2019年12月01日

土木広報の展開 -土木広報大賞2019から

img891.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム理事
(公益社団法人土木学会専務理事)  塚田 幸広


土木学会では、日本全国の各地域で展開されている様々な広報のうち、暮らしを支えている土木の役割・意義・魅力について広報を行っている活動または作品などで他団体の模範となるもの、他団体への展開が期待されるものなどを取り上げ、顕彰することを目的として「土木広報大賞」を創設し、展開している。
第2回となる今回は、日本全国から122件の応募が寄せられ、選考委員会(委員長:田中里沙 事業構想大学院大学 学長)による厳正な選考を経て、最優秀賞1件、優秀部門賞6件、準優秀部門賞10件の合計17件を選出した(下表参照)。最優秀賞は、東京都下水道局の“東京地下ラボ(若者向け東京下水道発信事業)”が受賞した。

今回の受賞の中から、「土木と市民社会をつなぐ」の色合いが濃い(あくまで個人的モノサシ)と考えられる2つの活動を以下に紹介する。
(1)春吉橋「賑わい空間」の試行イベント
国土交通省九州地方整備局福岡国道事務所では、一般国道202号線「春吉橋架替事業」の国道本線の切替えに先立ち、地域等への事業に対する理解の促進を図ることとあわせ、迂回路橋を将来の賑わい創出空間として活用したイベントを実施した。実行委員会は福岡国道事務所、福岡市のほか、地元の自治会等(中洲町連合会、春吉・冷泉校区自 治協議会)を巻き込み構成している。約1ヶ月と短い準備期間であったものの、実行委員会と連携し広報活動を幅広く展開したことや、隣接する企業との連携、各媒体を駆使した広報活動を実施したことで、予想を上回る約14万人もの多くの市民の入場があった(写真-1参照)。また、アンケートの結果からは、イベント前まで架替事業を「知らなかった」約7割の市民に対して認知度を高めることができ、さらに、賑わいイベントへのリピート意向・満足度については、約8割が満足し、「また来たい」と回答している。身の丈で地域市民を巻き込んだ「賑わい空間の創出」の好事例といえる。

img892.jpg

img893.jpg

(2)「大人の社会科見学 江戸東京・川のなぜなぜ舟めぐり〜シビルエンジニアから聞く川にまつわる話〜」および関連セミナー(写真-2参照)
褐嚼ン技術研究所の国土文化研究所では、東京都中央区のNPO法人などと連携し、東京都心の中小河川をめぐるクルーズ「お江戸日本橋舟めぐり」を2009年より継続的に実施し、年間200便前後運航している。このクルーズでは、専属のガイドが主に水辺を中心とする江戸・東京のまちの発展の歴史などを案内している。体験後のアンケートの結果からは、案内内容やコース全体等の満足度は、「非常に満足」、「満足」が大半を占め、ほとんどの方がまた機会があれば参加したいと回答している。また、自由回答からも、普段なかなか目にすることのない川からの視点で、その役割・機能が必ずしも十分に理解されていない堤防、護岸、水門、排水機場、橋梁などの土木構造物について、実際に目の前で見ながら専門家からの解説を聞くことで、改めて「都市にはどのようなインフラがあるか」、「そのインフラが災害対策、環境保全、利便性向上などにどのように貢献しているのか」、「インフラがその機能を確実に果たすためには市民の正しい理解がいかに大切か」を知ったとの回答を得ている。すなわち、市民に対して土木の役割を考えていただくきっかけに直接つながる好事例である。

img894.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: