2020年10月01日

最近の小事・・・無くしたもの・・・

シビルNPO連携プラットフォーム 正会員
宮崎県 有限会社 仁礼
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星野 隆幸


2020年は新型コロナで始まった、いまだに出口は見出せないでいる中、毎日新型コロナの名前が氾濫している。では、新型コロナとはいったい何者なのだろうか。コロナウィルス自体は、さほど珍しくないと言うか、毎年冬になると患者が増える風邪の原因ウィルスの一つなのである。ウィルスの表面に特徴的な突起物があり、その見た目、もちろん電子顕微鏡でしか見ることが出来ないのであるが、王冠(crown)に似ていることからギリシャ語の王冠を意味するcorona(コロナ)と付けられた。2019年中国で発見され今回の騒動の主である、コロナウィルスは、コロナウィルスの一種であるが、今までと違う性質の新しいウィルスなので「新型コロナウィルス(COVID-19)」と呼ばれるようになったのである。世界中で、沢山の方が感染され、沢山の死者を出していまだに衰えない厄介者なのである。日本政府も、「新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言」を発令し、感染拡大防止、各自治体も追随するように感染拡大防止に努力している。仕事も遊びも自粛の中、経験のない1年を皆が過ごしているのである。
さて、新型コロナは、風邪の新型なので、風邪の感染防止の第一は、安静にして寝ていることで、つまり隔離して他人と接触しないことだと単純な私は考えていた、法的な事、政府の事、経済の事等、難しい事は横に置いておく事にして、他人に感染させないようにするには他人に会わない事が一番いい方法であるのは間違いない、そしてそれを決断したのは、自分自身であり、家族であった、つまり、誰かに言われなくても行っていたのである。では、現在は、どのようになっているのだろうか、法律で決まったことだからだとか、何か理由付けが無いと動くことも出来ず、決断する事も出来なくなったのだろうか、他人に感染させないとは、他人を思いやる事、特定の他人で無く、自分以外全ての他人の事であった、自分自身以前に他人を考え自分自身で決断行動する事であった。今回のコロナ騒動で感じたのは、日本人の記憶の中に確かに持っていた何か大切なことをいつの間にか無くしてしまったのでは無いかと言う事である。

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東京日本橋に水天宮がある、安産と水難除けで有名なお宮さんである。知り合いの安産祈願に犬の置物を購入した、何の変哲も無い、手のひらに収まる大きさで、竹の籠を頭に乗せている。何故、安産祈願の置物になるのか、
@ 犬は、多産でお産も比較的軽いらしく安産の象徴
A 籠の形状は穴が多くあいている、穴で風通しがよく風が抜ける、風が抜けるから風邪が抜けるとなり、赤ちゃんが風邪を引かずに健康にすごすようにと言う祈願
B 籠の素材の竹、この竹が実は非常に大事で、竹以外では成り立たないのである、犬の頭上に竹製の籠を乗せている、漢字で考えてほしい、犬の上に竹、竹冠に犬つまり、笑と言う漢字になるのである。赤ちゃんが笑顔で暮らせる家庭はいつも幸せな家庭につながると言う想い。
どうであろう、日本人は、こんな小さな土人形と竹籠でこれだけ沢山の願いを肉親を含む他人に想いやることができたのである。

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、今年も熊本球磨地方豪雨災害等と、自然災害が立て続けに日本を襲っている、特に2011年の東日本大震災発生時の日本人の行動は世界の人々から、これほど民度の高い国はないと賞賛を受け、21世紀の奇跡とまで言われたのであるが、最近の報道にみる日本人の行いはそれに見合っているのだろうか。お年寄りを狙った電話での詐欺事件、車を使ったあおり運転、ぶどう等の農作物や家畜を狙った窃盗、駐車している車へのいたずら、報道の良し悪しはこれも横に置くとして、なんと民度の低い事件であろうか、子供の頃、両親から教えられたのは、たった一つ、「他人に迷惑をかけるな」であった事を思い出すに、なんて深い教えであったのかをあらためて感じている。

最後に少しだけ近況を報告します。今年度から本格的に、地元にある宮崎大学と共同研究をする事になり、田舎の弱小企業としては大変名誉な事と感激すると共に責任を感じている所です。内容は、近年普及したUAV(ドローン)を利用した研究で、弊社は、熱感知赤外線カメラを搭載したドローンで協力することになっています。
地元日南市に熱感知赤外線カメラ搭載ドローンを所有する企業は無く、まだまだ、ノウハウも未熟でありますが日々精進中です。

赤外線写真のサンプル
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土木と市民社会をつなぐ事業研究会報告(その3)

第5回研究会において第6回研究会からはブレーンストーミングの結果を受けて「インフラメンテ」,「災害対応」,「地球環境・エネルギー問題・廃棄物対応」「中央と地方との格差対応」,「国や地域の将来ビジョン」を社会的課題として毎研究会で一つずつ取り上げてこれらの課題をCSV注釈)の視点で探って行くこととしました。CNCP通信(Vol74)では第6回研究会において取り上げました「インフラメンテ」について報告しましたが、CNCP通信(Vol78)では報告(その3)として第7回研究会において取り上げた「災害対応への貢献」の報告です。事前にメンバーから提出頂いたメモは下記の7件でした。なお、CSVの視点とは@CSV活動領域 A社会的価値提案モデル B収益モデル C取り組みの連携・協働の4つの切り口です。

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出されたメモの分析・評価を行った結果、下記の4つのプロットモデルに整理されました。
事業モデルⒶ ;地域防災の支援事業
事業モデルⒷ ;大規模震災へのDCM支援事業
事業モデルⒸ ;避難誘導へのCSV商品開発事業
事業モデルⒹ ;世界の大規模森林火災への防災事業
本来ならばここでⒶ〜Ⓓの4つのプロットモデルについてそれぞれ更に具体の事業としての組み立ての検討に入るべきところだとは思いますがここで一旦その作業は留めておいて次の課題の検討に入ります。そして前述した5つの全ての課題が一巡した段階で、更に各課題に対する事業化への取り組みを研究します。次回の第8回研究会のテーマは「新事業への貢献」とします。主として@地球環境AエネルギーB廃棄物処理を取り上げます。なお、第7回研究会からメンバーに佐藤工業が加わり
ゼネコンメンバーは熊谷組、鉄建建設、西松建設、前田建設工業、奥村組、佐藤工業の6社となりました。
注釈:共通価値の創造(CSV)とは社会的課題を工夫のある事業で解決を図ると共に合わせて企業価値の向上を図る事業を称します。
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コロナ禍で思うこと

シビルNPO連携プラットフォーム 理事
(一社)建設コンサルタンツ協会 副会長
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酒井 利夫


全世界がコロナの大きな影響を受けている。日本においてもこれまでの社会・経済に内在していた様々な問題が顕在化し、具体的な事象から日本が置かれていた現状を実感させられる状況が続いているが、一方で新しい動きも見え始めている。
例えば、マスクや消毒薬、医療用ガウン等の不足問題は、生産拠点が特定国に偏っていたことに起因し、その奥には極端な「利益第一主義」的なグローバル経済という背景が存在していたことに多くの国民が気付いた。そんな中で4月27日付の日経新聞の一面には『配当より雇用維持を。機関投資家が転換』とあり、「短期的な利益追求より社会的課題に向き合う方が長期的な成長につながると株主の考えが変わってきた」との指摘があった。

また、多くの国民が直接的に対応したことによる新たな変化も起きつつある。例えばテレワーク、オンライン会議については、これまで中々進まなかったが、外出自粛要請の中で、結果的に急速に普及することとなった。いくつかの課題も指摘されてはいるが、「どこにいても仕事ができる」、「通勤ラッシュに耐えながら都心に通勤する必要がない」、「遠距離を理由に参加できなかった会議に参加できるようになった」など効果を実感している国民も多い。社会構造を変える「きっかけ」となり、そしてそれを推進する「有効なツール」ともなり得る新しい流れとして期待したい。

しかしコロナとは関係なく毎年自然災害が多発している。昨年の台風19号も各地に大きな被害を残したことは記憶に新しいが、その中でもいくつかの治水プロジェクト等が完成していたため被害が最小限に押さえられた例があったことも事実である。例えば台風直撃直後であったものの、鶴見川流域の総合的な対策が功を奏してワールドカップ「日本vsスコットランド戦」が開催でき、しかも正々堂々と日本が勝利し決勝トーナメントに進出したことは特筆すべきことである。今年も各地で災害が発生している。特に7月の熊本県球磨川の被害は甚大であった。8月下旬、現地では、地元流域自治体と県・国との検証委員会が開催され、ダムが存在した場合の効果についても確認することとなったとの報道があった。データや事実に基づいて客観的かつ冷静に検証しその結果を今後に活かしていただきたい。

コロナをきっかけに既に社会が変わりつつある。今こそ「よりよい社会」へ「変えていくチャンス」と捉えたい。例えば、自然災害やパンデミック等、社会に甚大な影響を与える「外力」に対しても「余裕をもった、強く・しなやかで、安全・安心な社会」にすべきだと強く思う。また、「思いやりのある社会」、「短期ではなく長期的志向をもった持続可能な社会」なども新しい社会に向けての重要な考え方だと思う。国民的な議論がなされ、より多くの国民が共感できる「考え方」が形成され、共有されれば、よりよい方向に「社会を変えていく」ことも可能であると信じたい。社会を構成する一員として、そしてそれを支える「社会インフラ」に関わる者として、多くの方々と議論を重ねながら自分にできることから行動を起こしていきたいと思う次第である。
(令和2年9月28日提出)
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