2019年03月01日

世界の古代文明を継承する日本文化について

img666.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム 個人正会員
(NPO法人 関西ミニウイングス 事務局長)
山下 正章


1. はじめに
NPO活動で知り合いになった外国人の方々が、「日本の文化に接すると、何故か穏やかさや懐かしさを感じる。」と言います。また、どこで覚えたのか「一期一会」「経世済民」などの四文字熟語や工事現場での標語「安全第一」「品質第二」「生産第三」の意味を学んでいて、「日本が安全で美しい国である」ことが理解できるとも言います。その理由を探るために日本文化のルーツについて考えてみました。
2. 話し言葉・文字(日本語のルーツ)
世界の言語は、@孤立語(中国語等)、A屈折語(欧米語等)、B膠着語(日本語等)等に分類されています。これらの言語は、古代のメソポタミア文明の地域で話されていた言葉が変化したと考えられています。膠着語は古代の中東でのシュメール語が最も古く、トルコ語、モンゴル語、朝鮮語、日本語などに変化したと考えられています。
文字については、黄河文明での甲骨文字から生まれた漢字が伝わり、大和言葉と融合しつつ新たな仮名が創作され、日本独特の話し言葉や和歌等の文学が生まれたようです。伝統ある和歌の神髄は、本当に伝えたいことをあえて隠し、相手に察してもらうところにあるそうです。だからこそ和歌を学ぶと相手の心を「察する」習慣が身につき「思いやり」や「おもてなしの心」といった、日本文化特有の美徳が育まれるのだそうです。
3. 宗教と哲学(精神文化のルーツ)
世界の一神教はメソポタミアで聖書として体系化され、西方にはキリスト教、東方には原始キリスト教(ユダヤ教・景教)として世界中に伝承されたと考えられています。日本には弥生時代末期に渡来人により原始キリスト教の教えが伝わり、縄文時代からの自然信仰や神話と融合する形で古代神道になったという説があります。日本書記の神話の物語と聖書の物語が類似していることや伊勢神宮の建築様式、式年遷宮のしきたりなどが類似していることなどが多くあることが根拠だそうです。
その後、インドで生まれた仏教が伝わり、古代神道と仏教が融合します。日本では宗教的な意味よりも哲学的な意味を重視していたのだと思います。すなわち、人の生きる道は修行して身に着けるという教えで、働くことが人の道を極めるという考え方です。
4. ものづくり(職人技術のルーツ)
縄文文明におけるものづくり技術は、石器・土器製造、石の加工や研磨などの技術、及び巨木建築、木工、竹細工、藁や麻の加工、貝殻や獣の骨の加工などの生活するための基礎技術であったと考えられます。いずれも世界最古の技術です。
その後弥生時代になると、渡来人により製紙技術や絹織物技術(黄河文明)、鉄などの金属製造技術(メソポタミア文明)などが伝わり、日本の職人が日々改良するとともに後輩に伝授してきました。現在では、先端的な科学技術立国の一つになっています。
5. おわりに
縄文文明を基軸として、世界の文明で生み出されたものを吟味した後に取り入れ、融合・改良してきたものが日本文化ということになります。あらゆる古い文明を破壊することなく継承してきたことは、世界に例がないのかも知れません。
元号も新しくなり、地政学的に恵まれた日本列島で暮らしている日本人がその文化を護りつつ、世界の人々に恩返しをする時代になったように思います。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 国際化等
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: