2020年05月01日

小学校出前授業

img972.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 協働推進部門長
日本ファシリティマネジメント協会 インフラマネジメント研究部会副部会長
インフラメンテナンス国民会議 市民参画フォーラムリーダー
アイセイ(株) 代表取締役 岩佐 宏一


今年に入り2月の6日と13日の2日間、待ちに待った「小学校出前授業」を行った。小学5年生を対象に5・6時限目(1コマ45分×2コマ)の社会科の特別授業として『インフラとは何か』、『インフラを大切に使わないとどうなるのか』を子供たちと一緒に考えた。
約1年前の2019年1月28日にこの企画はキックオフした。
子供たちにインフラは与えられるものじゃない!自分たちのものだって知ってもらいたい!この熱い気持ちを、賛同いただいた子供向け職業体験施設で働くSさんと、どうやって子供たちにこの気持ちを理解してもらえるかを話したのを覚えている。この時から自分の凝り固まった頭(インフラはこうでこうあるべきだ!)を粉々に砕き、真正面で見てきたインフラメンテナンスをがらり裏側から市民目線になるよう特訓が始まったことを鮮明に覚えている。
さらに2019年2月から合流した都内小学校で教鞭をとるK先生、Sさんの仲間のAさんを仲間に迎え、2020年1月の授業開催を目標に企画を加速させた。が、やはり当初からの凝り固まったわたしの企画では、K先生の理解を得られない。先生から発せられた言葉は、こどもが理解できる言葉を使い、こどもの目線で授業のシナリオを作成すること。これがとんでもなく大変だった。
ビジネスで置き換えると「ゲームチェンジ」という概念があったり、社会一般的には「ものの見方を変える」「その人の立場になって考える」なんて言葉からやり方は山ほど出てくるが、実際やってみようとすると中々手ごわい。
そもそも「インフラ」って言葉でさえ、我々は標準語のごとく用いているが、立場変われば異国のことばである。

img973.jpg

このようなカードを作成し、このカードを2つに分けて?から始め、概ねみんなのものと個人で使うものに分けるので、「みんなで使うものがインフラなんだよ」といった感じである。
普段だったら、インフラって、橋梁やトンネル、電気、ガス…と説明を始めるが、カードを使い自ら考えながら解いていく切り口でないと、子供たちはこちらの領域に入ってこないらしい。
これが目線を変えることのようだ。

さて話を戻すが、小学5年生は社会科で何を学んでいるかご存知でしょうか?こちらは出前授業で「インフラ」という情報を小学生へ与えることができれば済むものだと考えていたが、とんでもない。小学校5年生になるまでに学んだ社会科、これから学ぶ社会科から、どの場面で違和感なく伝えることができるかと言ったカリキュラムも重要だ。言われれば当たり前なことかもしれないが、こちらはド素人。授業をする学年やタイミングも重要なことであることを学んだ。
4年生や5年生の社会科の教科書、学習指導要領の確認、すでに実施されている出前授業の調査、〇〇科学館といった会場視察をすることで出前授業コンテンツの構成やどのように話せば伝わるのかを、少しづつではあるが理解することができた。
毎月の打合せを重ね、やっとの思いで2019年12月にリハーサルに挑む。授業を終えた夕方に小学校へ行き、がらりとした教室で授業のリハーサルを行った。

img974.jpg
リハーサル時のシナリオ

1コマ45分の限られた時間のなかで、シナリオを片手に授業を始めた。同時に説明用資料をスライドで流し、本当に伝えたい箇所を計画した板書イメージを元に、黒板にフリップを貼る。この間子供たちがいるかのように質問や答えを話す。まったくの余裕がない自分に子供たちがいたらどうだったんだろう。伝えたいことが半分も話すことができないと…感じた。

リハーサルを数回繰り返し、撮影したビデオを見て、本番に向け修正することとなった。

出前授業本番、1年間の成果を発揮し子供たちにインフラの大切さを伝えることができるか。現場スタイルである、作業着にヘルメット、安全帯、安全チョッキ、安全靴、小物のヘッドライトや点検ハンマー、コンベックスを携えて

img975.jpg

このスタイルの掴みから、子供たちの反応はなかなかで授業にすんなりと入ることができた。
インフラカードからインフラを知り、インフラがなくなったらを話し合い、インフラを点検している姿から点検や措置することで長持ちさせる意味を、そしてみんなでできることをグループワークで学んだ。1年間の成果があっという間の45分×2コマの授業となった。
子供たちから、私たちができることがあると思わなかった。インフラがないと生活が大変だということ。できることをやるというのが心に残りました。私もできることは協力していきたいと思いました。 …ありがとう。
今年度も他区も含めて出前授業を拡大します。
この楽しさにご興味がある方、是非ご一緒しませんか。限られたメンバーではなく、多くの方に参加してほしいと思っております。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等

2020年03月01日

考える研修 やってます

img939.jpg
シビルNPO連携プラットフォームサポーター 
未来構想PF事務局長 土井 博己


未来構想PF(一般社団法人未来のまち・交通・鉄道を構想するプラットフォーム)では、9年前の設立時から継続してワークショップ(WS)研修を実施している。対象者はJR東日本及びグループ会社の建設部門若手中堅社員で、研修テーマにより運輸総合研究所や鉄道・運輸機構からの特別参加もある。
JR東日本では、安全や設計等様々な研修が行われているが、プロジェクトの企画調査計画に関する講座は無い。確かに企画調査計画の業務は総合力を必要とする分野であり、そのことを「冠」に講座を組むことは難しい。そこで、未来構想PFの設立に際しては「考える力とプロジェクト企画力の再構築」が一番のミッションとなった。将来構想に関する技術力の継承と向上については、自主研究、講演会、見学会などのメニューもあるが、まずWS研修を優先して実施することとした。

大丸2WS研修の目的と進め方
WS研修は、メンバー共通の構想・計画をまとめることが目的ではない。専門性、立場、関心の違うメンバーとの自由な意見交換を通して、考えることとプロジェクトを進める上での全体フローを理解することが目的である。
(カリキュラムの事例:上野駅の将来構想)
第1回 特別講義(山本会長)と課題図書を読んだ感想
第2回 首都圏の都市計画・交通計画の長期的な課題を考慮した上で、鉄道の将来ビジョンをどのように考えるべきか
第3回 駅の基本構想を考える上で、重要なことは何か(10項目程度を示す)
第4回 現在の上野駅を理解する
第5回 上野駅の将来構想をまとめる
第6回 上野駅の将来構想を踏まえた施設計画(長期計画と当面の計画)
第7回 上野駅の当面の施設計画の具体化
第8回 まとめ(将来構想から具体的な計画立案までの全体フローを整理)

img940.jpg

大丸2考えるメニュー
1. 毎回の課題、何を求められているのか
各回の課題は、ファシリテーターから事前に提示される。まず、何を求められているのか考える。

2.A4(裏表可)1枚に考えをまとめる
簡潔に考えをまとめることは大切で、その練習もあり用紙の制限を設けた。他のメンバーのまとめ方を参考にしていると、初回はともかく、最終回頃には皆さん上手になるから不思議だ。

3.発表する、発表を聞く
発表(プレゼン)の持ち時間は1人5分。わかりやすく、的確に発表しなければならない。それ以上に大切なのが「聞く」ことで(通常の会話でも話す3割聞く7割と言われている)、発表を聞きながら何を言いたいのか考え、不明な点があればそれが質問となる。

4.質問する、意見を言う
WS研修の最大の特徴は参加することである。質問や意見を出し合い、それぞれの提案をブラッシュアップしていく。その意味でもファシリテーターの役割は重要で、出来るだけ多くの「考え」が出るようにリードすることが期待される。

5.アドバイザーの話を聞く
一通りの議論が終わったらアドバイザー(参加している上司や先輩)から気付いたことが述べられ、最後に講評も含め山本会長からの話しがある。メンバーはこれらのコメントを熱心に聞いて次回以降の参考にしているようだ。

6.研修後の懇親会は毎回開催
研修は1シリーズ7〜8回で終了時間が20時前後。そのあと必ず行うのが2000円会費の懇親会で自由参加だ。その日のテーマはもちろん、仕事の話、最近の話題、むかし話、とにかくワイワイ賑やかだ。みんなの関心が高いのは山本会長の話で、貴重な体験や“その時々の考え”に聞き入る。楽しいひとときだが、各自の思考回路に知らず知らず染み込んでいる、そんな印象だ。

7.課題図書を読んで感想文を書く
各研修ごとに「課題図書」を設定し、読んだ感想をまとめ発表する。課題図書はPFからの提案や参加メンバーからの推薦で決定する。紙の本を年間1冊も読まない人が60%以上とのデータもある昨今だが、まとまった1冊を“読み切る”ことで、研修の目的である「考える」ことのツールとなっている。

■これまでに実施したWS研修の成果
以下に示す18シリーズを実施、参加者は延べ190人である。各テーマとも、当時JR東日本で具体的な検討が進んでいたわけではないが、いずれ将来構想が議論されると思われる案件を選択してきた。
・将来構想(池袋駅、大崎駅、上野駅、八王子駅、四ツ谷駅、空港アクセス、首都圏鉄道20年ビジョン、首都圏鉄道30年ビジョン、20年後の鉄道の将来像)・施工計画(浜松町駅、我孫子駅、橋本駅、金町駅、藤沢駅)
・地方創生(地域と生きる:仙台、東北地方で新規事業をやるとしたら何を:仙台、地方公共交通の将来像:高崎)
これらの成果は“190の提案”としてファイリングされている。これまでに、いくつかの駅改良計画の参考となっており、研修と実務の一体化という初期の目的は達成されている。また研修参加者190人は、ほとんどがプロジェクト企画リーダー、組織リーダーとして社内で活躍しており、技術力継承と人材育成の面でも成果を上げている。

img941.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等

土木と市民社会をつなぐ活動

img819.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 土木学会連携部門長
土木学会 教育企画・人材育成委員会 シビルNPO推進小委員会 委員長
メトロ設計梶@技術顧問
田中 努


「土木学会連携部門」では、土木学会のシビルNPO推進小委員会と一体になって、「土木と市民社会をつなぐ」の具体化をめざし、■土木と市民社会をつなぐフォーラムの設立準備と、■Facebookで同様の活動をしている人たちとつながる試みに取り組んでいます。

■土木と市民社会をつなぐフォーラム
「土木と市民社会をつなぐフォーラム」については、CNCP通信のVol.55、59、63、67に書きましたが、その後の進展をご紹介します。
私たちは「フォーラムがめざす姿」を次の枠内のようにまとめました。「土木と市民社会をつなぐ」という活動は、わが国の土木界の全ての組織・人(国・自治体・大学・企業・NPO・市民組織・個人等々)と全ての国民をつなぐことを考えているので、このような広い言い方になります。

=============================
◎市民が土木の全体を(事業も人も、良いところも悪いところも)概ね正しく理解し、様々なことに、市民が自分の意見を言えて、それらがある程度、インフラ整備(維持・更新)や防災・環境整備等の事業に反映されていく状態。
◎さらに、土木のファンがいて、楽しんだり、自ら土木に関係する仕事に就く人が居る状態。
=============================


私たちは、次に、この姿の具体事例と、この姿を実現させるために何をすべきかを考え、検討を重ねています。
【めざす姿の具体例】
フォーラムの仲間になってくれる人に説明し共感してもらうために、めざす姿の具体を例示します。例えば、@土木のイメージ(誤解や「知らない」がない)、Aインフラの認識、整備・維持への関わり、B防災への関心・理解、C土木技術者個人とのコミュニケーション、Dインフラツーリズムやダムマニアなどと土木界の人の関わり、E教育を通じた子供たちの土木に対する認識、F土木を学ぶ学生・土木関連の仕事に就く若者・・など。
【実現させるためにすべきこと】
@[つなぐ活動のDB&HP]:つなぐ活動のDBとHPのプロトタイプを作成し、使いながら、ブラッシュアップとコンテンツ(事例と参加メンバー)の増加を図る。
A「優れた活動の抽出と広報」:「つなぐ活動」の優れた部分として、何を仲間に紹介するかを検討しつつ、まずは、準備会に参加している土木学会の「土木広報大賞」とCNCPの「建設大賞(CNCPアワード)」の着目点の位置づけや両者の連携・協働の在り方などを検討する。
B「Q&A」:市民の生の疑問・質問を集める。まずは、個人の頑張りに依存せずに、システマチックに継続的に集める方法の検討。集まった質問とそれに対する回答は、CNCP通信のQ&Aに掲載し、併せてフォーラムのHPに掲載する。
C「TV会議の試行」:全国にフォーラムの仲間ができても、いつも四谷に来てもらうのは困難なため、土木学会の機器を利用して、普通に使えるTV会議・Web会議のスキルと環境を整える。
D「土木インタープリターの養成」:国立公園のネーチャーセンターにいる「インタープリター」の土木版を作る。まず「土木インタープリター」の要件(必要な知識・スキル・マインド等)を明らかにし、力量評価と養成講座を企画する。CNCPの協働推進部門で実施している「ファシリテーター養成講座」と連携させたい。

■Facebookで仲間たちとつながる試み
土木の分野に限りませんが、SNSを通じて自分たちの活動をリアルタイムに発信している組織/グループ/個人が世の中にたくさんいます。私たちは、昨年立ち上げた「シビルNPO推進小委員会Facebookページ」等を使い、「これは土木と市民社会をつないでいる!」と思われる活動を、フォロワー(「土木と市民社会をつなぐこと」に関心をもっている皆さん)へ紹介しています。また、コメント欄を通じた意見交換や、SNSで知ったイベントへの参加等を通じて、「土木と市民社会をつなぐ」という同じ志をもつ仲間とのつながりを少しずつ広げていこうとしています。読者の皆さんもぜひ、シビルNPO推進小委員会Facebookページをフォローし、このつながりに加わってください! 
シビルNPO推進小委員会Facebookページ
https://www.facebook.com/jsce.civil.npo/

img938.jpg
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | 教育研修、広報等