2020年09月01日

地域の液状化に備える

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シビルNPO連携プラットフォーム 副代表理事
花村 義久


はじめに
2011年3月11日東日本大震災が発生、私が所属するNPO法人シビルまちづくりステーション(CMS)では発生後すぐに被災地救済の動きとして救援物資を集め、現地に乗り込みました。合わせて、被害踏査も行いました。その中で身近な所で発生した災害として液状化被害に着目し、浦安、船橋をはじめ内陸も含め被災地での踏査を行い、組織内に「液状化対策プロジェクト」を立ち上げることにしました。
東日本大震災における液状化被害、船橋市の液状化
東日本大震災は広範な地域に津波被害もたらしましたが、そのなかで液状化が被害を一層大きくしていることが分かりました。また液状化被害は、利根川流域、東京湾岸エリヤの海面埋立て地域や内陸部地域における干拓や沼の埋立地などに広がっています。

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地元船橋でも、市の全面積の85%が被害を受けた浦安市に比べると知られていませんが被害は大きく、その復旧・復興が求められていました。当NPO・CMSでは船橋市市民公益公募型支援事業の指定を受けて、液状化に関する総合的なパンフレットを作成したり、フォーラムやセミナーなど一連の催しを開催して、広く市民に地震・液状化の被害に対する情報・知見を提供し、災害に備える活動をしました。そしてこのような結果を踏まえ、実態調査やハザードマップの検証を行うとともに、再液状化も含め今後の対策を検討・提案しました。
船橋市の被害実態調査とハザードマップの検証
船橋市の被害実態調査として家屋の被災状況、道路・上下水道・ガスなどのライフラインの被災状況、それに対する行政の対応等を調べました。この結果を地図上に表わし、過去の地形、地盤、現在のハザードマップなどとの関連などを見ることにより、新たにいろいろなことが見えて来ました。

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液状化の被災はハザードマップでの液状化危険性の高い区域で数多く発生していますが、内陸部においても液状化危険性が「ない」(図−1の白色部)とされる区域でも、液状化が発生している箇所がかなり認められています。
 図-1は、液状化ハザードマップに家屋等の被害箇所を重ねたものに、さらに旧地形を重ねたものです。旧地形の低湿地部を着色(ピンク)しましたが、この図から、液状化危険性の「ない」箇所の多くが旧地形の低湿地部に相当することが判明しました。このことから、液状化危険性の評価は旧地形の低湿地部を考慮するのが良いと考えられます。

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おわりに
行液状化の問題は重要であるにもかかわらず、当時はまだ認識が浅く、行政は殆ど対応が出来ておらず、市民にいたっては被災者はどうしていいか分からない状態でした。 市民は、行政は、NPOはどうすればいいのか、現在も各主体間の情報共有、協力関係、各種問題の課題解決が求められています。


資料
・地震による液状化に備えよう ―液状化についての知識を高めよう―  平成25年3月発行
・液状化対策へのエントランス ―「地震防災フォーラム・セミナー」より― 平成26年3月発行
・実態調査から見える被害状況 ―船橋の液状化被害はこうだった―  平成27年3月発行
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等
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