2020年06月01日

既に起こっている未来

シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(株)熊谷組常務執行役員 国際本部長
山崎 晶
img987.jpg

4月に所属会社の国際部門の責任者に就任した。その矢先のコロナウイルスである。渡航者や帰国者の隔離措置、入国や渡航の制限や禁止措置、定期航空便の減少や就航中止、都市封鎖や国内便・国際便の発着禁止、日本の政府開発援助の窓口である国際協力機構の現地日本人職員の帰国、こうした状況が各国で起きている。我々の主な事業展開先であるアジア諸国、各国はどのようにコロナウイルスに適切に対処するのか、現地の医療事情の貧弱さをどのようにリスクヘッジするかなど、今後の避けて通れない様々な問題が懸念される。
国内でも緊急事態宣言が発令され、外出自粛が要請され、テレワークによる在宅勤務、訪問や出張禁止など、業務を取りまく状況が激変している。在宅勤務実施のため各人の業務内容や役割を確認したら、特にそうしたものは決めていなかったなどの笑えない話も聞く。往来でのコミュニュケーションが取れなくなり、ウエッブ会議などが日常化して、食べず嫌いのICT技術も使ってみると中々のものであることにも気づかされている。今まで当たり前だと思っていた仕事やそのやり方も見直すべき機会と感じる。
日常の生活も大きく変わった。飲み会が減り血液検査の結果が劇的に向上した、GWに家族の元に帰れず単身赴任先で引きこもっている、など些細なこともある。しかし、今まで同様に皆で豊かさを求めて、与えられた仕事を良かれと思ってこなし、やりがいと給料を得て、衣食住や旅行などを楽しむ生活を満喫する、こうした日常のあり方を再考する人もいるのではないだろうか。生きるとはなにか、繁栄とはなにか、幸福とはなにか、そして仕事とはなにか・・、にまで繋がっていく問いのようにも感じる。
「苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていく事が、これからのわたくしたちの使命です」、これは東日本大震災直後の被災地のある中学校の卒業式での卒業生代表の答辞だ。当時の状況は今の状況とは比べ物にならないくらい厳しいものであり、この言葉は今の我々に大きな勇気を与えると共に、与えられた状況で精一杯がんばれとの覚悟を要求してくる。
経営学者Druckerは「既に起こっている未来を見過ごさず、その兆候を仕事や組織に取り込め、それが指導者の役割だ」と言っている。これに従うと、我々の営為や仕事でも、今回のリスクを放置して結果の悪さをコロナウイルスに転嫁し責任逃れをするのではなく、リスクをチャンスと捉えて、新しい取組みを構築する必要があると感じる。しかしながら、自分の経験や実力不足のために、中々具体的な考えや取り組みに結び付いていないもどかしさを感じる。
コロナがある程度収束したら、CNCPの先輩諸氏とこうしたことを様々意見交換して、ご指導を頂きたいと考えている。

posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(324) | その他(随筆的な投稿)

2020年04月01日

危機において指揮者に対する信頼が不十分であるとき

img964.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム 副代表理事
(東京都市大学副学長) 皆川 勝


専門に関する事柄は素人には理解が難しく、専門家であっても専門外のことを理解することは難しいので、専門家が誠実、公正であることが求められます。また、説明する者を説明される者が信頼をしていなければ、説明責任を果たすことはできません。そこで、専門家の能力や知見に基づく判断は適切であるという市民の持つ信頼と、それに基づいて安心して社会生活を送ることができているという市民の感覚がそれを委ねる基本となります。信頼とは道徳的秩序に対する期待であり、それは専門家の能力に対する期待と、専門家の意図に対する期待からなると言われています。能力に対する期待とは専門家としての知見の有用性に関係しています。一方の意図に対する期待とは、公平性、公正性、客観性、一貫性、正直性、透明性、誠実性、思いやりといったものです。」
この文章は、著者が“科学技術者あるいは科学技術に関して執筆した文章(公正研究推進協会によるe-ラーニング教材より.出典:山岸俊男:信頼の構造 こころと社会の進化ゲーム、東京大学出版会、1998年5月)について、”科学者・技術者“を”専門家“などと置き換えてみたものです。また、“専門家”を“政治家”としても、新型コロナウイルス禍が世界を覆っている状況で、自粛要請などが発出されるときの発出した者の意図は何かを考える時の参考になるように思います。

桜を見る会に関わる情報の遺棄や、森友問題に関わっての自殺者の出現など、政治がかかわったとの疑念が持たれている様々な事柄に対して説明が十分なされなかったり、調査が不十分なまま放置されたりしている状況は目に余るものがあります。そういった状況で、新型ウイルスが蔓延し、多くの犠牲者が出ている中で、権力を行使できる個人の意思により学校の一斉休校が要請されました。ところが、どのような科学的な根拠か不明なまま一斉休校要請は4月には解除となるそうです。また、オリンピックの開催が1年程度延期との方針が出た途端、感染爆発や重大局面との危機を訴える言葉がしきりと発せられるようになっているように思ってしまうのは私だけではないだろうと思います。
これらの動きの底にある意図が取りざたされるのは、ごく自然なことであると思います。政治における金や選挙にまつわる疑惑などに対する説明責任をしっかり果たしているとは言えないとの批判がある中で、政治家の意図に対して期待を持つことができるでしょうか。結局は、医療に関する専門性も、政治を動かす権力も持たない我々市民は、自衛をせざるを得ないということになるのでしょうか。大学では、遠隔授業の活用が不可欠な状況となってきました。新型コロナウイルス禍を教訓とできたと言えるように、社会の変革を実現する機会とする、強い意志と実現する力が問われています。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | その他(随筆的な投稿)

2019年12月01日

サブスク・ビジネス

img897.jpg
シビルNPO連携プラットフォーム常務理事 企画サービス部門担当
SLIM Japan理事長、(株)アイ・エス・エスグループ代表取締役
中村 裕司


D.アトキンソンさんの近著『国運の分岐点』には、示唆に富んだいくつかの数字が並んでいる。少し羅列して紹介したい。数字の根拠に興味がある方は同著に立ち返ってお読みいただきたい。
1.日本の生産性は、1990年には世界第9位であったが、2019年には第28位にまで下がっている。
2.上場企業の時価総額ランキングでは、1989年には上位50社のうち32社が日本企業であった。しかも1位から5位はすべて日本企業であった。これに対して、2018年で50社以内に入っている日本企業は僅か1社。それも35位である。
3.米国の人口は1990年の2.4億人から2018年には3.3億人に増加している(約1.4倍)。同じ期間の日本の人口は1.26億人から1.25億人に減少している(99%)。
4.1998年〜2018年の20年間で、先進国平均の賃金は1.8倍に増加したが、日本の賃金は9%下落した。
5.企業が社員教育に掛ける金額は、米国が年間44兆円であるのに対し、日本は5,000億円でしかない。
6.年間労働時間を2,000時間とした場合、日本人一人が負担する1時間当たりの社会保障額は、
 ・2020年:824円
 ・2030年:1,137円
 ・2040年:1,642円

と増え続ける。参考までに、2019年10月1日発効の東京都の最低賃金は1,013円、全国の加重平均は901円である。
以上は、日本がなぜ生産性が低い国であるかを示す指標の一端である。このまま低賃金が続くと日本の生産性はますます低下するというのがアトキンソンさんの主張である。
私たち日本人は、けっこう効率よく仕事をさばき、付加価値の高い仕事を継続してきたつもりでいるが、どうやらそうではないらしい。人口が減り、自然にGDPが減るこの国で、生産性を向上するためには賃金上昇以外に手はなさそうである。
NPO団体であるCNCPが日本の生産性向上に寄与する余地はあるか、自問自答をしてみた。希望的観測も併せて、「ある」と答えたい。
なぜならCNCPは会員のためのサービス団体であり、会員をオンラインとオフラインでつなぐことにより、提供する情報をマネタイズしていける素地ができているからだ。シェアリングの未来形と言われている“サブスク”ビジネスの基盤は構築されていると考えてよい。サブスク・ビジネスの肝は、少ない時間で多くの収益を生み出すところにある。すなわち、生産性の向上である。CNCPがこれまでに造り上げてきた会員基盤を通じ、会員に有益な企画とサービスを提供できれば、生産性向上に一役買える。
そういう未来をCNCPは展開したい。
posted by CNCP事務局 at 00:00| Comment(0) | その他(随筆的な投稿)