2018年10月01日

「活用すること」と「維持管理すること」

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NPO法人 都筑民家園管理運営委員会 理事
都筑民家園茶室活用の会 会長 横塚 雅実


「都筑民家園」は横浜市都筑区のニュータウンの一角、弥生時代の遺跡公園である大塚歳勝土遺跡公園内にあり、江戸時代の民家「旧長沢家住宅」移築して市民に開放しています。都筑民家園管理運営委員会は、住民とボランティアによる団体で横浜市の指定管理者としてこの古民家の運営に当たっています。ここに、2010年3月に市民普請事業で茶室が完成し、私たちは茶室の建設、維持管理において小学生や地域の皆さんと共に手作りの活動を続けてきました。この活動は2014年、土木学会100周年記念事業である「市民普請大賞」において選考委員特別賞を受賞しました。

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2007年の都筑民家園のイベントで、近在の方から「本格的な茶室を贈ろう」という思いもよらぬ話を頂いたのがきっかけでした。このイベントは身近な素材を使って、手作りの茶室を作ろうというもので「アートde茶室」というイベントです。
茶室の構想段階では景観問題について白熱した議論が進みました。古民家の景観に数寄屋風の茶室は不似合いだ、大事な古民家前庭の景観を壊す…などなど。実大模型を青竹で組み上げ景観への影響を確認してみした。そして暗中模索の中から、一つの素晴らしいアイデアが生まれました。
景観を守るため、前庭から外れた位置にある既設の古い池の浄化装置を撤去し、そこに茶室を立てよう。浄化装置を失った池はビオトープで再生し。自然の再生力でコストを下げて浄化しよう、というアイデアです。
そして、このために追加資金と労力が必要となり、2008年度の横浜市まち普請事業に応募、1次コンテスト、2次コンテストと勝ち抜いて、見事この事業に採択されました。議論がこのアイデアを生み、団結が市民を育てました。
普請工事は、測量、生垣移植、通路舗装、土間の三和土(たたき)など、自分たちでできる作業は自分たちで行う。延べ150人が市民が参加しました。一方、池では「めだか救出作戦」、「荒木田打ち」に160人、自生植物移植には10人の小学生が参加。大工仕事の体験会も開催しました。今、参加した一人の男の子が宮大工を目指す決意を固めています。正に「普請が1人の市民を」育てました。

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茶室の維持管理は、清掃はもとより、露地の手入れも現在に至るまで続けています。池の植栽管理、泥上げ、改修等も行っています。「市民の財産を守る」大切さを実感しているところです。
現在「都筑民家園茶室活用の会」という地域のグループが、本格的な茶の湯に触れ、日本の文化に親しむプログラムを数多く実施しています。親子・こどもの茶道、和菓子講座にアート展、茶室カフェ。小学校の総合学習「茶会」や、独逸学園、JICA研修生、在日留学生の体験会など。年間凡そ180日稼働し、1500人が参加しています。「日本文化に愛着を持つ市民」が着実に育っています。

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2020年、東京五輪・パラリンピックに向けて「おもてなし」の輪を広げ「世界市民」に成長することを目指す取り組みも開始しました。目標は外国の方にもっと茶室を体験して頂くこと、そして体の不自由が方にもお茶を体験して頂くこと、この二つです。このために語学ボランティアの方々と、また障害者ボランティアの方々との連携が始まりました。
普請は地域に根ざす「市民としての自覚」を育てます。都筑民家園茶室活用の会は、普請活動そして維持管理のための組織から、一層活用を大切にした横連携の組織に発展してきました。約70名の地域の皆さんが活動しています。市民の茶室としてこれを確実に次世代に繋ぐという共通の目的のもとで、自分たちが心を込めて活用する、このことこそが本当の維持管理活動を持続可能なものとしていると思います。
是非、皆さんも一度足を運んでみて下さい。(2018.9)

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posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 地域社会等
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