2020年04月01日

土木学会5か年計画(JSCE2020-2024)の策定と実践

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シビルNPO連携プラットフォーム 理事
公益社団法人土木学会 専務理事 塚田 幸広


土木学会では、これまで5年毎に事業計画を策定し、学会の活動の柱としてきた。この度、100周年の節目で策定した「社会と土木の100年ビジョン」や「中期重点目標」で掲げられた中長期(20〜30年程度)の目標を達成すべく、2020年を初年度とする5か年(2020〜24年)の間に重点的に取り組む事項(プロジェクト)を社会及び会員に対して具体的に示すために、JSCE2020-2024を策定した。

1.4つの中期重点目標
5か年計画の策定に際してターゲットとして、「安全・安心」、「国際」、「コニュニケーション」、「人材」の4つの中期重点目標を示した。
(1) 安全・安心:安全で安心して豊かな生活ができる持続性の高い国土再構成
@ 土木界は、市民の安全・安心で豊かな生活を確保するために、激甚化する自然災害等対して事前に備えるとともに、今後増加するインフラストックを適切に維持管理・更新することが求められている。土木学会は、これらに関わる土木技術者の活動を支援する。
A 地域環境に関わる様々な問題に対して、対症療法的に対応するだけでなく、予防的に対応する必要がある。土木学会は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、他分野との連携を積極的に行い、持続可能な環境保全を実現するための活動を支援する。

(2) 国際:我が国が有する質の高いインフラの海外展開と国際的諸課題の解決への主体的貢献
@ 土木学会は、我が国がこれまで培ってきたインフラ整備に係る技術・知見をもって、新興国等におけるインフラ整備を担う土木技術者の育成を支援する。また、地域特性に応じた対応策を示すとともに、我が国の優れたインフラ技術を海外に向けて発信する。
A 世界規模の諸問題に対処するため、「ACECC東京宣言2019」の確実な履行のためにも、土木学会は、産官学が一体となって、今後取り組むべき国際的課題の解決に向けた国際協働に主導的に取り組む。
(3) コミュニケーション:専門的知見に基づく公正な立場での対話の場と、情報蓄積・公開を促すしくみの整備と利活用
@ 安全の確保のためには専門家と市民の良好なコミュニケーションが不可欠であることから、土木学会は、市民と土木技術者が良好な関係を構築できるコミュニケーションの場を提供する。
A 土木学会は、本部においては土木広報センターを核に、適時適切な情報の受発信と各種イベントの開催等の取組みを拡大推進するとともに、支部においては地域と連携した活動やイベントなどにより市民との交流を一層活発なものとする活動を行う。
B 土木学会は、そのあらゆる部門、機構、委員会、支部が発信する情報を一元的に保存するアーカイブ機能を設置し、市民社会においてその利活用を図る。

(4) 人材:次世代の土木技術者の育成と多様な人材が活躍できる社会の実現
@ 土木学会は、土木技術者およびこれを目指す学生だけでなく、他分野の人々にとっても魅力的で参加しやすい教育プログラムを継続的に提案する。
A 減災・防災やインフラ維持管理への対応、ICT、AI、BIM/CIM 等の先進技術のインフラ整備・管理への導入という社会的要請に対して、土木学会は、土木界の人材が地域や他分野と連携し、リーダーとして貢献できる社会の構築を支援する。
B 若手、女性、シニア、外国人など、多様な人材が活躍できる社会を実現するために、土木学会は、ダイバーシティ確保、多様な働き方などの情報共有を積極的に支援等、土木技術者が広く活躍できる場の創出を支援する。

2.5か年計画で始動する4つの具体的なプロジェクト
中期重点目標を達成するために、5か年の間に重点的に取り組む具体的なプロジェクトを設定し、各グループとも、3年間を一つの節目としてアウトプットを公表する予定である。
(1) 強靭国土実現のための複合・巨大災害の全体像の解明と学会内外の後段的検討体制の確立(目黒公郎 地震工学委員会委員長・東京大学)
(2) メンテナンスの担い手を育て、インフラを守る〜インフラメンテナンスの確実な実施のための教材・人材開発と自治体支援を視野に入れた枠組み構築〜(久田 真 インフラメンテナンス委員会委員長・東北大学)
(3) 土木映像の蓄積と活用〜映像クリエーターになって世界につたえよう〜(小松 淳 土木広報センター副センター長・日本工営)
(4) 土木D&I2.0へむけた活動の場とツールをつくる(佐々木葉 ダイバーシティ推進委員会委員長・早稲田大学)


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中央FMでの「ドボクのラジオ(ドボラジ)」の収録状況
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | シビルNPOの現況と課題
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