2019年01月01日

第9回 近代辞書と「築土構木」

夏目漱石は、新時代の言文一致体の小説を書き、また優れた漢文、漢詩を書いたという。東北大学「漱石文庫」には蔵書だった近代辞書が残されている。
1896年版『言海』(明治29年、第10版)第五高等学校教師時代
1900年版『ウェブスター大辞典』(明治33年、London版)英国留学時代
1905年版『漢和大字典』(明治38年、第4版)『吾輩は猫である』発表年
国語辞典『言海』の編者大槻文彦は、明治以降大量に舶来したウェブスター辞書に学び、発音表記、品詞表示、語源説明、語釈、出典などを取り入れた。
『言海』(明治24年、1891年)ど-ぼく(名)土木 普請。作事。
三省堂編輯所の斎藤精輔もウェブスター辞書を手本にして画期的な漢和辞典『漢和大字典』を出版した。特徴は、大辞書を目指したこと、漢詩作成の「韻」の便宜のために熟語は末の字を親字としたこと、監修者と実質的な編集者を分けて作成したこと、官製、学術用途ではなく純粋な商品としたこと、等である。
『漢和大字典』(明治36年、1903年)〔土木〕(い)つちときと。○〔後漢〕「――形體、不自藻飾」(ろ)建築。○〔淮〕「築―構―」。
ここに現代にまでその影響をとどめる「土木」の二つの語釈がそれぞれ出典を伴って提示された。ただし、前者は後漢書ではなく『晋書』、土木形體ではなく「土木形骸」。後者は『淮南子』の「築土構木」が「建築」の意味で「土木」の語源のように示されるが、昭和以降現代の漢和辞典では採用されていない。 (土木学会土木広報センター次長 小松 淳)
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 人文等
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: