“美し国づくり大賞”には「命の水をありがとう 水の輪、人の和をつなぐふるさとづくり」、“特別賞”に「自然と遊び・楽しむ・育む」を決定し、6月25日表彰式と受賞者による記念講演、パネルディスカッションを行いましたので、その概要を紹介いたします。
大賞の「命の水をありがとう 水の輪、人の和をつなぐふるさとづくり」は愛媛県西条市の“NPO法人 うちぬき21プロジェクト”と“竹取物語実行委員会”の連名で応募されました。
西条市は石鎚山(1982m)から燧灘までの多種多様な自然生態系を併せ持ち、石鎚山系からの伏流水が自噴水となって湧き出る「うちぬき」を利用し水と共に暮らしてきましたが、都市化により自然体系が分断され、少子高齢化により水と共に暮らす地域の風土が失われていき、西条らしさを後世につなぐ活動が急務になってきました。平成12年の「水と芸術文化でまちづくりと人づくり」というテーマで活動がスタートし、地域の課題を共に考え行動しているうちに“人の和(輪)”が広がりつながり、竹林の問題を取り上げた「竹取物語」との協働、「石打山の駅」「千町の棚田保全」など活動の領域が広がり、西条らしさを求め楽しみながら活動しておられます。また、うちぬきの水が海から自噴する「弘法水」とおいしい水全国一位の輝いた嘉母神社の水を1年おきに石鎚山天狗岳まで参道沿いに全行程徒歩で献水する行事は、水によって生活が潤っていることへの感謝の気持ちが込められており素晴らしい取り組みと感銘致しました。「言いだしっぺがリーダー」となり、水の輪・人の和をつなぐ取組みは、水と共に生き抜く意思を共有しながら楽しく活動されていると感じ入りました。

一方、特別賞の「自然と遊び・楽しみ・育む」は“NPO法人 里山環境さなざわ”より応募されました。同NPOは利根川源流のみなかみ町月夜野地内“さなざわ(真澤)”の里山を環境学習の場として整備し、下流地域との交流を行い観光の推進に寄与することを目的として設立されております。
設立から10年、この間にビオトープの整備、炭焼き窯の復活、棚田の維持など里山を整備し、設立趣旨に沿った活動が実践されております。これらはアグリツーリズムなど地域活性化につながりますし、里山体験が川のそして水の恵みを考える良い機会になると思います。また、里山整備は水生昆虫など生態系の復活を促し、平成29年ユネスコ「エコパーク」の認定を受けるに至っております。
先ずやってみる。そこから生まれる、人の和やつながりは、地域を豊かにし人間力の素晴らしさを映し出します。美し国づくり協会は各地域の「・・・らしさ」を紹介し広く知らしめる活動を今後も続け、「美し国日本」の景観や風景の保存と新たな創造の一端を担って参りたいと思います。
特定非営利活動法人 美し国づくり協会 理事長 進士 五十八
email:info@umashi-kuni.com
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