2019年07月09日

多自然川づくりご存じですか

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国土交通省 水管理・国土保全局 前 河川環境課長
(現 内閣府大臣官房審議官(併)経済産業省資源エネルギー庁
原子力災害対策本部廃炉・汚染水対策チーム事務局長補佐) 光成 政和


皆様は、「川のイメージは?」と聞かれたらどのような川の姿を思い浮かべますか。自然豊かな川、速い流れ遅い流れが組み合わされた曲線で構成された川ですか。コンクリートで囲まれた川、直線の川、あるいは川には関心がないのでイメージできないというお答えかもしれません。
近年の日本の川は、治水への社会的要請に対応するため、洪水を安全に流下させることを主眼に、コンクリートで囲んだまっすぐな断面での河川整備が多く進められました。このような環境への配慮が十分でない河川整備や、都市化の進展等により水質が著しく悪化した時期もあり、川から人々の関心が離れてしまいました。先ほど後者のイメージを持たれた方は、このことに原因があるのかもしれません。

このような時期を経て、平成2年から、河川が本来有している生物の良好な生息・生育環境に配慮し、あわせて美しい自然景観を保全あるいは創出する「多自然型川づくり」が始まり、現在では、「多自然川づくり」として一級河川から準用河川に至るまでの全国すべての川づくりおいて取組を進めています(特別なモデル事業であるかのような誤解を与えないように「型」は外れております)。
※多自然川づくりの定義:河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うことをいう。

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来年度で30年を迎える多自然川づくりが広く一般の方々に認識、理解されているかというとまだまだ十分ではありません。平成29年に市民団体等に行ったアンケート「Q.多自然川づくりの概念は市民へ浸透していると思われるか?」では、約3/4の方から「浸透していない」と回答いただいております。
これまでの多自然川づくりは、「河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会」(山岸哲委員長)によりレビューがなされ、今後の方向性が提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」として、まとめられました。この中では、多自然川づくりの周知に関して、「多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。」とのご意見をいただいています。

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これまで国土交通省では、関係者と連携し、河川管理者向けにマニュアルや、一般の方向けに写真集を作成し、多自然川づくりの普及に努めてきました。
国土交通省として今後も工夫をしながら周知を図ってまいりますが、市民サイドから、市民目線でわかりやすい周知が図られることも望ましいと考えています。CNCP通信Vol.62号で紹介されていた「うなぎ持続可能プロジェクトSEFI(Sustainable Eel Farming Infrastructure)」の多自然川づくりを取り入れたゲームアプリの開発のアイデアは、これまで行政にはなかったアイデアであり、市民サイドからこのような多自然川づくりの周知に資する取組が出てきたことをきっかけとして、多自然川づくりがより多くの方から認識、理解されることを期待しています。

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posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 災害、危機管理等
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