先日(7/20)、日本大学法学部10号館で行われた「日本社会関係学会」に参加した。そこで扱われたテーマが表題の「スポーツ・ボランテイアについて考える」であった。
話題提供された講師は、大阪大学 山内直人教授、東北大学岡田彩准教授及び笹川スポーツ財団澁谷茂樹氏等である。一方、参加者もざっと見わたしたところ経済・経営学部の関係者が多かった。彼らは「社会関係学」という耳慣れない学問の専門家集団であった。
この「スポーツ・ボランティアについて考える」という話題は、もちろん東京オリンピック・パラピックに向けたボランテイアのありかたを見据えてのテーマ設定である。背景には、東京マラソンが市民ボランテイアの活躍によって運営され、成功している事例がある。この東京マラソンは、市民がトップランナーと一緒に走ることができる市民マラソンでもある。そこで議論されたテーマは、つぎの2点であった。
1)東京オリパラとボランテイアの役割(岡田彩 東北大学准教授,山内直人 大阪大学教授)
2)スポーツボランティアの現状と展望(笹川スポーツ財団 澁谷茂樹氏)

1)は、短期間のボランティアである。このボランティアは定期的なボランティア活動ではなく、単発的な大きなイベントにおけるボランテイア活動である。アンケート結果では、このボランテイアの経験者は「またやりたい」と答えた人が80%を超えているとのことであった。
2)は、地域のスポーツイベントの運営と世話、日常的な団体・クラブの運営、スポーツの指導等である。私は、学生・社会人を通じてサッカー選手として活動した経験があったので、息子が小学生になった時点から地域のスポーツ少年団のサッカーチームを指導していた。そのため、2)について大いに関心をもって聴講した。
講演内容は、地域のスポーツボランテイアは「地域貢献の一環である」という趣旨のもとに議論が展開されていた。しかし、この点が私の考え方と異なっていた。そこでフロアーからの意見として次のような私の考えを述べた。
私は少年団の指導者をしていたが、“地域活動のボランテイア活動”という意識は少なく、“自分の持っているサッカーの技術を子供たちに伝えたい”という気持ちが強かった。すなわちノウハウの伝承である。極論すればその気持ち一点で、少年団の指導に当たっていた。ボールの蹴り方、トラップ、ドリブル、フェイント、タックル等の基本技術、そして攻撃の仕方や守り方等を子供たちに教えたい、そして良い選手を育てたいという気持ちが強かった。 雨の日や合宿では、左図に示す自作のテキスト「サッカーの戦術とルール」を使って講義を行った。
どんな競技でもスポーツの指導者は「子供たちを強くしたい」という気持ちは同じであると思う。これが結果的には地域活性化のためのボランテイア活動につながる。それでよいのではないかと思う。講師の澁谷氏も、意外な意見が出たとしてメモっておられた。なおこの学会は、現在、正式設立を目指して着々と準備を進めているとのことであった。 [以上]