2019年10月01日

『インフラ点検のすゝめ』

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シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 協働推進部門担当
日本ファシリティマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副部会長
インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムリーダー
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


公共インフラ施設の定期点検法制化により、橋梁やトンネル等については2018年度で初回の5年サイクルが完了し、現在は2巡目の点検を迎えている状況である。法制化された2014年では、かつてより実施してこなかった市町村が点検費用や技術的な対応に困惑していたことを思い出す。その後点検については順調に進み1サイクルを終えた最近では、点検結果を考慮した維持修繕費の課題が湧き上がっている。
そのような中、一部の自治体では直営で点検や日常的な修繕を実施することを始めている。ある自治体では橋梁補修DIYとして直営補修を実施しており、インハウス能力が飛躍的に向上した実例もある。

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上表は、今年8月に国土交通省道路局より公表された「道路メンテナンス年報」で、管理者別の修繕実施状況(橋梁)の市町村に着目したグラフである。表上段(判定区分V、W)は損傷が発生したら直す事後保全での実施状況で修繕着手済は18%(直轄は53%)、表下段(判定区分U)は損傷が軽度な状態から修繕する予防保全の実施状況であり、修繕着手済は2%(直轄は26%)であることを示している。このことから多くの橋梁を抱える市町村は目の前の修繕はどうにか対応しているが、予防的な措置への対応はほぼできていないと読み取れ、早期なフォローが必要と考える。
それらの課題をおこがましいが何かサポートできないかと考え、所属する日本ファシリティマネジメント協会インフラマネジメント研究部会で若手行政職員向けに現場目線の点検教本を制作することとした。修繕の前段である点検に着目したのは、直営での修繕が可能かどうか現状の劣化を見て判断するサポートとするためである。日常的な施設管理マネジメント、施設点検のポイント、現場での安全対策を重点に制作した。

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「インフラ点検のすゝめ」 現場の目線 -実践編- は研究部会員それぞれが現場で体験した経験をもとに執筆したものである。この書籍を出版することが目的ではなく、書籍を通じて自治体の課題が少しでも解消されることである。まずは手に取って読んでいただき、必要な場合は研究部会員による「出前講座」も開催するので、広く活用いただきたい。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(2) | インフラメンテナンス
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