抜けるから風邪が抜けるとなり、赤ちゃんが風邪を引かずに健康にすごすようにと言う祈願
B 籠の素材の竹、この竹が実は非常に大事で、竹以外では成り立たないのである、犬の頭上に竹製の籠を乗せている、漢字で考えてほしい、犬の上に竹、竹冠に犬つまり、笑と言う漢字になるのである。赤ちゃんが笑顔で暮らせる家庭はいつも幸せな家庭につながると言う想い。
どうであろう、日本人は、こんな小さな土人形と竹籠でこれだけ沢山の願いを肉親を含む他人に想いやることができたのである。

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、今年も熊本球磨地方豪雨災害等と、自然災害が立て続けに日本を襲っている、特に2011年の東日本大震災発生時の日本人の行動は世界の人々から、これほど民度の高い国はないと賞賛を受け、21世紀の奇跡とまで言われたのであるが、最近の報道にみる日本人の行いはそれに見合っているのだろうか。お年寄りを狙った電話での詐欺事件、車を使ったあおり運転、ぶどう等の農作物や家畜を狙った窃盗、駐車している車へのいたずら、報道の良し悪しはこれも横に置くとして、なんと民度の低い事件であろうか、子供の頃、両親から教えられたのは、たった一つ、「他人に迷惑をかけるな」であった事を思い出すに、なんて深い教えであったのかをあらためて感じている。

最後に少しだけ近況を報告します。今年度から本格的に、地元にある宮崎大学と共同研究をする事になり、田舎の弱小企業としては大変名誉な事と感激すると共に責任を感じている所です。内容は、近年普及したUAV(ドローン)を利用した研究で、弊社は、熱感知赤外線カメラを搭載したドローンで協力することになっています。
地元日南市に熱感知赤外線カメラ搭載ドローンを所有する企業は無く、まだまだ、ノウハウも未熟でありますが日々精進中です。

赤外線写真のサンプル
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土木と市民社会をつなぐ事業研究会報告(その3)

第5回研究会において第6回研究会からはブレーンストーミングの結果を受けて「インフラメンテ」,「災害対応」,「地球環境・エネルギー問題・廃棄物対応」「中央と地方との格差対応」,「国や地域の将来ビジョン」を社会的課題として毎研究会で一つずつ取り上げてこれらの課題をCSV注釈)の視点で探って行くこととしました。CNCP通信(Vol74)では第6回研究会において取り上げました「インフラメンテ」について報告しましたが、CNCP通信(Vol78)では報告(その3)として第7回研究会において取り上げた「災害対応への貢献」の報告です。事前にメンバーから提出頂いたメモは下記の7件でした。なお、CSVの視点とは@CSV活動領域 A社会的価値提案モデル B収益モデル C取り組みの連携・協働の4つの切り口です。

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出されたメモの分析・評価を行った結果、下記の4つのプロットモデルに整理されました。
事業モデルⒶ ;地域防災の支援事業
事業モデルⒷ ;大規模震災へのDCM支援事業
事業モデルⒸ ;避難誘導へのCSV商品開発事業
事業モデルⒹ ;世界の大規模森林火災への防災事業
本来ならばここでⒶ〜Ⓓの4つのプロットモデルについてそれぞれ更に具体の事業としての組み立ての検討に入るべきところだとは思いますがここで一旦その作業は留めておいて次の課題の検討に入ります。そして前述した5つの全ての課題が一巡した段階で、更に各課題に対する事業化への取り組みを研究します。次回の第8回研究会のテーマは「新事業への貢献」とします。主として@地球環境AエネルギーB廃棄物処理を取り上げます。なお、第7回研究会からメンバーに佐藤工業が加わり
ゼネコンメンバーは熊谷組、鉄建建設、西松建設、前田建設工業、奥村組、佐藤工業の6社となりました。
注釈:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
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コロナ禍で思うこと

シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(一社)建設コンサルタンツ協会 副会長
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酒井 利夫


全世界がコロナの大きな影響を受けている。日本においてもこれまでの社会・経済に内在していた様々な問題が顕在化し、具体的な事象から日本が置かれていた現状を実感させられる状況が続いているが、一方で新しい動きも見え始めている。
例えば、マスクや消毒薬、医療用ガウン等の不足問題は、生産拠点が特定国に偏っていたことに起因し、その奥には極端な「利益第一主義」的なグローバル経済という背景が存在していたことに多くの国民が気付いた。そんな中で4月27日付の日経新聞の一面には『配当より雇用維持を。機関投資家が転換』とあり、「短期的な利益追求より社会的課題に向き合う方が長期的な成長につながると株主の考えが変わってきた」との指摘があった。

また、多くの国民が直接的に対応したことによる新たな変化も起きつつある。例えばテレワーク、オンライン会議については、これまで中々進まなかったが、外出自粛要請の中で、結果的に急速に普及することとなった。いくつかの課題も指摘されてはいるが、「どこにいても仕事ができる」、「通勤ラッシュに耐えながら都心に通勤する必要がない」、「遠距離を理由に参加できなかった会議に参加できるようになった」など効果を実感している国民も多い。社会構造を変える「きっかけ」となり、そしてそれを推進する「有効なツール」ともなり得る新しい流れとして期待したい。

しかしコロナとは関係なく毎年自然災害が多発している。昨年の台風19号も各地に大きな被害を残したことは記憶に新しいが、その中でもいくつかの治水プロジェクト等が完成していたため被害が最小限に押さえられた例があったことも事実である。例えば台風直撃直後であったものの、鶴見川流域の総合的な対策が功を奏してワールドカップ「日本vsスコットランド戦」が開催でき、しかも正々堂々と日本が勝利し決勝トーナメントに進出したことは特筆すべきことである。今年も各地で災害が発生している。特に7月の熊本県球磨川の被害は甚大であった。8月下旬、現地では、地元流域自治体と県・国との検証委員会が開催され、ダムが存在した場合の効果についても確認することとなったとの報道があった。データや事実に基づいて客観的かつ冷静に検証しその結果を今後に活かしていただきたい。

コロナをきっかけに既に社会が変わりつつある。今こそ「よりよい社会」へ「変えていくチャンス」と捉えたい。例えば、自然災害やパンデミック等、社会に甚大な影響を与える「外力」に対しても「余裕をもった、強く・しなやかで、安全・安心な社会」にすべきだと強く思う。また、「思いやりのある社会」、「短期ではなく長期的志向をもった持続可能な社会」なども新しい社会に向けての重要な考え方だと思う。国民的な議論がなされ、より多くの国民が共感できる「考え方」が形成され、共有されれば、よりよい方向に「社会を変えていく」ことも可能であると信じたい。社会を構成する一員として、そしてそれを支える「社会インフラ」に関わる者として、多くの方々と議論を重ねながら自分にできることから行動を起こしていきたいと思う次第である。
(令和2年9月28日提出)
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10年目の所感

シビルNPO連携プラットフォームサポーター
飛島建設株式会社 
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松尾 和昌


■はじめにお断り
中堅ゼネコンで広報業務をしております。一応土木技術者ではありますが、この寄稿文には技術的なことやCNCPの活動目標的なことは一切書いておりませんので、ご容赦下さい。
2010年4月から広報業務に従事しておりますと、数式とか研究論文とか全く縁のないものとなりました。その前は約20数年間土木設計業務でしたので、あまり時間的余裕もなく、家族には迷惑をかけたと実感しています。
広報2年目くらいの時から、「広報は暇な方が良い」「定時退社が良い」と確信いたしました。なぜならば忙しくなるのは、会社にとってネガティブな事柄が発生した時のみと言っても過言ではないからであります。会社にとってポジティブな事柄が発生した時は、ちゃんと8時間の勤務時間で終われるのです。
以下、私の広報生活10年目の印象に残ったことを綴ります。
■数学(算数?)
どうも広報の仕事をしていますと定性的なことが多く、数字を扱うときも足し算や掛け算で済んでしまい、もはや技術者ではないと感じてしまいます。そんな時は円の面積の求め方を考えることにしています。そう小学生の時習ったアレです。今でもこれは数学の素晴らしさを表しており、導いたお方は天才と思っています。円の中心から外側に物凄く微細にスライスし、それらを上下交互に並べて長方形にし、面積=πr2というもの。文句をつけようがなく、スッキリしますよね。この「スッキリ」感が大事で、私が広報業務の中で大切にしている中の一つです。技術のプレスリリースでもIRのプレスリリースでも。少々難解な事柄もわかりやすい文言にすることが、記者さんのみならず市民社会に受け入れていただく大前提だと思います。
■イノベーションマインド
先日ある方の講演で、こんなことを仰っておられました。「イノベーションと技術の進歩は同じと思っている方も多いと思いますが、実は全く異なるものです。イノベーション≠技術の進歩、イノベーション=路線転換、もしくは価値次元の転換である。」と。なるほどそうなんだと意識改革いたしました。例えば一昔前のウォークマン、あれは新しい技術でもなく、ただ単に小型化し再生させて聴くだけのものですが、イノベーションですから大ヒットしました。酒のワンカップ○○もそうですし、最近ではレッドブル。日本人が同じ形の瓶で栄養ドリンク剤を飲んでいる光景を見て、容器をカンにして売り出したら海外で若者に大ヒット。(今は日本でもありますが)
技術を進歩させることは当然必要ですが、多大な労力やお金が掛かります。ならば既成のモノや技術を応用ではなく、価値次元を転換させて、何かできたらと思っております。やはりキーは、20代30代の方がどのようなことを望んでいるかでしょうか。
■価値あること
ネット社会である今日、「価値がある」ということは、@役に立つ、A便利で使いやすい、B魅力的な、C探しやすく迷わない、Dアクセスしやすい、E信頼できる、とされています。これはネット社会に限定されることに限らず、すべての事柄に通ずると思っています。忘れてならないのは、そう判断するのは人であり、体験を通じ
判断するのです。もっと言うと、AIに判断させてはいけないのです。6つの項目を全部クリアできれば良いのですが、現実はそうもいかず、少なくとも半分以上クリアするべく広報業務を行っています。私どもゼネコンの世界は、なかなか一般の方々から縁遠い世界に見られがちですが、「信頼できて魅力的ですよ」と敢えて声に出さなくても済むような社会にしたいと思います。

■おわりに(電気のありがたやと市民社会との距離)
雑多なことを思いつくまま述べてきましたが、こんな中身のない文章でよいのかと危惧しております。ですが終わりに二言。一言目、私は千葉県市原市に住んでおりますが、昨年の台風15号でかなり長い期間停電生活を強いられました。この新型コロナの影響で、リモートだニューノーマルだと叫ばれておりますが、電気の力に頼らざるを得ません。すべての住宅に超小型蓄電設備か超小型発電機がほしいなあ。二言目、建設業界と市民社会との距離感ですが、ハグの距離感ではなく、ハンドシェイクの距離感が良いと思っております。時には意見対立もあるでしょうし、論戦(喧嘩)もあるでしょう。広報と報道機関(記者)の距離感と同じと思います。通常は握手の関係ですが、1,000に1回位殴り合える関係、即ち本音を言い合える距離感が良いのです。ハグだと相手を見て喧嘩できませんから。

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第9回 見沼たんぼと代用水と通船堀

シビルNPO連携プラットフォームサポーター/アジア航測
土木学会 教育企画・人材育成委員会 シビルNPO推進小委員会委員
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大友 正晴


「見沼代用水・見沼通船堀」と言っても地元以外の方は、ご存じないと思います。筆者は、浦和市(現さいたま市)で生まれ育ちました。小学3〜4年生の頃に社会科の授業で見沼代用水・通船堀を習い遠足で訪れています。当時の見沼代用水・通船堀は、ただ田んぼの中にポツンと水路があるだけで、とくに遠足で行ったという記憶以外ありませんでした。そんな見沼代用水が、2019年9月4日に国際かんがい排水委員会(ICID)国際執行理事会において、「世界かんがい施設遺産」に登録されました。見沼代用水・見沼通船堀は、整備当時の土木技術を駆使した施設でもあります。

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■世界かんがい施設遺産とは
かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際排水委員会(ICID)が認定・登録する制度で、2014年度に創設されました。
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1.見沼たんぼ・代用水・通船堀
見沼田んぼは、右の「経路略図」のように、さいたま市東部の芝川沿いに広がる水田地帯で、江戸時代に約1,200Haの新田として開発されました。見沼代用水はその水源として整備された延長約60kmの水路です。現在でも見沼代用水は、見沼田んぼをはじめとした流域の水の供給源として機能しています。
見沼代用水は、利根川から取水(見沼代用水元圦・増圦)して既存河川の利用と新たに掘削した用水路で構成されています。途中の河川との分合流・横断には堰を設けたり(十六間堰、八間堰)、伏越し(サイフォンと言って地下横断するしくみ)(柴山伏越)、河川を跨ぐ(瓦葺掛渡井)など土木技術を駆使して整備されました。瓦葺からは田んぼの東側と西側の縁沿いに分かれて整備され通船堀に至るものです。

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見沼代用水経路略図
「見沼代用水と見沼通船堀」パンフレット
(さいたま市教育委員会編集発行)より

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現在の利根川取水後の分水
(左から埼玉用水路、武蔵水路、見沼代用水)

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現在の十六間堰(左)と八間堰(右)
(見沼代用水は右の八間堰に流れます)

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現在の柴山伏越
(上)元荒川を地下横断
(黄色の点線)している
(右)伏越し下流側

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瓦葺掛渡井跡(左)と現在(右)は綾瀬川を伏越手前の水門(東縁・西縁に分岐)

見沼通船堀は、見沼田んぼの南に位置して田んぼの東西縁の水路と田んぼのほぼ中央を流れる芝川とを結ぶ運河です。見沼通船堀によって荷物の輸送、特に年貢米輸送などの物流を担いました。

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2.見沼代用水・見沼通船堀の歴史
見沼たんぼは、江戸時代初期には農業用水のため池「見沼溜井」として整備されていました。その後八代将軍吉宗による享保の改革の一環として幕府の財政改革を図るため、見沼溜井の新田開発が井沢弥惣兵衛為永に命じられました。井沢弥惣兵衛為永は見沼溜井の代わりとなる水源確保のため利根川から水を引く見沼代用水を築造したのです。

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(右)井沢弥惣兵衛の像(見沼自然公園にて)
(下)井沢弥惣兵衛の墓(柴山伏越脇の常福寺)

見沼代用水の整備と同時に、見沼通船堀は、江戸への米の輸送など舟運のため、見沼代用水と芝川を結ぶ運河として整備されました。しかし見沼代用水と芝川との水位差があるため「閘門式」と呼ばれる方法がとられました。なお、見沼通船堀は、見沼溜井の際の八丁堤が設けられた北側に整備されました。八丁堤には「赤山道」が通っており、陸上と水上の交通の要所となっていました。見沼代用水・見沼通船堀を使った通船は、昭和初期まで続いていました。

3.見沼通船堀の構造
見沼通船堀は、先にも述べましたが、見沼田んぼの東縁と西縁に流れる見沼代用水と田んぼの中央を流れる芝川を結ぶ約1kmの「閘門式」運河であります。見沼代用水と芝川とは約3mの高低差があります。この高低差を調整するために東西に木製の関を設けて水位調整することで通船を可能としました。

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見沼通船堀(閘門式運河)の模式図
(さいたま市HPより)


筆者が小学生の頃には、木製の関などがあったのか定かではないくらい目立たないもので、当然のこと、「閘門式」の仕組みなどは全くわかりませんでした。ただ授業で、パナマ運河よりも古い世界最古の運河だと教わりました。今では、世界的にも見沼通船堀よりも古いこの閘門式運河があることが分かっています。現在見沼通船堀は、木製の関などが復元され往時をしのぶことができます。毎年8月には「閘門開閉実演」を行っており、見沼通船堀の仕組みを知る機会もあります(今年は中止されました)。

4.見沼田んぼをあるく
かつての見沼たんぼは、様変わりしつつあります。近年では、公園施設(市民の森、大宮第二公園、合併記念公園、大原サッカー場、七里総合公園、見沼自然公園などなど)、公共施設(さいたまクリーンセンターなど)、学校、病院などと用途も多岐にわたってきています。
しかし、まだまだ自然も豊かで、いまだに水田・畑など耕作地として使われている所もあります。また、野鳥の宝庫として60種類以上の鳥類を見ることができます。先日新聞に見沼田んぼに狐が50年ぶりに帰ってきたとの記事が載っていました。狐がいるという事は、その他の小動物なども戻ってきた証拠だと言ってました。
見沼代用水沿いには桜が植えられており筆者も桜の下を何度も通っております。地元では平成25年度より「サクラサク見沼田んぼプロジェクト」として桜の植樹を進め、総延長約20kmを超えた日本一の桜回廊が形成されました。筆者も開花時期には桜のトンネルの下を車で通ることがありますが、とても壮観で美しい世界を味わうことができます。

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(左)中山神社    (右)氷川女体神社

また、見沼田んぼ周辺には氷川女体神社をはじめ神社仏閣も多くあり、博物館、農産物販売所、飲食店など、散歩するにはもってこいの環境にあります。
皆さんも一度散歩をしてみませんか。

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■唱歌「案山子」発祥の地記念碑
「山田の中の一本足の案山子〜♪」という歌詞はどなたもご存じの童謡ですが、この作詞者が地元出身の武笠 三です。記念碑は、見沼氷川公園内にあります。
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■参考資料
@見沼〜水と人の交流史〜、令和元年10月、さいたま市立博物館
A見沼 その歴史と文化、平成12年8月、浦和市立郷土博物館
B見沼代用水と見沼通船堀、2010年8月、さいたま市教育委員会
C見沼通船堀、2008年9月、さいたま市教育委員会文化財保護課
D見沼通船堀 再整備事業の概要、2019年5月、さいたま市教育委員会文化財保護課
Ehttps://www.city.saitama.jp/004/005/006/
008/ index.html「見沼通船堀」
F見沼田んぼ見どころガイド―2020―、令和2年3月、さいたま市都市局計画部見沼田圃政策推進室
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第5回 鉄道の話 ―軌間ゲージ―

2本のレールの上を機関車や電車が走る基本のかたちは、大昔から全く変わっていません。そしてその2本のレールの間隔を、「軌間きかん・Gaugeゲージ」と言います。世界で最も普及しているゲージは、1,435mm(4フィート8.5インチ)で、標準軌スタンダードゲージと呼ばれ、それ以上広いものを広軌、狭いものを狭軌と呼んでいます。1814年に、スティーブンソンが蒸気機関車を走らせ、標準軌の機関車が普及していきました。しかし、当初からゲージが規格化されていたわけではなく、もっと広いほうが安定しているとか、効率が良いとか様々な議論があり、多様なゲージで敷設されていきます。1840年代になるとネットワークが広がり、異なる線路を接続させたいということから、“ゲージ戦争”が起こります。そして英国では標準軌に統一されていきますが、大陸の諸外国では、より広い機関車も開発され普及します。一方、1860年頃から、よりコンパクトな蒸気機関車の方が効率的ではということで、1,067mm(3フィート6インチ)の狭軌やフランスが開発した1,000mmのメーターゲージがアジア、アフリカなどで普及していきます。このような歴史から、現在にお
いても、世界中に広軌、標準軌そして狭軌が混在しており、我が国が鉄道のインフラ輸出を進める過程でも、ゲージ戦争に巻き込まれることがしばしば起こります。さて我が国の鉄道は、明治維新から始まりますが、1872年の新橋・横浜間の鉄道は、1067mmの狭軌でした。私の子供の頃、お雇い外国人が、“後進国の日本には、狭い植民地規格で十分”と狭軌を指導した・・・と聞いて、何となく信じていました。しかし当時の世界が狭軌ブームであったことや狭小な国土で財政基盤が出来ていない我が国の急激な欧化政策のなかで、現実的な決定をしたのではと思います。しかしこのために、明治の半ばから今日に至るまで、如何にしてゲージを広げるかという難しい課題に悩まされ続け、ついに新幹線へと飛躍することになります。

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(代表理事 山本 卓朗)
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