2020年4月7日、「緊急事態宣言」が発令されました。大都市圏の7都府県を対象に、5月の連休明けまでの約1ヶ月間、医療関係へのいくつかの強制と、人の移動の自粛要請です。
そこで思うのが下図。リスクマネジメントやBCPでお馴染みの「復旧曲線」です。

1.耐震と防災とリスクマネジメント
私は、耐震設計技術者で、阪神淡路大震災の直後に、めちゃくちゃになった街を歩き、人の力の限界を体感しました。その後、レベル2外力の存在を前提に、構造物は壊れるが市民社会の被害をある範囲に抑える「耐震設計」と、併せて、被災後も道路や行政の機能を維持するための「防災計画」が広がりました。
一方、私は、品質管理の仕事もして、協会のマネジメントシステム委員会の委員長もしていました。コンサル業務は、品質管理より、プロジェクトマネジメント(PM)の方が馴染み、その延長でリスクマネジメント(RM)も学びました。それぞれ、アメリカの大恐慌時代やヨーロッパの大航海時代に始まる世界の知恵です。
2.損害をマネジメントする!
さて、左の図ですが、大地震でも大洪水でも、新型コロナウイルスでも、災害が発生してからの復旧・復興過程は、概ねこうなります。そして、A〜D点の位置(時期とレベル)で、私たちが受ける損害が変わります。
A点は、事前対策をどこまでして、レベル低下をどの程度に抑えるか。例えば、社員の安全確保と安否確認だけでは、事業の再開が遅れ、会社が潰れるかも。資金と相談しながらの決断です。
B点は、「危機管理」の結果です。事前対策の実効性と、社長等のタイムリーで的確な指揮で決まります。「緊急事態宣言」はこれの一部。
C点は、いつまでに元に戻すかの決意。例えば、神戸港は取引量が戻るのに20年掛かりました。復旧を待っていられない会社が、他の港に移り、それが「日常」になってしまったからです。
D点は、リスクマネジメントの「ツボ」。私は、神戸に、震災前も後も、度々行きました。被災した方には申し訳ないですが、「前よりいいじゃない!よかったね。」と言いたくなります。「ひどい目に遭ったのに元通り」では、元気が出ません。2015年国連防災会議の仙台宣言「Build Back Better」です。
新コロナウイルスの猛威を乗り越えたら、様々な災害に思いを巡らせ、A〜D点の各目標を定め、「事前対策」と「危機管理」の計画(BCP)を見直さなければ・・と、改めて思います。
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